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2025.04.17

【読むラジオ】MC: Laura day romance 「不穏な音楽」をテーマに選曲!「Room H」-2025.4.16-
FM福岡で毎週水曜日 26:00~26:55にオンエアしている音楽番組「Room "H"」。ユアネスの黒川侑司、Nolzy、Laura day romanceが週替わりでMCを務め、彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。
今週のMCは、Laura day romanceが担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
井上:皆さん、こんばんは。ここからの1時間はRoom"H"、DJを務めます、Laura day romanceのボーカル、井上花月と。
鈴木:ギターの鈴木迅と。
礒本:ドラムの礒本雄太です。
井上:3週間ぶりにRoom"H" に帰ってきました。
鈴木:もうそんな経ちました?
井上:早いですね。
鈴木:なんかやばいね。
井上:あと1週間ちょっとでワンマンライブがありますね。
鈴木:そうだね。
井上:次の回では多分終わってますね。
礒本:そうかも。
鈴木:何も把握できないけれども。なんかバタバタしてますよね。いいニュースとかもありつつ。バタバタできるということがありがたいなって。
井上:そうだよ。今日、親の用事について行ったら、知らないおじ様、おば様がいっぱいいたんだけど、そこで「何してるの?」みたいなこと聞かれて、「自営業みたいな感じです。」とか答えて。
礒本:あはは(笑)。
井上:最初「大学生?」って聞かれたのね。
鈴木:若く見られがちだからね。
井上:「違うということは何かやってるんですか?」って。平日の昼間からいるから「何で?」みたいな。「会社員ではないんですけど、自営業というかフリーターというか...」みたいな感じで濁してたんだけど、おかんに全部言われて。(お母さんに)「言っていい!?言っていい!?」と言われて、そこでダメって言えないじゃん?
礒本:おかんってそういうもんだよね。
井上:言っていいけど...みたいな。全てがバレて。気まずいよね。本当に。
礒本:人に言ってもらう方が良いまである。
井上:自分から言うよりはね。
鈴木:まあな。おじいちゃん、おばあちゃんに「何ていうバンドですか?」と言われて、(答えても)バンド名が長すぎて、もう一回(言ってくれます?)みたいな感じの変な空気になるっていう。
礒本:一生しっくり来ないよね。
鈴木:だから"スピッツ"とかにしときゃよかったなというのは本当に思うよね。
井上:4文字とか5文字にしとけばよかったよね。
鈴木:でも、変な名前をつけてもよくなかったので、ちょうどいいなということでやらせていただいてますけれども。
井上:バタバタしているから恥ずかしがらずに「一応、音楽やってますよ」と胸を張れるなと。
礒本:そういう話だったのね。
井上:1ヶ月間何も(仕事が)なかったら、「バンドやってます」と言いづらいじゃん。
鈴木:あはは(笑)。
礒本:内心、「これ何の話?」と。
鈴木:これ何の話だろうと思ってたよね(笑)。ここに戻ってきた。
井上:ということで、私たちローラズがお届けするRoom"H"。今日も1時間お付き合いよろしくお願いします。
礒本:では、早速番組始めていきましょう。今日の1曲目は...。まあこれでしょうね。
鈴木:これですわ。
井上:放送が始まりました、NHK Eテレにて毎週土曜日午後6時25分から放送しています。アニメ『アン・シャーリー』のエンディングテーマです。
井上:ここからはRoom"H"の住人がテーマに沿ってセレクトした曲を紹介する@リビングルームの時間です。礒やん、今週もテーマの発表をお願いします。
礒本:@リビングルーム、今夜のテーマは"不穏で素敵な音楽"です。ディレクターからの指令が届いております。先週、迅さんが読んでくれたんですけど。
井上:ちょっとマシになってるね?花粉症。
礒本:かなりね。鼻声はクリアした感じが。ただね、今度は喉なんですよね。
井上:あー、辛い。よかったね、ボーカルじゃなくて。
礒本:本当にそうなんです。最近、ちょっと喉・鼻が弱いので鍛えていきます。
井上:どうやって(笑)?
鈴木:あはは(笑)
礒本:ディレクターからの指令が届いておりますので、読み上げさせていただきます。今日のテーマは"不穏な音楽"です。Laura day romanceの音楽の隠し味の一つは不穏さにあるのでは?と思いまして、気持ちよくてちょっと気持ち悪い歪みだったり、絶妙にハラハラするような間だったり、穏やかでない歌詞だったり。あんこに少しの塩を足すとより甘さが増して感じられるように、少しの不穏さが楽曲をより一層美味しく仕上げているのでは?と個人的ではありますが思っております。
鈴木:なるほど。
礒本:そこで今日は心ざわつく春の夜、皆さんがおすすめしたい素敵な不穏な音楽をぜひ教えてください。
井上:わかる。桜味のアイスに塩が乗っているのが一番好き。
鈴木:あ、飯の話してるんだ?
礒本:見たことない。
井上:サーティーワンの桜味のアイスが期間限定で毎年出るんだけど、マジで美味しすぎて。その期間はそれしか食べない。
鈴木:塩バニラみたいなこと?
井上:そうそう。桜なんだけど塩味がちゃんと付いてて。めちゃくちゃ食べてほしい!
鈴木:生ハムメロンみたいなことかな?
井上:生ハムメロンみたいなこと!
礒本:スイカに塩みたいな感じ?
鈴木:わかんない。
礒本:どっちかと言ったら、こっちだろ(笑)!
鈴木:あはは(笑)
井上:酢豚にパイナップルとか。大好き。
礒本:塩バニラも急に受け入れられた感があるよね。
井上:そう?
礒本:最初は「何だこれは?」みたいな。
鈴木:塩キャラメル、塩バニラとか美味しいですよね
礒本:我々の音楽もそうなるんですかね?
鈴木:どんなところが不穏かというと、明瞭なコードとか完全に合っている5度3度のハモリとかを変に避けてるところがあって。それは楽曲が一色にならないようにというのがありまして。僕はアレンジ作る時にそういうところを考えてるんですけど、"これ、不協和音なのか?"みたいなちょっとドキッとするような仕掛けをしている意識は結構あって。皆さん、お気づきですか?
礒本:はい。普通に不協和音みたいなものをそのまま採用したり。
鈴木:そうね。全然ある。
礒本:リズムも流れるようで流れないみたいなところも意図的に作っていたりするから。
鈴木:僕はSonic Youth、The Velvet Undergroundとかが好きなので、そういう不協和音っぽいアプローチに慣れているんだけど、絶対音感の人が僕らの音楽を聴いて、気持ちいいのか?という不安は結構あって。
井上:全員が気持ちいい音楽なんてないからいいんじゃない?
礒本:そんな、元も子もない...。
鈴木:あはは(笑)。
礒本:これ聞いてくれている人の中でいらっしゃったら聞いてみたいけどね。
井上:絶対音感持ちで私たちのラジオを聞くほど好きでいてくれてる人ってこと?いなかったらウケるね(笑)。
礒本:いない(可能性)十分にあると思うけどね。
井上:今日のテーマ、"不穏な音楽"を紹介していきます。まずはギターの迅君からお願いします。
鈴木:先ほど言ったとおり、Sonic Youthとか音楽の専門知識がない人がバンドを始めるとなって、新しい表現が入ってくる時は楽典みたいなものに縛られず、新たな価値観が生まれていくと思うんですよ。僕が理論とかをちゃんと学んでいないこともあって、すごく励まされるというか。誰でも手に取っていい音楽を教えてくれたようなバンドがたくさんいるんです。不穏か、というと難しいところはあるんですけど、僕はThe Strokesというアメリカのバンドにすごく影響を受けていまして。今まで見向きもされなかったようなものに光を当てて、それをメインストリームにするような心情というか。そういったものをThe Strokesから感じるんだけど、今から紹介する曲はThe Strokesのボーカル、ブレーンのジュリアン・カサブランカスさんがやってるバンドで。よりマニアックなことをやっているというか。The Strokesは仕事で、俺はthe voidzですと。
井上:ソロはどういう立ち位置なの?
鈴木:ソロはソロでふざけてる。でも、the voidzの音楽を聴いて、バンドが好きなんだろうなって思った。
井上:ソロ、結構好き。
鈴木:ソロもいいですよね。ソロはバリバリ、シンセポップという感じなんですけど、the voidzは不協和音。めっちゃ長い曲とかあって、もう売れる気がない。
井上:ないよね。
鈴木:本当にない感じがミュージシャンとしてすごくリスペクトできるし、まさしく不穏な感じがあってこれを選ばせていただきました。比較的ポップな曲ですけどね。
鈴木:久々に聴いたけど、やっぱ不安になるな。
井上:でも、すごく気持ちいい不安だよね。
鈴木:本当?
井上:サイケ(な感じ)。雰囲気が「Amber blue」みたい。
鈴木:そうなんですよ。
井上:これを採用する感覚がやばいね。
鈴木:そう、ひん曲がってるよね。ひん曲がってるのに、1回メインストリームの頂点を取っちゃってるというジレンマが好きなんですよ。
井上:なるほど。そこが好きなんだ(笑)。
鈴木:そこが好き。
井上:それが不穏だわ。
鈴木:俺、こんな人気者じゃないはずなのに...と思いながら、ずっとトップを走ってると。
井上:かっこいいね。
鈴木:そういうジュリアンがすごい好きなんです。
井上:確かに今の曲めっちゃ良かった
鈴木:ぜひ聴いてください。これは比較的ポップ。この曲が一番ポップ。
井上:the voidzはポップじゃなさすぎて、私は結構諦めた。
鈴木:ファーストはもうほぼメタルみたいになってるんだけど、セカンドがすごく良いので。では続いて、礒本くん。"不穏で素敵な音楽"お願いします。
礒本:不穏な存在で好きなものはあるか?みたいなことも(台本に)書いてあったりして、アーティスト、映画、本とか色々探したんだけど、不穏と言ったら時期だなと思ったりもして。1970年代の空気感というか。
鈴木:なるほどね。
礒本:そういうところでピックアップしてみようと思って。
井上:え、生きてた?
礒本:もちろん生きてません。
鈴木:ウォルトディズニーみたいな?冷凍保存してみたいなこと(笑)?
井上:住んでたみたいな感じが出てたから。
礒本:僕はこの辺りの年代がすごく好きというか、興味の対象ではあって。アメリカに絞って考えると、黒人の公民権運動がひと段落したり。ベトナム戦争の真っ最中だったりとか、世界的な大事件が。転換期であったりだとか。
鈴木:暗い時代ではあるよね。
礒本:厭世ムードというか。そういうのもすごく充満してそうだなと。世を嫌うというか、ちょっと悲観的なムードも少なからずあるなとは思っていて。だからこそ出てくる楽観的な考え方、音楽。カウンターじゃないけど。サン・ラの宇宙信仰の話とか、ちょっとカルティックなものも出てきたり。悲喜こもごも感というか、その辺の空気感がすごく好きで。こういう年代の音楽をよく聴いてるんだけど、今回紹介するのがSly & the Family Stoneというバンド。白人黒人混合バンドなんてよく言われるんだけど、まさに当時の縮図のような。人種とかそういったところにすごく目が向いてた時代だと思うけど、そんな中でも、希望を捨てない歌やわざとか分からないけど楽観的な歌を歌っていたりだとか。もちろん悲観的なものもあるんだけど、Sly & the Family Stoneのそういう楽曲群がすごく好きなので、こういう曲を持ってきました。
鈴木:最高。最高です。
礒本:不穏だよね。
井上:不穏かも。
礒本:こういう時代に出すからこそ、感情が底から出てきてるというか。
井上:ボーカルの人の何かをすごく感じたわ。
礒本:ソウルっぽい感じ。音楽ジャンルの話をすると、多分ファンクとかR&Bなんだろうけど、ソウルっぽいやっぱりこの時代でしか感じられないものがあるというか。不穏だなとは思う。
鈴木:この曲をRed Hot Chili Peppersがカバーしてて、それで知ってたんですけど、俺の極論なんだけど、すべてのめっちゃ音楽好きな人はSly & the Family StoneかCurtis Mayfieldに帰ってくる。
井上:帰ってくるの?
鈴木:色々聴くけど、最終的にこれが一番いいなって戻ってくる。
礒本:実家みたいな感じ(笑)。
鈴木:Sly & the Family StoneかCurtis Mayfieldだと思っていて。
井上:確かに。よく聞くね。
鈴木:俺の持論。何回聴き返しても、いやここがいいなと変わっていく。理解できないというか、不穏というカオスが内包されてるけど、エネルギーの爆発ではなくて、内側にこもっている感じみたいなものが何回聴いてもいい秘訣なんじゃないかな。
礒本:俺よりうまく...。
鈴木:いやいや(笑)。俺の意見を言っただけですよ。
礒本:悔しいですけど(笑)。
井上:めっちゃかっこよかった。
礒本:ベースラインとかも引用しているアーティストさんがいて。
鈴木:このラインね。
礒本:ベースラインを聞いてみると、聞いたことある曲があると思います。いろんなアーティストにリスペクトされている曲だなと。
鈴木:実家だから。
礒本:ではラスト。ボーカルのかっちゃん。かっちゃんにとっての不穏で素敵な音楽教えてください。
井上:多分、不穏なものが基本好きすぎて。このテーマをもらった時に不穏じゃないものがあんまり好きじゃないことに気づいたんです。
鈴木:なるほどね。カラッとしてるものが好きじゃないってこと。
井上:人生でカラッとしすぎてるものを好んだことがあまりない気がして。小さい頃から不穏なもののほうがずっと見てきた感じがしてて。それこそ、好きな不穏な存在と(台本に)書いてあったので、今パッと思いついたのは中学生の時にめっちゃ不穏な物語しか読んでなくて。ホラーとか、ちょっとファンタジーでもめっちゃグロいとか、ミステリアスとか。そういうミステリー、サスペンス系とかを見すぎて、逆に大人になるにつれて、見なくなってきたというか。だから、当時(小さい頃)のものが多い。私にとって不穏なものって昭和の時代の今よりコンプライアンスとかがめちゃめちゃだった時代の漫画とか、昭和ギャグ漫画大全集みたいなものをめっちゃ読んでたのね。
礒本:それは不穏なんですか?
鈴木:ギャグなの?
井上:ギャグ漫画なのにめっちゃ不穏なの。昭和かどうか分からないけど、大槻ケンヂさんが書いてる小説とかもめっちゃ不穏だし。え、知ってる?『グミ・チョコレート・パイン』っていうめっちゃ有名な小説があるの。『ロッキン・ホース・バレリーナ』とか『ロコ!思うままに』とかすごくグロテスク、怪奇ワールドみたいな小説をいっぱい書いている時期があって、すごく読んでて。今思うと、あれ、めっちゃ不穏だったなみたいな。"世界の終末がやってきました"みたいな話ばっかり。
礒本:2000年に向かうにつれて。
井上:ノストラダムス的な。あの前後なのかな?私が小学生の時にはもうあったから、絶対そのあたりなんだけど、不穏ってそのイメージなんだよね。ちょっと昭和というか、今じゃない感じ。
礒本:アプローチとしては割と俺に近い。
井上:確かに。
礒本:世の中が明るさで満ち溢れてた反面のダークな闇の部分みたいな。
井上:まあ、今生きてる私たちのこの世界が一番不穏なのかもしれませんね。ということで。
礒本:ちょっと待って!お後、よろしくないです。
鈴木:タモリさん???『世にも奇妙な物語』。
礒本:あはは(笑)
井上:でも、実際そうだから。うちのおじいちゃんがよく言ってた。
鈴木:かもしれませんね、じゃないわ。
井上:お化けは全然怖くなくて、世の中で一番怖いものは人間だとずっと言ってたから。うちのおじいちゃんが。
鈴木:曲紹介しましょう。
井上:それでは聴いてください。坂本慎太郎で「スーパーカルト誕生」。
井上:私が3月に大学時代の先輩と一緒にディスプトピアランド。
礒本:なんて(笑)?
井上:『ディストピア・ランド』。
鈴木:ディスコ(笑)?
井上:『ディストピア・ランド』という展覧会に行って。まさに「スーパーカルト誕生」の世界観が全て詰まったみたいな。
礒本:すごいね。
井上:(展示会のテーマが)人類が一旦滅亡して、ヤギを信仰する教団みたいな。1つ目のヤギが生まれて、突然変異でそのヤギを神として祀ってる謎の教団が日本を乗っ取って...みたいな感じの世界観が作り上げられてて。めちゃくちゃ気持ち悪いけど、めっちゃあり得るなと。別の世界で全然こういうところがあるかもしれないという感じで見てて。その不穏な感じと坂本慎太郎の「スーパーカルト誕生」がめちゃくちゃ結びついてて。カルト的な不穏さ。
礒本:さっき、昭和と言ってたけど、昭和から平成の最初の頃ぐらいの空気感は会話してて感じたんですけど。
井上:ありますよね。坂本慎太郎さんは全体的にあえて昔の空気感を含ませているというか。全体的にレトロな感じがするから私たちにとっての昔の思い出みたいなものが不穏なものと同時にあるのかな?明るい過去ってあんまりなくない?
礒本:そうだね。手放しで明るいみたいなものがないよね。みんな、そこは見ないようにしてるけど、こういう人たちとか自分たちってここをすごく広げて、もうちょっと知ろうとしてるというか。そこにすごく興味がある人たちなのかな。
井上:坂本慎太郎さんのこのアルバム(『ナマで踊ろう』)を多分大学生の時に初めて聴いたのかな。私は日本語でこういう音楽をやっている人をあんまり知らなかった。多分、ゆらゆら帝国をしっかり聴く前に坂本慎太郎さんのソロの方を私は聴いてたんだよね。私が一番好きな坂本慎太郎さんのアルバム『物語のように』が出た時にリアルタイムでめちゃ聴いていたから、思い出深かったんですけど、その中に入っている曲たちよりこの曲の方がタイトル的にも音楽的にも不穏なのでこちらを選びました。
ということで、今日は"不穏で素敵な音楽"というテーマで3人それぞれ選曲しました。最後にもう1曲、Laura day romanceの楽曲からもテーマに沿って曲をかけたいなと思うんですが。
鈴木:不穏な楽曲、色々ありますけどね。"不穏で素敵な"だから不穏なだけではない方がいいなとは思ってて、その点、最新アルバム『合歓る - walls』の2曲目の「Sleeping pills|眠り薬」は綺麗だけど不穏というところをめざして僕は作っておりますので、その感じを含めて体感してもらえればと思います。
井上:では、ここでメンバーがそれぞれ最近気に入ってる曲を紹介するコーナーということで、今日は私、井上花月が選びたいと思います。さっき、迅君がこのラジオで言ってたThe StrokesのボーカルのジュリアンさんはThe Beatlesを通っていないことで有名ということなんですけれども。
鈴木:あはは(笑)ファンの間でしか有名じゃないよね?ファンの間でも有名じゃない。
井上:そうなんだ。全然The Beatlesを聴いていないらしくて、それがある意味個性になってるみたいな話を聞いたんだけど、確かにそれってそうだなと思ってて。私の周りでThe Beatlesを聴いていない人って本当いなくて。
鈴木:井上さん、すごいっすよ。本当に。
井上:私、本当に聴いてないの。
鈴木:本当に知らなすぎて。世のことを。
井上:あはは(笑)。
礒本:The Beatles?
鈴木:音楽史のことを知らなすぎて、毎回ド肝抜かれる。
井上:好き勝手に聴きすぎてきた。
礒本:まぁでも、それも1つね。
鈴木:やばかったのがFrank Oceanの曲で「ホテル・カリフォルニア」がサンプリングされてたんだけど、急に「演歌みたいだね」と言って。「ホテル・カリフォルニア」知らねえんだと、本当びっくりしちゃって。
礒本:時間という壁に守られて育ってきた。
鈴木:でも、それでこんなに歌ってるのは逆にすごいなと思って。
井上:お恥ずかしい。
鈴木:それは個性だなと。
井上:でも、音楽ファンの人がこのラジオ聞いたら、"こいつは見下していい存在"だと思っちゃうよ。
礒本:でも、間違っていることじゃないし。
鈴木:そう。知ってりゃいいってことでもないから。
井上:本当にみんなが知ってる基礎知識みたいなものが私の中に1つもなくて。The Beatlesもマジで1曲も分からないまま育った。親は好きだけど、私に聴かせてこなかったし。近年、迅君にあまりにもThe Beatles知らなさすぎて、"ちょっとアルバム聴け"と言われて。
礒本:嫌なムーブしてる(笑)。
鈴木:違う違う(笑)。すごく嫌なやつとして紹介されたけど。
井上:本当にそうじゃん。
鈴木:順ぐって一応聴いておいた方がいいんじゃない?みたいな。ベーシックで古いのでもいいのあるんだとか思うのにThe Beatlesは一番簡単だから。
礒本:一番共通の言語になりやすい。
井上:昔働いてた居酒屋をクビになったんだけど、その居酒屋でThe Beatlesが永遠に流れてたの。
鈴木:たまにあるよね。The Beatlesだけの店。
井上:そう。完全にそういう店だったの。それのせいでもうすごく苦手で。それもあって、大学生になってみんな聴いてると知ってからも全く聴いてなかった。でも、その迅君に言われて聴き始めて、最近もまあいいかなと思って聴いてなかったんだけど、つい最近「A Hard Day's Night」を聴いてみたら、急にめっちゃしっくりきたの。こんなことある!?
礒本:それはなんででしょう?
井上:なんでだろうね?
礒本:わかんないんだ。知りたい。
井上:別に昔の音像が嫌とかないのよ。それこそスライとかもお母さんがCDを持ってて、ずっと聴いてたし、全然好きなんだけど、The Beatlesだけは微妙だった。だけど、最近急に生活の中にスコーンと降りてきて。その中でも特にいいなと思った曲が何曲もあるけど、一番良かったのが「If I Fell」
という曲だったのでそちらを紹介します。
sly thefamily stone「if you want me to stay」
坂本慎太郎「スーパーカルト誕生」
Laura day romance「sleeping pills」
The Beatles「If I Fell」
Laura day romance「subltle scent」

Laura day romance「heart」
2025年3月26日(水)
Format:Digital
Track:
1. heart
試聴はこちら

2025年4月26日(土)大阪城音楽堂
2025年4月29日(火)東京国際フォーラム ホールC
開場16:30 開演17:30
出演:Laura day romance
<チケット情報>
全席指定
前売り 一般 ¥5,800- / U-22割 ¥5,000-
※U-22割は2003年4月2日以後に生まれた方対象、枚数限定。
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年8月24日にシングル「ありえないよ。」を、同年11月30日にはシングル「Blur」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。2022年7月8日にはソロ第2弾シングルでギタリスト「こーじゅん」をフィーチャリングに迎えた「フライディ・チャイナタウン (Acoustic Cover)」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro

Nolzy
サウンドプロダクション・トラックメイキング・ソングライティングを自ら手掛けるシンガー、音楽クリエイター。
R&B、Neo Soul、Hip Hopを基調とした都会的なサウンドと、どこか懐かしい"平成J-POP"の匂いを感じるキャッチーなメロディにシニカルな歌詞を組み合わせた、時代や世代を超える新感覚のミクスチャー・ポップを生み出す。2023年12月リリースの『#それな』を皮切りに『匿名奇謀』、『キスミー』と、3作連続でドラマ・アニメのタイアップを担当。
さらに、2024年のライブ活動始動から「SAKAE SP-RING」「TOKYO CALLING」「MINAMI WHEEL」などサーキットやイベントに多数出演するなど、ライブハウスシーンでも注目を集めている。
オフィシャルサイト/ @atsukitaketomo / @atsukitaketomo

Laura day romance
国内外のミュージックラバーにファンを広げる日本のバンド。
鈴木迅が作り出す幅広い音楽性の楽曲と、井上花月の世界観のあるヴォーカル、
タイトさと柔軟さを兼ね備えたリズムを刻む礒本雄太のドラミング、
そしてそれらを表現するためのベストな形でジョインするサポートメンバー達。
2023年初頭には「関ジャム 完全燃 SHOW( テレビ朝日 )」 で川谷絵音氏が選ぶ 2023 年のマイベスト 10 曲の第三位に「sweet vertigo」が選出され、大きく注目を集め始めている。
2025年2月には、前後編を合わせて一つの作品となる3rdフルアルバムの前編にあたる、『合歓る - walls』(読み:ネムル ウォールズ)のリリース、4月には大阪城音楽堂と東京国際フォーラム ホールCでのライブも決定している。
オフィシャルサイト/ @lauradayromance / @lauradayromance
今週のMCは、Laura day romanceが担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
井上:皆さん、こんばんは。ここからの1時間はRoom"H"、DJを務めます、Laura day romanceのボーカル、井上花月と。
鈴木:ギターの鈴木迅と。
礒本:ドラムの礒本雄太です。
井上:3週間ぶりにRoom"H" に帰ってきました。
鈴木:もうそんな経ちました?
井上:早いですね。
鈴木:なんかやばいね。
井上:あと1週間ちょっとでワンマンライブがありますね。
鈴木:そうだね。
井上:次の回では多分終わってますね。
礒本:そうかも。
鈴木:何も把握できないけれども。なんかバタバタしてますよね。いいニュースとかもありつつ。バタバタできるということがありがたいなって。
井上:そうだよ。今日、親の用事について行ったら、知らないおじ様、おば様がいっぱいいたんだけど、そこで「何してるの?」みたいなこと聞かれて、「自営業みたいな感じです。」とか答えて。
礒本:あはは(笑)。
井上:最初「大学生?」って聞かれたのね。
鈴木:若く見られがちだからね。
井上:「違うということは何かやってるんですか?」って。平日の昼間からいるから「何で?」みたいな。「会社員ではないんですけど、自営業というかフリーターというか...」みたいな感じで濁してたんだけど、おかんに全部言われて。(お母さんに)「言っていい!?言っていい!?」と言われて、そこでダメって言えないじゃん?
礒本:おかんってそういうもんだよね。
井上:言っていいけど...みたいな。全てがバレて。気まずいよね。本当に。
礒本:人に言ってもらう方が良いまである。
井上:自分から言うよりはね。
鈴木:まあな。おじいちゃん、おばあちゃんに「何ていうバンドですか?」と言われて、(答えても)バンド名が長すぎて、もう一回(言ってくれます?)みたいな感じの変な空気になるっていう。
礒本:一生しっくり来ないよね。
鈴木:だから"スピッツ"とかにしときゃよかったなというのは本当に思うよね。
井上:4文字とか5文字にしとけばよかったよね。
鈴木:でも、変な名前をつけてもよくなかったので、ちょうどいいなということでやらせていただいてますけれども。
井上:バタバタしているから恥ずかしがらずに「一応、音楽やってますよ」と胸を張れるなと。
礒本:そういう話だったのね。
井上:1ヶ月間何も(仕事が)なかったら、「バンドやってます」と言いづらいじゃん。
鈴木:あはは(笑)。
礒本:内心、「これ何の話?」と。
鈴木:これ何の話だろうと思ってたよね(笑)。ここに戻ってきた。
井上:ということで、私たちローラズがお届けするRoom"H"。今日も1時間お付き合いよろしくお願いします。
礒本:では、早速番組始めていきましょう。今日の1曲目は...。まあこれでしょうね。
鈴木:これですわ。
井上:放送が始まりました、NHK Eテレにて毎週土曜日午後6時25分から放送しています。アニメ『アン・シャーリー』のエンディングテーマです。
"不穏な音楽"をテーマに選曲!@リビングルーム
井上:ここからはRoom"H"の住人がテーマに沿ってセレクトした曲を紹介する@リビングルームの時間です。礒やん、今週もテーマの発表をお願いします。
礒本:@リビングルーム、今夜のテーマは"不穏で素敵な音楽"です。ディレクターからの指令が届いております。先週、迅さんが読んでくれたんですけど。
井上:ちょっとマシになってるね?花粉症。
礒本:かなりね。鼻声はクリアした感じが。ただね、今度は喉なんですよね。
井上:あー、辛い。よかったね、ボーカルじゃなくて。
礒本:本当にそうなんです。最近、ちょっと喉・鼻が弱いので鍛えていきます。
井上:どうやって(笑)?
鈴木:あはは(笑)
礒本:ディレクターからの指令が届いておりますので、読み上げさせていただきます。今日のテーマは"不穏な音楽"です。Laura day romanceの音楽の隠し味の一つは不穏さにあるのでは?と思いまして、気持ちよくてちょっと気持ち悪い歪みだったり、絶妙にハラハラするような間だったり、穏やかでない歌詞だったり。あんこに少しの塩を足すとより甘さが増して感じられるように、少しの不穏さが楽曲をより一層美味しく仕上げているのでは?と個人的ではありますが思っております。
鈴木:なるほど。
礒本:そこで今日は心ざわつく春の夜、皆さんがおすすめしたい素敵な不穏な音楽をぜひ教えてください。
井上:わかる。桜味のアイスに塩が乗っているのが一番好き。
鈴木:あ、飯の話してるんだ?
礒本:見たことない。
井上:サーティーワンの桜味のアイスが期間限定で毎年出るんだけど、マジで美味しすぎて。その期間はそれしか食べない。
鈴木:塩バニラみたいなこと?
井上:そうそう。桜なんだけど塩味がちゃんと付いてて。めちゃくちゃ食べてほしい!
鈴木:生ハムメロンみたいなことかな?
井上:生ハムメロンみたいなこと!
礒本:スイカに塩みたいな感じ?
鈴木:わかんない。
礒本:どっちかと言ったら、こっちだろ(笑)!
鈴木:あはは(笑)
井上:酢豚にパイナップルとか。大好き。
礒本:塩バニラも急に受け入れられた感があるよね。
井上:そう?
礒本:最初は「何だこれは?」みたいな。
鈴木:塩キャラメル、塩バニラとか美味しいですよね
礒本:我々の音楽もそうなるんですかね?
鈴木:どんなところが不穏かというと、明瞭なコードとか完全に合っている5度3度のハモリとかを変に避けてるところがあって。それは楽曲が一色にならないようにというのがありまして。僕はアレンジ作る時にそういうところを考えてるんですけど、"これ、不協和音なのか?"みたいなちょっとドキッとするような仕掛けをしている意識は結構あって。皆さん、お気づきですか?
礒本:はい。普通に不協和音みたいなものをそのまま採用したり。
鈴木:そうね。全然ある。
礒本:リズムも流れるようで流れないみたいなところも意図的に作っていたりするから。
鈴木:僕はSonic Youth、The Velvet Undergroundとかが好きなので、そういう不協和音っぽいアプローチに慣れているんだけど、絶対音感の人が僕らの音楽を聴いて、気持ちいいのか?という不安は結構あって。
井上:全員が気持ちいい音楽なんてないからいいんじゃない?
礒本:そんな、元も子もない...。
鈴木:あはは(笑)。
礒本:これ聞いてくれている人の中でいらっしゃったら聞いてみたいけどね。
井上:絶対音感持ちで私たちのラジオを聞くほど好きでいてくれてる人ってこと?いなかったらウケるね(笑)。
礒本:いない(可能性)十分にあると思うけどね。
井上:今日のテーマ、"不穏な音楽"を紹介していきます。まずはギターの迅君からお願いします。
鈴木:先ほど言ったとおり、Sonic Youthとか音楽の専門知識がない人がバンドを始めるとなって、新しい表現が入ってくる時は楽典みたいなものに縛られず、新たな価値観が生まれていくと思うんですよ。僕が理論とかをちゃんと学んでいないこともあって、すごく励まされるというか。誰でも手に取っていい音楽を教えてくれたようなバンドがたくさんいるんです。不穏か、というと難しいところはあるんですけど、僕はThe Strokesというアメリカのバンドにすごく影響を受けていまして。今まで見向きもされなかったようなものに光を当てて、それをメインストリームにするような心情というか。そういったものをThe Strokesから感じるんだけど、今から紹介する曲はThe Strokesのボーカル、ブレーンのジュリアン・カサブランカスさんがやってるバンドで。よりマニアックなことをやっているというか。The Strokesは仕事で、俺はthe voidzですと。
井上:ソロはどういう立ち位置なの?
鈴木:ソロはソロでふざけてる。でも、the voidzの音楽を聴いて、バンドが好きなんだろうなって思った。
井上:ソロ、結構好き。
鈴木:ソロもいいですよね。ソロはバリバリ、シンセポップという感じなんですけど、the voidzは不協和音。めっちゃ長い曲とかあって、もう売れる気がない。
井上:ないよね。
鈴木:本当にない感じがミュージシャンとしてすごくリスペクトできるし、まさしく不穏な感じがあってこれを選ばせていただきました。比較的ポップな曲ですけどね。
鈴木:久々に聴いたけど、やっぱ不安になるな。
井上:でも、すごく気持ちいい不安だよね。
鈴木:本当?
井上:サイケ(な感じ)。雰囲気が「Amber blue」みたい。
鈴木:そうなんですよ。
井上:これを採用する感覚がやばいね。
鈴木:そう、ひん曲がってるよね。ひん曲がってるのに、1回メインストリームの頂点を取っちゃってるというジレンマが好きなんですよ。
井上:なるほど。そこが好きなんだ(笑)。
鈴木:そこが好き。
井上:それが不穏だわ。
鈴木:俺、こんな人気者じゃないはずなのに...と思いながら、ずっとトップを走ってると。
井上:かっこいいね。
鈴木:そういうジュリアンがすごい好きなんです。
井上:確かに今の曲めっちゃ良かった
鈴木:ぜひ聴いてください。これは比較的ポップ。この曲が一番ポップ。
井上:the voidzはポップじゃなさすぎて、私は結構諦めた。
鈴木:ファーストはもうほぼメタルみたいになってるんだけど、セカンドがすごく良いので。では続いて、礒本くん。"不穏で素敵な音楽"お願いします。
礒本:不穏な存在で好きなものはあるか?みたいなことも(台本に)書いてあったりして、アーティスト、映画、本とか色々探したんだけど、不穏と言ったら時期だなと思ったりもして。1970年代の空気感というか。
鈴木:なるほどね。
礒本:そういうところでピックアップしてみようと思って。
井上:え、生きてた?
礒本:もちろん生きてません。
鈴木:ウォルトディズニーみたいな?冷凍保存してみたいなこと(笑)?
井上:住んでたみたいな感じが出てたから。
礒本:僕はこの辺りの年代がすごく好きというか、興味の対象ではあって。アメリカに絞って考えると、黒人の公民権運動がひと段落したり。ベトナム戦争の真っ最中だったりとか、世界的な大事件が。転換期であったりだとか。
鈴木:暗い時代ではあるよね。
礒本:厭世ムードというか。そういうのもすごく充満してそうだなと。世を嫌うというか、ちょっと悲観的なムードも少なからずあるなとは思っていて。だからこそ出てくる楽観的な考え方、音楽。カウンターじゃないけど。サン・ラの宇宙信仰の話とか、ちょっとカルティックなものも出てきたり。悲喜こもごも感というか、その辺の空気感がすごく好きで。こういう年代の音楽をよく聴いてるんだけど、今回紹介するのがSly & the Family Stoneというバンド。白人黒人混合バンドなんてよく言われるんだけど、まさに当時の縮図のような。人種とかそういったところにすごく目が向いてた時代だと思うけど、そんな中でも、希望を捨てない歌やわざとか分からないけど楽観的な歌を歌っていたりだとか。もちろん悲観的なものもあるんだけど、Sly & the Family Stoneのそういう楽曲群がすごく好きなので、こういう曲を持ってきました。
鈴木:最高。最高です。
礒本:不穏だよね。
井上:不穏かも。
礒本:こういう時代に出すからこそ、感情が底から出てきてるというか。
井上:ボーカルの人の何かをすごく感じたわ。
礒本:ソウルっぽい感じ。音楽ジャンルの話をすると、多分ファンクとかR&Bなんだろうけど、ソウルっぽいやっぱりこの時代でしか感じられないものがあるというか。不穏だなとは思う。
鈴木:この曲をRed Hot Chili Peppersがカバーしてて、それで知ってたんですけど、俺の極論なんだけど、すべてのめっちゃ音楽好きな人はSly & the Family StoneかCurtis Mayfieldに帰ってくる。
井上:帰ってくるの?
鈴木:色々聴くけど、最終的にこれが一番いいなって戻ってくる。
礒本:実家みたいな感じ(笑)。
鈴木:Sly & the Family StoneかCurtis Mayfieldだと思っていて。
井上:確かに。よく聞くね。
鈴木:俺の持論。何回聴き返しても、いやここがいいなと変わっていく。理解できないというか、不穏というカオスが内包されてるけど、エネルギーの爆発ではなくて、内側にこもっている感じみたいなものが何回聴いてもいい秘訣なんじゃないかな。
礒本:俺よりうまく...。
鈴木:いやいや(笑)。俺の意見を言っただけですよ。
礒本:悔しいですけど(笑)。
井上:めっちゃかっこよかった。
礒本:ベースラインとかも引用しているアーティストさんがいて。
鈴木:このラインね。
礒本:ベースラインを聞いてみると、聞いたことある曲があると思います。いろんなアーティストにリスペクトされている曲だなと。
鈴木:実家だから。
礒本:ではラスト。ボーカルのかっちゃん。かっちゃんにとっての不穏で素敵な音楽教えてください。
井上:多分、不穏なものが基本好きすぎて。このテーマをもらった時に不穏じゃないものがあんまり好きじゃないことに気づいたんです。
鈴木:なるほどね。カラッとしてるものが好きじゃないってこと。
井上:人生でカラッとしすぎてるものを好んだことがあまりない気がして。小さい頃から不穏なもののほうがずっと見てきた感じがしてて。それこそ、好きな不穏な存在と(台本に)書いてあったので、今パッと思いついたのは中学生の時にめっちゃ不穏な物語しか読んでなくて。ホラーとか、ちょっとファンタジーでもめっちゃグロいとか、ミステリアスとか。そういうミステリー、サスペンス系とかを見すぎて、逆に大人になるにつれて、見なくなってきたというか。だから、当時(小さい頃)のものが多い。私にとって不穏なものって昭和の時代の今よりコンプライアンスとかがめちゃめちゃだった時代の漫画とか、昭和ギャグ漫画大全集みたいなものをめっちゃ読んでたのね。
礒本:それは不穏なんですか?
鈴木:ギャグなの?
井上:ギャグ漫画なのにめっちゃ不穏なの。昭和かどうか分からないけど、大槻ケンヂさんが書いてる小説とかもめっちゃ不穏だし。え、知ってる?『グミ・チョコレート・パイン』っていうめっちゃ有名な小説があるの。『ロッキン・ホース・バレリーナ』とか『ロコ!思うままに』とかすごくグロテスク、怪奇ワールドみたいな小説をいっぱい書いている時期があって、すごく読んでて。今思うと、あれ、めっちゃ不穏だったなみたいな。"世界の終末がやってきました"みたいな話ばっかり。
礒本:2000年に向かうにつれて。
井上:ノストラダムス的な。あの前後なのかな?私が小学生の時にはもうあったから、絶対そのあたりなんだけど、不穏ってそのイメージなんだよね。ちょっと昭和というか、今じゃない感じ。
礒本:アプローチとしては割と俺に近い。
井上:確かに。
礒本:世の中が明るさで満ち溢れてた反面のダークな闇の部分みたいな。
井上:まあ、今生きてる私たちのこの世界が一番不穏なのかもしれませんね。ということで。
礒本:ちょっと待って!お後、よろしくないです。
鈴木:タモリさん???『世にも奇妙な物語』。
礒本:あはは(笑)
井上:でも、実際そうだから。うちのおじいちゃんがよく言ってた。
鈴木:かもしれませんね、じゃないわ。
井上:お化けは全然怖くなくて、世の中で一番怖いものは人間だとずっと言ってたから。うちのおじいちゃんが。
鈴木:曲紹介しましょう。
井上:それでは聴いてください。坂本慎太郎で「スーパーカルト誕生」。
井上:私が3月に大学時代の先輩と一緒にディスプトピアランド。
礒本:なんて(笑)?
井上:『ディストピア・ランド』。
鈴木:ディスコ(笑)?
井上:『ディストピア・ランド』という展覧会に行って。まさに「スーパーカルト誕生」の世界観が全て詰まったみたいな。
礒本:すごいね。
井上:(展示会のテーマが)人類が一旦滅亡して、ヤギを信仰する教団みたいな。1つ目のヤギが生まれて、突然変異でそのヤギを神として祀ってる謎の教団が日本を乗っ取って...みたいな感じの世界観が作り上げられてて。めちゃくちゃ気持ち悪いけど、めっちゃあり得るなと。別の世界で全然こういうところがあるかもしれないという感じで見てて。その不穏な感じと坂本慎太郎の「スーパーカルト誕生」がめちゃくちゃ結びついてて。カルト的な不穏さ。
礒本:さっき、昭和と言ってたけど、昭和から平成の最初の頃ぐらいの空気感は会話してて感じたんですけど。
井上:ありますよね。坂本慎太郎さんは全体的にあえて昔の空気感を含ませているというか。全体的にレトロな感じがするから私たちにとっての昔の思い出みたいなものが不穏なものと同時にあるのかな?明るい過去ってあんまりなくない?
礒本:そうだね。手放しで明るいみたいなものがないよね。みんな、そこは見ないようにしてるけど、こういう人たちとか自分たちってここをすごく広げて、もうちょっと知ろうとしてるというか。そこにすごく興味がある人たちなのかな。
井上:坂本慎太郎さんのこのアルバム(『ナマで踊ろう』)を多分大学生の時に初めて聴いたのかな。私は日本語でこういう音楽をやっている人をあんまり知らなかった。多分、ゆらゆら帝国をしっかり聴く前に坂本慎太郎さんのソロの方を私は聴いてたんだよね。私が一番好きな坂本慎太郎さんのアルバム『物語のように』が出た時にリアルタイムでめちゃ聴いていたから、思い出深かったんですけど、その中に入っている曲たちよりこの曲の方がタイトル的にも音楽的にも不穏なのでこちらを選びました。
ということで、今日は"不穏で素敵な音楽"というテーマで3人それぞれ選曲しました。最後にもう1曲、Laura day romanceの楽曲からもテーマに沿って曲をかけたいなと思うんですが。
鈴木:不穏な楽曲、色々ありますけどね。"不穏で素敵な"だから不穏なだけではない方がいいなとは思ってて、その点、最新アルバム『合歓る - walls』の2曲目の「Sleeping pills|眠り薬」は綺麗だけど不穏というところをめざして僕は作っておりますので、その感じを含めて体感してもらえればと思います。
井上:では、ここでメンバーがそれぞれ最近気に入ってる曲を紹介するコーナーということで、今日は私、井上花月が選びたいと思います。さっき、迅君がこのラジオで言ってたThe StrokesのボーカルのジュリアンさんはThe Beatlesを通っていないことで有名ということなんですけれども。
鈴木:あはは(笑)ファンの間でしか有名じゃないよね?ファンの間でも有名じゃない。
井上:そうなんだ。全然The Beatlesを聴いていないらしくて、それがある意味個性になってるみたいな話を聞いたんだけど、確かにそれってそうだなと思ってて。私の周りでThe Beatlesを聴いていない人って本当いなくて。
鈴木:井上さん、すごいっすよ。本当に。
井上:私、本当に聴いてないの。
鈴木:本当に知らなすぎて。世のことを。
井上:あはは(笑)。
礒本:The Beatles?
鈴木:音楽史のことを知らなすぎて、毎回ド肝抜かれる。
井上:好き勝手に聴きすぎてきた。
礒本:まぁでも、それも1つね。
鈴木:やばかったのがFrank Oceanの曲で「ホテル・カリフォルニア」がサンプリングされてたんだけど、急に「演歌みたいだね」と言って。「ホテル・カリフォルニア」知らねえんだと、本当びっくりしちゃって。
礒本:時間という壁に守られて育ってきた。
鈴木:でも、それでこんなに歌ってるのは逆にすごいなと思って。
井上:お恥ずかしい。
鈴木:それは個性だなと。
井上:でも、音楽ファンの人がこのラジオ聞いたら、"こいつは見下していい存在"だと思っちゃうよ。
礒本:でも、間違っていることじゃないし。
鈴木:そう。知ってりゃいいってことでもないから。
井上:本当にみんなが知ってる基礎知識みたいなものが私の中に1つもなくて。The Beatlesもマジで1曲も分からないまま育った。親は好きだけど、私に聴かせてこなかったし。近年、迅君にあまりにもThe Beatles知らなさすぎて、"ちょっとアルバム聴け"と言われて。
礒本:嫌なムーブしてる(笑)。
鈴木:違う違う(笑)。すごく嫌なやつとして紹介されたけど。
井上:本当にそうじゃん。
鈴木:順ぐって一応聴いておいた方がいいんじゃない?みたいな。ベーシックで古いのでもいいのあるんだとか思うのにThe Beatlesは一番簡単だから。
礒本:一番共通の言語になりやすい。
井上:昔働いてた居酒屋をクビになったんだけど、その居酒屋でThe Beatlesが永遠に流れてたの。
鈴木:たまにあるよね。The Beatlesだけの店。
井上:そう。完全にそういう店だったの。それのせいでもうすごく苦手で。それもあって、大学生になってみんな聴いてると知ってからも全く聴いてなかった。でも、その迅君に言われて聴き始めて、最近もまあいいかなと思って聴いてなかったんだけど、つい最近「A Hard Day's Night」を聴いてみたら、急にめっちゃしっくりきたの。こんなことある!?
礒本:それはなんででしょう?
井上:なんでだろうね?
礒本:わかんないんだ。知りたい。
井上:別に昔の音像が嫌とかないのよ。それこそスライとかもお母さんがCDを持ってて、ずっと聴いてたし、全然好きなんだけど、The Beatlesだけは微妙だった。だけど、最近急に生活の中にスコーンと降りてきて。その中でも特にいいなと思った曲が何曲もあるけど、一番良かったのが「If I Fell」
という曲だったのでそちらを紹介します。
3月26日(水) オンエア楽曲
the voidz「lazyboy」sly thefamily stone「if you want me to stay」
坂本慎太郎「スーパーカルト誕生」
Laura day romance「sleeping pills」
The Beatles「If I Fell」
Laura day romance「subltle scent」
RELEASE INFORMATION

Laura day romance「heart」
2025年3月26日(水)
Format:Digital
Track:
1. heart
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
Laura day romance oneman live 2025 wonderwall

2025年4月26日(土)大阪城音楽堂
2025年4月29日(火)東京国際フォーラム ホールC
開場16:30 開演17:30
出演:Laura day romance
<チケット情報>
全席指定
前売り 一般 ¥5,800- / U-22割 ¥5,000-
※U-22割は2003年4月2日以後に生まれた方対象、枚数限定。
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Room "H"」
毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"203号室(毎週水曜日の26:00~26:55)"では、音楽番組「Room "H"」をオンエア。ユアネスの黒川侑司、Nolzy、 Laura day romanceが週替わりでMCを務め、本音で(Honestly)、真心を込めて(Hearty)、気楽に(Homey) 音楽愛を語る。彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC

黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年8月24日にシングル「ありえないよ。」を、同年11月30日にはシングル「Blur」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。2022年7月8日にはソロ第2弾シングルでギタリスト「こーじゅん」をフィーチャリングに迎えた「フライディ・チャイナタウン (Acoustic Cover)」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro

Nolzy
サウンドプロダクション・トラックメイキング・ソングライティングを自ら手掛けるシンガー、音楽クリエイター。
R&B、Neo Soul、Hip Hopを基調とした都会的なサウンドと、どこか懐かしい"平成J-POP"の匂いを感じるキャッチーなメロディにシニカルな歌詞を組み合わせた、時代や世代を超える新感覚のミクスチャー・ポップを生み出す。2023年12月リリースの『#それな』を皮切りに『匿名奇謀』、『キスミー』と、3作連続でドラマ・アニメのタイアップを担当。
さらに、2024年のライブ活動始動から「SAKAE SP-RING」「TOKYO CALLING」「MINAMI WHEEL」などサーキットやイベントに多数出演するなど、ライブハウスシーンでも注目を集めている。
オフィシャルサイト/ @atsukitaketomo / @atsukitaketomo

Laura day romance
国内外のミュージックラバーにファンを広げる日本のバンド。
鈴木迅が作り出す幅広い音楽性の楽曲と、井上花月の世界観のあるヴォーカル、
タイトさと柔軟さを兼ね備えたリズムを刻む礒本雄太のドラミング、
そしてそれらを表現するためのベストな形でジョインするサポートメンバー達。
2023年初頭には「関ジャム 完全燃 SHOW( テレビ朝日 )」 で川谷絵音氏が選ぶ 2023 年のマイベスト 10 曲の第三位に「sweet vertigo」が選出され、大きく注目を集め始めている。
2025年2月には、前後編を合わせて一つの作品となる3rdフルアルバムの前編にあたる、『合歓る - walls』(読み:ネムル ウォールズ)のリリース、4月には大阪城音楽堂と東京国際フォーラム ホールCでのライブも決定している。
オフィシャルサイト/ @lauradayromance / @lauradayromance