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2024.10.13
New Release Digest Part 1
みさと:10月5日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全20作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはLarge House Satisfaction。
金子:かなりひさびさのリリースで、11月に5年ぶりのフルアルバムが出るということなんですけど。
みさと:待望ですね。
金子:もともと結成は2005年なので、キャリアは結構長くて、現在はボーカルギターとベースの小林兄弟がメンバー。今年はイギリスの方でも、兄弟のバンドがひさしぶりに動き出すということが発表されてますけど。
みさと:本当にリハ中に喧嘩しないのか、私はまだ不安で仕方ないですけどね。
金子:という説もかなり濃厚ではありますが(笑)、こちらの兄弟はちゃんと復活をしてくれたということで。ロックンロール色があるので、例のイギリスのバンド、まあOasisですけど(笑)、とかにも少し通じる部分があったりしつつ、でも日本のロックバンドらしさもしっかりあって、かっこいいバンドですね。
みさと:歪みの中の言葉と声の強さがとても際立つ、叫ばずとも心の奥までズドーンと来るような、そんなロックンロールバンドだなという感じがしました。続いてもロックバンドですね。Hoboken Surprise。
金子:前作からは1年半ぶりのEPということで。彼らは栃木の宇都宮を拠点に活動しているわけですけど、東京だけじゃなくて関東の色んなところからバンドが出てきているのはすごくいいなと思うし、タイトル曲の「Low resolution」に関しては英詞なんですけど、今回5曲中4曲で日本語詞を使っていて、そこは意欲的な作品になっていると。こういう90年代USインディー的なサウンド、僕は好物なのでやっぱり好きですね。
みさと:英語詞、日本語詞のどちらかにこだわるわけではなくて、自分たちが持てるものの全てを出している感じも潔さがあってかっこいいし、その潔さというのがサウンドにもいつも反映されている、そんなバンドだなと思って、硬派ですよね。すごくかっこいいバンドです。EPリリースおめでとうございます。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:The fin.の新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回もまた新境地。毎回、新境地と言っている気がしますが。
金子:7月に「Towards the Sun」という曲を出していて、そこから2ヶ月ちょっとぶりの新曲ですけど、今のThe fin.はエレガントさみたいな部分がより強まっていて、今回の曲もピアノのリフレインやサックスがすごく印象的で。さらに言うと、資料を見ていたら、「ドラマーとしてひさしぶりに参加した相方のNakazawa」と書いてあって、Nakazawaくんがドラム叩いてるんですかね?
みさと:そういうこと?知らなかった、叩けるの。多彩だな、みんな。すごいですね。あとはサックスがHinata Ishiiくん、今ライブでお馴染みの彼ですけど、まるで4人目のメンバーというか、じゃあ3人目の松浦大樹(She Her Her Hers, saccharin)もメンバーなんじゃないかと思わせるような、チームとして今いい感じなんだなというのが伺える、そんな1曲になっていましたし、この曲に関してはYutoくんの大島での特別な体験から生まれたというところで、自分自身で作り上げられない、自然界のこの瞬間でしか生まれないミラクルから、この曲にインスパイアされたという荘厳さ、上品さが生まれていると思うし、あとはミラクルな、スペシャルな体験から、より開かれた感というのがサウンドからすごく伝わってくる1曲でした。
金子:前に「海から出てきた」みたいな話をしましたけど、前回の曲が「Towards the Sun」で、太陽に向かっていて、今回も「Alone in the Sky」だから、宙に浮いているようなイメージで、そういうところもサウンドの広がりとリンクする部分かもしれないですね。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。さあさあ、giue。
金子:giue、やっぱりいいバンドですね。
みさと:いいね。好きです。
金子:少し弛緩したサイケデリアみたいな部分と、でもソングライティングはポップだったりもして、バランスがちょうどいいなという感じがすごくして。先週hyouがえんぷていの奥中くんプロデュースの曲をリリースしていて、hyouは最近インディーシーンのいろんな面白い人たちがプロデュースで参加しているという話をしましたけど、サイケ感みたいな部分だと、えんぷていとgiueは少し通じる部分もある気がして、今度はgiueがhyouのプロデュースとかしても面白いかもと思ったりしました。
みさと:今回の曲に関してもショートフィルムを観ているような、シーンが巡っていくようなサウンド感があって、その中に気だるい日常が見えてくるという、知的であり、文学作品のような、単館映画館で観たくなるような、そんな3分、4分を作り上げられるってすごいバンドですね。続いて、Tomato Ketchup Boys。
金子:Tomato Ketchup Boysはアルバムが完成しました。
みさと:おめでとうございます。新しい区切りを経て。私やっぱり今のTomato Ketchup Boysが好き。
金子:現在は東京から地元に戻って、静岡県浜松市を拠点にメンバーで共同生活をしながら活動をしている、そんな彼らの物語がアルバム全体に詰め込まれています。「Secret Order」はアルバムの2曲目なんですけど、1曲目がイントロダクション的な感じなので、実質的には1曲目みたいな感じになっていて、序盤はミドルテンポで進んでいき、途中から加速していくような構成になってるんですけど、言ってみたら、それ自体がある種の喪失と再生を描いているというか。東京で、ある意味夢破れたのかもしれないけど、もう一度地元の静岡で、そこから再生していっているという、その流れがこの1曲だけでも表されているような感じがして、アルバムのオープナーとしてめちゃめちゃいいなと思いました。
みさと:1曲の中で2曲・3曲分の構成であったりギミックが詰め込まれているというのが、本当に音楽的素用がとても高いバンドだなというのをいつも感じているところと、あと新しい区切りというところをまたいでも、今が一番いいよねと思わせる、多分、古参のファンの方たちも納得できるようなアルバムになっているんだろうなと思うと、大きなものを手放したけれども、それ以上のハイリスク・ハイリターンな結果になっているんじゃないかなと思える作品だったかなと思います。すごくいいアルバムでした。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:有元キイチの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回は「叫ぼう/必然」の2曲のシングルです。
金子:ODD Foot Worksとしてもリリースを重ねていますけど、ソロでは今年の1月にEP『Tama,Tokyo』が出ていて、それ以来のリリースというところで。オドフットでも最近は結構歌っていて、それが新たな色になっているわけですけど、オドフットだとそこにPecoriくんのラップも加わって、よりラジカルに、かつ曲によってはかなりスケール感があったりするのに対して、ソロになるとよりスタンダード感があるというか、歌の側面がより前に出ていて。今回の「叫ぼう」に関してもそんな感じがすごくしたし、あとこの曲に関しては歌詞で〈こんな土曜の夜1人じゃいれない〉と歌っていて。
みさと:私も思った(笑)。
金子:この時間のテーマ曲としてもいいんじゃないでしょうか?という感じが(笑)。
みさと:勝手に採用させていただきたいと思います(笑)。やっぱり有元キイチくん、オドフットやプロデューサーとしてもずっと活動してきて、ステージには上がっていても、フロントではないというか、そういう自分自身を信じて心の底にある叫びを具現化し始めたのがこのソロプロジェクトなのかなと思っているので、彼がそうであるか分からないですけど、コロナ禍を経て自分が本当にどういう人生を歩みたいのか、自分が本当に願っていることはどうなのかと自問自答している人って少なからずいたと思うんですよね。そんな人にすごく刺さる歌詞になっているので、彼自身の"叫ぼう"が綴られてはいるんですけど、共感性の高い曲になっているかと思います。
金子:実際たくさんの声が入っている曲でもあるから、それぞれの内側にあるものに響く曲になっていますよね。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。毎週のようにリリースをしてくださっているShimon Hoshinoさん、Shimon Hoshino、invisible design、hario island、3名義で活動されているんですけど、なんと今回、いつもインストなのに......歌っています!
金子:歌ってましたねえ。
みさと:初めてじゃない?
金子:自ら作詞、歌唱もしているそうですよ。
みさと:あらま、どこまで活動を広げていくのか。
金子:また新たな領域に入ってきましたね。
みさと:じっくり聴いていただきたいですね。そして続いてはmajiko。
金子:majikoは前回の曲からFRIENDSHIP.でのリリースをスタートしていて、そのときにもチラッと喋ったと思うんですけど、彼女はネットシーンの先駆け的な存在で、今回の曲を聴くとそれが改めてわかるというか、いわゆるボカロ以降のシーンともすごくフィットする、アップテンポな曲調であり、早口で捲し立てるようなボーカルだったり、まさに!という感じがして。そして、それは彼女がこれまでもずっとやってきたことだというのを感じさせる曲になっていたかなと思います。
みさと:タイトルは「ダークヒーロー」なんですけど、最近映画のスピンオフ作品多いじゃないですか。悪役がなぜ悪役になってしまったのか、あのストーリーを観るだけで、"そうか、人の数だけ正義があるのか"とか考えてしまうというか。それでよりキャラクターが好きになってしまうんですけど、まさにそういうテーマ性を持っている一曲になっていて、闇落ちヒーローの苦悩だったりとか、でもそれが実は自分にもフィットするところがあったりとか、アニメや漫画やそういった世界観の話なのに、日常に落とし込まれるような、それってボカロの持つ一つのシーンなのかなと思うので、いい曲でしたね。
金子:「ダークヒーロー」というタイトルでこのポップな曲調なのもまたいいですよね。
みさと:アレンジもすごくコミカルで良かったですよね。続いて、DALLJUB STEP CLUBです。
金子:ダルジャブは今年何枚アルバムを出すんだ?という感じですけど、これで4枚目なんですよね。最近はリアレンジアルバムのシリーズを出していて、今回は3rdアルバム『SANMAIME』をリアレンジして『NIMAIME』と。
みさと:もう何枚目か分からなくなってきましたね(笑)。
金子:リアレンジなんですけど、今回は星くんのボーカルをメインで使って、ラップしたりもしていて、ポップな仕上がりになっているところがこれまでとは少し違うアプローチになっていて。もともと前まで森心言くんがボーカルとしていて、ポップなアプローチもしていたし、GOTOくんは最近ドラマーとしてポップスの方にもアプローチしているし、ベースミュージックとしての高い音楽性は備えつつ、ちゃんとポップにもアプローチできるというバンドの幅広さを示している作品になっているかなと。
みさと:今までの自分たちの曲をここまでアレンジできる奥深さというか、他人がやっているなら分かるんですよ。新しい視点で、やっぱり新しい楽曲だなと思うんだけど、同じ人が作っているんですよね?というぐらいの、ここまで変わっちゃうかという驚きを毎回味わわせてくれて、リアレンジというより新曲を出しましたくらいの気持ちで聴かせてもらっています。今後も楽しみです。あと少し懐かしい感じがしますね、このサウンドね。それも聴き心地が良くて、楽しませてもらっています。そんなPart-3からお送りするのはどうしましょう?
金子:Sigma-Tを紹介しようと思います。
みさと:Sigma-T、はじめましてですね。
金子:単体でははじめましてなんですけど、去年WAZGOGGとコラボレーションをしていて、それでFRIENDSHIP.から一曲出しているというのはありつつ、単体では初めて。なので、改めて自己紹介をしておくと、「ベッドが似合うチルポップをコンセプトに活動を行うラッパーでありトラックメイカー。日常を切り取ったようなリリックと、ファンタジーとヒップホップを融合したような遊び心のあるサウンドが特徴的」と。
みさと:なるほど。
金子:そして、今回の曲には福岡を拠点に活動しているShun Marunoがプロデューサーとして参加していると。
みさと:Shunさん聞いてますか〜?
金子:同じく福岡のRin音とかも手掛けている方ですけど、Shunさんが参加したことによって、Sigma-Tがもともと持っているチルポップをよりメロウに、グルーヴィーに楽曲に落とし込んでいて、素晴らしい曲になったなと。
みさと:すごく完成度高いですよね。今回の曲は「主人公である女性が、恋をしている男性に都合の良い関係を求められてしまう。自分が理想とする関係からは"離れていってしまう"けど、男性が"離れていかない"ように引き留めてしまう、その矛盾、苦しい思い」をテーマにされているということなんですけど、その歌詞・世界観とチルな感じというのも、夜のアダルトなニュアンスが出ていてとても良かったですし、この主人公が女性でこの苦悩を歌っているわけじゃないですか。それが男性の声というところの矛盾も、最初はどうなのかなと思っていたんですけど、そういう女性にとって、辛いときに寄り添ってほしい声だったんですよね。
金子:なるほど。
みさと:すごく男性らしい声ではないじゃないですか。少し中性的に近いような、優しさのある声質・歌声をされていらっしゃるから、苦しいときに"あ、こういう声で慰めてほしいな"という感じが、辛いときに聴きたくなる曲になったんじゃないかなと思います。
番組の後半はTHE LOCAL PINTSがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武、そしてFRIENDSHIP.のキュレーターの平大助の3人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10