SENSA

2025.02.23

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!井戸健人・京英一・秀吉ほか全26作品 -2025.2.22-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!井戸健人・京英一・秀吉ほか全26作品 -2025.2.22-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:2月17日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全26作品の中から、まずはPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてです、D.W.ニコルズ

金子:D.W.ニコルズはキャリアのあるバンドなので、音楽好きのみなさんだったらご存知の方も結構いるのかなと思います。もともと2005年結成で、2009年にはメジャーデビューも経験。多方面で活躍していて、バンド名がC・W・ニコル公認というのも話題に...と言いつつ、今の若い人にはC・W・ニコルと言っても通じないのかな。

みさと:ピンとこない方も...悲しくなるからやめましょう(笑)。



金子:現在は2人編成で、2005年結成なので今年が20周年。今後はアルバムのリリースも控えていると。エバーグリーンという言葉が非常に似合う、メロディもアレンジも歌詞も非常にストレートでポップで、ルーツ的な質感も感じさせつつ、フレッシュさもいつまでも保ってる。やはりエバーグリーンな日本のポップスという感じがしますね。

みさと:生きていく中で大切にしたい言葉が並んでいるんですけど、決して説教臭いわけでもないし、聖人君子なわけでもなくて。"ハワイ行きたい"とか、"ガム踏みたくない"とか、そういう日常会話の中での本音が並んでいって、最後にはその中でもたった一つの一番大切なことにたどり着くという。ユーモアと共感度が高い、まさにD.W.ニコルズ節。今までのファンの方も嬉しい一曲じゃないでしょうか。続いて、桃蟹



金子:アルバムが完成しました。

みさと:おめでとうございます。

金子:ご本人のコメントによると、"このアルバムは私の過去のトラウマやそれと戦っている今の感情の動きを表現したもの。影も光も同じように受け入れることの大切さに気づき、このアルバムを作りました"と。実際に今回の曲も「影を祝って」という曲だったりして、"光と影"の影を否定するんじゃなくて、影も自分の一部として光と同じようにちゃんと愛してあげる、抱きしめてあげる、みたいな感覚を持っているのは今の時代の表現者だなと思います。それをこういうエレクトロニックな、多彩なトラックに乗せて表現するというのも今の世代だな、という感じがして、FRIENDSHIP.だと日向文さんとか、そういう人たちにも通じるような、非常に現代的な表現者だなと改めて感じられる作品だったかなと思います。

みさと:アルバムのタイトルが『Into my downpour』で直訳すると、"私の土砂降りの中へ"と訳すことができるんですけど、過去のトラウマや戦っている今の感情の動きという意味で、その土砂降りの中に落ちるわけじゃなくて、自分の意志で探しに、潜りに、つかみにいってる感じが音からも伺えるので、過去のトラウマ、闇に向かって辛いっていうようなサウンドスケープじゃないのが、すごく素敵だなと思って。厚武さんもおっしゃっていたように、そこから何か光を見出せるような、その過程の曲たちなんだなというのが、ちゃんとサウンドからも味わえる作品になってました。そんなPart-1からどうしましょう?

金子井戸健人さんの新曲を紹介しようと思います。



みさと:今回、井戸健人さんもアルバムです。待ってました。

金子:スーパーノアのフロントマンとしても活動しつつ、井戸健人名義では3枚目のアルバム。これまでにも楽曲を少しずつ紹介してきたんですけど、今回のアルバムは「無意識」がテーマになっていて、他の人に演奏してもらったものを編集して、曲にしているというところが面白い。

みさと:面白い。

金子:ちょっと前に井戸さんに取材をさせてもらってて、いろいろ話を聞いたんですけど、やっぱり面白くて。これから聴いてもらう「¿」は1曲目なんですけど、井戸さんが作ったもともとの原曲があって、それをまず演奏してもらって、その中からドラムだったら面白いリズムパターンだけ引っ張ってきて、また別のアレンジに作り変えたり、この曲はフルートが印象的だったりするんですけど、これも他の曲で吹いてもらったフルートで、そっちでは採用しなかったけど良かったから1曲目に持ってきたとか、そういう編集の面白さがすごくあって。でもその上で、自分が演奏してない分なのか、歌はこれまで以上に時間をかけて、楽器の温度感、曲の温度感みたいなものとしっかり寄り添っていて、そこはやはりシンガーソングライターならでは。無意識をテーマにしたんだけど、結局何をやっても自分からは逃れられなかった、みたいなことも言ってて、もちろん聴き手にとっても面白い作品なんだけど、作り手にとっても刺激を与えるような作品だなと思います。

みさと:自身の名義ではあるものの、プロデューサー目線で作られたコンセプチュアルな作品でもあるということなんですね。

金子:プロデューサー的な側面と、でもやっぱりシンガーソングライターでもあるっていう、両側面ありますね。

みさと:そうか。自分のルーツとなる、影響を受けているものってあるし、人間としても影響を受けている人だったりとか、事象とか事柄があるって考えると、全ての物事が他人事ではないっていうところに行き着くことを感じさせる作品の作り方だなと思う。ただ、彼の声で最終的に完成するというところが、クリエイターとしての立ち位置だったり、じゃあ、自分の声で何を届けたいのか、というところがきっと明確になっただろうなと想像させる、聴き応え抜群のアルバムになってます。



New Release Digest Part 2


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。一応、はじめましてさんです。Sound on the Table

金子:このユニットは星優太くんがまた新たに始めたプロジェクトということで。

みさと:名義数対決がまた。

金子Shimon Hoshinoさんとのね。星くんはWOZNIAKDALLJUB STEP CLUBSYCLES、そして今回Sound on the Table、と4つ目来ました。

みさと:着々と伸びてますね。



金子:でも、Shimonさんも伸びてますからね(笑)。今回は星くんとハシモトさんという、こちらはfree ride managementというバンドをやってる人だったりするんですけど、その2人の共同プロジェクトで、空間や風景を彩る音楽を毎週1曲制作し、YouTubeチャンネルにアップし続けていると。それを今回EP化して作品にしたもの。音楽的にも星くんのこれまでのプロジェクトとは違う、Lo-fiビート感のある楽曲なので、音楽的にもShimonさんとも共通点がある感じになっていて、作業用BGMにも使えるし、Lo-fi系のプレイリストとかに入って、世界で聴かれたりする可能性もある気がする。ここからどう発展していくのか気になりますね。

みさと:こういった楽曲ができることで、2人の楽曲作りの幅の広さを感じさせるし、また一つのプロジェクトになっていることで、これがどう展開していくのか。厚武さんがおっしゃるように、どこまでも世界に羽ばたいていきそうな感覚がありますよね。「sky」というタイトルの曲なんですけど、どこまでも続く青い空、みたいな。夜空じゃなくて、ちょっと明るさも孕んだようなサウンド感がすごく想像させられる一曲で、気持ちが良かったです。続いて、ニーハオ!!!!



金子:ニーハオ!!!!はEPのリリースですね。作品自体はひさしぶりのリリースですけど、近年は世界でも活躍していて、スペインのRosalíaのライブのSEで曲が使われたことが話題になったり、TURNSTILEの来日公演のオープニングアクトをやったり、今年3月には2度目のメキシコツアーも決まっていたりということで、本当に多方面で活躍していて。だからなのか、音楽的にもグローバルな色合いをますます強めている感じがして、特に「異議なし」はトラップっぽいニュアンスが入ってて、でもそこにニーハオ!!!!らしいハードコア感だったり、彼女たちを表す「チアパンク」という言葉がありますけど、その感じも入っていて、自分たちのサウンドをさらにグローバル仕様に更新したような楽曲だったなと思います。

みさと:ハードコアなトラップパンクでグローバル感あるのに、日本古来の祭りのリズムに吸い寄せられるっていう、知らないのに何か知ってる曲。ダークで攻めたサウンドなのに安心するメロという、ニーハオ!!!!マジックが散りばめられてる作品で、これはライブ楽しいでしょうね。そんなPart-2からどうしましょう?

金子京英一の新曲を紹介しようと思います。



みさと:ソロ名義になるので初めてになりますね。

金子:そうですね。雪国のボーカルの京英一くん、バンドの方では1月にEP『Lemuria』 を出してましたけど、今回はソロ名義での初アルバムで、全編クラシックギターの弾き語りなんですよね。バンド名義で発表してる曲も、ソロでアルバムの中に入ってたりとか、バンドとも連続性が感じられる作風になっていて。EP『Lemuria』には「Blue Train」という曲があって、アートワークが列車から外を見てる景色だったりしましたけど、AL『放心』には「車窓」っていう曲が入ってたり、やはり世界観的にも通じるものがあります。この前、雪国のEPのリリースパーティーがあって、それがすごくよかったので、ポッドキャストで喋ろうかなと思ってるんですけど、そこに君島大空くんが出てて、彼もいろんな音楽性を持ってるけど、クラシックギターでの弾き語りもする人なので、そういう影響も感じるし、FRIENDSHIP.でいうと、宗藤竜太くん、ゆうさりさんとか、今の弾き語りでやってる人たちのムードとも共振するものがあるなってすごく感じて。バンドと弾き語りと、2つアウトプットを持ってるというのも面白いですよね。

みさと:繋がってる部分はありつつも、アウトプット先でガラッと色を変えてきてくれるのが音楽家として幅の広さを見せてくれるなと思うし、すごくシンプルだからこそ、余計なものを入れないことへのハードルの高さも出てくると思うんですけど、そこには譲れないものがすごく込められてるのかなと見えてきました。そういう共感とか想像はできても、結局経験でしか語れないよな、と思うと、自分自身が見てきたもの、体験したものでしかこのアルバムはできなかったんじゃないかなと思わせてくれる作品だったと思います。

New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。はじめましてさん、SUGARLUNG

金子:彼らは2017年7月に活動を開始した、エザキマサタカとイシカワケンスケの2人組のロックバンド。過去にはロッキング・オンが主催するオーディションでグランプリを獲得していて、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」にも出ているし、「JAPAN JAM」にも出ている。"ロキノン系"みたいな言葉って、一時期より聞かなくなったような気もしますが、彼らは経歴的にも、ロキノンという言葉のド真ん中にいるような、音楽性にしても真っ直ぐなギターロックだなという印象があって。今回は2年ぶりの新曲ということで、またここから新しく始まっていく再始動の一曲であり、決意表明の一曲という感じもして、FRIENDSHIP.的にはMercy Woodpecker とか、あのあたりと一緒にやったらいいんじゃないかなっていう感じもしました。

みさと:また対バン組もうとして(笑)。エザキさんの声と歌唱力って、ロキノン系統が持つ勇者感というんですかね。この声で海を切り裂き、太陽を味方につけ、みたいな。

金子:あはは。

みさと:そういうアニメのタイアップとかにもハマるような。



金子:それこそアートワークが漫画っぽいイラストで、バンド漫画の主人公みたいな、そういう感じもすごくありましたね。

みさと:主人公の煌めきと、圧倒的な歌声という武器を持っていらっしゃる。音もかっこいいですしね。SUGARLUNG、チェックです。続いて、くゆるがアルバムです。



金子:くゆるは2022年に結成されたバンドで、5人組で、ギターが3本あるので、その音圧・音像が非常に印象的。「mope」はアルバムの1曲目で、いきなり8分くらいある非常に壮大かつドラマチックな曲。"くゆる"というバンド名からして、"揺らぎ"にも通じるようなシューゲイザー感があるんだけど、個人的にはMONOというバンドにより近い印象で。MONOは日本のポストロックの元祖的な位置づけのバンドで、世界的に活躍しているバンドなんですけど、ドラマチックな感じ、壮大な感じというのは、むしろMONOに近くて、MONOに女性ボーカルを加えたような感じ。これは海外でも受けると思うので、このアルバムがどう世界に響くか楽しみです。

みさと:きっと玄人好みなサウンドでもあるけれども、女性ボーカルとギターが3本というところでのオリジナリティもしっかりあって、冷静と情熱の間というか、その両極も味わえるような壮大な8分間から始まる、このアルバムをぜひ楽しんでください。そんなPart-3からどうしましょう?

金子秀吉の新曲を紹介しようと思います。



みさと:秀吉も今回アルバムです。

金子:今週はアルバム多いですね。秀吉は5年ぶり、5枚目のアルバムが完成しました。

みさと:おめでとうございます。

金子:おめでとうございます。いい曲がたくさん揃ってましたねえ。

みさと:本当。シングルカットもされていてね。

金子:そうですね。この5年間の中で単曲で発表してきた曲たちもいっぱい入っていて、20年で熟成されたバンドサウンドや歌がありつつ、秀吉がもともと持っているいい意味での青さというのも健在。そこが軸としてありながら、アルバムとしてはこの『あいてえです』というタイトルが象徴的で、このフレーズ自体は「きみにあいてえ」という曲の一節で、愛について考えた曲の結論として〈君に会いてえです〉にたどり着くという、"君"に対する"愛"が非常に詰まった作品。で、この「ひとつになりたい」に関しては、歌詞的にはたぶん不倫の曲で、アレンジ的にもレゲエで、ブルージーな側面も入ってたり、秀吉の大人サイドの曲ではあると思うんですね。ただ、不倫を肯定するわけじゃないけど、良くないことだと分かっていても、どうしても気持ちが惹かれてしまうことだったり、自分の中で踏ん切りがつかないみたいなことって、ある意味"青さ"というか、人間はいくつになっても、大人になっても、そういう"青さ"みたいなものを抱えて、それとどう向き合いながら生きていくのか、その上でそれぞれにとっての"君"をどう大事にするか、愛してあげるか。そういったことをいろんな曲から考えさせてくれるようなアルバムでもあるなと思いました。

みさと:きっと秀吉の"青さ"が青いままだけだったら、そういった曲も生まれなかったであろう、やっぱり20年経ったんだな、という側面も見えてくるし、リスナーさんも20年一緒にいると、それぞれ色々あるよね、という。20年あったら0歳が成人になるわけですから、みんな色々あった20年だったけど、みんなに会いたいし、みんなのことが大切なんだよ、という。ファンに向けても肯定してくれるような1曲1曲が収録されてるんじゃないかなと思うと、やっぱり愛すべきバンドですね。こちらからも何か愛を返したくなるような、そんなアルバムになってます。

番組の後半はKeishi Tanakaがゲストで登場!



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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