SENSA

2024.09.24

FEAT. by FRIENDSHIP.、圧倒的な個性とクオリティを兼ね備えたVivaOla・Laura day romance・Enfantsら5組によるフレッシュで刺激的な夜。

FEAT. by FRIENDSHIP.、圧倒的な個性とクオリティを兼ね備えたVivaOla・Laura day romance・Enfantsら5組によるフレッシュで刺激的な夜。

 音楽ディストリビューション&プロモーションサービス「FRIENDSHIP.」がキュレートするライヴイベント〈FEAT. by FRIENDSHIP.〉が9月20日、東京・渋谷 CLUB QUATTROで開催された。
 今年2月に続き、2回目の開催となった〈FEAT. by FRIENDSHIP.〉。FRIENDSHIP.がオススメするアーティストや楽曲をセレクトしているSpotifyのプレイリスト「FEAT.」(フィーチャー)と同じタイトルが掲げられたこのイベントは、プレイリストで音源を聴くだけでなく、アーティストのライヴを気軽に体感してほしいというコンセプトのもと、前売りチケットが1500円(税込)と破格の値段で楽しむことができる。
 今回出演したのは、Enfants、First Love is Never Returned、アツキタケトモ、Laura day romance、VivaOla。圧倒的な個性とクオリティを兼ね備えた5組のアーティストによる、フレッシュで刺激的な共演が実現した。

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 最初に登場したのは、札幌を拠点に活動している5人組バンド、First Love is Never Returned。お互いのテンションを確かめるように軽くセッションした後、Kazuki Ishida(Vo/G/Key)の鍵盤の弾き語りからライブはスタート。しやなかで力強いバンドグルーヴが立ち上がり、フロアの観客がゆったりと身体を揺らし始める。R&B、ソウルミュージック、シティポップなどのテイストを血肉化した音楽性が彼らの特長だが、ライブで体感すると想像以上にパワフルで、ガツンと来る。その中心はやはりKazuki Ishidaのソウルフルなボーカルだ。

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「札幌は夜になると12~13℃で厚めのアウターが必要なんですけど、羽田空港に着いたら熱気を感じて。東京はまだ夏ですね!」(Keita Kotakemori(G/Key/Cho)というMCの後は、EP『POP OUT! Ⅱ』に収録された「バックミラー」。観客は手拍子で応え、心地よい一体感へとつながった。Yuji Sato(B)、Mizuki Tsunemoto(Dr)が繰り出す多彩なリズム、楽曲に彩りを与えるArata Yamamoto(G/Cho)のギタープレイを含め、自らの魅力を存分に発揮したステージだった。11月~12月にかけて行われるキャリア初のワンマンツアーも楽しみだ。

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 ステージ転換中は四方颯人(YAJICO GIRL)のDJタイム。この時間帯はグルーヴィーな楽曲が中心で、フロアのテンションをゆっくりと上げていく。

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 2番手として登場したのは、アツキタケトモ。DJを含む5人編成のバンドを従え、冒頭からダンサブルな楽曲を繋げていく。濃密なグルーヴをたたえた歌声が響き、観客も手を挙げたり、ハンドクラップで応える。「フライデーナイト、音楽に身を任せてください」というMC、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」のジョン・トラボルタ風のアクションを取り入れたパフォーマンスも楽しい。

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 ライブ中盤では最新曲「luv U」を披露。ドラマティックなメロディライン、強めのファルセットを交えた歌声からは、彼の新たな進化が実感できた。さらにこの日、今後は"Nolzy"として活動をしていくことを発表。「身近にある大切なものを表現していくことは、これからも変わりません」という言葉に導かれた代表曲「キスミー」における奥深いボーカルも強く心に残った。2025年2月2日(日)には渋谷WWWで初の主催自主イベント「Nolzy pre. FAV SPACE_」の開催も決定!

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 続いては、韓国生まれ、東京育ちのR&Bシンガーソングライター、VivaOlaのステージへ。ヘビィロックを想起させるバンドサウンドとともに登場した彼は、快楽的なフロウと鋭利な手触りを兼ね備えたボーカリゼーションを響かせ、観客をグッと引き寄せる。その後もサブベースを強調したヒップホップ系のナンバー、ギターと歌を軸にしたメロウな楽曲などを繋げ、自身の音楽観、アーティスト性をダイレクトに示してみせた。ベースボールキャップを目深にかぶり、淡々と歌い続けるステージングも印象的だ。

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「自分がやっているのはR&Bなんだけど、次の曲でバイヴスをキャッチしてもらえたら」というMCから始まったのは「GIVE MINE」。見返りを求めてしまう人間関係を描いたこの曲は、VivaOlaの本質がしっかりと反映されていた。この日のセットリストは今年3月にリリースされたアルバム「APORIE VIVANT」の楽曲が中心だったが、「久々に作りました」という未発表の新曲も披露。35分間で(イントロを含め)11曲を凝縮した圧巻のステージだった。

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 ギターロック、ドリームポップ、オルタナなどの要素を独創的かつポップに昇華した楽曲、プレイヤーの個性を存分に生かしたアンサンブル、そして、凛とした強さとフラジャイルな儚さを同時に感じさせるボーカル。Laura day romanceはこの日、バンドとしての存在意義をダイレクトに体現してみせた。

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 井上花月(Vo)、鈴木迅(Gt)、礒本雄太(Dr)の布陣で、今年に入ってから3作のデジタルシングルを発表。新曲を中心としたこの日の構成からは"今のローラズを見せつけたい"という意思が滲み出ていたように思う。シンプルで鋭利なバンドサウンドのなかで、〈分かり合えるなんて夢のまた夢だね〉と歌う「Young Life」もそうだが、どこか淡々とした表情の奥にきわめて強いエモーションを感じさせる井上のボーカルは本当に魅力的。観客を煽ることは一切せず、音楽だけを介したコミュニケーションの取り方にも強く惹きつけられた。ライブ終盤では、最新曲の「渚で会いましょう」を演奏。10月から始まる全国ツアーにも大いに期待したい。

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ライヴイベント〈FEAT. by FRIENDSHIP.〉東京公演のラストを飾ったのは、Enfants。2021年末に活動を終了したLAMP IN TERRENの松本大(Vo,Gt)を中心としたバンドだ。今年1月にEP「E.」を発表。3月に待望の初ワンマンライブを(この日の会場と同じ)渋谷CLUB QUATTROで開催し、7月には早くも新作EP「D.」をリリースするなど、確実に活動のペースと濃度を上げているEnfantsはこの夜も、現在の充実ぶりをはっきりと証明してみせた。グランジ、オルタナ、ニューウェイブなどのテイストを織り交ぜたサウンドはしっかりとルーツに根ざしながらも決して予定調和に留まらず、爆発力と斬新さを炸裂させ、"この日、この場所"でしか生まれない音楽へと結びつける。凄まじい爆音を突き抜けるように響く、松本大のデカくて強いボーカルはまさに圧巻だ。

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「デッドエンド」の"冷徹なダークネス"と称すべき音像に圧倒されていると、松本が観客に向かって話しかける。自分にはやりたいことがまだまだあるが、決して満たされることはない。とにかく自分の欲求を一つ一つ満たすしかないが、それは欲深いのだろうか......と取り留めもなく話した後、「辛いことがあったから、こんなMCになってしまった。楽しくやろう!」と叫び、後半はアッパーチューンを連発。衝動に貫かれたパフォーマンスを繰り広げ、イベントはエンディングを迎えた。

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 ジャンルもキャリアもスタイルもまったく違う5組の共演は、決してショーケース的ではなく、それぞれのオリジナリティがぶつかり合うような有機的なステージへと結実した。9月27日(金)には大阪・梅田 CLUB QUATTROでの2公演で開催される〈FEAT. by FRIENDSHIP.〉。今聴くべき、今観るべき5組のライブをぜひ、現地で体感してほしい。

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文:森朋之
撮影:エドソウタ

LIVE INFORMATION

FEAT. by FRIENDSHIP.
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2024年9月27日(金)
大阪・梅田 CLUB QUATTRO

開場 17:00 開演 18:00
出演:Enfants、First Love is Never Returned、アツキタケトモ、Laura day romance、VivaOla
大阪公演DJ:釡中健伍(DENIMS)

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Apple プレイリスト「FEAT.」
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