SENSA

2024.04.21

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Emerald・ベランダ・カネコアヤノほか全27作品 -2024.4.20-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Emerald・ベランダ・カネコアヤノほか全27作品 -2024.4.20-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!



New Release Digest Part 1


みさと: 4月15日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全27作品、まずはPart-1の9作品をご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてさんです。吉田未加さん。

金子:この方は1991年生まれ千葉県香取市出身で、幼少期よりポップスや合唱などの音楽に触れて育つも医療の道へ進んだと。で、2020年にコロナ禍をきっかけとして楽曲制作を開始して、現在は東京都内のライブハウスを中心にピアノ弾き語りとバンドセットで活動中。今回EPのタイトルが『処方』ということなので、医療の道へ進んだ経験が音楽活動にも落とし込まれていて、処方箋を出すような、お薬になるような温かみのある楽曲に仕上がってましたね。

みさと:音楽の処方ってわりと使いまわされている言葉ですけど、彼女が言うと説得力ありますよね。

金子:間違いない。



みさと:70年代、80年代の歌謡曲センスというか、そういったノスタルジックな音に合う声もされていて、歌唱方法も。タイトルも「キャロライン」じゃないですか。1991年生まれというデータとはとってもギャップのある方ですよね。そして、Helsinki Lambda Club(ヘルシンキ)が今回、再解釈・再構築ということで、Swim Deepのリミックスという形でリリースしています。

金子:ヘルシンキも最近改めて海外での活動が目立ってきていて、この前はSXSWにも行ってて、日本から参加したアーティストの中ではヘルシンキが一番反響があったのでは、みたいな話も伝わってきているし、さらには5月にUKに行くことも決まっている中で、今回UKのSwim Deepによるリミックスなわけですけど、もともとヘルシンキが彼らのファンだったっていうこともあったみたいで。しかもこの曲がリミックスと言いつつ、ほとんどカバーになっていて、Swim Deepが歌ってるっていう。

みさと:いやあ、贅沢だなぁ。

金子:原曲のアッパーなガレージチューンをスローなテンポの全然別の解釈でやっていて、こういうの面白いですね。



みさと:本当ですね。モヤがかったシューゲイズ味もだいぶ引き立っていて、こんなにアレンジって幅があるんだなというか、アレンジだけとっても音楽の可能性を感じさせてくれる素晴らしい落とし所でしたね。そんなPart-1からご紹介するのはどうしましょう?

金子Emeraldの新曲を紹介しようと思います。 今週は後半でFirst Love is Never Returned(FLiNR)のミニアルバムを紹介するわけですけど、FLiNRとEmeraldが同じ週に曲をリリースすることが多いという話をこれまでもしてて、今週も一緒にいるじゃんみたいな感じもあって(笑)。 で、FLiNRのミニアルバムリリース後、東京ですけど6月にEmeraldとFLiNRのツーマンも決まってて。

みさと:最高です。

金子:だからといってFLiNRを意識して曲を作っているわけじゃないだろうけど、とは言え、Emeraldにしては結構珍しいダンサブルな曲に仕上がっていて、FLiNRと一緒に演るときにも絶対ライブ映えするだろうなって。もうちょっと、スムースなネオソウル味のある曲のイメージがどちらかといえば強いですけど、こういうダンス・ミュージック的なサウンドもできて、さすがはEmeraldって感じしますね。

みさと:HONNEみたいなUKオルタナ・エレクトロ要素みたいなところから始まるんだけれども、中野さんの声を聴くとソウル味が強くなってくるというか、この辺りがEmerald節だなと思わせる。これライブでどうなるのか楽しみな一曲でもありますね。



New Release Digest Part 2


みさと:こちらもはじめましてさんからです、くらげ計画

金子:このバンドは2014年の結成で、幾度かのメンバーチェンジを経て、現在はベース・ボーカルのひなた、ギターのみずき、ギターのわいと、ドラムのうちだという4人組として東京拠点に活動しているバンド。ドリームポップやシューゲーザーの影響を独自に昇華した"Waltz-Alternative rock"を掲げているということで、確かにワルツ調のリズムが印象的な曲でしたね。多分ですけど、この"くらげ計画"という名前は"きのこ帝国"リスペクトの"くらげ計画"なのかなという感じがして、音楽的にも通じるものがありました。

みさと:本当ですね。ちょっと韻の踏みようというか、フォルム的なものも、"きのこ"と"くらげ"の。

金子:ドリームポップ、シューゲーザーというのも共通点ですしね。



みさと:まさにクラゲのような浮遊感というか。サウンドとボーカルもすごく浮遊感があって、特徴的な強弱のある歌い回しが印象的で、ミュージカルで歌われててもおかしくないような表現力というか壮大さを思わせるなと感じてました。そしてSUPER CATSがアルバムリリースです。おめでとうございます。

金子:おめでとうございます。こちらはやんちゃな大人たちの上質なアルバムでしたね。ポッドキャストで少し話したんですけど、ボーカルのYuima EnyaさんはThiiird Placeでもボーカルを担当してて、演奏ももちろん素晴らしいんだけど、ボーカル・アルバムとしても素晴らしいなと。あとベースのNorio Fukaishiさんが思い出野郎Aチームにサポートで参加してて、Thiiird Placeがアルバムをリリースしたときに思い出野郎Aチームとツーマンをやってて、だからSUPER CATSとThiiird Placeと思い出野郎Aチームって繋がるものがあるというか。

みさと:架け橋になってるんですね。

金子:大人たちがいつまでもライブハウスやクラブに集まって楽しく音楽を演奏し続けていて、音楽性はちゃんと洗練され続けているっていう、それをすごく表している感じがしましたね。



みさと:SUPER CATSならではのアルバムになっているというところでは、ジャイルズ・ピーターソンが前身バンドのCAT BOYSに対して賛辞を送っていたってところもあって、ジャイルズはTAMTAMも推してるじゃないですか。日本のいいものには必ずリアクションをしてフックアップするという、ジャイルズのお墨付がついてますので、アルバムぜひ聴いていただきたいですね。そんなPart-2からご紹介するのはどうしましょう?

金子ベランダを紹介しようと思います。

みさと:こちらもアルバムリリースになります。おめでとうございます。『Spirit』です。

金子:これは良かったですね。個人的な好みも含めてめちゃめちゃ良かった。ひさびさの新曲として最初に「Not Bad」という曲が配信されて、それを聴いたときはジャズ、ヒップホップ、ネオソウルみたいなニュアンスがあって、"今は音楽好きだったらロックバンドでもそっちの方に行くよね"みたいな印象があったんですけど、でもその後に何曲か配信でリリースされて、改めて今回アルバムで聴いたら、むしろこれまで以上にロックな印象が強いアルバムになってて、この1曲目の「スピリット」も後半めちゃめちゃ盛り上がってロックですよね。今回6年ぶりのアルバムなので、その間にはコロナ禍があって、その中で感じた焦燥感みたいなものがロック的な熱量になってるというのももちろんあるだろうし、あと歌詞をちょっと抜粋すると、「スピリット」の"薄味のエンターテインメント"であったりとか、「Not Bad」の"悪くないものばかり集めて満ち足りる生活"とか、コロナ禍の中でそういう薄味なもの、なんとなくいいもので満足しちゃってる、はたしてそれでいいのか、そうじゃなくてもっと真摯に表現したいという、その目線があるのがすごくいいなと思って。それこそその"スピリット"がアルバム全編で貫かれていて、ロック的な熱量に変わっている気がして、そこにすごくグッときちゃいました。



みさと:皮肉や挫折を思わせるAメロからも、とにかく余白たっぷりな、それこそ時代と逆行するようなサウンドとマッチしていて、6年間の年月の長さにも聴こえたし、"世界が君を待っている あくびしながら待っている"というパワーワードの後すぐにブーストさせるわけじゃなくて、あくびする時間の余白を持たせてたじゃないですか。ああいう演出もらしいなというか、誰に何を言われようと自分たちはこれなんだって提示されている、そんな6年間を見せつけられたようなアルバムだったなと感じてます。

金子:いわゆるJ-POPのメインストリームではないけど、インディロック好きには間違いない作品みたいなのが年に数作出る、その中の今年のひとつという感じがしましたね。

New Release Digest Part 3


みさと:はじめましてさんからです、Alaska Jam

金子:Alaska Jamはちょっと前までDALLJUB STEP CLUBにも所属していた森心言くんが昔からやってるバンドで、ギターがKEYTALKの小野武正くん、ドラムがMop of Headの山下賢くんという、すご腕揃いのバンドで、今の時代にしては珍しくボーカル、ギター、ベース、ドラムだけで、でもこれでいいじゃんっていうソリッドなサウンドがめちゃめちゃかっこよくて。今回「クラフトビール」ってタイトルですけど、彼らはパーティー・バンドでもあるのでお酒タイトルシリーズの曲が過去にもあって、「Risky Whisky」とか、そのまま「焼酎」って曲もあるんですけど、今回もまんまね、「クラフトビール」。もちろんお酒が進むようなパーティー・チューンでもあるんだけど、でも4月28日のライブでドラムの賢くんの脱退がアナウンスされていて、だからある種、惜別の曲でもある、友情をもう一度確かめるような曲でもある、いい曲でしたね。

みさと:無条件なパーティーソングで、一聴してのれる、歌えるほどのキャッチーさも素晴らしいんですけど、音楽玄人を満足させるギターリフが、これは納得だな、というところありますね。

金子:武正先生、かっこいいですよね。



みさと:かっこいいですね。間違いない一曲でしたね。そしてなんとJunIzawaさんとKeisuke Saitoさんがコラボレーションでシングル出してます。「HUFF」です。

金子:この組合わせになったんですね。DÉ DÉ MOUSEさんとShimon HoshinoさんでHenryne Girlsをやってるわけですけど、こっちはこっちでというか......。

みさと:言いたいことはわかります。じゃあ、俺らもやる?みたいな(笑)。

金子Fake CreatorsとしてLITEとDE DE MOUSEさんが一緒にやってて、OsteoleucoとしてKeisukeさんとShimonさんが一緒にやってて、そこから別々にというかね(笑)。曲自体はすごくかっこよくて、トラックはヒップホップに寄ってはいるんだけど、ずっと鳴ってるハイハットが印象的で。Izawaさんのコメントで、"全てのビートに揺らぎを作り、絶妙にグリッドからズレている上に、唯一ズレのないハイハットを4拍5連で鳴るという、普通ではないビートと絶妙なピッチ感で作られたトラック"ということで、なるほどなっていう。さすがのIzawaさん的な面白みもあるし、そこにKeisukeさんのかっこいいラップがのっていて、このコラボならではって感じでしたね。



みさと:FRIENDSHIP.の天才同士が出会ってしまいましたね。さあ、そんなPart-3からどうしましょうか?

金子カネコアヤノさんの新曲をご紹介しようと思います。

みさと:13ヶ月ぶりのリリースになりまして、2曲を収録したシングルになります。

金子:ひさびさですね。

みさと:いやー、いい曲だった。

金子:まだ今回の曲のクレジットを見てないので詳しいことはわからないんですけど、去年からライブでのリズム隊が変わって、わりとハードコアとかがルーツにあるような人たちと一緒にやってて、ライブの印象も一昔前とは変わってきてるなっていう感じだったんですけど、今回の曲でもちょっと変化が見られていて。特に「ラッキー」の方がダプっぽいアレンジになっていて、カネコさんの歌い回しもあんまりこれまでに聴いたことのないようなニュアンスになってて、変化が感じられる。「さびしくない」の方がどちらかというとこれまでのカネコさんっぽさがあるんだけど、でもドゥーワップっぽいコーラスが入ってたりして、その感じは新鮮。でも歌詞に関してはすごくカネコさんらしくて、曲の後半で"さびしくない"を繰り返してるんだけど、でも絶対寂しいじゃん!っていう、その温度感が絶妙で、いい曲だなと思いましたね。



みさと: "さびしくない"ってさびしさを知ってる人の表現ですよね。"最近は さびしくない"ってリフレインで目頭が熱くなるんですけど、さびしかったあの頃を抱きしめてるような、さびしいんだけど、でも口に出せるくらいにはなったんだなっていう、その温度感の表現力は"らしい"ですよね。

RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)


番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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