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2024.04.26
VivaOlaが3月30日(土)に東京・渋谷WWW Xにて、2ndアルバム『APORIE VIVANT』のリリースを記念したおよそ2年ぶりのワンマンライブ『THE HILL YOU DIE ON』を開催した。
各所で注目を集めるクリエイティブコレクティブ/レーベル w.a.u 創設者のひとり、Kota Matsukawaを共同プロデュースに迎え、およそ1年半の月日(そのうちミックス/マスタリングに割いた期間が1年ほどだという)をかけて完成させた『APORIE VIVANT』は、無駄な贅肉を削いだ先鋭的なサウンドプロダクション、そしてよりパーソナルな表現を突き詰めた作品となった。
今回のワンマンライブはフルバンドセットでのパフォーマンスが予告されていただけに、果たしてアルバムの楽曲をどのように演奏するのか、気になっていた方も多いはずだ。そんな疑問に初っ端から明確な答えを提示するかのように、ライブは「ROLLS ROYCE」から幕を開けた。
耳を引くファジーなギター、生のダイナミズムに溢れるリズム隊――重心の低いダークなR&Bチューンである「ROLLS ROYCE」が、新たな解釈、表情を加えて鳴らされる。〈But knew I was different when I'm in my roots / Rock and roll, Hip-Hop, and Rhythm & Blues(答えはルーツにあった/ロックンロール、ヒップホップ、R&B)〉というリリックも、この横断的なサウンドを説明するかのように聴こえてくる。
続くのはアルバムと同じ流れとなる「PRESENCE」。アルバムの中でも特にミニマムなこの曲も、より肉体的なグルーヴを獲得。そのまま「Runway」や「Love you bad」といった過去の楽曲とも自然に繋がっていく。もちろん、そのサウンドを牽引するのは伸びやかなVivaOlaのボーカル。そこにはいつも以上に豊かな表現力が宿っていた。
「Love you bad」ではフィーチャリングゲストのYonYonによるラップを含むパートも自身で歌い上げ、オーディエンスから歓声が上がった。MCでは「みんなの顔が見たいので、電気をつけてもらえますか?」と、オーディエンスとも親密なコミュニケーションを取りつつ、バンドメンバーの紹介へ。01sail名義での活動でも知られるKazuho Otsuka(Gt)、Sakepnkとして作品リリースを重ねるReo Anzai(DAW Operator)そしてw.a.uのもう一人の創設者・Ryuju Tanoue(Dr)と、先述のKota Matsukawa(Ba)、Koki Furukawa(Key)の5名が「w.a.uバンド」として参加。緩急自在の演奏でVivaOlaのパフォーマンスを支えた。
この日の一人目のゲストは学生時代からの音楽仲間であり、日本とアイスランドにルーツを持つシンガー・Sagiri Sól。軽快なサウンドと2人のポップな掛け合いで雰囲気をガラリと塗り替える。「ここからちょっと古い曲が続きます。準備はいいですか?」と言ってJuaを迎えた「One of these nights」、そこにWez Atlasが加わった「Vise le haut」へと続いていく。クールなVivaOlaにフリーキーなJua、そしてアグレッシブなWez Atlasと3者3様のスタイルがスリリングなバンドサウンドの上で混ざり合う。また、曲中ではジャージークラブのリズムをさり気なく取り入れるなど、ここでも絶妙なアレンジが光っていた。
今回の衣装である、気品漂うスーツについて言及しつつ、「めっちゃ暑いです」と笑いを誘い、「ちょっとクールダウンする感じでもいいですか?」とメロウな「If you let me」へ。そして再び最新作のモードへとギアを入れ替えていく。VivaOlaの紹介でステージに現れたBleecker Chromeの藤田織也と共に、「O.M.M」で妖艶な絡みをみせつけ、続いてw.a.uのR&Bシンガー・reinaをフィーチャーした「BOLD」へと流れる。ピッチダウンしたボイスサンプル部分も生で歌い、ドリルを下敷きにしたビートもバンドならではのオーガニックなリズムへと刷新。ライブならではの演奏で、会場を大いに沸かせた。
そのまま藤田織也、reinaと共に、Kanye West(現Ye)へシャウトアウトし2018年発表の「Ghost Town (feat. PARTYNEXTDOOR)」のカバーを披露。ゴスペルフィーリングを感じさせる同曲を3人それぞれの解釈で歌い上げる光景は、この日のハイライトのひとつとなった。
ここでステージは暗転し、「HURT」をBGMに前後半の切り替えのような演出が挟まれた。そしてここでも「TOO LATE」「GIVE MINE」とアルバムと同じ流れが踏襲される。ひんやりとした質感のオルタナティブR&Bで会場の空気を再び塗り替えた後、「ここからはちょっと違う感じでやりたいんですけど、いいですか?」「昔ジャズをやってたので、セッションが好きなんです。みなさんもインプロで楽しめますか?」と問いかけ、オーディエンスも大きな声で応える。流麗なピアノの音色を中心としたジャジーな演奏に乗せて歌うのは、元は4つ打ちのダンスナンバー「My Moon」。ゲストとしてSoulflexよりZINが登場し、音の上を楽しげに揺蕩うように歌う2人の姿が印象的であった。
そのまま演奏がシームレスに「Mixed Feelings」へと繋がっていく。こちらもオリジナルは2ステップのダンスナンバーだが、生楽器を活かしたディスコファンク調に再構築。Daft Punk「Get Lucky」でのNile Rodgersを想起させるような華やかなカッティングギターと風通しの良いグルーヴィーな演奏で会場を揺らした。
「HANDLE」で再びクールダウンさせつつ、アットホームなスタジオを意識したというステージ演出などを手がけたスタッフや裏方への感謝を告げつつ、「あまり感動的なMCとかは求めないでほしい(笑)。音楽で語るので」と名残惜しげにライブはラストスパートへ。
「NO TIME」ではSIRUPが登場し、オーディエンスも一斉にジャンプするなどこの日のピークをさらに更新する。「一番初期の頃の曲をやっていいですか」と言って披露された「Even After All」ではバンドアレンジで楽曲に込められた感情が増幅され、VivaOlaの流麗なファルセットが胸を打つ感動的な展開に。
「事前に説明させてもらいます。VivaOlaのポリシーでアンコールはやりません。だから、最後の全力の一曲です」、そう言って披露されたのは2ndアルバムのオープナー「VIVA」。ヘビーな低音がハードなギターに差し替わり、アリーナロックのようなスケールの大きいサウンドスケープを描き出す。全てを吹き飛ばすかのようなエネルギッシュなパフォーマンスでこの日のライブに幕を下ろした。
信頼するバンドメンバーや豪華ゲストと共に作り上げた、集大成的なこの日のライブ。洗練された音源を躊躇なく脱構築し、新たな魅力を生み出すミュージシャンシップの高さや、音楽に対するピュアな愛情を存分に感じることのできた一夜だった。VivaOlaが仲間たちと生み出す音楽の輪は、どこまでも広がっていくのだろうか。今後の行く先にも期待したい。
文:保坂隆純
撮影:Masaki Yamada
集合写真撮影:Yutaka Akiyama
2024年5月25日(土)
札幌MORROW ZONE
2024年6月16日(日)
福岡Kieth Flack
2024年6月22日(土)
名古屋LUGGAGE
2024年6月29日(土)
仙台Monet
2024年7月19日(金)
東京CIRCUS Tokyo
OPEN 19:00
START 19:30
Live:
VivaOla
Jimmy Brown
DJ:
Kota Matsukawa(w.a.u)
Sakepnk(w.a.u)
前売り ¥4,000(D別)
チケット
https://eplus.jp/sf/detail/4085050001-P0030001
2024年7月20日(土)
大阪CIRCUS Osaka
OPEN 17:30
START 18:00
Live:
VivaOla
Jimmy Brown
DJ:
Kota Matsukawa(w.a.u)
Sakepnk(w.a.u)
前売り ¥4,000(D別)
先行チケット 4月27日(土)0:00
https://eplus.jp/vivaola-co/
チケット購入リンク:https://linktr.ee/vivaola
会場:シンガポール クラークキーエリア
入場料:無料
主催:Branded
Official HP:https://www.branded.live/music-matters-live
Official Instagram: @musicmatterstome
@viva0la
@viva0la
STORES
各所で注目を集めるクリエイティブコレクティブ/レーベル w.a.u 創設者のひとり、Kota Matsukawaを共同プロデュースに迎え、およそ1年半の月日(そのうちミックス/マスタリングに割いた期間が1年ほどだという)をかけて完成させた『APORIE VIVANT』は、無駄な贅肉を削いだ先鋭的なサウンドプロダクション、そしてよりパーソナルな表現を突き詰めた作品となった。
今回のワンマンライブはフルバンドセットでのパフォーマンスが予告されていただけに、果たしてアルバムの楽曲をどのように演奏するのか、気になっていた方も多いはずだ。そんな疑問に初っ端から明確な答えを提示するかのように、ライブは「ROLLS ROYCE」から幕を開けた。
耳を引くファジーなギター、生のダイナミズムに溢れるリズム隊――重心の低いダークなR&Bチューンである「ROLLS ROYCE」が、新たな解釈、表情を加えて鳴らされる。〈But knew I was different when I'm in my roots / Rock and roll, Hip-Hop, and Rhythm & Blues(答えはルーツにあった/ロックンロール、ヒップホップ、R&B)〉というリリックも、この横断的なサウンドを説明するかのように聴こえてくる。
続くのはアルバムと同じ流れとなる「PRESENCE」。アルバムの中でも特にミニマムなこの曲も、より肉体的なグルーヴを獲得。そのまま「Runway」や「Love you bad」といった過去の楽曲とも自然に繋がっていく。もちろん、そのサウンドを牽引するのは伸びやかなVivaOlaのボーカル。そこにはいつも以上に豊かな表現力が宿っていた。
「Love you bad」ではフィーチャリングゲストのYonYonによるラップを含むパートも自身で歌い上げ、オーディエンスから歓声が上がった。MCでは「みんなの顔が見たいので、電気をつけてもらえますか?」と、オーディエンスとも親密なコミュニケーションを取りつつ、バンドメンバーの紹介へ。01sail名義での活動でも知られるKazuho Otsuka(Gt)、Sakepnkとして作品リリースを重ねるReo Anzai(DAW Operator)そしてw.a.uのもう一人の創設者・Ryuju Tanoue(Dr)と、先述のKota Matsukawa(Ba)、Koki Furukawa(Key)の5名が「w.a.uバンド」として参加。緩急自在の演奏でVivaOlaのパフォーマンスを支えた。
この日の一人目のゲストは学生時代からの音楽仲間であり、日本とアイスランドにルーツを持つシンガー・Sagiri Sól。軽快なサウンドと2人のポップな掛け合いで雰囲気をガラリと塗り替える。「ここからちょっと古い曲が続きます。準備はいいですか?」と言ってJuaを迎えた「One of these nights」、そこにWez Atlasが加わった「Vise le haut」へと続いていく。クールなVivaOlaにフリーキーなJua、そしてアグレッシブなWez Atlasと3者3様のスタイルがスリリングなバンドサウンドの上で混ざり合う。また、曲中ではジャージークラブのリズムをさり気なく取り入れるなど、ここでも絶妙なアレンジが光っていた。
今回の衣装である、気品漂うスーツについて言及しつつ、「めっちゃ暑いです」と笑いを誘い、「ちょっとクールダウンする感じでもいいですか?」とメロウな「If you let me」へ。そして再び最新作のモードへとギアを入れ替えていく。VivaOlaの紹介でステージに現れたBleecker Chromeの藤田織也と共に、「O.M.M」で妖艶な絡みをみせつけ、続いてw.a.uのR&Bシンガー・reinaをフィーチャーした「BOLD」へと流れる。ピッチダウンしたボイスサンプル部分も生で歌い、ドリルを下敷きにしたビートもバンドならではのオーガニックなリズムへと刷新。ライブならではの演奏で、会場を大いに沸かせた。
そのまま藤田織也、reinaと共に、Kanye West(現Ye)へシャウトアウトし2018年発表の「Ghost Town (feat. PARTYNEXTDOOR)」のカバーを披露。ゴスペルフィーリングを感じさせる同曲を3人それぞれの解釈で歌い上げる光景は、この日のハイライトのひとつとなった。
ここでステージは暗転し、「HURT」をBGMに前後半の切り替えのような演出が挟まれた。そしてここでも「TOO LATE」「GIVE MINE」とアルバムと同じ流れが踏襲される。ひんやりとした質感のオルタナティブR&Bで会場の空気を再び塗り替えた後、「ここからはちょっと違う感じでやりたいんですけど、いいですか?」「昔ジャズをやってたので、セッションが好きなんです。みなさんもインプロで楽しめますか?」と問いかけ、オーディエンスも大きな声で応える。流麗なピアノの音色を中心としたジャジーな演奏に乗せて歌うのは、元は4つ打ちのダンスナンバー「My Moon」。ゲストとしてSoulflexよりZINが登場し、音の上を楽しげに揺蕩うように歌う2人の姿が印象的であった。
そのまま演奏がシームレスに「Mixed Feelings」へと繋がっていく。こちらもオリジナルは2ステップのダンスナンバーだが、生楽器を活かしたディスコファンク調に再構築。Daft Punk「Get Lucky」でのNile Rodgersを想起させるような華やかなカッティングギターと風通しの良いグルーヴィーな演奏で会場を揺らした。
「HANDLE」で再びクールダウンさせつつ、アットホームなスタジオを意識したというステージ演出などを手がけたスタッフや裏方への感謝を告げつつ、「あまり感動的なMCとかは求めないでほしい(笑)。音楽で語るので」と名残惜しげにライブはラストスパートへ。
「NO TIME」ではSIRUPが登場し、オーディエンスも一斉にジャンプするなどこの日のピークをさらに更新する。「一番初期の頃の曲をやっていいですか」と言って披露された「Even After All」ではバンドアレンジで楽曲に込められた感情が増幅され、VivaOlaの流麗なファルセットが胸を打つ感動的な展開に。
「事前に説明させてもらいます。VivaOlaのポリシーでアンコールはやりません。だから、最後の全力の一曲です」、そう言って披露されたのは2ndアルバムのオープナー「VIVA」。ヘビーな低音がハードなギターに差し替わり、アリーナロックのようなスケールの大きいサウンドスケープを描き出す。全てを吹き飛ばすかのようなエネルギッシュなパフォーマンスでこの日のライブに幕を下ろした。
信頼するバンドメンバーや豪華ゲストと共に作り上げた、集大成的なこの日のライブ。洗練された音源を躊躇なく脱構築し、新たな魅力を生み出すミュージシャンシップの高さや、音楽に対するピュアな愛情を存分に感じることのできた一夜だった。VivaOlaが仲間たちと生み出す音楽の輪は、どこまでも広がっていくのだろうか。今後の行く先にも期待したい。
文:保坂隆純
撮影:Masaki Yamada
集合写真撮影:Yutaka Akiyama
LIVE INFORMATION
THE HILL YOU DIE ON CLUB TOUR
2024年5月25日(土)
札幌MORROW ZONE
2024年6月16日(日)
福岡Kieth Flack
2024年6月22日(土)
名古屋LUGGAGE
2024年6月29日(土)
仙台Monet
2024年7月19日(金)
東京CIRCUS Tokyo
OPEN 19:00
START 19:30
Live:
VivaOla
Jimmy Brown
DJ:
Kota Matsukawa(w.a.u)
Sakepnk(w.a.u)
前売り ¥4,000(D別)
チケット
https://eplus.jp/sf/detail/4085050001-P0030001
2024年7月20日(土)
大阪CIRCUS Osaka
OPEN 17:30
START 18:00
Live:
VivaOla
Jimmy Brown
DJ:
Kota Matsukawa(w.a.u)
Sakepnk(w.a.u)
前売り ¥4,000(D別)
先行チケット 4月27日(土)0:00
https://eplus.jp/vivaola-co/
チケット購入リンク:https://linktr.ee/vivaola
Music Matters Live 2024
2024年5月8日(水)~5月11日(土)会場:シンガポール クラークキーエリア
入場料:無料
主催:Branded
Official HP:https://www.branded.live/music-matters-live
Official Instagram: @musicmatterstome
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オフィシャルサイト@viva0la
@viva0la
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