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2024.11.17
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!SACOYANS・Ivy to Fraudulent Game・井戸健人ほか全19作品 -2024.11.16-
New Release Digest Part 1
みさと:11月11日週にFRIENDSHIP.からリリースされた新譜、全19作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずは、宇宙まおちゃんです。
金子:10月からインストユニット・COLを迎えての過去曲のリアレンジ・シリーズを発表しています。もともとCOLのドラムの脇山さんが宇宙まおさんをサポートしていて、COLのアルバムに宇宙まおさんがゲストボーカルで参加したりということもあっての今回のリアレンジ・シリーズ。「もしもあのとき」は原曲だと弾き語りに近いアレンジだったんですけど。
みさと:フォークっぽい感じですよね。
金子:それをCOLが自由にアレンジしていて、かなりアグレッシブなビートで、ガラッと雰囲気を変えていて。個人的にはTHE GO! TEAMとか、そういうインディー感も感じさせたりして、すごく良かったですね。
みさと:リアレンジ・シリーズ結構好きで、歌詞とメロディー自体がどれだけ優れているのかよりわかる側面もあるし、付き合いの長い人たちがリアレンジすることによって、まおちゃんのことをどういう目線で見ていたのかなという、プロとしての視点を教えてくれる意味でも、このシリーズとても好きです。続いて、RiE MORRiS。
金子:RiE MORRiSさんは毎回コラボレーターを迎えながら楽曲制作をしているアーティストですけど、今回はフィーチャリングアーティストにKouichi Arakawa、プロデューサーに過去にも共作をしたことがあるSam is Ohm、この2人を迎えて楽曲を制作と。お2人ともかなり多方面で、メジャーシーンも含めて活躍している方なので、クオリティは保証済みという感じで。しかもRiE MORRiSさんはこれまでどちらかというとR&Bとかネオソウルとか、スムースな音楽のイメージが強かったかなという気がしますけど、今回はダンストラックでアッパーな側面を見せていて、それもすごく新鮮で。12月にはアルバムが控えているということで、そこに向けてもさらに楽しみになる楽曲だなと思いました。
みさと:楽しみですね。コラボレーション・アルバムみたいな形になるのかもしれない。
金子:もちろん色んな人が参加しているでしょうね。
みさと:今回の曲もOhmくんらしい緩急あるトラックに、Kouichi Arakawaのアタックの効いたボーカルラインもすごくかっこよかったし、RiE MORRiSの得意技というか、スムースさというものも残しながら、楽曲に寄せていける表現力が素晴らしい1曲でしたね。では、そんなPart-1からどうしましょう?
金子:SACOYANSの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回はアルバムリリースになります。おめでとうございます。
金子:福岡を拠点に活動しているSACOYANSですが、前にも新曲を紹介したときに軽く喋りましたけど、前作のアルバムリリース以降、この3年の間にメンバーのお2人が出産をされて、さらにはお1人が福岡から離れて、果たしてバンドが活動していけるのかという時期もあったけれど、でもこうやって無事に新しいアルバムが完成したというストーリーがあって。もともとSACOYANSはSACOYANさんが宅録のシンガーソングライターとして活動していたところから、それを福岡のバンドマンたちが支える形でスタートしているという物語もあり、ご本人のコメントで"前2作はSACOYANが個人で宅録バンドサウンドで作っていた曲の再現であったり、そこにメンバーで新解釈を加えた楽曲で構成されていたのですが、今作は完全な新曲が大半を占め、バンドでイチから肉付けしていく楽しさがあった"とあって。出産であったり、お引越しだったりを乗り越えたというところも含めて、まさに本格的なバンドになった作品なのかなという感じがしました。
みさと:リード曲の「不意に」に関してのコメントで"ふと、あの冬に戻ってしまう。新しい陽射しを浴びて時間が経っていることを確かめる。晴れた日の雪の色を覚えていますか"と一言いただいているんですけど、不意に辛いとき、悲しいとき、失ったこととかを思い出すことはあると思うんですけど、振り返ったときに、半年前と1年前とでは振り返り方が違ってきたなと思う瞬間ってきっとあると思うんですよね。でもそれでも過去はなくなるわけではなくて、コメントみたいに冬の間降り積もった雪が固まって、でも晴れ間が覗いてきて、そのときに見える雪ってキラキラ輝いていたり、あのときと違った見え方をするという、その時系列の中での心境の変化というのが、このコメントだけでもすごく伝わってくるというか、それを楽曲に落とし込んで今回アルバムにされて、厚武さんがおっしゃっていた背景も含めて聴いていただけると、より自分の曲になっていく、そんな作品が詰まっていると思います。素晴らしかったですね。
金子:SACOYANSの歌詞そのものはわりと抽象的だったり感覚的だったりして、だからこそ色んな解釈ができるという側面がありつつ、でもこのアルバムは1曲目が前にも紹介した「サモトラケのニケ」で、頭や腕がなかったとしても羽はあって、どんな困難があっても進んでいくことはできるということが象徴的にモチーフとして使われていたり、あとアルバムの最後の曲が「UV」という曲で、最後が〈朝 ほとんどもう乗り越えられるさ 音楽が強くひかる 忘れられない日々〉という歌詞で締めくくられていて。まさにこの3年間が、忘れられない日々が詰め込まれている作品だなというのも感じられるし、『SUN』いうタイトルも、3年ぶり3作目なので『SUN』なのかなという遊び心もあるんだろうけど......。
みさと:表記としてはね、太陽のSUNですもんね。
金子:でもこの歌詞とかも含めると、朝日というか、色んな時期を乗り越えてまた新しい朝を迎えた、みたいな印象も感じられる作品だなと思いました。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。アツムワンダフルさんの一服trackシリーズ、毎度素晴らしいですが、最新作リリースです。
金子:今回タイトルが「transit」ということですけど、アツムさんはシンガーソングライターのアマイワナのギターマニュピレーターをやっていて、前から交流があったアメリカのGinger RootのUSツアーにオープニングアクトとして出演した、そのアメリカ滞在中に制作した楽曲だと。まさにトランジットのときに流れてくると合うような空気感を、ドラムンベースによってチルさせるという方向性で作っているという。やっぱりアツムさんは、この組み合わせでやるのか、この方向性でやるのかっていう、毎回アイデアが面白いんですよね。今回にしても、ドラムンベースなんだけどチルという。
みさと:普通難しいよね。対極にありそうなイメージ。ドラムンベースのあのビートで?あの速さで?って思っちゃうけど。
金子:でもそれを上手く表現してるんですよね。
みさと:すごいですよね。音色の作り方と、没入感みたいなところでのチルさということを演出されたように受け取りましたけど、こういう表現を最後のアウトプットまで繋げられる方はそうそういらっしゃらないと思うので、もう毎作脱帽していますね。続いて、山内街子さん。
金子:この方の曲も毎回いいんですよね。今回は映画「まちのじかん」の主題歌として書き下ろされた楽曲ということで、ストリングスを使ったバラードナンバーに仕上がっていて、まさに映画主題歌らしい1曲であり、すごくいい曲だなと思ったんですけど、bonobosの蔡忠浩さんをすごく連想させる部分があって、だから俺、山内街子好きなんだと思ったというか。
みさと:この楽曲、特にそれを感じて、"ああ!"って繋がった感じがありますよね。
金子:これまでの曲は特別bonobos感を感じたわけじゃないんだけど、今回の曲に関してはすごく繋がるものを感じて、"そうか、そのあたりもきっと好きなんだろうな"という感覚が、僕が彼(山内街子)のことを好きな理由の1つでもあるんだろうなという、点と線が繋がった的な感じのする1曲でもありました。
みさと:「まちのじかん」という映画のタイトルに合うような、時計の針をモチーフにした楽曲になっているわけですけど、こういうテーマというか若干のザラつきのある声質というのがすごくフィットするなと思いながら、今回も楽しませてもらいました。あとテーマがあるものに対して、その話を広げて作っていくという、その作家性がもともと秀でていらっしゃいますよね。次作も楽しみです。そんなPart-2からはどうしましょう?
金子:Ivy to Fraudulent Gameの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回EPリリースです。
金子:半年ぶりぐらいのリリースですかね。
みさと:いやー、でも早いね。半年でまたEPって。素晴らしいですよね。
金子:今年は4月にファーストミニアルバム『行間にて』の再録版をリリースしていて、その後にファーストミニアルバムを出した当時に出演していたライブハウスを回る「"行間にて" tour REVIVAL」を、全公演ソールドアウトで東名阪を回っているということもあり、改めての原点回帰じゃないけど、Ivy to Fraudulent Gameらしさとは?というのを追求して、今の自分たちの音源を作った、それが今回の『inside = RED』という作品だと。Ivyってポップな側面もあるんだけど、今回の作品はよりオルタナティブな熱量の高いロックが印象的で、原点としてはそこがあるんだなというのを感じさせる作品にもなっていて。8月に先輩バンドをゲストに迎えて2マンツアーをやっていたりもするんですけど......。
みさと:良いテーマですね。
金子:そのときに招かれた先輩方が、cinema staff、LACCO TOWER、アルカラで、やっぱりオルタナティブな熱量が魅力的な人たちだったりするから、そういうIvyらしさみたいなものを再確認する1年であり、今回の作品なのかなという感じでした。
みさと:きっとツアーの中で感じていたことが解決したこともあっただろうし、きっとそこから生まれた疑問もあっただろうし、今回お送りする楽曲に関しては思考のバグ、認識のバグ、感情のバグ、このバグって今まで私はエラーだと思っていたんですけど、そういった全てのバグもありきでこれが自分だと。これがあるから1つなんだという感覚をこの曲に教えてもらったので、きっとそのツアーで揉まれて、そして憧れの人ではあるけれども憧れない、同じステージに立つというその経験がきっと彼らの今を教えてくれたんだろうなと思うと、こっちも胸が熱くなるような、そんなEPになっています。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。Part-3にははじめましてさんがいらっしゃいます。Dr.Musica。
金子:サウンドプロデューサーの増子巧望を中心とした音楽プロジェクトということで、増子くんは20歳という若者ですね。今年の3月に初めての楽曲「Error」をリリースして、それがすぐにSNSで反響を呼び、既に総再生回数250万回再生を記録して注目を集めていると。「Error」はアコギにスクラッチを絡めて、結構グルーヴィーな感じの曲だったんですけど、今回の「DODOMPA」に関してはよりロック色の強い曲になっていて。Vaundy以降といいますか、「音楽プロジェクト」とあるので、ソロなのかどうかの線引きも今のところはわからないんですけど、若くしてクリエイティブなクリエイターがどんどん出てきて、ジャンル関係なくクオリティの高い楽曲をリリースしている、そんな中にまた新たな才能が現れたなという感じがしています。
みさと:すごくビートとマッチするアタックのある歌い方もかっこいいので、ラップも上手そうだなと思ったし、なのにもともとの声質がすごく滑らかで丸いイメージがあるので、その声にも合うスムースなトラックもフィットするし、これだけ変則的なトラックに合わせられる表現力も既に持ち合わせているという、まあ末恐ろしい。注目ですね、Dr.Musicaです。続いて、小田奈都美さん。
金子:彼女は福岡を拠点に活動するシンガーソングライターで、ひさびさの新曲です。
みさと:どんどん良くなってません?
金子:良くなってる!
みさと:ね、別に過去が悪いって話じゃないんだけど。
金子:今回の曲すごく良かったですよね。彼女は伊豆スタジオでレコーディングをしていて、エンジニアが濱野泰政さんなので、FRIENDSHIP.的にはどうしてもカネコアヤノさんと比較しちゃう向きがあって、実際フォーキーで少しサイケな雰囲気があるから、それこそ過去作品を聴いた上ではカネコアヤノさん的な存在がまた出てきたのかな?みたいなイメージも正直あったんだけど、でも今回の曲は小田奈都美さんのオリジナリティがより濃くなってきているのがすごく感じられて。少しアンビエント寄りな雰囲気、柔らかさみたいな部分が前に出てくることによって、小田奈都美さんらしさが増した気がして、今回すごく良かったですね。
みさと:本当、同感です。きっと憧れている存在とか、行きたい場所と、自分がさらに持っている強みを伸ばせるところって違ったりするじゃないですか。これは経験だったり、何度もトライ&エラーしていくうちに見えてくることなのかなと思うし、すごく透明感のある小田さんの歌声というのは最大の武器で、その透明感がサウンドに溶け込むような音作りというのがどんどん奥行き、高さを思わせていく。これはさすがの布陣で作ったなというところも見えるし、彼女がフロントにいるという曲の強さみたいなものをとても感じられる1曲でした。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:井戸健人さんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:すごく良かった!全曲についてメモをしているネタ帳があるんですけど、何も書けなかった。"好き"しか書けなかった。
金子:僕は逆にいっぱい書きましたけど。
みさと:いっぱい書けた?いっぱい話してください。めっちゃ良かった。
金子:スーパーノアというバンドでも活動している井戸健人さんですけど、ソロとしては約2年半ぶりの新曲ですね。今回はこれまで宅録メインだったところから、たくさんのゲストミュージシャンに演奏を依頼して、演奏してもらったものを再編集して楽曲にしていると。だからこれまでのソロ作で培ってきた宅録感、編集感というものがありつつも、各楽器の音色だったり演奏だったりがさらに研ぎ澄まされることによって、楽曲としての説得力も増しているという。本当にすごくいい曲で、6分半ぐらいあるんですけど、その流れを生む物語性も高いし、アレンジ自体が素晴らしくて、ポール・マッカートニーからスフィアン・スティーブンスに至る、ポップ・マエストロ的な井戸さんの存在感というのを改めて感じさせる曲でした。
みさと:それこそ、劇伴のような物語性みたいなものをすごく感じるし、こういう音の選び方をするんだなという新しい発見であったりとか、でも井戸健人さんのこの声じゃなきゃダメなんだよなとか、今回たくさんの方たちが参加されて1曲を作り上げているわけなんですけど、そういう人たちを唸らせるような楽曲になっているなと思うと、未来が明るいですね。
金子:彼がこれまで長く活動してきた中で出会ってきた信頼できるミュージシャンたちと一緒にやっているという、きっとそこにもストーリーがあるでしょうね。
みさと:いやー、もう何も言えない!
番組の後半はYAJICO GIRLがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10