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2024.05.05
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ～FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載！FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう！
New Release Digest Part 1
みさと： 4月29日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全15作品の中から、まずはPart-1の8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます！はじめましてさんがいます、東京真中。
金子：この方はボーカロイドを使用した楽曲制作及び活動を行うソロプロジェクトで、作詞・作曲・編曲・ミックス・マスタリングと、楽曲制作の工程すべてを一人で行い、ロゴやアートワークなどのデザインも自身で手掛けていると。
みさと：マルチですね。
金子：2024年5月より活動開始ということなので、もうまさに、この曲で活動開始と。
みさと：にしてはクオリティ高くないですか?
金子：高いですよね。今回の曲のダンサブルなトラックにしても、ポップなメロディにしてもクオリティ高いし、資料には「海外のインディーポップ、ハウス、エモリバイバル、ポストクラシカルなど、様々なジャンルから影響を受け、それらをJ-POPに」と書いてあるので、これからもっとたくさん曲をリリースしていったら、いろんな側面も見えそうな気がしますよね。
みさと：世界観としては、わりと気を衒わずに日常であったり、身近なところからの共感度が高い言葉が連なっていて、音世界はすごく広がりを感じるんですけど、パーソナルな、内省的な歌詞なんだなっていうのも好感度ありました。
金子：「人知れぬ夜を音楽に」というコンセプトで、楽曲ごとに夜を題材とした架空の物語を構想し、それぞれに主題歌を書き下ろすように楽曲制作を行うということで、このコンセプトはまさに今の時代の音楽だなって感じがして。今回の曲に関しては、「冬の夜、あと少しで引っ越してしまう友人と最後の思い出作りに海へとドライブする」という、まさに日常的な物語が題材になっているそうです。
みさと：そして、Shimon Hoshinoさんはコンスタントにリリースを続けているわけなんですけど、改めてこちらで触れていきましょうか。
金子：東京真中が「海へ行こうよ」って言って、たどり着いたのが湘南の海だった、みたいなね。
みさと：きらびやかな夕方の海。
金子：これが朝の海だったら「冬の夜」を題材にした東京真中からの流れでストーリー的にもぴったりだったんだけど......夕方だった。
みさと：いろんな時間帯の海に関してリリースをされていらっしゃる方ですが、今回は夕方をテーマに「gold」という曲になります。
金子：きらびやかな夕方の海にぴったりな楽曲で、サンセットの「gold」ということだと思うんですけど。Shimonさんは相変わらずいろんな名義でリリースしていて、hario islandの方だと楽曲のネタ元のスケッチとか、アトモスフィア、その感覚だけとかと、そこから実際にできた楽曲2曲をセットにしてリリースする、というのを始めていて。今回Shimon Hoshino名義でも、「gold sketch」と、それを実際に曲にした「gold」と2曲セットでリリースするという形になっていて、なかなか元ネタを聴く機会ってないから、「これが曲になるとこうなるんだ」っていう制作過程も楽しめて、面白いですよね。
みさと： Shimonさんがどんどん世界に羽ばたいていくなっていうのも感じていて、Shimonさんからのコメントでも、 「NujabesとBill Evansの間のようなサーフミュージックをめざして日々楽曲を書いています」っていう一文があるんですが、Nujabesって日本を代表するアーティスト、2018年にはSpotifyで、海外で聴かれた国内アーティストのトップ３にランクインされていたりと注目されてますし、88risingの動画記事でもピックアップされてたり、とにかく日本を代表するアーティストの一人ですけど、 Shimonさんはそこの位置にきっとたどり着くんじゃなかろうかと、これが大きな夢のような話じゃなくて、射程圏内見えてきたなって感じしますよね。
金子：これからますます、世界に羽ばたいてほしいですよね。
みさと：楽しみです。そんなShimonさんがメンバーでもあるOsteoleucoが今回アルバムリリースになりました。おめでとうございます。
金子：2年ぶりのアルバムで、前作が『いっそ死のうか、いや創ろう』というタイトルだったわけですけど。
みさと：前作もよかったですよね。
金子：あの作品はKeisuke Saitoさんが自身の病気と向き合い、人生とも向き合って、ある種作らざるを得なかったような、すごくパーソナルな作品だったと思うんです。で、そういう作品を出したことによって、より自由な創作ができるようになったのが今作なのかなって。実際に作り方は前作とは全然違ったそうで、前はKeisukeさんがデモを作って、Shimonさんがベースやピアノで飾り付けをする流れだったけど、今回はShimonさんが作ったデモトラックをKeisukeさんがリミックするような形で大半を作っていると。歌詞も前作は伝えたい思いを取りこぼさず丁寧に詰め込んだけど、今回はほとんどフリースタイル。より感覚的に、自由な創作へと変化しているのが今回のアルバムということですね。
みさと：前作よりもまた上品な音質をすごく感じていて、Shimonさんとの信頼関係というか、このチームの中でのいい空気感が感じられるアルバムでもあったなと思いました。
金子：今回は『Life Canvas』というアルバムタイトルになっていて、前のアルバムを出してからKeisukeさんはアート制作を始めて、絵も描いていて、さらにはShimonさんもアート制作を始めて、最近のOsteoleucoのジャケットはご自身たちで作られたものになっていて。前作はLife Storyをそのまま詰め込んだアルバムで、今回も人生が背景にあることには変わりないんだけど、それをもっと自由にキャンバスに描いた『Life Canvas』という、そんな対比もある気がしました。
みさと：楽曲作りの中でもライブの様子をそのままパッケージに落とし込んだりだとか、制作スタイルが自由であること、だけど根底には遊び心と愛があるっていう、二人の音楽に対する指針になっているところがすごく見えてくるような、そんなアルバムでもありましたね。
New Release Digest Part 2
みさと：お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。はじめましてさん、お2組いらっしゃいます。まずは祖国。
金子：祖国は2023年の6月に結成されたバンドで、Anisoninさんと加藤俊一さんを中心に、他は流動的なメンバーで都内を中心に活動中ということです。Anisoninさんはもともと"午前3時と退屈"というバンドをやっていて、そのバンドが解散した後、2人でユニット的な感じで活動してたみたいなんですけど、そのユニットがライブをするときにバンドメンバーを集めて、そこからバンドプロジェクトに発展していったみたいです。今回の曲はちょっとカントリータッチなギターが印象的なんだけど、一曲の中でリズムがコロコロと変わるプログレッシブな構成にもなっていて、あんまり聴いたことない感じで面白かったですね。
みさと： 2分半で1曲終わったなと思ったらシームレスに2曲目に続くような、そんな展開が聴き応えありましたし、イントロからとっても陽気で明るくて、ドラムが入ってさらに加速していく多幸感、世界平和な、ラブ&ピースな世界観だなと思っていたら、タイトル「鳩は時計の中に」。まさに平和を象徴する鳩がテーマになっていて、こんなにテーマを知らずに聴いてもそれを想像させられるような音作りができるなんて本当にすごいなと、納得の1曲です。
金子：「鳩は時計の中に」って、いいタイトルですよね。鳩時計の中に閉じ込められていても、なお鳩は平和の象徴であり。
みさと：自由の象徴であり。
金子：その感じが面白いですよね。
みさと：そして、もう1組はじめてましてなのがPastoral。
金子：彼らに関してはまだあまり情報がなくて、エモっぽい印象のかっこいいバンドだったんですけど、ちょっと調べてみたらTexas3000のメンバーがやっているバンドみたいで。Texas3000の方がいわゆる激情系のエモーショナルな感じだったのに対して、 こっちはもっと叙情系のエモーショナルという対比が、まだこの1曲だけしか聴けてないから他がどうかわからないけど、でもその対比がある感じはしました。
みさと：こんなに変わるんですね。いやどちらもかっこいいですけど、よりギターの音色が懐広いなぁって。"温もり"という世界の秘密を知っている人たちに、達観した温もりを与えてもらったみたいな、そんな感覚になれる1曲でした。
金子：楽器の音色に関してはGOK SOUNDの近藤さんとオープンリールで、アナログテープでのレコーディングをしていて、踊ってばかりの国も一緒に録ったりしてましたけど、そのアナログ感が今みさとさんが言ったような印象に繋がってるんだと思いますね。
みさと：知識がなくてもそう感じさせられる、そういうアウトプットができるのは素晴らしいですね。まさに温もり、懐の広さを感じました。そんなPart-2からご紹介するのはどうしましょう？
金子：放課後ホタルの新曲をご紹介しようと思います。
みさと：今回「主題歌」というタイトルになってます。
金子：放課後ホタルもコンスタントに楽曲をリリースしていて、毎回ソングライティングの質は本当に高くて、曲だけ取ったらKEYTALKとかUNISON SQUARE GARDENとか、そういうバンドと並べてもおかしくないぐらいのクオリティだなと思います。で、今回僕曲を聴く前にまずジャケットを見て、そしたら男女のバンドみたいな4人が並んでて、それ見たときに「あれ？放課後ホタル、バンドになったの？」って一瞬思って。
みさと：「どの人が根菜さんかな？」って探しますよね（笑）。
金子：でももちろんそういうわけではなくて、今回は架空のバンドをビジュアルに採用することで、誰にでも主題歌があるという楽曲のテーマを表していると。さらにはその架空バンドでMVを作っていて、これは設楽ナギさんが撮影・監督も務めているそうで。
みさと：設楽ナギさん、演技にも関わっていらっしゃるそうですね。ミスター・マルチ・スキルっていう、すごいですね。
金子：やっぱりモノづくりの人なんですね。それで今回は歌詞にも舞台用語を散りばめていると。面白いですよね。
みさと：放課後ホタルはわりとコンスタントに曲を出してますけど、出すたびに新しい発見が必ずあって、"どんだけ引き出し持ってんの？"っていう、ますます楽しみですよね。
金子：そもそもが"島根在住と横浜在住の遠距離ユニット"というところからスタートして、そこから本当にいろんな情報がどんどん加わってきてますよね。
みさと：結局まだ謎が解けてないっていう、面白い。
金子：まだライブもそんなにしてないっぽいけど、それこそバンドスタイルでのライブを観てみたい気もしますね。
みさと：この楽曲に関しては"「当て書き」とは人生そのものを言うんだ 君を好きに扱ってもいいのは君だけだ"っていう、とっても胸にグサっとくるパンチラインもありますので、ぜひ耳を大きくして聴いていただきたいです。
この後のコーナーではMCの奥宮みさとと金子厚武が、FRIENDSHIP.からリリースされた直近のタイトルの中からそれぞれが推したいアーティストをセレクト。トークはradikoでお楽しみください。
奥宮みさとの推しゴト
金子厚武の推しゴト
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ～FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ～FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間：毎週土曜日 26:00~26:55 放送局：FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』（シンコーミュージック）監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ／ナレーター／MC／ヨガインストラクター／酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
