SENSA

2025.01.19

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!阿部芙蓉美・雪国・N.S. DANCEMBLEほか全27作品 -2025.1.18-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!阿部芙蓉美・雪国・N.S. DANCEMBLEほか全27作品 -2025.1.18-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!


New Release Digest Part 1


みさと:1月13日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全27作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはquad.

金子:今週のPart-1はポストロックの文脈で語れるなという感じがして。quad.に関しては、前も紹介したと思うんですけど、もともとwooderd chiarieっていうバンドをやっていたメンバーが中心になっていて。"ウッチャリ"って呼ばれてましたけど、2000年代初頭から活動してたバンドで、この曲もこれまでの作品同様にエンジニアはLITEの楠本構造さんだったり、まさにポストロックのオリジナル世代というか。楽曲を聴いても、オリジナル感がすごくあって、間違いなく好きな人がたくさんいる。実力者バンドなので、完成度も高いし、かっこよかったですね。



みさと:「雨、窓、追憶。」というタイトルからだけでも物語が展開していきそうな楽曲なんですが、雨が降ったときの湿度の高さであったりとか、「窓」というワードから、どの立ち位置から雨の様子を見ているのかなど、体温というか気温というか温度を感じるような楽曲でもありましたね。続いては、水中スピカがアルバムリリースです。

金子:水中スピカはポストロックであり、よりマスロック的なアレンジを持ち味としていて、女性ボーカルである千愛さんが歌いながらタッピングをする、より現代的なポストロックになっていて。今回のアルバムは『Lux』というタイトルで、光の明るさを表す言葉ですけど、水中スピカというバンド名とも関連があって、"スピカ"は乙女座の一番明るい星の名前で、水中であったとしてもスピカのように輝いて、聴く人を照らせるような存在でありたいみたいなことがバンド名の由来だったりもして。なので、『Lux』というタイトルはまさに水中スピカらしさを表していると言えると思います。「iki」は(アルバムの)1曲目で、だいたい4分半ぐらいあるんですけど、歌が始まるまでに1分半ぐらいあって、アウトロが1分ぐらいあって、半分以上がインストだったりするんですよね。ポップな歌もありつつ、このアンサンブルのかっこよさこそが水中スピカらしさだということを表す1曲目でもあるなと感じました。



みさと:まさにインストだけでも成立する構成と音でありながら、ボーカルの存在感も自然な形で存在しているという、ハイブリッドバンドの名刺的な1枚ができたんじゃないかなと感じてます。さあ、そんなPart-1からどうしましょう?

金子雪国の新曲を紹介しようと思います。

みさと:よかったですよね。今回EPリリースです。

金子:去年『pothos』というアルバムが出てて、僕がちゃんとこのバンドを認識したのはそのときが最初だったんですけど、アルバム自体よかったし、まだライブは見れてないんですけど、近しい音楽関係の知り合いの人とかと話している中でも、「雪国いいですよ」みたいなことを結構聞いて、実際彼らの活動を調べていくと、なるほど面白いなっていう側面が色々あって。
今回の新作を聴いても、彼らの場合はポップスとも取れるし、オルタナティブとも取れるっていう、両側面ある気がするんですけど、でもこのギターのアルペジオを主体としたクリーンなサウンド感はポストロックっぽいニュアンスがあると思うんですよね。さらにこの曲(「Blue Train」)はシンセが入ってて、アンビエントっぽい雰囲気もあったりして、2月3日に渋谷WWWでリリースパーティーがあるんですけど、そこにはDJとかもラインナップに並んでて、ジャンルを越境していこうとする姿勢も見える。オルタナティブロックのシーンから次を目指していく、今はこういうバンドが面白いなとすごく感じられるEPでした。



New Release Digest Part 2


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。はじめましてさんのご紹介です、SPIIICA

金子:Part-1には水中スピカがいましたけど、こちらはSPIIICA。2009年の結成で、当時はアルファベットでSPICAだったんですけど、2017年に表記を変えて今はSPIIICA。3人組なので、Iを3つ並べてこの名前になっていて。過去には踊ってばかりの国とかも使っていて、アナログテープで録音ができる吉祥寺のGOK SOUNDで録音したというエピソードもあるように、この生々しいバンドサウンド、ちょっとLo-fiとも言えるようなこのサウンド感がかっこいいし、5分半ぐらいある曲なんですけど、その中でアンサンブルをすごくしっかり聴かせていて、ニュー・ウェイヴ的な感じもありつつ、かっこいい3人組でしたね。



みさと:はじめはベースボーカルのフロントマンがいるのが特徴的なバンドなんだなっていう低音の映え方とか、不協和音にメリハリをつけるドラムとの相性がいいバンドなんだなって思ってたんですけど、後半のインストパートでギターが輝いてるじゃないですか。あのギターが入ることですごくサイケデリックさがマシマシになるし、総じて変態的(超褒め言葉)というバンドだなと感じました。続いて、Kenzo MartiniがEPリリースです。

金子:Kenzo Martiniは去年、次世代のグローバルスターをInstagramのリールから発掘する「Reels Sound Quest presented by HYPEBEAST」というプロジェクトで優秀賞を獲得して、Ovallの楽曲にラッパーのBIMくんと一緒に参加してたりもして、さらに知名度を上げつつある感じなんですけど、そんな中で今回EPが完成しました。「Sweet life」という曲に関しては、Kenzo Martiniが日本からニュージーランドへ移住する前の不安な時期に書かれたもので、自分自身へのオープンレターであり、自己発見と成長の過程を描いていると。Kenzo Martiniの楽曲は自らのアイデンティティを常に追い求め、描き続けているので、その感じがこの曲からもすごく伝わってきます。アレンジ自体はちょっとくぐもったサウンド感のギターがすごく印象的で、それこそOvallの関口シンゴさんが弾いてそう。歌もすごくいいし、一緒にライブ演ってほしいなって思えるような、かっこいい曲でした。



みさと:ビートレスだからこそのスウィートでロマンティックな様子がすごく際立つ楽曲で、メロディーと声の力がないとできないアレンジだなっていうのも感じましたよね。今回EPのタイトル(『Radio Tokyo』)、読みが「レディオトーキョー」かなと思ったら、「ラジオトーキョー」だったじゃないですか。これも日本をホームに思ってくれていたからこそのリスペクトが表れているのかなって気もしますね。そんなPart-2からどうしましょう?

金子阿部芙蓉美さんの新曲を紹介しようと思います。

みさと:毎作出たら、毎作紹介させてほしい(笑)。最高!

金子:阿部芙蓉美さんは去年出たアルバム『Super Legend』がすごく印象的だったし、11月にはNorah Jonesの楽曲とかでも知られるJesse Harrisの来日公演に出て、そこでもすごく印象的なライブをしていたりっていうのもあり、そのライブにも参加していた赤い靴東川亜希子さんが今回の楽曲にも参加していて、2人で素晴らしいアレンジ、サウンド感を作り上げていると。歌詞は相変わらずちょっと辛辣な部分もあったりするんですけど、ジャケットを見ると『Super Legend』のときにも使われてたスマイリーフェイスが今回も使われていて。どうしようもない世の中ではあるけど、何かしらちょっと笑えるような、何かしらいい感じになれるようなものは持っておきたいよねっていう、その願いみたいなものは今回も感じられる楽曲だったと思います。

みさと:まさにそこですよね。タイトルが「ウー・ルー」になるわけですけど、うめき声の「ウー」から母音はそのままに楽しい音に聴こえる「ルー」に変化する様子っていうのも大共感で。「ウー」と言ってたところから、「イェー!」には行けないけど、「ウー」からなんとか自分の気持ちを転換したい、厚武さんがおっしゃるように少しでも楽しい世界にって思ったときは、「ウー」から「ルー」ぐらいにしか行けない。でも「ルー」に変わることで、こんなに世界が違って見えるんだ、聴こえてくるんだっていうのを、この一言で表現できちゃうっていう。いつも視点が素晴らしいですよね。



New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。はじめましてさんです、EG & his Drawers

金子:EGさんは結構キャリアがある方で、宮城県仙台出身のシンガーソングライターで、ギタリストとしてもかなり優秀な方。そんなEGさんがドラムの脇山広介さん、ベースのキャノンさんと3ピースのロックバンドを結成して楽曲をリリースと。脇山さんはFRIENDSHIP.的にはインストユニットのCOLとしてもお馴染みだったりする方で、さらには作詞にEGさんの盟友でもあるKUDANZの佐々木玄さんが参加していると。すごくいい曲でしたね。フォークロック、アメリカーナを基調としつつ、リファレンスにBahamasとかBlake Millsの名前が挙がっていたりして、懐かしさもありつつ、でもモダンなサウンド感に仕上がっていて。その上でEGさんの歌もギターもよくて、めっちゃいい曲でした。



みさと:歌詞は世界が抱えるたくさんの問題に対して、虹が架かることを願っているというか、虹の麓に行こうとしているような歌詞だったと思うんですけど、だいぶレイドバックされたリズムが、現実はスッと目的地には辿り着かずに足を取られるし、足取りは決して軽くないというようなリアルな立ち位置ともリンクしてたように聴こえてきて、全体的に素晴らしい曲になってましたね。続いて、ラックライフはEPのリリースです。

金子:4曲入りのEPなんですけど、ご本人のコメントで「4曲並べて聴いてみると、すごく劣等感とか足りない部分とか、なんかそんなんを持ってるんやなと自分で思いました(笑)」とあって。ラックライフは15年以上キャリアがあって、アニメの主題歌をたくさん担当してたり、海外での公演も成功させたり、確かな実績があるわけですけど、それでも常にどこか足りない部分がある、ラックライフというこのバンド名そのままの活動を続けていて。その足りない部分を少しでも埋めるものがあるとしたら、やっぱりそれは聴いてくれる人、リスナー、オーディエンスの存在なのかな、という感じがして、まさにそういうリスナー、オーディエンスとこれからも寄り添っていくっていう願いが歌われている、ストレートな一曲だなと思いました。



みさと:その足りなさっていうのが、人は誰しも完璧じゃないというところで、聴き手ともリンクする楽曲になっていて。いい意味で期待を裏切らないメロの感じっていうのが、いつまでもこのまま続けてほしいなという、こちらとしての願いも生まれるような楽曲でしたね。そんなPart-3からどうしましょう?

金子N.S. DANCEMBLEを紹介しようと思います。彼らについてはおそらくみさとさんが詳しいんじゃないかと。

みさと:そうなんです。フロントマンのNAGAN SERVERが個人的に去年一番ライブを観た人でした。メンバーとも仲良くさせてもらってるんですけど、今回はバンドになりまして。ラッパーでウッドベーシストであるNAGAN SERVERが中心になって、Suchmosの鍵盤・TAIHEI、TAIHEIと一緒に賽というバンドをやっているドラムの松浦千昇、千昇くんはFRIENDSHIP.からソロも出してますよね。さらにD.A.N.のJinyaくんがベーシストとして参加していて、トランペットは寺久保伶矢くんが参加と、かなり豪華なメンバーになっているんですよね。全員がスポットライトを浴びられる、まさに「pave my path」、私の道を行けるようなメンバーが参加しているスペシャルユニットができました。NAGAN SERVERくんってステージ掌握感が圧倒的というか、身一つマイク一つで戦えるスキル、リリック、バリトンボイス、ワードセンスがあるのに、ウッドベースを持ちながらそれをやっちゃうという、まさに鬼に金棒なミュージシャンではあるんですよね。で、鍵盤のTAIHEIって、猛獣使いだと思ってて。

金子:猛獣使い(笑)。

みさと:猛獣使い!一筋縄では行かないフロントマンをすごく輝かせる美意識を持っていて。いろいろなサポートや制作に呼ばれる今までの経歴や実績は、彼の人柄がずっと培ってきたんだなという感じがすごくしているんですよね。今回若手のトランペッターの寺久保伶矢くんが参加しているのもすごく注目していただきたくて、今後の活動がどんどん決まっているので、2025年はN.S. DANCEMBLEとしての活動がかなりコンスタントに控えています。スノーボーダーとのリンクというところもすごくポイントになってきますので、活動をチェックしていただきたいバンドです。



番組の後半はShimon Hoshinoがゲストで登場!



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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