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2024.05.21
KANA-BOONがワンマンライブ「KANA-BOON ONE-MAN LIVE "SUPER PHOENIX"」(5月14日/大阪・梅田CLUB QUATTRO 17日/東京・WWW X)を開催した。
昨年12月から開催予定だったメジャーデビュー10周年を記念したライブ(47都道府県ツアー、日本武道館公演)はキャンセルとなり、活動休止を余儀なくされたKANA-BOON。約半年ぶりのステージとなる"SUPER PHOENIX"は、KANA-BOONの新たな旅立ちを告げる、きわめて大きな意味を持つライブとなった。
このライブが発表された際に、谷口鮪(Vo, G)は「復活!俺たちスーパーフェニックス!」「おかげさまで準備完了です。再出発は最高の笑顔と大きな音で、満ち溢れるエネルギーをこれでもかとお届けします」、遠藤昌巳(B)は「長らくご心配をお掛けし、お待たせしてすみません。鮪と共にステージに立つこと、そして大好きな場所でまたお会いできるのが本当に嬉しいです」とコメント。その言葉通り、笑顔と真摯な姿勢、そして、"新しいKANA-BOON"のスタートをダイレクトに体現する圧巻のステージが繰り広げられた。
照明が落とされ、オープニングSEが流れた瞬間、フロアを埋め尽くした観客は大きな歓声を上げ、SEのテンポを追い越すような勢いで手拍子を鳴らす。谷口と遠藤はステージに笑顔で登場、まずは谷口が「復活!」と叫ぶ。「楽しむ準備はできてますでしょうか、渋谷! 俺たちに力を貸してくれるサポートメンバーを紹介しよう。ギター、ヨコイタカユキ! ドラム、関優梨子! 忘れてた、ベースはマーシー! そして谷口鮪です。どうぞよろしく!」とメンバーを紹介し、「よっしゃ始めるか!」と1曲目の「シルエット」へ。イントロが始まったとたんに会場全体のテンションがグッと上がる。「泣くな!」「笑え!」「歌え!」と笑顔で叫ぶ谷口自身も感極まっているように見える。
続く「1.2. step to you」では「みんなで言えるか!?」(谷口)という呼びかけに反応し、オーディエンスが「ワン、ツー、スリー、フォー!」と叫び、4人の演奏もさらにパワーアップ。「君に会いに来ました!」(谷口)という言葉に導かれた「彷徨う日々とファンファーレ 」のサビのパートではシンガロングが発生し、心地よい一体感へと結びつく。冒頭3曲の体感時間はまさに秒。瞬く間にステージとフロアの距離を縮め、「KANA-BOONが帰ってきた!」という感動と興奮を生み出してみせた。
オーディエンスからの「おかえり!」という声に対し、「ただいま!」と返す谷口はやっぱり笑顔。「待たせたね! ライブがないなんて生き地獄だったよ、俺にとっては。やっと今日が来ましたね。楽しみにしてましたか? みんなの顔が見れてよかった」と再びステージに戻ってこられたことの喜びを言葉にした。さらに「エーオ!」と(フレディ・マーキュリーみたいな)コール&レスポンスを挟み、「もう既に最高潮なんだけど、まだ最高じゃないよね? 最高にアガる曲をやりましょう! 何が出るかな何が出るかな......『タイムアウト』!」とシャウト、激しいドラムフレーズ、ヘビィなギターリフが鳴り響き、観客はハンドクラップと大合唱で応える。マーシー&関によるしなやかで力強いグルーヴ、ヨコイの派手でメロディアスなギターソロも最高。かなりリハーサルを重ねたようなだけあって、バンドらしいダイナミズムをしっかりと感じることができた。
極上のアッパーチューン「FLYERS」では谷口がハンドマイクで熱唱。ステージ前方に出て、オーディエンスとさらに密接なコミュニケーションを取る。さらに初期の代表曲「フルドライブ」を放ち、会場のテンションは最初のピークへ。谷口のギターの音が出ず1番のパートはハンドマイクで歌ったのだが、そんなトラブルも勢いに替えて、さらなる高揚感へと結びつけてみせた。そして「ライブの打ち上げはやっぱり中華ですよね。中華と言えばチャーハン!」(谷口)というMCからはじまったのは「ないものねだり」(←この曲のMVは中華料理店の厨房でチャーハンを作っている場面からはじまります)。「久しぶりに一緒に歌うか!」からはじまったサビの大合唱、「ゆらゆらゆらゆら ただいま!」「おかえり!」のやり取りも楽しい。
「ライブがない生活はマジで退屈でした。マーシーと一緒に箱根に行ったり、2人で神社行って、身を清めて(笑)」「でも、なんか物足りなくて。ライブがないと人生楽しくないってハッキリわかった。たぶんみんなも同じ感覚だったと思うんですけど、今日はその退屈を思い切り晴らしに来たので、最後までよろしくおねがいします」(谷口)。そんな言葉の後に演奏されたのは、音楽についての楽曲「MUSiC」。切なさとエモさを含んだメロディとともに〈MUSIC 君の耳に届いて、心にインプットして〉というラインが真っ直ぐに伝わってきて、ライブの雰囲気は少しずつ"歌をじっくりと聴く"というモードに移り変わっていく。谷口のギターフレーズと関のドラムからはじまった「結晶星」では、先が見通せない状況のなか〈未来をどうにか変えていこう〉というフレーズが心に響いた。「よし」と自分に言い聞かせるように呟いてから歌ったのは「さくらのうた」。ノスタルジックに響くメロディ、"君"への思いを抒情的に綴った歌詞によって、豊かで切ない感情が広がっていく。そして個人的にもっとも心に残ったのは「スタンドバイミー」だった。エモーショナルな演奏と歌、〈もう一度、 一緒に歌おう/僕はやれる、君はやれる〉という歌詞。ステージを見ながら筆者は、"大きな試練にぶつかったKANA-BOONが、自らの楽曲で自分たちを鼓舞している"という印象を強く持ったのだった。
ここで谷口は「ただ楽しい時間というのも良かったんですけど、みんなに俺の口からちゃんと話をしないと、俺が納得しないなと思って」と、活動休止からライブ再開までの経緯を話しはじめた。メンバー2人が抜けて、高校のときからの仲間と長く、楽しくバンドをやるという夢が途切れたこと。"優しさと甘さは違う。音楽をやるうえで甘さは認められない"という思いで、最終的には谷口自身が「もう一緒にやれないね」と決断したことーー。
「みんなのなかには寂しさ、やるせなさを感じていたり、"楽しめるだろうか?"と思っている人もいると思うけど、それは否定しない。それは時が解決するだろうし、俺が解決する。マーシー、サポートメンバーと一緒に新しいKANA-BOONを作っていくので。それでもよければこれからも応援してやってください」
そんな真摯な言葉に対し、会場からは大きく、温かい拍手が送られた。
「俺を見て、"こんな人生もアリなんだ""あんなことがあっても、こんなことがあっても、あいつ何度でも立ち上がるぞ"と思ってくれたらなと。きっとあなたの助けになると思います」というMCに導かれたのは、「フカ」。ひとつひとつのフレーズに濃密な感情を刻んだ演奏、そして、〈始まりを歌うよ/怖いものなどないよ〉というフレーズは、すべての観客の心に強く刻まれたはずだ。本編の最後は「まっさら」。オーディエンスの力強い手拍子とシンガロングが鳴り響き、"君"とつながっていたいという真っ直ぐな思いがフロア全体を包み込んだ。
鳴りやまない拍手と手拍子に導かれ、谷口とマーシーは再び満面の笑顔でステージに登場。「今作ってる曲が18曲あります」と制作を続けていること、さらに秋からのワンマンツアーを発表し、オーディエンスからは歓喜の声が沸き上がった。そして「じゃあアンコール行きましょう、みんな楽しんで!!」と「スターマーカー」「ソングオブザデッド」「ネリネ」とポジティブに突き進むアッパーチューンを続けて披露。ライブはエンディングを迎えた。
2024年10月から11月にかけて全国9都市を回るワンマンツアーも決定。すべてを引き受け、ここから新しいKANA-BOONが始まる。その軌跡をぜひ、多くの音楽ファンと共有したいと心から願う。
文:森朋之
撮影:マスダカイ
2024年10月21日(月) 仙台 Rensa
2024年10月23日(水) 札幌 cube garden
2024年11月3日(日) 高松 DIME
2024年11月4日(月・振休) 広島 LIVE VANQUISH
2024年11月14日(木) 名古屋 BOTTOM LINE
2024年11月21日(木) 福岡 BEAT STATION
2024年11月25日(月) 大阪 GORILLA HALL
2024年11月28日(木) 川崎 CLUB CITTA'
ツアータイトルやチケット先行スケジュールなどの詳細は後日発表
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昨年12月から開催予定だったメジャーデビュー10周年を記念したライブ(47都道府県ツアー、日本武道館公演)はキャンセルとなり、活動休止を余儀なくされたKANA-BOON。約半年ぶりのステージとなる"SUPER PHOENIX"は、KANA-BOONの新たな旅立ちを告げる、きわめて大きな意味を持つライブとなった。
このライブが発表された際に、谷口鮪(Vo, G)は「復活!俺たちスーパーフェニックス!」「おかげさまで準備完了です。再出発は最高の笑顔と大きな音で、満ち溢れるエネルギーをこれでもかとお届けします」、遠藤昌巳(B)は「長らくご心配をお掛けし、お待たせしてすみません。鮪と共にステージに立つこと、そして大好きな場所でまたお会いできるのが本当に嬉しいです」とコメント。その言葉通り、笑顔と真摯な姿勢、そして、"新しいKANA-BOON"のスタートをダイレクトに体現する圧巻のステージが繰り広げられた。
照明が落とされ、オープニングSEが流れた瞬間、フロアを埋め尽くした観客は大きな歓声を上げ、SEのテンポを追い越すような勢いで手拍子を鳴らす。谷口と遠藤はステージに笑顔で登場、まずは谷口が「復活!」と叫ぶ。「楽しむ準備はできてますでしょうか、渋谷! 俺たちに力を貸してくれるサポートメンバーを紹介しよう。ギター、ヨコイタカユキ! ドラム、関優梨子! 忘れてた、ベースはマーシー! そして谷口鮪です。どうぞよろしく!」とメンバーを紹介し、「よっしゃ始めるか!」と1曲目の「シルエット」へ。イントロが始まったとたんに会場全体のテンションがグッと上がる。「泣くな!」「笑え!」「歌え!」と笑顔で叫ぶ谷口自身も感極まっているように見える。
続く「1.2. step to you」では「みんなで言えるか!?」(谷口)という呼びかけに反応し、オーディエンスが「ワン、ツー、スリー、フォー!」と叫び、4人の演奏もさらにパワーアップ。「君に会いに来ました!」(谷口)という言葉に導かれた「彷徨う日々とファンファーレ 」のサビのパートではシンガロングが発生し、心地よい一体感へと結びつく。冒頭3曲の体感時間はまさに秒。瞬く間にステージとフロアの距離を縮め、「KANA-BOONが帰ってきた!」という感動と興奮を生み出してみせた。
オーディエンスからの「おかえり!」という声に対し、「ただいま!」と返す谷口はやっぱり笑顔。「待たせたね! ライブがないなんて生き地獄だったよ、俺にとっては。やっと今日が来ましたね。楽しみにしてましたか? みんなの顔が見れてよかった」と再びステージに戻ってこられたことの喜びを言葉にした。さらに「エーオ!」と(フレディ・マーキュリーみたいな)コール&レスポンスを挟み、「もう既に最高潮なんだけど、まだ最高じゃないよね? 最高にアガる曲をやりましょう! 何が出るかな何が出るかな......『タイムアウト』!」とシャウト、激しいドラムフレーズ、ヘビィなギターリフが鳴り響き、観客はハンドクラップと大合唱で応える。マーシー&関によるしなやかで力強いグルーヴ、ヨコイの派手でメロディアスなギターソロも最高。かなりリハーサルを重ねたようなだけあって、バンドらしいダイナミズムをしっかりと感じることができた。
極上のアッパーチューン「FLYERS」では谷口がハンドマイクで熱唱。ステージ前方に出て、オーディエンスとさらに密接なコミュニケーションを取る。さらに初期の代表曲「フルドライブ」を放ち、会場のテンションは最初のピークへ。谷口のギターの音が出ず1番のパートはハンドマイクで歌ったのだが、そんなトラブルも勢いに替えて、さらなる高揚感へと結びつけてみせた。そして「ライブの打ち上げはやっぱり中華ですよね。中華と言えばチャーハン!」(谷口)というMCからはじまったのは「ないものねだり」(←この曲のMVは中華料理店の厨房でチャーハンを作っている場面からはじまります)。「久しぶりに一緒に歌うか!」からはじまったサビの大合唱、「ゆらゆらゆらゆら ただいま!」「おかえり!」のやり取りも楽しい。
「ライブがない生活はマジで退屈でした。マーシーと一緒に箱根に行ったり、2人で神社行って、身を清めて(笑)」「でも、なんか物足りなくて。ライブがないと人生楽しくないってハッキリわかった。たぶんみんなも同じ感覚だったと思うんですけど、今日はその退屈を思い切り晴らしに来たので、最後までよろしくおねがいします」(谷口)。そんな言葉の後に演奏されたのは、音楽についての楽曲「MUSiC」。切なさとエモさを含んだメロディとともに〈MUSIC 君の耳に届いて、心にインプットして〉というラインが真っ直ぐに伝わってきて、ライブの雰囲気は少しずつ"歌をじっくりと聴く"というモードに移り変わっていく。谷口のギターフレーズと関のドラムからはじまった「結晶星」では、先が見通せない状況のなか〈未来をどうにか変えていこう〉というフレーズが心に響いた。「よし」と自分に言い聞かせるように呟いてから歌ったのは「さくらのうた」。ノスタルジックに響くメロディ、"君"への思いを抒情的に綴った歌詞によって、豊かで切ない感情が広がっていく。そして個人的にもっとも心に残ったのは「スタンドバイミー」だった。エモーショナルな演奏と歌、〈もう一度、 一緒に歌おう/僕はやれる、君はやれる〉という歌詞。ステージを見ながら筆者は、"大きな試練にぶつかったKANA-BOONが、自らの楽曲で自分たちを鼓舞している"という印象を強く持ったのだった。
ここで谷口は「ただ楽しい時間というのも良かったんですけど、みんなに俺の口からちゃんと話をしないと、俺が納得しないなと思って」と、活動休止からライブ再開までの経緯を話しはじめた。メンバー2人が抜けて、高校のときからの仲間と長く、楽しくバンドをやるという夢が途切れたこと。"優しさと甘さは違う。音楽をやるうえで甘さは認められない"という思いで、最終的には谷口自身が「もう一緒にやれないね」と決断したことーー。
「みんなのなかには寂しさ、やるせなさを感じていたり、"楽しめるだろうか?"と思っている人もいると思うけど、それは否定しない。それは時が解決するだろうし、俺が解決する。マーシー、サポートメンバーと一緒に新しいKANA-BOONを作っていくので。それでもよければこれからも応援してやってください」
そんな真摯な言葉に対し、会場からは大きく、温かい拍手が送られた。
「俺を見て、"こんな人生もアリなんだ""あんなことがあっても、こんなことがあっても、あいつ何度でも立ち上がるぞ"と思ってくれたらなと。きっとあなたの助けになると思います」というMCに導かれたのは、「フカ」。ひとつひとつのフレーズに濃密な感情を刻んだ演奏、そして、〈始まりを歌うよ/怖いものなどないよ〉というフレーズは、すべての観客の心に強く刻まれたはずだ。本編の最後は「まっさら」。オーディエンスの力強い手拍子とシンガロングが鳴り響き、"君"とつながっていたいという真っ直ぐな思いがフロア全体を包み込んだ。
鳴りやまない拍手と手拍子に導かれ、谷口とマーシーは再び満面の笑顔でステージに登場。「今作ってる曲が18曲あります」と制作を続けていること、さらに秋からのワンマンツアーを発表し、オーディエンスからは歓喜の声が沸き上がった。そして「じゃあアンコール行きましょう、みんな楽しんで!!」と「スターマーカー」「ソングオブザデッド」「ネリネ」とポジティブに突き進むアッパーチューンを続けて披露。ライブはエンディングを迎えた。
2024年10月から11月にかけて全国9都市を回るワンマンツアーも決定。すべてを引き受け、ここから新しいKANA-BOONが始まる。その軌跡をぜひ、多くの音楽ファンと共有したいと心から願う。
文:森朋之
撮影:マスダカイ
「KANA-BOON ONE-MAN LIVE "SUPER PHOENIX"」PLAYLIST
LIVE INFORMATION
KANA-BOON 全国ワンマンツアー
2024年10月5日(土) 長野 CLUB JUNK BOX2024年10月21日(月) 仙台 Rensa
2024年10月23日(水) 札幌 cube garden
2024年11月3日(日) 高松 DIME
2024年11月4日(月・振休) 広島 LIVE VANQUISH
2024年11月14日(木) 名古屋 BOTTOM LINE
2024年11月21日(木) 福岡 BEAT STATION
2024年11月25日(月) 大阪 GORILLA HALL
2024年11月28日(木) 川崎 CLUB CITTA'
ツアータイトルやチケット先行スケジュールなどの詳細は後日発表
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