SENSA

2024.04.28

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!微熱くん・Sen Morimoto・omeme tentenほか全22作品 -2024.4.27-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!微熱くん・Sen Morimoto・omeme tentenほか全22作品 -2024.4.27-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!



New Release Digest Part 1


みさと: 4月22日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全22作品の中からPart-1をご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてさんがお2組です。まずSatie Club

金子:"Club"とついてるから複数人いるのかと思いましたけど、ソロプロジェクトなんですね。大学で音楽学を専攻し、エリック・サティの「家具の音楽」と出会い、シンプルなメロディー、反復的なリズム、静謐な雰囲気など共通点が多いことをきっかけにチルビートに興味を持ち、自身でも制作を始めるようになったそうで、「なるほど」という感じはすごくしますよね。エリック・サティの「家具の音楽」は文字通り家具のように普段の生活に馴染む音楽なので、まさにローファイ〜チルとは通じるところがある。なおかつベースラインはジャコ・パストリアスからの影響を受けているらしく、そういう部分にはアーティスト性、作家性も強く感じさせる、面白いアーティストですね。



みさと:湿度はあるのに爽やかっていう、楽器の音色含めてすごく美しい構築をされている楽曲でした。続いてのはじめましてさんが、HOTVOX

金子:「一転して」という感じですよね(笑)。静謐なところから急に激しくなりますけど、彼らは2014年結成で、今年が10周年なんですね。2018年から今のバンド名になっていて、「HACHIOJI SOUTH SIDE RAPCORE」を掲げていると。ルーツとしては2000年代のミクスチャー・ロックが大きいんだろうなと感じさせるので、最先端というよりは、僕からするとちょっと懐かしい感じがして、刺さる世代は多い気がするし、逆に今の10代には新鮮だったりもするかもしれないですよね。

みさと:最初「Slipknotが新譜出したのかな?」って思ったくらい。でも日本語じゃんっていう驚きがありつつ、サウンドもシャウトもかなり重めではあるんですけど、ボーカルのRIKさんの声質ですごくバランスが取れていて、軽快な、明快なボーカリストなのかなっていう印象もあり、しっかり聴き込めるミクスチャーサウンド。



金子:10年選手ですからね、実力派ですよね。

みさと:ですね。そんなPart-1からご紹介するのはどなたにしましょう?

金子微熱くんの新曲を紹介しようと思います。Part-1の前半は再録だったりリミックスだったりをわりとキャリアのある人たちが出してますけど、せっかくなので新しめの人を紹介しようかなと。微熱くんはひさびさのリリースで、来月にはいよいよアルバムがリリースされるとのことです。今回の曲は"ああ、微熱くんだな"って感じがすごくして、若手でソロでDTM世代のシンガーソングライターというと、ボカロ以降の感じとか、ハイパーポップ系の人たちがわりと多い中でのこの微熱感。「アナログラブ」というタイトルですけど、レコードのノイズがあったり、クラップが入ってたり、アナログ感、温かみ、微熱感が感じられつつ、でもボーカルにはうっすらエフェクトをかけてたり、DTM世代ならではの感覚もあって、これは"This is 微熱くん"な1曲という感じがすごくしましたね。

みさと:まさにだと思います。ビートは平熱感があって、そこにちょっとだけ熱のある言葉と声で微熱になる、名刺代わりの1曲なんだなっていう感じがします。あとセルフライナーの1行目が「こんにちは、普段はだいたい平熱の微熱くんです」で始まってて、これ"入口、出口、田口です"レベルのキャッチーさがあるじゃないですか(笑)。こういうのを持ってるのは羨ましいし、強いなと思いますね。ご自身がすごく見えてらっしゃるアーティストだと思います。



New Release Digest Part 2


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。こちらもお2組はじめましてさんです。まずは綿貫雪さん。

金子:この方は2005年生まれで、2020年から宅録で作曲を始めると。ラジオのジングルを担当していたり、ギタリストでもあるみたいですね。それこそ微熱くんのときに言ったけど、この方はハイパーポップ的な文脈に位置するような、カオティックでもあるんだけどファンタジックでもあり、美しさもあるという楽曲で、長谷川白紙とか君島大空とか、あのラインにも通じる新しい才能がまた出てきたって感じがしましたね。

みさと:イントロでUFO飛んでませんでした?途中はほぼ無音状態みたいなパートもあれば、切り貼りの細やかさ、不協和音なボーカル、破壊的、とんでもない前衛的な作品の中で、これが日記であるっていうブッ飛び具合が本当に面白い。



金子:短い期間で作ってるそうですね。

みさと:面白い方がまた出てきましたね。

金子:君島くんが去年アルバムを2枚出してるんですけど、かなり長い時間かけて作ったアルバムと、短い期間でパッと作ったアルバムを出していて、そういうスピード感も今の世代ならではなのかもなと思ったりしました。

みさと:もう1組、I Mean Us

金子:こちらは台湾のバンドですね。2015年に台北で結成、2019年に来日もしているので 、アジアのインディ好きな方は知ってるかもしれない。さらには今回韓国のインディバンドであるLacunaのキョン・ミンジャンが制作に参加していると。そういうアジアの中でのコラボレーションも面白いし、I Mean Us自体はドリームポップを基盤にしてるそうですけど、キョン・ミンジャンと一緒にやってるからなのか、この曲は結構オルタナ感もあったりして、個人的にCHAILDとか相性良さそうだなと思ったりしました。



みさと:いいですね。英語と韓国語が交差するっていう意味では 言語の持つ音の楽しさっていうところも聴いていてすごく心地が良かったし ベンベン鳴るベースも若干サイケ感があって、すごくマイルドなダーク・サイケみたいな、すごく面白い楽曲でした。そんなPart-2からご紹介するのはどうしましょう?

金子Sen Morimotoの新曲を紹介しようと思います。

みさと:またまたかっこいいEPが出ました。

金子:去年出たアルバム『Diagnosis』のアウトテイク集ということですね。『Diagnosis』がわりとロック寄りなイメージがあったのに対して、この『BONK!』の収録曲は比較的穏やかな曲が多いから、アルバムの色的にちょっと外したのかなっていう印象もあり、でも1曲1曲のクオリティは高くて。「American TV」にしても最初はアコースティックな、穏やかな感じで始まるんだけど、でもビートが入ってからはどんどん展開していって、非常にかっこいい曲でした。

みさと:「『Diagnosis』のラジオフレンドリーバージョンを作ることになった」っていうのもアウトテイク集という形に繋がるんですけど、「ラジオフレンドリーバージョン」をちょっと補足すると、クリーンバージョンとも言われますけど、中指を立てるようなFワードとか、あまりにセクシー、センシティブな言葉を隠して曲をオンエアするっていうことがあるんです。私はそのFワード前後にこそ届けたい本質があると思っていて、できるだけそのまま紹介する方がかっこいいなとは思いつつも、大前提としてラジオは公共の電波であるし、特定の誰かが傷ついてはいけないというところで、ラジオフレンドリーバージョンとかクリーンバージョンで世の中に届けることがあるんです。Sen Morimotoさんのこれまでの活動を見ていくと、こういうEPができたことがすごく大切なことで、彼の信念がリスナーさんやスタッフから信頼されている、そういう関係値があってこそ、リリースに繋がったのかなって思うと、やっぱり生き様がかっこいいなと思って、EP聴き込みたいなと思ってます。



金子:EPの最後がアルバムのタイトルトラック「Diagnosis」のラジオセッション時の音源らしいんですけど、そこではラジオの電波に乗せてFワードを使ってるっぽいですね。

みさと:そこで大きな喜びがあったっていうライナーもいただいてるんですけど、これもいいですよね。局との信頼関係もあったんだな、みたいな。

金子:アルバムを出してからまだ来日してないので、ライブ音源を聴いちゃうと、「早く日本に来てください!ライブ観たいです!」って思ってしまいましたね。

New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェスト、Part-3でした。リリースおめでとうございます。こちらもはじめましてさん2組です 、まずはMISCH

金子wala.collectiveとしてもFRIENDSHIP.から楽曲をリリースしている2人で、TAKUさんとachiyochiさんは幼馴染だそうです。今回の曲は日常のラッキーな瞬間を共有したいというイメージで制作していて、その代表例が「臨時収入を得て友達に焼肉をおごる」と。

みさと:幼馴染ユニットならではな視点ですよね。



金子:友情を描く楽曲はいろんなものがあるけど、いわゆる「青春」というよりも、大人になっての友情ソングという感じがして、この視点はあまり聴いたことがないから新鮮でした。

みさと:焼肉ってチョイスも「そうだよね」っていうか、おごるものと言ったら焼肉かお寿司かっていう感じがするし、すごくいい題材でしたね。J-RAPって基本会話から生まれるものだよなっていうところで、すごく共感性の高いリリックになってました。そして、もう1組はじめましてです、Warashand

金子:Warashandは音楽制作2名・映像制作2名による、音楽と映像とを統合し、ひとつの表現媒体として捉えて作品を作り出すプロジェクトということで......音楽制作2名・映像制作2名というと、もともとNIKO NIKO TAN TANがFRIENDSHIP.からリリースしていて、今度はWarashandがリリースしてくれたような感じもありますが、WarashandはすでにFRIENDSHIP.からリリースしてるShizuka Kanataさんとsleepy.abの山内さんが音楽を担当していて、この2人の共通のフェイバリットであろうトリップホップのひんやりした質感もありつつ、ボーカルのサンプルを使ったりもしてるからDE DE MOUSEさんにも通じるようなポップさもあったりして。今はまだ音源しか聴いてないけど、きっとここに映像が結びつくとより魅力的なものになるんだろうなという感じがしました。



みさと:まだ映像作品を観てないのに、解像度高い映像が浮かんできちゃう。すでに映像が見えてくる作品ですよね。立体感とかシーンが変わる瞬間の潔さとか、音のレイヤーが細かいのに全ての音が受け止められるくらい削ぎ落とされた感じもあって、玄人が集まってるなっていう1曲でした。そんなPart-3からお送りするのはどうしましょう?

金子omeme tentenの新曲をご紹介しようと思います。

みさと:すごくよかった。

金子:今回EPがリリースで、今作よりmurffin discs内のmini muff recordsからのリリースということです。Part-1で紹介したIvy to Fraudulent Gameもmini muff recordsとタッグを組んで自分たちのブランドを作ってるので、FRIENDSHIP.とも縁ができてきてますね。murffin discsは渋谷にある老舗のライブハウス・eggmanのレーベルなんですけど、omeme tentenがmini muff recordsっていうのは個人的にしっくりきた部分があって。mini muff recordsには今Czecho No Republicがいたり、かつてThe Mirrazがいたり、踊ってばかりの国も昔はmini muff recordsから出してたんですね。そのあたりの人たちは2000年代の海外の音楽を消化して日本でどう鳴らすかを実践してた印象で、Czecho No RepublicだったらVampire Weekend、The MirrazだったらArctic Monkeys、踊ってばかりの国も当時だとDeerhunterというアメリカのサイケバンドの影響を消化してるイメージがあって。それに対して、omeme tentenも2000年代の海外の音楽を咀嚼してる印象があるし、なおかつそこに1990年代からの影響も加わってる。その射程が広がってる感じがすごく今っぽいというか、ひとつ世代が更新されてる感じがして、今のmini muff recordsがomeme tentenをリリースするっていうのは、個人的に納得しちゃったんですよね。

みさと:今回の楽曲に関して言うと、恋愛における私に沼らせるために虎視眈々と狙ってる感じが表現されてるんですけど、それがまさにomeme tentenに沼らされる過程にも聴こえる曲だなと思って。ステージが変わっていく彼女たちがこのタイミングでこういう曲を出すっていうのは、どんどんファンを取り込んでいける兆しを感じる曲になってるような気がします。

金子:「沼らせる」がテーマって、言ってみたらラブソングと言っていいと思うけど、でも直接的な表現はあまりなくて、「私があなたのお気に入りのジンクスになるから一緒にいようね」っていう、この書き方は面白いなと思いました。



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)


番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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