SENSA

2024.11.20

んoon「FIRST LOVE」──クセ強メンバーの全力で作ったクセ強サウンドは最高のPopになった

んoon「FIRST LOVE」──クセ強メンバーの全力で作ったクセ強サウンドは最高のPopになった

んoonの新作は、3年間待った甲斐があると心から思える一枚だ。「次はどんな仕掛けを見せてくれるんだ?」という期待を裏切らず、その魅力を余すところなく表現している。ボーカル、ベース、ハープ、キーボードという"んoon"独自の編成は、単に珍しいだけでなく、音が混ざり合うだけで、彼らのユニークなサウンドスケープを引き出している。
特に今回の楽曲群はジャンルレスで、形容しがたい曲が揃っている。M2「Kaiya」のような空間が広がるソウルフルな楽曲、M6「Conversation Piece Pt3」のマスマティックでジェントライクなフレーズ、M9「Touch」のLo-fi HipHopと70年代プログレッシブロックの融合のような試み、M4「Forest」のエフェクティブなベースとステレオ効果など、どの楽曲にもパンチが効いたアイデアが炸裂しており、思わず耳が奪われる瞬間の連続だ。
これらの多彩なフレーズは、どれもテンションを抑えたまま絶妙にまとまっていて、過剰にならずスマートな聴き心地を維持している。すべての曲に信じられないほどのクセがあり、一見アンバランスに思える要素も、すべてが絶妙なバランス感覚で成り立っている。アシンメトリックな構成は、むしろその歪みがキャッチーさとなって耳に絡みつく不思議な心地よさを生み出しており、自然とクセになる。次に何が起こるか予測がつかない展開にハラハラしながらも、最後にはしっかりとまとまっていく構成が見事で、まるで剛腕ピッチャーが変化球だけで試合を組み立てるかのようである。
また、各メンバーの音楽的な個性が際立っているのも聴きどころだ。それぞれが自由に動き回りながらも、全体としてしっかり一つの音楽にまとまっている。Sekijimaくんの他者を追随させないパンチのあるベースフレーズは、全楽曲の核となり、Egashiraくんの鍵盤が雰囲気を作り、Uesuさんのハープが透明感のあるアルペジオでアンサンブルを支えている。そして、全体を"んoon"たらしめるのがJCの柔らかな歌声だ。その抑揚のあるボーカルは、音の流れに寄り添いながら楽曲全体を包み込み、どんなに独創的なパートでも最後にはまとまって聴こえるように作用している。それぞれのメンバーが自分の立ち位置を理解し、役割を最大限に発揮しながらも、互いに絡み合って一つの世界を築き上げている。変わっているのに、どこかキャッチーさがあって耳に残るのも、彼らしいスタイルだ。
まるで、見たこともないような楽器のアンサンブルが新しい形で音楽を語りかけてくるような感覚すらある。
3年越しの新作は、んoonの懐の深さと新たな挑戦を感じさせる一枚だ。長く待ち望んでいたファンも多いだろうが、この作品でその待ち時間がしっかり報われることは間違いない。

文:井澤 惇(LITE)



RELEASE INFORMATION

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んoon「FIRST LOVE」
2024年11月20日(水)
Format:Digital / CD
Label:FLAKE SOUNDS

Track:
1.To Dog
2.Kaiya
3.Age
4.Forest feat. ACE COOL
5.Sunde
6.Conversation Piece pt.3
7.Pillow feat.凌元耕Ernest Ling
8.Gary
9.Touch
10.Sherry
11.NANA
12.Billion

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