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2025.01.28
まさに不死鳥、名実ともにKANA-BOON完全復活だ。2024年5月に東阪ワンマン「SUPER PHOENIX」にて新体制で再始動し、同年秋からは「SOARING "THE PHOENIX" TOUR」をスタートさせた。だがツアーのセミファイナルとファイナルが谷口鮪(Vo/G)の喉の不調を含む体調不良により延期に。その振替公演が年を跨いで1月に行われた。新年1本目に新宿LOFTで360度フロアライブを行い、その余韻も残るなかなだれこんだ復活ツアーの復活公演。ファイナルのCLUB CITTA' KAWASAKI公演は、タイトルどおり"soaring"を体現する充実の時間だった。
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遠藤昌巳(B)に続いてサポートメンバーのヨコイタカユキ(G)と関優梨子(Ds)が観客の前に登場すると、最後に谷口がステージに現れて観客を勢いよく煽る。関のドラムを合図に4人が一斉に音を鳴らすと冒頭から一気に「シルエット」「フルドライブ」「ターミナル」とたたみかけた。
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谷口は観客へのこまめな声掛けやクラップを促すなど巧みにライブを先導し、遠藤も追随して場を盛り上げ、観客と目を合わせながらにこやかに野太いベースをうならせる。ヨコイもダイナミックなプレイで音はもちろん視覚面も華やかに彩り、関も前衛3人を送り出すようにパワフルなビートを鳴らした。観客を楽しませようとするホスピタリティ精神、バンドが楽しくて仕方がないというピュアなフレッシュネス、バンドマンとしての矜持が混ざり合ったエネルギーが、観客を高揚感へと導いた。
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挨拶もそこそこに「どんどん行きましょう!」と5年以上ぶりの披露となった「ハグルマ」を豪快にぶち鳴らす。次曲「タイムアウト」はシンガロングできるサビ、大仰で痛快なギターソロなどライブで観客が楽しめる工夫が随所に織り込まれた楽曲であるが、ただ観客をもてなすだけでなく4人は汗をかいて息を切らしながら、全力で泥くさくライブという空間を楽しんでいた。ダンスロックナンバー「ラブアンドマスターピース」ではミラーボールの光に照らされながら躍動感を作り出し、ベースとギターのリフが中毒性を生み出す「talking」、バンドのアンサンブルが心地いい「ラストナンバー」とユーモラスかつアダルティなグルーヴで魅了する。観客も引き続き笑顔で4人の意気盛んな音の波に身を預けた。
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フルスロットルで駆け抜けてふらつきながらも「めちゃめちゃ楽しいです!」と満面の笑みを見せた遠藤は今公演の延期を詫び、それでもたくさんの人に出迎えられたことへの感謝を告げる。谷口も両手を合わせ、パーマ頭を激しく何度も揺さぶり深々と頭を下げた。その後は「スターマーカー」をきっかけに星をモチーフにした楽曲を2曲披露する。CLUB CITTA'のシンボルであるフロア天井の六芒星照明トラスも、楽曲のムードを引き立てた。「結晶星」では歌詞を観客一人ひとりに丁寧に届ける谷口の歌声が胸を打つ。心の中にある悲しみや切なさを、ポップな音色が魔法をかけて星に変えてしまうように、煌びやかな空間が広がった。
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遠藤は今回のツアーで、観客と言葉を交わさずとも、顔を見て音楽を楽しみ合うことで気持ちが通じ合えていると心の底から感じられている旨を告げると、谷口もそれに同意する。そして国外のリスナーも含め様々な人々がライブに足を運んでくれることを喜んだ。「このツアーではあなたのぬくもり、盛り上がり、喜びを感じてきました。ツアーファイナル、恩返しということで必死にやらせてもらいます」と言い披露した「メリーゴーランド」と「ただそれだけ」は、その言葉を証明する包容力のある演奏だった。
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手を止めた谷口は「思い出の曲をやろうかな」と告げ、夕暮れ時は1日のなかで最も寂しさと儚さを感じるから好きであること、失恋で傷心していた時期の夕暮れの帰り道に商店街にある公園のベンチで家に帰る人々を眺めていたこと、その夕焼けを見ながら別れた恋人に思いを馳せたこと、未練はないが自分にとって色褪せない大恋愛だったと振り返る。そうして披露した「オレンジ」は、谷口の大恋愛の記憶や感情に潜り込むような感覚に浸った。
そしてここを境にさらに音の深度が増していく。「スタンドバイミー」を強靭な意志でもって届けると、谷口は「あなたが朗らかなおかげでリラックスしてやれた」「緊張が苦手だからマイペースでやれるとうれしい」と観客に語り掛け、「メンバー2名が脱退したことにけじめをつけたい」という思いのもとこのツアーを組んだこと、去年の春の新体制復帰ワンマン以降がむしゃらに走り続けた結果疲弊し、セミファイナルとファイナルのタイミングで体調を崩してしまったことを告げた。
その後も谷口は「体調を崩したときに、俺についてくれている音楽の女神が"1回止まれ"と言ってくれた気がして。延期でライブに来られなくなってしまった人には申し訳ないんだけど、(ツアーが終わる前に)しっかりと過去について自問自答する時間があって良かったなと思います」と強い眼差しを浮かべ、過去を引きずらずに未来を見据えられるのは遠藤やサポートメンバー、そしてファンがいてくれるからであると感謝を語る。そして「この仲間といろんなところに行ける。バンド続けてて良かったと心から思います。今日観てもらったらわかると思うんやけど、KANA-BOON大丈夫です。安心してください」と微笑むと、フロアからは大きな歓声と拍手が沸いた。
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「フカ」で新たなスタートの決意表明を掲げ、「まっさら」では会場全体が明るく照らされるなか不死鳥が大きく翼を広げて飛び立つような堂々とした壮大な音色を轟かすと、谷口は「去年までのツアーは『まっさら』で終わってたけれど、今年になってみると去年の年末に出した曲が最後に相応しい気がして。マーシーが作った曲です」と遠藤がライブだけでなく作品作りにおいても現在のKANA-BOONに欠かせない存在であると語る。「これからも頼むよ」という谷口の言葉に、遠藤も「もちろんです。KANA-BOON(のメンバー)ですから」と胸を張った。そして谷口が「続けようと思えば、情熱の炎が途切れることがなければ、バンドは一生続くよ。覚悟があればどんな状況でも続けていられます。そんなKANA-BOONと一緒に人生を歩んでいきましょう」と晴れやかに語り、最新曲「日々」を届ける。一抹の切なさも滲ませながらもたくましく、未来へ強い眼差しを向けるラストだった。
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アンコールに登場した谷口と遠藤は「楽しかった~!!」と満面の笑みを浮かべる。「楽しかったし居心地も良かったしやりがいもあった。伝えたいことも伝えられたし、感無量です。最高のツアーファイナルです」という谷口の言葉に、観客も熱い拍手を送った。
昨年11月にリリースされたばかりの「ばけもの」、10年以上にわたり愛され続ける初期曲「ないものねだり」と会場を大いに盛り上げると、「ソングオブザデッド」でツアーを締めくくる。観客がタオルを回すなか遠藤も喉を切り裂くくらいの勢いで叫び、谷口も負けじとシャウトを響かせたかと思えば突如マイクスタンドからマイクを取り外してハンドマイクスタイルで歌ったり、シールドをあちらこちらに引っ掛けながらステージを動き回ったり、いざスタンドで歌おうとするとマイクがなくて照れながら先ほど自分が無造作に置いたそれを取りに行ったり、ラストのかき回しでもメンバー全員が暴れ回るなど、歓喜の興奮と衝動がほとばしる、体当たりの熱演を見せた。
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最後に谷口は威勢よく「本日をもちましてツアー終了です。でもすぐに会う予定がある! 4月から対バンツアー"Jack in tour 2025"やります。まだ(対バン相手が)発表されてませんが、最高の夜になるので! また必ず楽しい夜を過ごしましょう!」と呼び掛ける。ステージを後にする4人の背中は、あれだけ暴れ倒してもまだまだ体力が有り余っていると言わんばかりにエネルギーに満ち溢れていた。KANA-BOONはただ復活を遂げただけでなく、過去とけじめをつけたことで脂も乗り、さらにはハングリー精神も倍増した。まだまだこのバンドは進化し続ける。そう確信する瑞々しいツアーファイナルだった。
文:沖さやこ
撮影:ハタサトシ
2. フルドライブ
3. ターミナル
4. ハグルマ
5. タイムアウト
6. ラブアンドマスターピース
7. talking
8. ラストナンバー
9. スターマーカー
10. 結晶星
11. メリーゴーランド
12. ただそれだけ
13. オレンジ
14. スタンドバイミー
15. フカ
16. まっさら
17. 日々
En1. ばけもの
En2. ないものねだり
En3. ソングオブザデッド
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2025年4月3日(木)
大阪 GORILLA HALL OSAKA
2025年4月4日(金)
大阪 GORILLA HALL OSAKA
2025年4月8日(火)
東京 Spotify O-EAST
2025年4月9日(水)
東京 Spotify O-EAST
2025年4月16日(水)
愛知 名古屋DIAMOND HALL
2025年4月17日(木)
愛知 名古屋DIAMOND HALL
チケット:スタンディング ¥5,500(税込) ※ドリンク代別
チケット申し込みはこちら
@_kanaboon
@kanaboon_official_insta
Official YouTube Channel
TikTok
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遠藤昌巳(B)に続いてサポートメンバーのヨコイタカユキ(G)と関優梨子(Ds)が観客の前に登場すると、最後に谷口がステージに現れて観客を勢いよく煽る。関のドラムを合図に4人が一斉に音を鳴らすと冒頭から一気に「シルエット」「フルドライブ」「ターミナル」とたたみかけた。
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谷口は観客へのこまめな声掛けやクラップを促すなど巧みにライブを先導し、遠藤も追随して場を盛り上げ、観客と目を合わせながらにこやかに野太いベースをうならせる。ヨコイもダイナミックなプレイで音はもちろん視覚面も華やかに彩り、関も前衛3人を送り出すようにパワフルなビートを鳴らした。観客を楽しませようとするホスピタリティ精神、バンドが楽しくて仕方がないというピュアなフレッシュネス、バンドマンとしての矜持が混ざり合ったエネルギーが、観客を高揚感へと導いた。
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そしてここを境にさらに音の深度が増していく。「スタンドバイミー」を強靭な意志でもって届けると、谷口は「あなたが朗らかなおかげでリラックスしてやれた」「緊張が苦手だからマイペースでやれるとうれしい」と観客に語り掛け、「メンバー2名が脱退したことにけじめをつけたい」という思いのもとこのツアーを組んだこと、去年の春の新体制復帰ワンマン以降がむしゃらに走り続けた結果疲弊し、セミファイナルとファイナルのタイミングで体調を崩してしまったことを告げた。
その後も谷口は「体調を崩したときに、俺についてくれている音楽の女神が"1回止まれ"と言ってくれた気がして。延期でライブに来られなくなってしまった人には申し訳ないんだけど、(ツアーが終わる前に)しっかりと過去について自問自答する時間があって良かったなと思います」と強い眼差しを浮かべ、過去を引きずらずに未来を見据えられるのは遠藤やサポートメンバー、そしてファンがいてくれるからであると感謝を語る。そして「この仲間といろんなところに行ける。バンド続けてて良かったと心から思います。今日観てもらったらわかると思うんやけど、KANA-BOON大丈夫です。安心してください」と微笑むと、フロアからは大きな歓声と拍手が沸いた。
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昨年11月にリリースされたばかりの「ばけもの」、10年以上にわたり愛され続ける初期曲「ないものねだり」と会場を大いに盛り上げると、「ソングオブザデッド」でツアーを締めくくる。観客がタオルを回すなか遠藤も喉を切り裂くくらいの勢いで叫び、谷口も負けじとシャウトを響かせたかと思えば突如マイクスタンドからマイクを取り外してハンドマイクスタイルで歌ったり、シールドをあちらこちらに引っ掛けながらステージを動き回ったり、いざスタンドで歌おうとするとマイクがなくて照れながら先ほど自分が無造作に置いたそれを取りに行ったり、ラストのかき回しでもメンバー全員が暴れ回るなど、歓喜の興奮と衝動がほとばしる、体当たりの熱演を見せた。
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最後に谷口は威勢よく「本日をもちましてツアー終了です。でもすぐに会う予定がある! 4月から対バンツアー"Jack in tour 2025"やります。まだ(対バン相手が)発表されてませんが、最高の夜になるので! また必ず楽しい夜を過ごしましょう!」と呼び掛ける。ステージを後にする4人の背中は、あれだけ暴れ倒してもまだまだ体力が有り余っていると言わんばかりにエネルギーに満ち溢れていた。KANA-BOONはただ復活を遂げただけでなく、過去とけじめをつけたことで脂も乗り、さらにはハングリー精神も倍増した。まだまだこのバンドは進化し続ける。そう確信する瑞々しいツアーファイナルだった。
文:沖さやこ
撮影:ハタサトシ
「SOARING "THE PHOENIX" TOUR」CLUB CITTA' KAWASAKI公演 SET LIST
1. シルエット2. フルドライブ
3. ターミナル
4. ハグルマ
5. タイムアウト
6. ラブアンドマスターピース
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9. スターマーカー
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14. スタンドバイミー
15. フカ
16. まっさら
17. 日々
En1. ばけもの
En2. ないものねだり
En3. ソングオブザデッド
LIVE INFORMATION
KANA-BOON Jack in tour 2025
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2025年4月3日(木)
大阪 GORILLA HALL OSAKA
2025年4月4日(金)
大阪 GORILLA HALL OSAKA
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東京 Spotify O-EAST
2025年4月9日(水)
東京 Spotify O-EAST
2025年4月16日(水)
愛知 名古屋DIAMOND HALL
2025年4月17日(木)
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チケット:スタンディング ¥5,500(税込) ※ドリンク代別
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