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2025.02.13
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【読むラジオ】MC: Laura day romance アルバム「合歓る - walls」特集前編!「Room H」-2025.2.12-
FM福岡で毎週水曜日 26:00~26:55にオンエアしている音楽番組「Room "H"」。ユアネスの黒川侑司、Nolzy、Laura day romanceが週替わりでMCを務め、彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。
今週のMCは、Laura day romanceが担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
井上:皆さん、こんばんは。ここからの1時間はRoom"H"、DJを務めます、Laura day romanceのボーカル、井上花月と
鈴木:ギターの鈴木迅と
礒本:ドラムの礒本雄太です。
井上:3週間ぶりにRoom"H" に帰ってきました。最近は、今からいっぱい話すアルバムについてのインタビューとか。
鈴木:いろいろやってますね。
井上:やってますね、受けまくって、ラジオも出まくって。
鈴木:撮影もたくさんありますしね。
井上:撮影しまくって。アルバム出るなぁ、という感じがしてますね。
鈴木:服が大変だよね?インタビューって。
井上:被る?
鈴木:何種類も撮影があるから、"こいつ、なんかいつもこれ?"というのをファンの人に悟られないようにやるっていう。そればっかりですね、僕は。悩んでます。
礒本:話すこともね。
鈴木:話すこともそう。まとまるのか、まとまらないのかみたいなのをずっとやってる感じ。今回、(この番組で)アルバムについて語る機会をいただけるということで。
井上:この番組を聞いた人が"これが今のとこ、一番の正解なんだな"って思ってくれるような感じでできたらいいよね。毎回、どこまで開示したらいいのかとか。"前回言ったこと、ちょっと違ったわ"とか色々あってちょっとずつ違うじゃん?
礒本:まあ、歯切れが悪いよね。
鈴木:歯切れ悪い。今回のインタビューはいつも反省してる。
礒本:下向いてるもん。
鈴木:悲しい顔で帰ってるもんね(笑)。
井上:"やりきれなかったわ"みたいな顔でいつも帰ってるよね(笑)。今回のRoom"H"でやりきった感じで。
鈴木:そうだね。清々しく帰れるように頑張りましょう。
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礒本:では、早速番組始めていこうと思いますが、我々、Laura day romance、2月5日に3枚目となるニューアルバム、『合歓る - walls』をリリースいたしました。よっ!!
鈴木:頑張った!!
礒本:ということで、今週と次回担当週の2週にわたって、アルバム全曲紹介のスペシャル企画でお届けしたいと思います。まずはアルバムの1曲目から。
鈴木:3枚目となるニューアルバムの前半。3枚目はもう1枚あるということなので。
礒本:後編が出た時も3枚目と言うんですか?
鈴木:そう。2枚で3枚目だから。2枚で3枚目?
井上:2枚で3rd?
礒本:ごちゃついてきたね。
鈴木:2枚で3rdアルバム。つまり、この前編・後編の一番最初の曲ということで、超大事だと思うんですけれども。まず、読み方ね。
井上:めっちゃ聞かれるね、インタビューでね。
鈴木:"これは...?"ってなるんですけど、 "ゴージュウージュウゴー"って日本語で読んでて。
礒本:それでいいんだね(笑)?これが正解になるんですよ。
鈴木:「5-10-15 I swallowed|夢みる手前」という曲ですけれども、物語の冒頭ということで。いろんな音、環境音とかも入っておりまして。"副都心線"という歌い出しなんですけれども、実際、副都心線の駅に行って録音してね。すごく面白い、フィールドレコーディングの曲になっております。音とかも今までにないし、歌も今までにないし、ビートの感じも今までにないという。"次のフェーズだぞ"というのを高らかに告げる曲。今まで、1stアルバムの「季刊フィルム」もそうだし、2ndアルバムの1曲目「花束を編む | making a bouquet」もそうなんだけども、すごくしっとりアコギで始めて、一番自信のある曲を持ってくるっていう。
井上:そうなの?
鈴木:"小品だけど、一番クオリティ高いんじゃない?という曲を持ってくる"という俺のジンクスがあったんだけど、静かに始めたくないっていうのが一番あって。びっくりさせたい。
礒本:そうだよね。一番自信ある曲、今まで全部ドラムないもんね。
鈴木:いやいや。
礒本:ドラムないっすよ。
鈴木:いや、なんか、え?大丈夫これ(笑)?
礒本:ちょっと拗ねてますけど(笑)。
鈴木:緊迫感(笑)。
礒本:3枚目は違うんですね?
鈴木:叩けたってわけだ。
礒本:今回1曲目叩けた、嬉しい、嬉しい。
鈴木:(笑)。世界観にグッと引き込む必要があるなということで、すごく音が鳴ってて。一旦、聴いてみてもらおうかな。
井上:「5-10-15 I swallowed|夢みる手前」
井上:改めまして、ニューアルバム『合歓る - walls』リリースおめでとう!私たち!
礒本:おめでとう!私たち!
鈴木:おめでとう、俺たち!
井上:かなり、この曲いいよね。
鈴木:今、(改めて)聴いてよかったね。
井上:全曲好きなんだけど、私もしかしたら一番かもしれない、この曲が。
鈴木:いや、わかるよ、すごく。なんていうんだろうね、いいよね。
井上:次のフェーズ感。
礒本:今日、5曲紹介しますけど。
井上:これ一番好きかも。
礒本:ちなみに、冒頭で井上氏が歌っている曲は?
鈴木:これは「5-10-15-20 (25-30 Years of Love)」
井上:The Presidentsの。
鈴木:The Presidentsの曲なんですよ。
礒本:どんな曲なんですか?
井上:一生ハッピーみたいな曲だよね。
鈴木:あれみたいな感じ。ウルフルズの。
井上:「バンザイ〜好きでよかった〜」みたいな。
礒本:ハッピーだね。あれね(笑)。
鈴木:"死ぬまでハッピーですよ"みたいな曲を歌っているっていう。The Presidentsというグループの曲なんですけど、それが2曲目にも出てきたりして。
礒本:なんで歌ってるか、というのが分かってくる?
鈴木:そうですね。物語の導入でどういう人物なのか、という。そういうところも想像していただいて。
鈴木:今回のアルバム、前編ということで長いですよね。もともと、僕らはアルバムを割とコンパクトに今までは作ってきてて。10曲入りとか多いかな。
礒本:そうだね。
鈴木:今作も10曲入りなんですけど。1つのテーマでいろいろな曲を書いていって、短編集的と言われることが多いミュージシャンであるんですね、僕らは。だけど、2ndアルバムを作り終えてから、僕の読書スキルがぶち上がったこともあって。長編をすごく読めるようになったんですよ。『カラマーゾフの兄弟』を読み切って。
礒本:そんなものから行く?(笑)
鈴木:それを読み切ったら、読めないもんないと思って。あれって上・中・下巻あって。それを読み終わって、"これぐらい長くないと、分かんないや"ということがいっぱいあったんですよ。それでちょっと考え方を改めまして。長編、長いアルバムを作りたい、というので、このご時勢に。ということで、前編になりました。
井上:というか、本当は20曲作る予定だったんだよね。
鈴木:そう。もともと1枚20曲にしようと思ったんだけど、『カラマーゾフの兄弟』でさえ3つに分けてるんで。僕は2つに分けようという気持ちになりまして。
礒本:(笑)。
鈴木:制作期間は結構長かった。意外にコンパクトなのか?そんなにかかった感じしないね。一生懸命すぎてね。
井上:そうだね。でも全体的に迅君は病んでたね。
鈴木:僕はいつも制作期間すごく病んでるので。嫌な目をしてるよね。
礒本:期間としては前作の『Sweet.ep』の方が長くは感じてたから。
鈴木:確かにな。
礒本:3rdアルバムの制作は期間としては短く感じたかもしれん。
鈴木:久々にアルバム作って、アルバムの難易度は3曲入りのEPと全然違うなと思って。
井上:めっちゃ難しいでしょ。
鈴木:集中力をキープしなきゃいけないし、流れもスムーズにしなきゃいけないし、というのですごく悩んで。いやー、大変でしたね。。。
礒本:そんな中にツアーとか制作以外もいっぱいあるから。
鈴木:そう。ツアーとかもあって。普通に頭バラバラだったね。
井上:タイトルは?
鈴木:『合歓る - walls』というタイトルになっておりますけれども。
井上:副題で"walls"だよね。
鈴木:後編は別の副題がつくんですけれども、後編も『合歓る - 〇〇』という感じなので、お楽しみにしていただければ。読みにくい漢字と思うんですけれど、"眠る"、"睡眠"というのは俺の中では分けられないものの象徴なんですよ。夢の話とかみんなするけど、同じ夢を見れるわけないじゃん?
礒本:絶対ない。
鈴木:どこまでも個人的な営みだし、それこそ死ぬこととかもそうだと思う。結局どれだけ家族に囲まれても、死んでいく時は一人っていう。ごめん。急にヘビーな感じになってる?
井上:いや。
鈴木:そんなことないですか?すいません(笑)。その感じが自分の中ではあって。"合歓"っていう字は歓び合うっていう字を書くんですよね。
井上:"がっかんる"。
鈴木:"がっかんる"なんですけど(笑)、これは分かち合うイメージの当て字だと思っていて。このアンビバレントな同じ発音なのに別の意味を持ってる、この膨らみのあるタイトルをつけるということにすごく意味を感じて、『合歓る』というタイトルにしました。もともとは俺、『A Day in the Life of Dream Girl』というタイトルにしようとしてたの。
井上:知ってる。そのノートが転がってるの見た。
礒本:それが急に『合歓る』に。
鈴木:『合歓る』だなと思って(笑)。長いやと思って。
礒本:意外と"合歓の木"とか"合歓の花"自体の認知度が高いというか。
鈴木:意外に知られてるよね?
井上:合歓の木の"合歓"の部分は何故その漢字がついてるのか知ってる?
鈴木:知らない。
井上:それ知りたくない?
礒本:あ、知ってるわけじゃないの?
井上:うん。
鈴木:知らないね、確かに。
井上:気になった。それを知れたら。
鈴木:より深くなりそう。
井上:そうそう。
鈴木:実はグロテスクな意味があったとしても、無限に広がっていくタイトルだなというのは思っていて。ピッタリだなと思ってこのタイトルにしました。でも、1曲目がすごく良くて僕は嬉しいです。
井上:そうですね。
礒本:1曲目の最後にちらっと英単語が聞こえたよね。
鈴木:そうなんですよ。2曲目のタイトルを言って、2曲目に行くわけですけれども、タイトルは。
井上:「Sleeping pills|眠り薬」
井上:「Sleeping pills|眠り薬」でした。
鈴木:いい曲だなぁ、これ。
井上・礒本:いい曲。
井上:1曲目からの続きで、かなり効いてる曲だね。
礒本:The Presidents出てきたじゃないですか。
井上:意味を知ってると、より染みますね。
礒本:"この曲が言うようにはいかなかったが"。
鈴木:失意なんですよね。結果的にすれ違ってるところから、この物語が始まるアルバムでして。「Sleeping pills|眠り薬」はこのすれ違いから始まる冒険の冒頭にあるようなというか。スタートのきっかけが睡眠薬、眠り薬ということで"I swallowed"、"飲み込む"という単語なんですけど、 "I swallowed Sleeping pills"というように1曲目からタイトルが続くように作ってます。1曲目が現実世界だとしたら、この曲はサイケデリックなところに行くまで、その冒険が始まるまでの中間の曲。
礒本:境界がない。
井上:夢に向かって行く途中。
鈴木:夢に向かっていく途中の酩酊感みたいなのを自分的には表現していて。この侵食してくる感じ。楽器がボーカルの最初のスタートをワーって取り囲む感じをシンべとかでっかいビートのパターンとかで演出しつつ、というような感じで作っていきました。
井上:かなり映画的だね。
鈴木:この曲作った時にいい曲だなぁって、思って。
井上:めっちゃいい曲。
鈴木:ボーカルのラインが結構前後するじゃない、高さ。
井上:難しい。これ。
鈴木:(ボーカルのメロディーラインを)どう成立させるか。物語の中でも自分のいろんな声が鳴っているような感じ。高い声、低い声みたいなのが交差する感じみたいなのをアレンジで出したいなと思って。だから、サビとかで高いラインが急にバンッと乗ってきたりするのもサイケデリック感の演出なんですよね、自分の中では。この曲はビートパターンが結構特殊じゃないですか。
礒本:特殊だね。
鈴木:MPC(ドラムマシーン)という僕が「Young life」で叩いてるやつ。
井上:ライブでね。
鈴木:ピロピロいうやつ。
礒本:高いおもちゃみたいなやつね(笑)。
鈴木:そう。高いおもちゃ。本当にランダムにビートを叩き続けて、意味のわからないハットのパターンを作る、という恐ろしい作り方をしてて。気持ちの整理がついてない感じ、ガチャガチャしてる感じが本当にぴったりハマって。これはすごくいいなと思っております。
井上:テーマというか、なんとなく迅君の中で描いてるものみたいなのは、それが正解じゃなくてもいいけど、ここで言っといた方がいいんじゃない?
鈴木:そうだね。そもそも、受け入れられる感情とか受け入れられない感情って仲の良さ関係なくあるなって思っているんです。この3人の中でもあると思うし。人と人との間の中で、社会的な規範だったり、カテゴライズだったりっていうのが、その人が伸び伸び生きるのを妨げていたり。伸び伸び生きてるつもりでも規範によって自分の行動を制限してるみたいな。
礒本:無意識に?
鈴木:そうそう。そういうところに妨げられる恋愛の物語でもあるし、それゆえのズレみたいなものの物語であるし。そこの周りに立ち上がるアルバムなんですよ、大枠を言うと。失意の中でその人は自分の感情を伝えたい人との間柄を回想して、今まで積み重ねてきた記憶だとか。それは現在になったり過去になったり、2人の視点をアルバムの中に入れてるので、行き来するんですけれども。
井上:"視点が2人なんだ?"って人結構いると思うから。
鈴木:そうなんです。物語としては"sleeping pillsを飲んだ人"と"飲んだ人に取り残された人"がいるわけですよ。これが一番曲を読み解く上で大事で。これはどっち視点の曲だ?っていうのが見えてくると、なんとなく物語の形が見えてくるかなと思います。
井上:1人の視点だと思ったら、結構難しくなってくるもんね。
鈴木:そうそう。
礒本:場面が変わりすぎちゃう。
鈴木:でも、音楽は音楽なんでね。
井上:そうなの。音楽は音楽だから、"どう聴いてください。"っていうのは違うと思うんだけど、より深く知りたい人がこのラジオを聞いてくれてる気がするから、一旦説明した方がいいかなと思って。
鈴木:確かに。主人公の冒険がしばらくは続きますので。主人公というか、2人いて、片方の。sleeping pillsを飲んだ側の人。
井上:だから、3曲目はあんなサイケな世界観なのか。
鈴木:そういうわけです。3曲目が「Amber blue|アンバーブルー」ね。これは既にリリースされてます。この曲はとにかく絶望してるんだけど、"絶望ハイ"みたいなのってあるよね。"もうダメだ..."みたいな。
井上・礒本:あるよね。
鈴木:こう言うと軽く聞こえちゃうけど、ポップソングとかロックンロールみたいなのって"もう、なんもねえや"というとこの強さというかカッコよさみたいなものがあると思っていて。そういう点で「Amber blue|アンバーブルー」はアルバムに投げやりなポップさみたいなのを差し込んでくれてる、という意味ですごい面白い曲だなと思っていて。一旦、聴いてもらいますかね。
井上:これはシングルカットして 11月くらいに出したのか。シングルカットしたらそれはそれで面白い曲出したな、というイメージになると思うけど、アルバムの中で聴くと、"なるほど、眠ってる世界の中のサイケの入り口みたいな、冒険の始まりみたいな曲なんだな"って。アルバムの全貌が見えた時に思って、すごく見え方が変わって面白かった。
鈴木:こういう物語調のアルバムというか、一つのストーリーを元にアルバムを作るのってシングルカットがめっちゃ難しい。魅力を伝え切れるかっていう。
礒本:違う文脈で聴かれちゃうとかあるからね。
鈴木:例えば、好きなミュージシャンの人でもアルバムの中でシングルが浮いてるみたいなのがすごく多い。それはそのシングルをちゃんとシングルらしく作ったということなんですけど。僕らも今まで2ndアルバムで「fever」とか「東京の夜」とかはあくまでボーナストラックで、要は本編とは違いますよ、という形で出してる。今回も既発の「透明」とか「リグレットベイビーズ」とかは一旦収録せず、このアルバムになってるということで。そういうのもありかなって、後輩のミュージシャンとかにも伝えていけたらなっていう。
井上:(笑)
礒本:作業量的には結局自分の首を締めてることが多い(笑)。
鈴木:しょうがない、これは。俺がやりたいから。
礒本:そこが一番肝、というか。
鈴木:自業自得です。
井上:でも、今回のシングルカットはかなりうまくいってるんじゃない?
鈴木:本当にそう。「Amber blue|アンバーブルー」も「渚で会いましょう|on the beach」もすごく受け入れてもらって。「Amber blue|アンバーブルー」はツアーとかでも結構やってて、ライブで映える、というのもあるし。すごく好きなんですよね。
井上:ギターの感じとか、めっちゃBlur味あるもんね。
鈴木:そうですね。90's オルタナティブの感じもありつつ。The Cardigansとかあそこら辺のちょっと洒落た感じも入ってて。僕、この曲、めっちゃ昔から(ストックとして)あるんですけど、ここで切ろうと思って切りました。MV最高ですよね。
礒本:誰かが言ってくれてたのが、壊れたおもちゃみたいな。
鈴木:サウンドが?
礒本:MVの世界観もサウンドもどっちもだと思うんだけど。
井上:ジャケもそのイメージで作った。
礒本:そのイメージというか表現いいなと思って。さっき言ったマイナス由来のハイじゃないけど、そういうところでの表現としてはすごくいいなと思って。
鈴木:子供時代、おもちゃとかぶっ壊すとテンション上がるもん。
礒本:そうなんだよ。
鈴木:そういうことじゃないか(笑)?
礒本:その面白さというかディストピア感、そこでしか得られない栄養じゃないけどさ。そういう二面性がある曲だなと思ってるので、タイトルにもそういうイメージもあったりするのかなとか思ったり。
鈴木:そうですね。アンバーが琥珀という意味で、ブルーは悲しい感情。アンバーとブルーではなくて "アンバーブルー"という、言っちゃえば新色なんですよ。"閉じ込められてる青"、"触れない青"ということで。もう一人の人に対して。
井上:もう一人の人に対して、ハイで悲しみを隠してる感じ?
鈴木:そうだね。触れないって感じ。sleeping pillでどっかイっちゃってるから、もう一人の人はこの悲しみに触れないし、触れないからこそ、こっち側の人はテンション高いっていう。言っちゃえば、分かり合えないものでもあるな、というふうに思います。
井上:さっきの壊れたおもちゃのくだりで言おうとしたんだけど、ジャケ写をおもちゃみたいな街と足にしたのは 今、まさに壊される瞬間みたいな。
鈴木:なるほど。
礒本:足で踏みつけようとしてたの?
井上:手とかでもよかったんだけど、足で踏みつぶした方がリアルやなって。
鈴木:すごくいいと思うわ。
井上:いいよね。あのジャケ。
鈴木:素晴らしい。いい仕事した。
井上:そうだね。いい仕事した瞬間でした(笑)。
鈴木:というわけで続いて、「深呼吸=time machine」
井上:これ、=を"は"って読むの?
鈴木:"深呼吸はタイムマシーン"と読みます。イコールではないです。
井上:ふりがな振った方がいいね。一回聴いてもらおう。
鈴木:そうですね。聴いてから話しましょう。
鈴木:短い曲なんですけれども、「Amber blue|アンバーブルー」でハイになっていた人間が...。
井上:深呼吸をすることがタイムマシーン的な要素を果たして、回想を始めるっていうことで合ってる?
鈴木:そういうことで合っております。
井上:合ってました。
鈴木:このアルバムは2ndアルバムと同じく英題と邦題で統一してるんですけど、この曲はインタールード的な意味が強いので、縦線を引いていないです。
礒本:これだけ違うから、インタビュアーさんとかにも"深呼吸はタイムマシーンではないですよね?"みたいな。
鈴木:いや、深呼吸はタイムマシンですって俺は思ってます。
礒本:そこは説明してもらわないと(笑)。
鈴木:走馬灯じゃないですけど、自分がもしかしたら酩酊状態とか昏睡状態に入った時に...。
井上:あんまりないけどね(笑)。
鈴木:ないですけど。思い浮かべることって各自あると思うんですよ。そのシーンがこの後、この人の目線では展開されていくということですね。
井上:この人というのは今ずっと話の中心にいる人?
鈴木:そう。最初の方の人。
井上:眠り薬飲んで、「Amber blue|アンバーブルー」で冒険した人ね。
鈴木:そうです。その人が見る世界、冒険の始まりになる曲だなというか。「Amber blue|アンバーブルー」で一通り落ち着いた後に、走馬灯のモードに入るような。
井上:で、その後、転校生になるんだ。
鈴木:はい。なんですけど、「深呼吸=time machine」はいろいろ面白いことしてて。まず、アコギをチェロみたいに鳴らす、バイオリンの弦みたいな。
礒本:俺、買ったけどさ、結局、渡してない。
鈴木:そうだ。バイオリンの弓を礒本君が買ってくれたんだけど、最終的にギター用のバイオリンの弓があるって。ちょっと小さいやつがあるということでそれ用に買いまして、練習したんですけど、もう難しくて。うんざりしましたね。
礒本:僕が買った弓が無駄金になっちゃってると(笑)。
井上:とりあえず、お金払ったら?
礒本:お金返してくれよ〜。
鈴木:何かに使ってくださいよ(笑)。シンバルをシュンってやるとかあるよ。
礒本:あるけど、どこで使うの?
井上:まあ、今後出てくる。
礒本:本当に?
鈴木:井上ちゃんの声はだいぶケロケロしてね、ケロってさせてまして。これは本人の自我とか年齢が歪んでいく感じを表そうと思ってこういう演出にしてます。なんかいいよね。claire rousayみたいな。
井上:claire rousay、ハマってたもんね。
鈴木:そう。一時期すごく好きで。本当にずっと聴いてたんですよ 。
井上:わかる。私もめっちゃ聴いてたから、この「深呼吸=time machine」来た時、"おっ"と思った。
鈴木:1個のコード進行を序盤はやってるんだけど、だんだんコード進行も歪んでいく感じ。
井上:最後、キモい感じの音像だもんね。
鈴木:そうそう。"何これ?"ってなっていく感じみたいなのを意識して。
井上:めっちゃいい曲。
鈴木:礒本君は出番なし!
礒本:僕はお休みです!でも、インタビューとかで舞台装置という表現をしてたじゃないですか。"あー、なるほど。"って。そういうことかと思って。
鈴木:スッキリした?
礒本:スッキリしました。だいたい、アルバムに1曲か2曲ぐらい僕がいない曲があるじゃないですか。
井上:それはあるよ〜。私だって歌わないときあるもん。
礒本:そこが不満なわけじゃないって(笑)!この曲、最終段階ぐらいで差し替わったんだよね。
鈴木:そうです。元々別の曲だったんですけど、替えました。元々の曲すごく好きだったっけ?
井上:うちの母が好きだったの。"この曲一番いい"って言ってた曲が「深呼吸=time machine」に置き換わって。最初、めっちゃブーブー言ってたの。"いや、あれなくなったの?信じられないんだけど!あの一番いい曲なくしたの?"みたいなの言ってたんだけど、結局、アルバムの音源を送ってあげたら、"4曲目は「深呼吸=time machine」で大正解だわ!"ってなって。理解してるやん!と思って。
鈴木:よかった。
礒本:ここでGOがなかったら...
鈴木:なんか引っかかるよな、俺らとしては(笑)。ギリギリまで迷ってアルバムを作っている僕らでございますけれども。5曲目は礒本くんが活躍するので。
礒本:大活躍ですよ。
鈴木:大活躍?それでは、曲振りお願いします。
井上:Laura day romanceで「転校生|a new life!」
井上:めっちゃいいよね。この曲。
鈴木:シングルカットに(するか)最後まで悩み続けたね。
礒本:これは何だっけ?4部構成みたいなさ。
鈴木:4部構成かな。
礒本:レコーディングの段階では 2部、3部みたいな呼び方をしてて。
鈴木:エンジニアさんもそうだし、サポートミュージシャンの方もそうなんですけど、1曲単位でお金って発生するんですね。
井上:へーっ。
鈴木:これはもう4部構成なんで。
礒本:4曲分?
鈴木:4曲分取りたいって2人とも言ってました(笑)。
礒本:実際ベース弾いてくれてるドラさんとか、楽譜が5枚くらい連結してて、"そんな楽譜見たことないっすよ"って。
鈴木:(笑)。覚えること多くて。本当にいろんなアイデアが詰まってる曲なんですけど。
井上:でも、歌はマジでスルスル覚えたこの曲。
鈴木:なんだろう、世界観が好きなんじゃない?僕の中では転校生という事件性、転校生が来ること、というヤバさ。
礒本:パワーバランスがひっくり返るかもしれないっていう。
井上:そんなこと考えたことないよ、私。
鈴木:パワーバランスというよりか大事件みたいなのを僕の中で表現していて。転校生って謎めいてる感じと、でもその人にしかわからない悲しさとか奥行きのある存在だと思っていて。転校生視点でも、環境が変わることって一大事というか。もともと『転校生』って映画があるんですよ。2人の体が入れ替わる邦画があるんです。それを観たのもあります。そういう裏話もありつつ、語り尽くせないですね。
井上:転校生って小学生の時とかだと特に狭い自分の世界にマジで新しい世界の人入ってきたみたいな感じになるじゃん。
鈴木:本当にそうなんですよ。
礒本:特に田舎の方とかだと、東京から引っ越してきましたなんて言われた日には。
井上:もう文化の違いを楽しみ尽くすよ。
礒本:こいつはやべえことが起きたぞみたいな(笑)。
鈴木:(笑)。俺の場合は髪色なんか違えぞってなって。その感じというか、いかに楽曲内で振り回されるかというのを書いていて。
井上:めっちゃ、できてる気がする。
鈴木:2人の出会い。主人公ともう一人の人の出会いがここにあったっていうのを僕としては映してるんですよ。
井上:なるほど。これが始まりなんだ。
鈴木:そうです。でも、わかるようでわからないストーリーって最初に1曲目で言ってますけど、わかるって 思ってるだけかもしれないし、その転校生のことを自分はわかってあげられるよって思ってるだけかもしれないし、というのを時系列で遡って、今に物語が戻ってくるような感じをこの曲では表現してます。
井上:1曲目が時系列的に今なんだとしたら、転校生の子に対してわかるようでわからないって思ってた気持ちが未だに続いてる、というのがめっちゃリアルだね。
鈴木:そうだね。
井上:まあ、そうだもんね。人のことなんてわかるわけないもんね。自分のことすらわからない。
鈴木:それはあなたのね。
井上:私はそう。
鈴木:あなたはね、という感じで。さて、Laura day romanceがFM FUKUOKAからお送りしてきたRoom"H"、そろそろお別れの時間となりましたが。
井上:楽しかったです。
礒本:今日一番話したんじゃないですか?
鈴木:一番喋ってる。
井上:今までの中で一番明晰なんじゃない?
鈴木:うん。ブレーキかけてない感じがありつつ。でも、他のインタビューも全部面白いので。
井上:全部違うからね。
鈴木:いや、全部違くないけど(笑)。言ってる部分、聞かれてる部分、重点的に聞かれる部分とかが違うって感じなんで。
礒本:インタビュアーさんによっても解釈が違ったりとか。
鈴木:そうそう。読み解き甲斐のあるアルバムになっていると思います。
井上:いろんな解釈が全部正解ですね。次回の担当週は『合歓る - walls』全曲紹介スペシャル第2弾ということで、6曲目から最後の10曲目「渚で会いましょう|on the beach」までたっぷりご紹介したいと思いますので、ぜひ次回も聞いてください。アルバム聴いてください!
鈴木:一番それが大事だね。
井上:そして、4月26日に大阪城音楽堂、4月29日に東京国際フォーラムホールCで行われる単独ライブ、席に座ってみんな観れるので、その日に向けてたくさん聴いてもらえたら、めっちゃ楽しいんじゃないかなと思ってます。
鈴木:アルバムは10曲やります!
井上:お!ここで宣言。
鈴木:頑張ります!
礒本:どうやってやるのか!
鈴木:わかりません。まだわかりません。頑張ります。
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Laura day romance「合歓る - walls」
リリース: 2025年2月5日(水)
Format:Digital
Label:PADDOCK
Track:
1.5-10-15 I swallowed|夢みる手前
2. Sleeping pills|眠り薬
3. Amber blue|アンバーブルー
4. 深呼吸=time machine
5. 転校生|a new life!
6. mr.ambulance driver|ミスターアンビュランスドライバー
7. subtle scent|微香性
8. プラットフォーム|platform
9. smoking room|喫煙室
10. 渚で会いましょう|on the beach
試聴はこちら
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2025年4月26日(土)大阪城音楽堂
2025年4月29日(火)東京国際フォーラム ホールC
開場16:30 開演17:30
出演:Laura day romance
<チケット情報>
全席指定
前売り 一般 ¥5,800- / U-22割 ¥5,000-
※U-22割は2003年4月2日以後に生まれた方対象、枚数限定。
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
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黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年8月24日にシングル「ありえないよ。」を、同年11月30日にはシングル「Blur」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。2022年7月8日にはソロ第2弾シングルでギタリスト「こーじゅん」をフィーチャリングに迎えた「フライディ・チャイナタウン (Acoustic Cover)」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro
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Nolzy
サウンドプロダクション・トラックメイキング・ソングライティングを自ら手掛けるシンガー、音楽クリエイター。
R&B、Neo Soul、Hip Hopを基調とした都会的なサウンドと、どこか懐かしい"平成J-POP"の匂いを感じるキャッチーなメロディにシニカルな歌詞を組み合わせた、時代や世代を超える新感覚のミクスチャー・ポップを生み出す。2023年12月リリースの『#それな』を皮切りに『匿名奇謀』、『キスミー』と、3作連続でドラマ・アニメのタイアップを担当。
さらに、2024年のライブ活動始動から「SAKAE SP-RING」「TOKYO CALLING」「MINAMI WHEEL」などサーキットやイベントに多数出演するなど、ライブハウスシーンでも注目を集めている。
オフィシャルサイト/ @atsukitaketomo / @atsukitaketomo
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Laura day romance
国内外のミュージックラバーにファンを広げる日本のバンド。
鈴木迅が作り出す幅広い音楽性の楽曲と、井上花月の世界観のあるヴォーカル、
タイトさと柔軟さを兼ね備えたリズムを刻む礒本雄太のドラミング、
そしてそれらを表現するためのベストな形でジョインするサポートメンバー達。
2023年初頭には「関ジャム 完全燃 SHOW( テレビ朝日 )」 で川谷絵音氏が選ぶ 2023 年のマイベスト 10 曲の第三位に「sweet vertigo」が選出され、大きく注目を集め始めている。
2025年2月には、前後編を合わせて一つの作品となる3rdフルアルバムの前編にあたる、『合歓る - walls』(読み:ネムル ウォールズ)のリリース、4月には大阪城音楽堂と東京国際フォーラム ホールCでのライブも決定している。
オフィシャルサイト/ @lauradayromance / @lauradayromance
今週のMCは、Laura day romanceが担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
井上:皆さん、こんばんは。ここからの1時間はRoom"H"、DJを務めます、Laura day romanceのボーカル、井上花月と
鈴木:ギターの鈴木迅と
礒本:ドラムの礒本雄太です。
井上:3週間ぶりにRoom"H" に帰ってきました。最近は、今からいっぱい話すアルバムについてのインタビューとか。
鈴木:いろいろやってますね。
井上:やってますね、受けまくって、ラジオも出まくって。
鈴木:撮影もたくさんありますしね。
井上:撮影しまくって。アルバム出るなぁ、という感じがしてますね。
鈴木:服が大変だよね?インタビューって。
井上:被る?
鈴木:何種類も撮影があるから、"こいつ、なんかいつもこれ?"というのをファンの人に悟られないようにやるっていう。そればっかりですね、僕は。悩んでます。
礒本:話すこともね。
鈴木:話すこともそう。まとまるのか、まとまらないのかみたいなのをずっとやってる感じ。今回、(この番組で)アルバムについて語る機会をいただけるということで。
井上:この番組を聞いた人が"これが今のとこ、一番の正解なんだな"って思ってくれるような感じでできたらいいよね。毎回、どこまで開示したらいいのかとか。"前回言ったこと、ちょっと違ったわ"とか色々あってちょっとずつ違うじゃん?
礒本:まあ、歯切れが悪いよね。
鈴木:歯切れ悪い。今回のインタビューはいつも反省してる。
礒本:下向いてるもん。
鈴木:悲しい顔で帰ってるもんね(笑)。
井上:"やりきれなかったわ"みたいな顔でいつも帰ってるよね(笑)。今回のRoom"H"でやりきった感じで。
鈴木:そうだね。清々しく帰れるように頑張りましょう。
レコーディングの様子
礒本:では、早速番組始めていこうと思いますが、我々、Laura day romance、2月5日に3枚目となるニューアルバム、『合歓る - walls』をリリースいたしました。よっ!!
鈴木:頑張った!!
礒本:ということで、今週と次回担当週の2週にわたって、アルバム全曲紹介のスペシャル企画でお届けしたいと思います。まずはアルバムの1曲目から。
鈴木:3枚目となるニューアルバムの前半。3枚目はもう1枚あるということなので。
礒本:後編が出た時も3枚目と言うんですか?
鈴木:そう。2枚で3枚目だから。2枚で3枚目?
井上:2枚で3rd?
礒本:ごちゃついてきたね。
鈴木:2枚で3rdアルバム。つまり、この前編・後編の一番最初の曲ということで、超大事だと思うんですけれども。まず、読み方ね。
井上:めっちゃ聞かれるね、インタビューでね。
鈴木:"これは...?"ってなるんですけど、 "ゴージュウージュウゴー"って日本語で読んでて。
礒本:それでいいんだね(笑)?これが正解になるんですよ。
鈴木:「5-10-15 I swallowed|夢みる手前」という曲ですけれども、物語の冒頭ということで。いろんな音、環境音とかも入っておりまして。"副都心線"という歌い出しなんですけれども、実際、副都心線の駅に行って録音してね。すごく面白い、フィールドレコーディングの曲になっております。音とかも今までにないし、歌も今までにないし、ビートの感じも今までにないという。"次のフェーズだぞ"というのを高らかに告げる曲。今まで、1stアルバムの「季刊フィルム」もそうだし、2ndアルバムの1曲目「花束を編む | making a bouquet」もそうなんだけども、すごくしっとりアコギで始めて、一番自信のある曲を持ってくるっていう。
井上:そうなの?
鈴木:"小品だけど、一番クオリティ高いんじゃない?という曲を持ってくる"という俺のジンクスがあったんだけど、静かに始めたくないっていうのが一番あって。びっくりさせたい。
礒本:そうだよね。一番自信ある曲、今まで全部ドラムないもんね。
鈴木:いやいや。
礒本:ドラムないっすよ。
鈴木:いや、なんか、え?大丈夫これ(笑)?
礒本:ちょっと拗ねてますけど(笑)。
鈴木:緊迫感(笑)。
礒本:3枚目は違うんですね?
鈴木:叩けたってわけだ。
礒本:今回1曲目叩けた、嬉しい、嬉しい。
鈴木:(笑)。世界観にグッと引き込む必要があるなということで、すごく音が鳴ってて。一旦、聴いてみてもらおうかな。
井上:「5-10-15 I swallowed|夢みる手前」
井上:改めまして、ニューアルバム『合歓る - walls』リリースおめでとう!私たち!
礒本:おめでとう!私たち!
鈴木:おめでとう、俺たち!
井上:かなり、この曲いいよね。
鈴木:今、(改めて)聴いてよかったね。
井上:全曲好きなんだけど、私もしかしたら一番かもしれない、この曲が。
鈴木:いや、わかるよ、すごく。なんていうんだろうね、いいよね。
井上:次のフェーズ感。
礒本:今日、5曲紹介しますけど。
井上:これ一番好きかも。
礒本:ちなみに、冒頭で井上氏が歌っている曲は?
鈴木:これは「5-10-15-20 (25-30 Years of Love)」
井上:The Presidentsの。
鈴木:The Presidentsの曲なんですよ。
礒本:どんな曲なんですか?
井上:一生ハッピーみたいな曲だよね。
鈴木:あれみたいな感じ。ウルフルズの。
井上:「バンザイ〜好きでよかった〜」みたいな。
礒本:ハッピーだね。あれね(笑)。
鈴木:"死ぬまでハッピーですよ"みたいな曲を歌っているっていう。The Presidentsというグループの曲なんですけど、それが2曲目にも出てきたりして。
礒本:なんで歌ってるか、というのが分かってくる?
鈴木:そうですね。物語の導入でどういう人物なのか、という。そういうところも想像していただいて。
鈴木:今回のアルバム、前編ということで長いですよね。もともと、僕らはアルバムを割とコンパクトに今までは作ってきてて。10曲入りとか多いかな。
礒本:そうだね。
鈴木:今作も10曲入りなんですけど。1つのテーマでいろいろな曲を書いていって、短編集的と言われることが多いミュージシャンであるんですね、僕らは。だけど、2ndアルバムを作り終えてから、僕の読書スキルがぶち上がったこともあって。長編をすごく読めるようになったんですよ。『カラマーゾフの兄弟』を読み切って。
礒本:そんなものから行く?(笑)
鈴木:それを読み切ったら、読めないもんないと思って。あれって上・中・下巻あって。それを読み終わって、"これぐらい長くないと、分かんないや"ということがいっぱいあったんですよ。それでちょっと考え方を改めまして。長編、長いアルバムを作りたい、というので、このご時勢に。ということで、前編になりました。
井上:というか、本当は20曲作る予定だったんだよね。
鈴木:そう。もともと1枚20曲にしようと思ったんだけど、『カラマーゾフの兄弟』でさえ3つに分けてるんで。僕は2つに分けようという気持ちになりまして。
礒本:(笑)。
鈴木:制作期間は結構長かった。意外にコンパクトなのか?そんなにかかった感じしないね。一生懸命すぎてね。
井上:そうだね。でも全体的に迅君は病んでたね。
鈴木:僕はいつも制作期間すごく病んでるので。嫌な目をしてるよね。
礒本:期間としては前作の『Sweet.ep』の方が長くは感じてたから。
鈴木:確かにな。
礒本:3rdアルバムの制作は期間としては短く感じたかもしれん。
鈴木:久々にアルバム作って、アルバムの難易度は3曲入りのEPと全然違うなと思って。
井上:めっちゃ難しいでしょ。
鈴木:集中力をキープしなきゃいけないし、流れもスムーズにしなきゃいけないし、というのですごく悩んで。いやー、大変でしたね。。。
礒本:そんな中にツアーとか制作以外もいっぱいあるから。
鈴木:そう。ツアーとかもあって。普通に頭バラバラだったね。
井上:タイトルは?
鈴木:『合歓る - walls』というタイトルになっておりますけれども。
井上:副題で"walls"だよね。
鈴木:後編は別の副題がつくんですけれども、後編も『合歓る - 〇〇』という感じなので、お楽しみにしていただければ。読みにくい漢字と思うんですけれど、"眠る"、"睡眠"というのは俺の中では分けられないものの象徴なんですよ。夢の話とかみんなするけど、同じ夢を見れるわけないじゃん?
礒本:絶対ない。
鈴木:どこまでも個人的な営みだし、それこそ死ぬこととかもそうだと思う。結局どれだけ家族に囲まれても、死んでいく時は一人っていう。ごめん。急にヘビーな感じになってる?
井上:いや。
鈴木:そんなことないですか?すいません(笑)。その感じが自分の中ではあって。"合歓"っていう字は歓び合うっていう字を書くんですよね。
井上:"がっかんる"。
鈴木:"がっかんる"なんですけど(笑)、これは分かち合うイメージの当て字だと思っていて。このアンビバレントな同じ発音なのに別の意味を持ってる、この膨らみのあるタイトルをつけるということにすごく意味を感じて、『合歓る』というタイトルにしました。もともとは俺、『A Day in the Life of Dream Girl』というタイトルにしようとしてたの。
井上:知ってる。そのノートが転がってるの見た。
礒本:それが急に『合歓る』に。
鈴木:『合歓る』だなと思って(笑)。長いやと思って。
礒本:意外と"合歓の木"とか"合歓の花"自体の認知度が高いというか。
鈴木:意外に知られてるよね?
井上:合歓の木の"合歓"の部分は何故その漢字がついてるのか知ってる?
鈴木:知らない。
井上:それ知りたくない?
礒本:あ、知ってるわけじゃないの?
井上:うん。
鈴木:知らないね、確かに。
井上:気になった。それを知れたら。
鈴木:より深くなりそう。
井上:そうそう。
鈴木:実はグロテスクな意味があったとしても、無限に広がっていくタイトルだなというのは思っていて。ピッタリだなと思ってこのタイトルにしました。でも、1曲目がすごく良くて僕は嬉しいです。
井上:そうですね。
礒本:1曲目の最後にちらっと英単語が聞こえたよね。
鈴木:そうなんですよ。2曲目のタイトルを言って、2曲目に行くわけですけれども、タイトルは。
井上:「Sleeping pills|眠り薬」
井上:「Sleeping pills|眠り薬」でした。
鈴木:いい曲だなぁ、これ。
井上・礒本:いい曲。
井上:1曲目からの続きで、かなり効いてる曲だね。
礒本:The Presidents出てきたじゃないですか。
井上:意味を知ってると、より染みますね。
礒本:"この曲が言うようにはいかなかったが"。
鈴木:失意なんですよね。結果的にすれ違ってるところから、この物語が始まるアルバムでして。「Sleeping pills|眠り薬」はこのすれ違いから始まる冒険の冒頭にあるようなというか。スタートのきっかけが睡眠薬、眠り薬ということで"I swallowed"、"飲み込む"という単語なんですけど、 "I swallowed Sleeping pills"というように1曲目からタイトルが続くように作ってます。1曲目が現実世界だとしたら、この曲はサイケデリックなところに行くまで、その冒険が始まるまでの中間の曲。
礒本:境界がない。
井上:夢に向かって行く途中。
鈴木:夢に向かっていく途中の酩酊感みたいなのを自分的には表現していて。この侵食してくる感じ。楽器がボーカルの最初のスタートをワーって取り囲む感じをシンべとかでっかいビートのパターンとかで演出しつつ、というような感じで作っていきました。
井上:かなり映画的だね。
鈴木:この曲作った時にいい曲だなぁって、思って。
井上:めっちゃいい曲。
鈴木:ボーカルのラインが結構前後するじゃない、高さ。
井上:難しい。これ。
鈴木:(ボーカルのメロディーラインを)どう成立させるか。物語の中でも自分のいろんな声が鳴っているような感じ。高い声、低い声みたいなのが交差する感じみたいなのをアレンジで出したいなと思って。だから、サビとかで高いラインが急にバンッと乗ってきたりするのもサイケデリック感の演出なんですよね、自分の中では。この曲はビートパターンが結構特殊じゃないですか。
礒本:特殊だね。
鈴木:MPC(ドラムマシーン)という僕が「Young life」で叩いてるやつ。
井上:ライブでね。
鈴木:ピロピロいうやつ。
礒本:高いおもちゃみたいなやつね(笑)。
鈴木:そう。高いおもちゃ。本当にランダムにビートを叩き続けて、意味のわからないハットのパターンを作る、という恐ろしい作り方をしてて。気持ちの整理がついてない感じ、ガチャガチャしてる感じが本当にぴったりハマって。これはすごくいいなと思っております。
井上:テーマというか、なんとなく迅君の中で描いてるものみたいなのは、それが正解じゃなくてもいいけど、ここで言っといた方がいいんじゃない?
鈴木:そうだね。そもそも、受け入れられる感情とか受け入れられない感情って仲の良さ関係なくあるなって思っているんです。この3人の中でもあると思うし。人と人との間の中で、社会的な規範だったり、カテゴライズだったりっていうのが、その人が伸び伸び生きるのを妨げていたり。伸び伸び生きてるつもりでも規範によって自分の行動を制限してるみたいな。
礒本:無意識に?
鈴木:そうそう。そういうところに妨げられる恋愛の物語でもあるし、それゆえのズレみたいなものの物語であるし。そこの周りに立ち上がるアルバムなんですよ、大枠を言うと。失意の中でその人は自分の感情を伝えたい人との間柄を回想して、今まで積み重ねてきた記憶だとか。それは現在になったり過去になったり、2人の視点をアルバムの中に入れてるので、行き来するんですけれども。
井上:"視点が2人なんだ?"って人結構いると思うから。
鈴木:そうなんです。物語としては"sleeping pillsを飲んだ人"と"飲んだ人に取り残された人"がいるわけですよ。これが一番曲を読み解く上で大事で。これはどっち視点の曲だ?っていうのが見えてくると、なんとなく物語の形が見えてくるかなと思います。
井上:1人の視点だと思ったら、結構難しくなってくるもんね。
鈴木:そうそう。
礒本:場面が変わりすぎちゃう。
鈴木:でも、音楽は音楽なんでね。
井上:そうなの。音楽は音楽だから、"どう聴いてください。"っていうのは違うと思うんだけど、より深く知りたい人がこのラジオを聞いてくれてる気がするから、一旦説明した方がいいかなと思って。
鈴木:確かに。主人公の冒険がしばらくは続きますので。主人公というか、2人いて、片方の。sleeping pillsを飲んだ側の人。
井上:だから、3曲目はあんなサイケな世界観なのか。
鈴木:そういうわけです。3曲目が「Amber blue|アンバーブルー」ね。これは既にリリースされてます。この曲はとにかく絶望してるんだけど、"絶望ハイ"みたいなのってあるよね。"もうダメだ..."みたいな。
井上・礒本:あるよね。
鈴木:こう言うと軽く聞こえちゃうけど、ポップソングとかロックンロールみたいなのって"もう、なんもねえや"というとこの強さというかカッコよさみたいなものがあると思っていて。そういう点で「Amber blue|アンバーブルー」はアルバムに投げやりなポップさみたいなのを差し込んでくれてる、という意味ですごい面白い曲だなと思っていて。一旦、聴いてもらいますかね。
井上:これはシングルカットして 11月くらいに出したのか。シングルカットしたらそれはそれで面白い曲出したな、というイメージになると思うけど、アルバムの中で聴くと、"なるほど、眠ってる世界の中のサイケの入り口みたいな、冒険の始まりみたいな曲なんだな"って。アルバムの全貌が見えた時に思って、すごく見え方が変わって面白かった。
鈴木:こういう物語調のアルバムというか、一つのストーリーを元にアルバムを作るのってシングルカットがめっちゃ難しい。魅力を伝え切れるかっていう。
礒本:違う文脈で聴かれちゃうとかあるからね。
鈴木:例えば、好きなミュージシャンの人でもアルバムの中でシングルが浮いてるみたいなのがすごく多い。それはそのシングルをちゃんとシングルらしく作ったということなんですけど。僕らも今まで2ndアルバムで「fever」とか「東京の夜」とかはあくまでボーナストラックで、要は本編とは違いますよ、という形で出してる。今回も既発の「透明」とか「リグレットベイビーズ」とかは一旦収録せず、このアルバムになってるということで。そういうのもありかなって、後輩のミュージシャンとかにも伝えていけたらなっていう。
井上:(笑)
礒本:作業量的には結局自分の首を締めてることが多い(笑)。
鈴木:しょうがない、これは。俺がやりたいから。
礒本:そこが一番肝、というか。
鈴木:自業自得です。
井上:でも、今回のシングルカットはかなりうまくいってるんじゃない?
鈴木:本当にそう。「Amber blue|アンバーブルー」も「渚で会いましょう|on the beach」もすごく受け入れてもらって。「Amber blue|アンバーブルー」はツアーとかでも結構やってて、ライブで映える、というのもあるし。すごく好きなんですよね。
井上:ギターの感じとか、めっちゃBlur味あるもんね。
鈴木:そうですね。90's オルタナティブの感じもありつつ。The Cardigansとかあそこら辺のちょっと洒落た感じも入ってて。僕、この曲、めっちゃ昔から(ストックとして)あるんですけど、ここで切ろうと思って切りました。MV最高ですよね。
礒本:誰かが言ってくれてたのが、壊れたおもちゃみたいな。
鈴木:サウンドが?
礒本:MVの世界観もサウンドもどっちもだと思うんだけど。
井上:ジャケもそのイメージで作った。
礒本:そのイメージというか表現いいなと思って。さっき言ったマイナス由来のハイじゃないけど、そういうところでの表現としてはすごくいいなと思って。
鈴木:子供時代、おもちゃとかぶっ壊すとテンション上がるもん。
礒本:そうなんだよ。
鈴木:そういうことじゃないか(笑)?
礒本:その面白さというかディストピア感、そこでしか得られない栄養じゃないけどさ。そういう二面性がある曲だなと思ってるので、タイトルにもそういうイメージもあったりするのかなとか思ったり。
鈴木:そうですね。アンバーが琥珀という意味で、ブルーは悲しい感情。アンバーとブルーではなくて "アンバーブルー"という、言っちゃえば新色なんですよ。"閉じ込められてる青"、"触れない青"ということで。もう一人の人に対して。
井上:もう一人の人に対して、ハイで悲しみを隠してる感じ?
鈴木:そうだね。触れないって感じ。sleeping pillでどっかイっちゃってるから、もう一人の人はこの悲しみに触れないし、触れないからこそ、こっち側の人はテンション高いっていう。言っちゃえば、分かり合えないものでもあるな、というふうに思います。
井上:さっきの壊れたおもちゃのくだりで言おうとしたんだけど、ジャケ写をおもちゃみたいな街と足にしたのは 今、まさに壊される瞬間みたいな。
鈴木:なるほど。
礒本:足で踏みつけようとしてたの?
井上:手とかでもよかったんだけど、足で踏みつぶした方がリアルやなって。
鈴木:すごくいいと思うわ。
井上:いいよね。あのジャケ。
鈴木:素晴らしい。いい仕事した。
井上:そうだね。いい仕事した瞬間でした(笑)。
鈴木:というわけで続いて、「深呼吸=time machine」
井上:これ、=を"は"って読むの?
鈴木:"深呼吸はタイムマシーン"と読みます。イコールではないです。
井上:ふりがな振った方がいいね。一回聴いてもらおう。
鈴木:そうですね。聴いてから話しましょう。
鈴木:短い曲なんですけれども、「Amber blue|アンバーブルー」でハイになっていた人間が...。
井上:深呼吸をすることがタイムマシーン的な要素を果たして、回想を始めるっていうことで合ってる?
鈴木:そういうことで合っております。
井上:合ってました。
鈴木:このアルバムは2ndアルバムと同じく英題と邦題で統一してるんですけど、この曲はインタールード的な意味が強いので、縦線を引いていないです。
礒本:これだけ違うから、インタビュアーさんとかにも"深呼吸はタイムマシーンではないですよね?"みたいな。
鈴木:いや、深呼吸はタイムマシンですって俺は思ってます。
礒本:そこは説明してもらわないと(笑)。
鈴木:走馬灯じゃないですけど、自分がもしかしたら酩酊状態とか昏睡状態に入った時に...。
井上:あんまりないけどね(笑)。
鈴木:ないですけど。思い浮かべることって各自あると思うんですよ。そのシーンがこの後、この人の目線では展開されていくということですね。
井上:この人というのは今ずっと話の中心にいる人?
鈴木:そう。最初の方の人。
井上:眠り薬飲んで、「Amber blue|アンバーブルー」で冒険した人ね。
鈴木:そうです。その人が見る世界、冒険の始まりになる曲だなというか。「Amber blue|アンバーブルー」で一通り落ち着いた後に、走馬灯のモードに入るような。
井上:で、その後、転校生になるんだ。
鈴木:はい。なんですけど、「深呼吸=time machine」はいろいろ面白いことしてて。まず、アコギをチェロみたいに鳴らす、バイオリンの弦みたいな。
礒本:俺、買ったけどさ、結局、渡してない。
鈴木:そうだ。バイオリンの弓を礒本君が買ってくれたんだけど、最終的にギター用のバイオリンの弓があるって。ちょっと小さいやつがあるということでそれ用に買いまして、練習したんですけど、もう難しくて。うんざりしましたね。
礒本:僕が買った弓が無駄金になっちゃってると(笑)。
井上:とりあえず、お金払ったら?
礒本:お金返してくれよ〜。
鈴木:何かに使ってくださいよ(笑)。シンバルをシュンってやるとかあるよ。
礒本:あるけど、どこで使うの?
井上:まあ、今後出てくる。
礒本:本当に?
鈴木:井上ちゃんの声はだいぶケロケロしてね、ケロってさせてまして。これは本人の自我とか年齢が歪んでいく感じを表そうと思ってこういう演出にしてます。なんかいいよね。claire rousayみたいな。
井上:claire rousay、ハマってたもんね。
鈴木:そう。一時期すごく好きで。本当にずっと聴いてたんですよ 。
井上:わかる。私もめっちゃ聴いてたから、この「深呼吸=time machine」来た時、"おっ"と思った。
鈴木:1個のコード進行を序盤はやってるんだけど、だんだんコード進行も歪んでいく感じ。
井上:最後、キモい感じの音像だもんね。
鈴木:そうそう。"何これ?"ってなっていく感じみたいなのを意識して。
井上:めっちゃいい曲。
鈴木:礒本君は出番なし!
礒本:僕はお休みです!でも、インタビューとかで舞台装置という表現をしてたじゃないですか。"あー、なるほど。"って。そういうことかと思って。
鈴木:スッキリした?
礒本:スッキリしました。だいたい、アルバムに1曲か2曲ぐらい僕がいない曲があるじゃないですか。
井上:それはあるよ〜。私だって歌わないときあるもん。
礒本:そこが不満なわけじゃないって(笑)!この曲、最終段階ぐらいで差し替わったんだよね。
鈴木:そうです。元々別の曲だったんですけど、替えました。元々の曲すごく好きだったっけ?
井上:うちの母が好きだったの。"この曲一番いい"って言ってた曲が「深呼吸=time machine」に置き換わって。最初、めっちゃブーブー言ってたの。"いや、あれなくなったの?信じられないんだけど!あの一番いい曲なくしたの?"みたいなの言ってたんだけど、結局、アルバムの音源を送ってあげたら、"4曲目は「深呼吸=time machine」で大正解だわ!"ってなって。理解してるやん!と思って。
鈴木:よかった。
礒本:ここでGOがなかったら...
鈴木:なんか引っかかるよな、俺らとしては(笑)。ギリギリまで迷ってアルバムを作っている僕らでございますけれども。5曲目は礒本くんが活躍するので。
礒本:大活躍ですよ。
鈴木:大活躍?それでは、曲振りお願いします。
井上:Laura day romanceで「転校生|a new life!」
井上:めっちゃいいよね。この曲。
鈴木:シングルカットに(するか)最後まで悩み続けたね。
礒本:これは何だっけ?4部構成みたいなさ。
鈴木:4部構成かな。
礒本:レコーディングの段階では 2部、3部みたいな呼び方をしてて。
鈴木:エンジニアさんもそうだし、サポートミュージシャンの方もそうなんですけど、1曲単位でお金って発生するんですね。
井上:へーっ。
鈴木:これはもう4部構成なんで。
礒本:4曲分?
鈴木:4曲分取りたいって2人とも言ってました(笑)。
礒本:実際ベース弾いてくれてるドラさんとか、楽譜が5枚くらい連結してて、"そんな楽譜見たことないっすよ"って。
鈴木:(笑)。覚えること多くて。本当にいろんなアイデアが詰まってる曲なんですけど。
井上:でも、歌はマジでスルスル覚えたこの曲。
鈴木:なんだろう、世界観が好きなんじゃない?僕の中では転校生という事件性、転校生が来ること、というヤバさ。
礒本:パワーバランスがひっくり返るかもしれないっていう。
井上:そんなこと考えたことないよ、私。
鈴木:パワーバランスというよりか大事件みたいなのを僕の中で表現していて。転校生って謎めいてる感じと、でもその人にしかわからない悲しさとか奥行きのある存在だと思っていて。転校生視点でも、環境が変わることって一大事というか。もともと『転校生』って映画があるんですよ。2人の体が入れ替わる邦画があるんです。それを観たのもあります。そういう裏話もありつつ、語り尽くせないですね。
井上:転校生って小学生の時とかだと特に狭い自分の世界にマジで新しい世界の人入ってきたみたいな感じになるじゃん。
鈴木:本当にそうなんですよ。
礒本:特に田舎の方とかだと、東京から引っ越してきましたなんて言われた日には。
井上:もう文化の違いを楽しみ尽くすよ。
礒本:こいつはやべえことが起きたぞみたいな(笑)。
鈴木:(笑)。俺の場合は髪色なんか違えぞってなって。その感じというか、いかに楽曲内で振り回されるかというのを書いていて。
井上:めっちゃ、できてる気がする。
鈴木:2人の出会い。主人公ともう一人の人の出会いがここにあったっていうのを僕としては映してるんですよ。
井上:なるほど。これが始まりなんだ。
鈴木:そうです。でも、わかるようでわからないストーリーって最初に1曲目で言ってますけど、わかるって 思ってるだけかもしれないし、その転校生のことを自分はわかってあげられるよって思ってるだけかもしれないし、というのを時系列で遡って、今に物語が戻ってくるような感じをこの曲では表現してます。
井上:1曲目が時系列的に今なんだとしたら、転校生の子に対してわかるようでわからないって思ってた気持ちが未だに続いてる、というのがめっちゃリアルだね。
鈴木:そうだね。
井上:まあ、そうだもんね。人のことなんてわかるわけないもんね。自分のことすらわからない。
鈴木:それはあなたのね。
井上:私はそう。
鈴木:あなたはね、という感じで。さて、Laura day romanceがFM FUKUOKAからお送りしてきたRoom"H"、そろそろお別れの時間となりましたが。
井上:楽しかったです。
礒本:今日一番話したんじゃないですか?
鈴木:一番喋ってる。
井上:今までの中で一番明晰なんじゃない?
鈴木:うん。ブレーキかけてない感じがありつつ。でも、他のインタビューも全部面白いので。
井上:全部違うからね。
鈴木:いや、全部違くないけど(笑)。言ってる部分、聞かれてる部分、重点的に聞かれる部分とかが違うって感じなんで。
礒本:インタビュアーさんによっても解釈が違ったりとか。
鈴木:そうそう。読み解き甲斐のあるアルバムになっていると思います。
井上:いろんな解釈が全部正解ですね。次回の担当週は『合歓る - walls』全曲紹介スペシャル第2弾ということで、6曲目から最後の10曲目「渚で会いましょう|on the beach」までたっぷりご紹介したいと思いますので、ぜひ次回も聞いてください。アルバム聴いてください!
鈴木:一番それが大事だね。
井上:そして、4月26日に大阪城音楽堂、4月29日に東京国際フォーラムホールCで行われる単独ライブ、席に座ってみんな観れるので、その日に向けてたくさん聴いてもらえたら、めっちゃ楽しいんじゃないかなと思ってます。
鈴木:アルバムは10曲やります!
井上:お!ここで宣言。
鈴木:頑張ります!
礒本:どうやってやるのか!
鈴木:わかりません。まだわかりません。頑張ります。
RELEASE INFORMATION
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Laura day romance「合歓る - walls」
リリース: 2025年2月5日(水)
Format:Digital
Label:PADDOCK
Track:
1.5-10-15 I swallowed|夢みる手前
2. Sleeping pills|眠り薬
3. Amber blue|アンバーブルー
4. 深呼吸=time machine
5. 転校生|a new life!
6. mr.ambulance driver|ミスターアンビュランスドライバー
7. subtle scent|微香性
8. プラットフォーム|platform
9. smoking room|喫煙室
10. 渚で会いましょう|on the beach
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
Laura day romance oneman live 2025 wonderwall
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2025年4月26日(土)大阪城音楽堂
2025年4月29日(火)東京国際フォーラム ホールC
開場16:30 開演17:30
出演:Laura day romance
<チケット情報>
全席指定
前売り 一般 ¥5,800- / U-22割 ¥5,000-
※U-22割は2003年4月2日以後に生まれた方対象、枚数限定。
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Room "H"」
毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"203号室(毎週水曜日の26:00~26:55)"では、音楽番組「Room "H"」をオンエア。ユアネスの黒川侑司、Nolzy、 Laura day romanceが週替わりでMCを務め、本音で(Honestly)、真心を込めて(Hearty)、気楽に(Homey) 音楽愛を語る。彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
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黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年8月24日にシングル「ありえないよ。」を、同年11月30日にはシングル「Blur」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。2022年7月8日にはソロ第2弾シングルでギタリスト「こーじゅん」をフィーチャリングに迎えた「フライディ・チャイナタウン (Acoustic Cover)」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro
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Nolzy
サウンドプロダクション・トラックメイキング・ソングライティングを自ら手掛けるシンガー、音楽クリエイター。
R&B、Neo Soul、Hip Hopを基調とした都会的なサウンドと、どこか懐かしい"平成J-POP"の匂いを感じるキャッチーなメロディにシニカルな歌詞を組み合わせた、時代や世代を超える新感覚のミクスチャー・ポップを生み出す。2023年12月リリースの『#それな』を皮切りに『匿名奇謀』、『キスミー』と、3作連続でドラマ・アニメのタイアップを担当。
さらに、2024年のライブ活動始動から「SAKAE SP-RING」「TOKYO CALLING」「MINAMI WHEEL」などサーキットやイベントに多数出演するなど、ライブハウスシーンでも注目を集めている。
オフィシャルサイト/ @atsukitaketomo / @atsukitaketomo
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Laura day romance
国内外のミュージックラバーにファンを広げる日本のバンド。
鈴木迅が作り出す幅広い音楽性の楽曲と、井上花月の世界観のあるヴォーカル、
タイトさと柔軟さを兼ね備えたリズムを刻む礒本雄太のドラミング、
そしてそれらを表現するためのベストな形でジョインするサポートメンバー達。
2023年初頭には「関ジャム 完全燃 SHOW( テレビ朝日 )」 で川谷絵音氏が選ぶ 2023 年のマイベスト 10 曲の第三位に「sweet vertigo」が選出され、大きく注目を集め始めている。
2025年2月には、前後編を合わせて一つの作品となる3rdフルアルバムの前編にあたる、『合歓る - walls』(読み:ネムル ウォールズ)のリリース、4月には大阪城音楽堂と東京国際フォーラム ホールCでのライブも決定している。
オフィシャルサイト/ @lauradayromance / @lauradayromance