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2024.12.08
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!miida・RiE MORRiS・ayutthayaほか全23作品 -2024.12.7-
New Release Digest Part 1
みさと:12月2日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全23作品の中から、Part-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてさんです、I have a hurt。
金子:彼らは東京を拠点に活動する4ピースのオルタナティブロックバンド。最近、若手のオルタナ/ハードコア系のバンドがどんどん出てきてますけど、彼らの場合はすでにキャリアがあって、今回7年ぶりの新作です。まずはこの咽び泣くボーカルが印象的ですよね。"I have a hurt"=痛みを持っている、というバンド名がそのまま表れているようなボーカルであり、でもギターが女性で、女性コーラスが入ってくることによって、中和されるような感じもあったり。アンサンブルもポストハードコアという感じで、テクニカルかつソリッドでエモーショナル、かっこいいバンドだなと思います。
みさと:やはりボーカルのシャウトというか、喉から血が出る系とこっそり言っていますけど、きっとそれぐらい血や涙を流した7年でもあったのかななんていう風に考えると、音の一つ一つを大切に受け取りたいなという気持ちにさせてくれるような、硬派でありながらも感情がとても乗っかっている1曲なんじゃないかと思います。続きまして、エスキベルなんですが、今回はフィーチャリングでえんぷていの奥中さんが参加しています。
金子:少し前にシンガーソングライターのhyouの曲を奥中くんがプロデュースしていたことがありましたけど、今回はコーラスとしてフィーチャリングで参加しています。エスキベルはどちらかというとオルタナ寄りのイメージがありますけど、今回の曲はその感じもありつつ、もう少しフォーキーなテイストになっていて、資料に"はっぴいえんどがオルナタ化したような!"みたいなことも書いてあったりするけど、確かにそれも分かるなという仕上がりになっていて。
奥中くんがhyouのプロデュースをしたときはhyouの歌が少し洋楽寄りだから、洋楽テイストに聴こえる、みたいな話をした気がするんですけど、でもエスキベルとだともう少しエスキベルの持っている邦楽な部分が引き出されていて、組み合わせによって海外っぽい雰囲気も出せるし、日本的な雰囲気も出せる。そこが奥中くんの面白さだなと思うし、エスキベルとやったことによる化学反応だなという感じがしました。
みさと:本当にバランス感覚が秀逸だなというところと、スペシャルな声がこれだけ重なると、サウンドとしても気持ちがどんどん広がっていくような音作りというところで、1つパッケージされたものとして素晴らしい作品になったんじゃないでしょうか。そんな中、Part-1どうしましょうか。
金子:miidaの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回はミニアルバムになります。リリースおめでとうございます。
金子:去年の1月にお子さんが産まれて、少しお休みしていたわけですけど、そこからまた精力的に活動を再開して、今回7曲入りのミニアルバムが完成と。打ち込みのサウンドを基調としつつ、そこにオルタナなギターが入り、生のベースも結構目立っていて、グルーヴを出していたり、ミズキさんのボーカリストとしてのバリエーションも広がっていたりと、音楽的にも色んなポイントが感じられるんですけど、全体としてはエモーショナルな作品でもあるなという感じがして。
「まだ言えないや」という曲があって、それがそのまま作品のタイトルにもなっているわけなんですけど、歌詞を読むと〈このままどうにかなってしまいたい〉とか〈愛や夢を信じたまま死たいから〉とか、強めな言葉も入っていたりして。お子さんが産まれて活動を再開する中で、当然大変なこともあっただろうし、今もStudio KiKi、YouTubeのチャンネルもずっと並行して続けているし、サポートでギターを弾いたりもしているし、本当に何人いるんだ?みたいな感じですけど、ある意味自分を急き立てて活動を続けてきただろうし、そこにはもしかしたらある種の焦燥感もあったのかもしれない。そういう内側にある部分、自分を動かし続けるエモーショナルな部分も透けて見えるアルバムで、そこにグッときましたね。
みさと:ミニマルな打ち込みだったりとか、今回のリードに関しては8ビットのゲームミュージック的なサウンド感があるので、無機質な感じはするんだけど、ストレートでエモーショナルな言葉選びというところ、この音・サウンド感だからこそ、その対比となるストレートさが生きてくるのかなとも思うし、きっとそういったギャップであったりバランス感覚を意識されていることかと思うんですけど、ボーカリストとしても母の愛情みたいなところから、また人生の経験から生み出されてくる表現力というのがどんどん出てきているのかな、なんて感じながら聴かせてもらいました。
金子:この忙しい中、来週は?
みさと:来週はmiidaがゲストで登場予定です!楽しみですね。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。一応はじめましてさんです、Limre。
金子:Limreは最近FRIENDSHIP.からリリースを始めたKBSNKのソロバンドプロジェクト。今回の「Beetle Flip (immature)」という曲は、KBSNKとISLTRのコラボレーションで以前にリリースしている曲のオリジナルというか、もともとKBSNKがバンドサウンドのデモを作って、それをISLTRがサウンドデザイン・アレンジをする形でコラボレーションの曲になっていたみたいなんですけど、その元になっているバンドサウンドがこれと。
以前もGalileo Galileiとかの名前を挙げて紹介したと思うんですけど、今回よりバンド的な音になっている分、Galileo Galileiともより近付いている感じがするし、でも1人で作っているからこそのいい意味でのローファイ感があって、そこがLimreらしさにもなっているかなという感じがしました。
みさと:先にアレンジバージョンを聴けて、最終的に原曲に着地するという、聴き順としてかなり楽しませてくれるというか、エンタメ性があるなと思っていて。ここは活かしているんだな、なんていう新しい発見があると思いますので、ぜひ2曲を聴き比べてみてください。 続きまして、Fruitsがアルバムです。
金子:Fruitsは2017年に神戸で結成していて、メンバーの加入を経て2024年から現体制ということなので、これが本当の意味での始まりというか、新たな始まりというか、そういう作品になっているかと思います。実際リード曲の「New Morning」が1曲目に来ているので、まさに新しい朝を迎えたような作品と言えるのかなと。音楽的には結構ストレートというか、モータウン、そして大瀧詠一的なポップソングを今の若者たちがバンドスタイルで鳴らすとこうなる、というような温故知新な感じがあって、非常に気持ちのいい作品でした。
みさと:音の雰囲気としてはすごく大人びたというか、音楽玄人のみなさんが好きそうな感じはするんですけど、そこに若々しさ、フレッシュな、まさにフルーツ感というのが乗っかっているのも彼らの持ち味ですし、アルバムタイトルは『Almost Fully Ripe』、だいたい完熟しているけど、でももちろん最後まではいってないよって。
金子:新鮮味がちゃんと残っているという。
みさと:そうそう。その絶妙な、でもご自身たちとしても満足の仕上がりだというところがアルバムのタイトルからも感じられる、素晴らしい1枚になっています。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:RiE MORRiSの新曲を紹介しようと思います。
みさと:RiE MORRiSさんもアルバムなんですけど、良かったですね。
金子:RiE MORRiSさん前からずっと紹介してるから、これがファーストアルバムなの?そうだっけ?という感じもしますけど。
みさと:何枚も出していそうな。
金子:RiE MORRiSとして活動を始めてからは3年ということなので、ここまでの集大成となるアルバムができたなという感じがします。前もチラッっと言った気がするんですけど、もともとネオソウルとかR&Bとかレイドバックしたスムースなサウンドのイメージがあったところから、よりダンサブルな作風にどんどん変わってきて、今回のアルバムでもそこが押し出されていると。
これまでも色んな客演、プロデューサーと一緒に曲を作ってきて、Nenashi、maco marets、Kouichi Arakawa、Ryoma Takamuraといった客演陣であり、プロデューサーにはUKのedbl、Sam is Ohm、TAAR、Kota Matsukawaと、本当に色んな人が参加していて、初期の集大成としてにぎやかな作品になったのではないかと思います。
みさと:名前が並んでいる人たちもこれからを担っていく素晴らしいクリエイター陣という感じもしますし、今までのスムースさはもちろんのこと、トラックが変わるだけで、そして客演が増えるだけで、全体の印象がここまで変化するんだなと改めて感じさせてもらえるアルバムで。
そう思うと、声・歌詞・音、全ての軸が揺るがないということが、やはり音楽作りにおいて大切なんだなという、その基本を見させてもらったようなアルバムになっているかなと思います。「いい意味でみんなの期待を裏切ってみたい」という一言をRiE MORRiSさんからいただいているんですけど、自分のイメージを覆すのは勇気がいることでもあると思うのですが、大成功のアルバムだったんじゃないかと感じています。
金子:タイトルトラックはUKのプロデューサー・edblとギタリスト・Kazuki Isogaiが参加している曲で、このギターがめちゃめちゃかっこいいので、ボーカルともども聴いてほしいなと思います。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。はじめましての気がしません、玻璃校了。
金子:玻璃校了は2022年結成の3ピースのポストロックバンドなのですが、メンバーのShiznavさんのソロ、「無限にうり坊が出てくる!」がすでにFRIENDSHIP.から楽曲をリリースしているので、この名前はすでに聞き馴染みがありますね。僕、Shiznavさんを勝手にギタリストなのかなと思っていたけど、ドラマーなんですね。
みさと:意外だった。
金子:作曲する人はギターとかが多いイメージだから、ドラマーなんだというのが少し驚きでもありつつ、でもやっぱりうり坊(無限にうり坊が出てくる!)にも通じるというか、こっちが元というか、いわゆるポストロック的なサウンドになっていて。資料にも"残響レコードのアーティストから強い影響を受けている"と書いてあって、最近残響レコードの話はよく出てくるので、そういう意味でも"現在"を体現しているバンドだし、女性ボーカリストのしなやかさとアルペジオのスムースさが気持ちいいですけど、でもリズム隊はタイトで。ベースボーカルだったりするわけですけど、そのあたりにもこのバンドならではのオリジナリティがちゃんと出ているなと感じました。
みさと:ソロでも活躍されているShiznavさんがドラマーとしてバンドにいて、フロントに立ってるのがベースボーカルで、リズム隊のところがすごく強固であるというのが音としても感じられる3ピースのポストロックバンドだなという感じがします。でも今回EPのタイトルが読めませんでした(笑)。
金子:僕も読めなかった。
みさと:漢字で『卅』(そう)と読むそうなんですけど、3人でやっていく意義、やってきた意義みたいなものが感じられる、そこへのこだわりもタイトルから紐解けるようなEPになっているのではないでしょうか。続きまして、GeGeGe。こちらアルバムになります。
金子:5年ぶりのアルバムということですね。もともと2017年にミズノリョウトのソロプロジェクトとして金沢で始動していて、2023年から拠点を東京に移して、今回のアルバムが完成と。
GeGeGeはボーカルを聴いて、おそらくは坂本慎太郎さんを思い出す人は多いだろうなという気はして、ゆらゆら帝国であり坂本さんは日本の音楽シーンに大きな影響を与えているわけですけど、歌い方は結構直系だなという感じがして。でも逆に言うとそれができるのって、自分の音楽にちゃんと自信がないとできないと思うんですよね。そこに軸がないと"似てる"で終わっちゃいかねないところを、自信を持ってその流れを受け継ぎつつ、ちゃんと自分たちのサウンドとして表現している。
その自信が感じられる作品にもなっていて、特に今回はドラムを除いた全てのレコーディング・ミックスをミズノさんが自宅でやっているということで、サイケデリックなサウンドの作り込みがあるし、コーラスとしてBROTHER SUN SISTER MOONとかLIGHTERSのメンバーが参加していたり、ドラムのRECとミックスのサポートにStudio REIMEIのシンマさんが参加していたり、参加陣からしてもGeGeGeがいかに慕われているか、信頼されているかが見えてくるなと思いました。
みさと:すごくポップな印象も受けるんだけど、しっかりサイケデリックで、彼らの変態的な部分がアルバムに落とし込まれているという。やりたいことがありつつも、初めての人でも楽しめる、このバランス感覚は自信と経験の裏付けなのかなと思った1枚でした。なんですけど、最後の一言、〈きっと最後会えるよ〉のリフレインが、この一言があるかないかで違うなと思わせてくれたというか。〈きっと最後会えるよ〉の、会える先の人が、最初に聴いたときと2回目に聴いたときと3回目に聴いたときに、それぞれ違う人を思い浮かべたり、その広がりというのはどんどん自分自身の扉を開けて、もっと奥に歩み寄られている感じがしていく。
これはこの声じゃないとその感覚にならないんじゃないかなと思うと、ミズノリョウトさんの個性、オリジナリティを感じられる、そんな曲になっていたと思います。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:ayutthayaの新曲を紹介しようと思います。
みさと:いやあ、よかったですよ。気持ちよかった。
金子:2年ぶりの新曲です。玻璃校了だったり、あとTattletaleとか、今週もオルタナ、ポストロック、エモ系の若手バンドがどんどん出てきてますけど、言ってみればayutthayaはその1つ上の世代というか、ポストロック、エモの第2世代みたいな感じで、上には90年代の人たちがいて、その人たちの影響を受けた世代というか。
ayutthaya自体はもともと2015年の結成で、多分前も言ってるんですけど、もともと太田美音さんはゲスの極み乙女のドラムのほな・いこかさん、現在は女優としても大活躍のさとうほなみさんとマイクロコズムという二人組をやっていた人だったりして、キャリアに裏打ちされた完成度は間違いなくあって。
ayutthayaのメンバーは今2人なわけですけど、サポートとしてギターにNENGUの馬場庫太郎さん、ドラムにTHE NOVEMBERSの吉木諒祐さんという、このメンツも非常に強力です。来年1月のレコ発ではマスドレ(MASS OF THE FERMENTING DREGS)との2マンが決まっていたりもするんですけど、宮本菜津子さんはFRIENDSHIP.的にはULTRAの人なわけで、ULTRAとayutthayaがいてくれることがFRIENDSHIP.オルタナ系の説得力みたいなものに繋がって、だから若手もどんどん来てくれる、そういう象徴的な存在でもあるなと改めて思ったりしました。
みさと:今回の曲、キャリアがあるのに初期衝動なパンク味も感じつつ、すごく伸びやかなボーカルがトゲトゲせず、もうまさにタイトル、「SUNNY」なんですけど、真っ直ぐに向かっていく感じがあって、気持ちよかったんですよね。
金子:コメントでも"ひさしぶりに速い曲が欲しくなって作った"とありますね。
みさと:みんなで歌いたくなる、ライブハウスに行きたくなる、オープンカーにしたい、速いのに乗りたくなっちゃうような(笑)、そんな楽曲です。歌いましょう。
番組の後半はHelsinki Lambda Clubがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10