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2024.03.17
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!阿部芙蓉美・Thiiird Place・DURANほか全22作品 -2024.3.16-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:3月11日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全22作品の中からPart-1、7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。今週ははじめましてさん、多いです。まずLaundry。
金子:彼はFRIENDSHIP.からリリースしているNelkoのMCで、今回が初のソロリリース。ラッパーでもあり、トラックメイクも自分でやっていますが、もともと15歳でドラムを始めて、10年以上に渡ってドラマーとしても活動しているそうで、そういう人の作るトラックだからこそのリズムのかっこ良さはあるでしょうね。今回の曲は今年の初めに発生した能登半島地震をきっかけに書かれたということで、その惨状に胸を痛めつつ、自分にできることを考えた中で、これまで音楽を制作することは自分自身を癒すことだったけど、それだけではなく、まだ会ったことのない誰かを強くイメージして、意識的にポジティブな言葉を綴った曲を作ったと。こういう物語からも、この楽曲が持っている前向きなフィーリングはすごく伝わってきますね。
みさと:その前向きさとトラックの繊細さとか透明感、ドリーミーな雰囲気から優しさみたいなものも根底にあるのが伝わってくるし、おっしゃってたみたいに、リズムとトラックと歌詞のタイミングの良さはドラマーならではの気持ち良さがあって、あと個人的には、"ラジオ"という単語が歌詞にあるだけで好感度爆上がりっていう感じでした(笑)。 そして、もう一組はじめましてです、SUPER CATS。
金子:こちらは結構キャリアのある人たちですね。もともとCAT BOYSというバンドで活動していて、CAT BOYSはドラムとベースとキーボードの3ピースだったんですけど、そこにギタリストのShunShunとボーカリストのYuima Enyaさんが加わって、SUPER CATSになったと。
みさと:ポケモンが進化したみたいな感じですね(笑)。
金子:音を聴けば伝わってきますけど、キャリアがある人たちなので大人の遊び心も感じられて、非常にファンキーで、アシットジャズ味もあって、セッション性が強くて、まさに音で遊んでる感じが伝わってくる。クラブで聴いたら間違いないですね。
みさと:ボーカルにしても咳払いもゴスペル風のコーラスもユニゾンもフェイクも細かく技が散りばめられていて、続けざまに3回転ジャンプを決められているような、難易度と得点高めな完成度、納得の1曲です。さあ、そんなPart-1からどうしましょうか。
金子:阿部芙蓉美さんを紹介しようと思います。
みさと:待望の、11年ぶりのフルアルバムになります。
金子:2013年の『How To Live』以来ということで、11年ぶりはなかなかすごいですよね。この間がどういう10年だったのか詳しくはわからないですけど、ご本人のコメントで、"今作『Super Legend』は冒頭4曲、傷だらけでボロボロなので我慢して聴いてください。5曲目から少しずつ息を吹き返し、ラストは鳥になってぶっ飛んでいきます"とあって。以前紹介した「Some True Love」が1曲目で、この「ごみ溜めのバラード」が4曲目なので、ボロボロゾーンの曲ということになりますね。もともとこの曲は2018年に発表されている曲なのですが、今回バンドアレンジで再録していて、このバンドの生感が、生活の中の色んな理由で傷ついたであろう、内省的な雰囲気にもフィットしてる感じがします。
みさと:繰り返される日常が詰まった歌詞と、音とメロがループしてるのもフィットしていて、こちらが没入できる曲作りが素晴らしいなっていうところと、やはり生きてるから生きてることに疲れるし、生きてるから愛を確かめるんだと、昨日まで自分がどう生きてきたか、足跡をたどれるような、そんなアルバムになっているなと感じました。
金子:歌詞を読むと、"ごみ溜めに愛がある ちぎりにちぎった思い出のブーケ"というラインと、"ポイント貯まるスーパーマーケット 惣菜 選んでさっさと帰ろう"というラインが一曲の中に同居していて、このバランス感覚はなかなか聴いたことがないものなので、面白いなと思いました。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェスト、Part-2でした。リリースおめでとうございます。Part-2もはじめましてさんがいます。二人目のジャイアン。
金子:FRIENDSHIP.からは以前ボーカルのMASAさんのソロプロジェクトNo-BANASHiがリリースされてたんですけど、二人目のジャイアンとしては初のリリースで、5年ぶりなんですかね。このバンドもすでに結構キャリアはあって、Perfect Show-UP BANDと名乗ってるだけあって非常に華やかで、この曲はパッと聴きちょっとフレデリックを思い出すような感じもあったりして。フレデリックより二人目のジャイアンの方がキャリア的には上だと思うから、影響を受けたという感じとはまた違う気がするんですけど、近年「アニソン×ファンクの新境地を開拓」と資料にあって、メロディー的にはちょっと歌謡曲を意識してるのが、結果的にフレデリックともリンクするような雰囲気になっていて、若い世代にもすごくアピールできそうな曲になってますよね。
みさと:私、前身バンドからライブに何度か伺ってるんですけど、ライブバンドならではの掴みはOKスタイル、サビはさらに一聴したら歌えるSMAP世代にもたまらん歌詞も散りばめられていて、これもライブで大盛り上がりするだろう、らしい曲ができて素晴らしいなというところです。そしてもう一組、はじめましてさんです、GIRA MUNDO。
金子:以前FRIENDSHIP.からリリースしているShizuka Kanataの楽曲にフィーチャリングで参加をしてて、そんな縁もあってか今回はGIRA MOUNDOさん個人でリリースということで。この方もキャリアは既にある方で、ブラジル音楽のテイストが特徴的ですけど、コメントを読んだら、"22歳まで北海道に住んでいて、そのころの記憶を記録として残したくて作った曲"とあって、"優しいようで厳しい北海道の風土がなぜだかブラジルのリズムやハーモニーとマッチして"と書いてあって。北海道の寒いイメージとブラジルの暖かいイメージって一見合わないような気がしちゃうけど、でもどっちにも深くコミットしているGIRA MOUNDOさんがそこに共通点を感じてるっていうのは面白いですよね。
みさと:サウンドとしてもボサノバとスウィングっていう一見合わなさそうなものを一つにしている、食パンの上に納豆みたいな。
金子:そんな(笑)?
みさと:フライドポテトにアイスクリームみたいな。
金子:そんな違う(笑)?
みさと:でも、やるとめっちゃ美味しいじゃないですか。実はやってみるとマッチするんだよっていうのを一番ご存知の方がこのスタイルで作っている、むしろ、しっかりこのスタイルで聴きたいって思わせるような。やっぱり食パンの上に納豆は美味しいですよね。。
金子:俺、そもそもあんまり納豆好きじゃないんだよなあ(笑)。
みさと:ダメだったかー(笑)!意外と合うもの、むしろそういう風に聴きたいっていう楽曲、やっぱりベテランだからこそできる着地点を見せてくれてます。そんなPart-2ですけど、どの曲をかけましょうか。
金子:Thiiird Placeを紹介しようと思います。
みさと:今回、アルバムリリースになります。おめでとうございます。
金子:Thiiird Placeも毎回新曲が出るたびに"いいなあ"て思ってきましたけど、遂にアルバムですね。Thiiird Placeは中心のスガナミユウさんがコロナ禍の中でライブハウスを立ち上げるという、まずそこにストーリーがあって、最初は"コロナ禍で人が集まっちゃいけないっていう中で ライブハウスを始めちゃって大丈夫なのか"みたいな話だったけど、そこからより本質的な、"人が集まるってどういうことなんだろう?"みたいな思索がきっとあって、Thiiird Placeというバンドであり、コンセプトが生まれたのかなと思います。13人のいろんな人が集まっているというメンバー構成もそうだし、音楽的にもアフロ、ソウル、ラテン、ジャズ、いろんな要素が集まっていて、それを体現してる。特に「この場所」は、そんなThiiird Placeの代名詞となるような一曲と言っていいんじゃないでしょうかね。
みさと:心を動かされるのが、単純に明るさを押し付けてこないこと。この場所が優しさと明るさに詰まっていて、悲しさも寂しさもそこで受け止めてくれる一曲で、やはり家でも職場でも学校でもない誰もが安心して集まれる場所としてバンド名が名付けられた、そのThiiird Placeの意義が聴こえてくる一曲であり、アルバムになっている。この期間の彼らとどこにまた向かっていきたいのか、この場所をどうしていきたいかっていうのが見えてくる、素晴らしい作品になりました。
金子:前に「それから、どうする」という曲を紹介したと思うんですけど。
みさと:いい曲ですよね!
金子:あれって、一人一人は違うんだっていうことを認識した上で、それから、どうする?って投げかける曲だったと思うんですけど、アルバムだと「それから、どうする」の後に「この場所」が入ってて。"それから、どうする?"っていう投げかけの後に、"じゃあ、この場所に集まろうよ"って、そういうストーリーも感じさせて、アルバムの曲順で聴くとまたいいなあって感じがしましたね。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェスト、Part-3でした。リリースおめでとうございます。さてさて、こちらもはじめましてさんです。山にはめったに登らないという、冬山登山さんです。
金子:登らないんですね。
みさと:冬の山をすごく愛でていらっしゃりそうなアーティスト名ですけど、違います。
金子:この方はコロナ禍で、アパートの一室で楽曲を作りを始め、2023年5月から弾き語りのライブ活動を開始と。詳しいプロフィールは書いていないので、どんな方かはあんまりわからないんですけど、この曲自体はかつて訪れたアフリカのルワンダでつけた日記を基に書いた曲だそうで。パーカッションが入ってたり、ちょっとアフロっぽい雰囲気は確かにあって、そこが普通のフォークシンガーとは違う独自性を感じさせましたね。
みさと:牧歌的な、素朴な歌なのかなと思いながら聴いてたんですけど、エンディングではルワンダの人たちがみんな踊り出すような感じ。そんなルワンダを今回は真ん中に置きながら曲作りをされたみたいで、タイトルの「千の丘の国」っていうのが、実際にルワンダはそういう名称で呼ばれていると。山とか丘が本当にたくさん、千あるぐらい、小高い場所から遠くを見ると、山、山、山、山と素敵な景色が広がってるところで、タイトルやジャケット含めて、そんなルワンダが見えてくるような良い曲になっていました。
金子:今後も山とか丘シリーズで曲を作っていくのか、また全然違う感じになるのか。
みさと:南アルプスとか行くかもしれないですね。
金子:気になりますね。
みさと:もう一組、はじめましてさんです、Sablier。
金子:こちらはWhat Goes Upのボーカル・ギターIngridさんと、Bed Gravityのボーカル・ギターSakuraさんによるユニットです。女性ボーカルが二人でフォーキーな楽曲でというと、FRIENDSHIP的にはちょっと前にJane Jadeのリリースがあって、あっちは藤原さくらさんだったわけですけど、こっちもSakuraさんで。
みさと:そうですね。
金子:それは本当にたまたまだとは思うけど、でもその背景には共通点もあるというか、Jane Jadeのときも話したけど、ボーイジーニアス的な存在はどこかにうっすらと意識はあったのかなって気もして。ボーイジーニアスも一人一人はバンドシーンとも接点がありつつ、ボーイジーニアスだとわりとフォーキーな楽曲をやってるから、もしかしたらそういうところにも触発されて、一緒にやったのかもしれない。
みさと:あるかもしれないですね。そういう今の流れから見ると、次はどんなボーイジーニアス的なジャパニーズユニットができるのか楽しみですし、この曲は人と人の間のGravity=重力がテーマのラブソングですけど、ラブソングとか運命の人って恋だけに当てはめるわけではなくて、いろんな運命の形があることをこの曲を聴きながら再認識しました。さあ、そんなPart-3からは何を紹介しましょう?
金子:DURANさんを紹介しようと思います。
みさと:DURANさん、アルバムリリースになりました。おめでとうございます。
金子:DURANさんは去年の11月にもアルバム『Electric Man』を出していて、あちらはかなりロックなアルバムでしたけど、同時にブルースのアルバムも作ってますと以前から話は伝わってきていて、そのブルースアルバムが今回リリースされたと。ロックアルバムの方がより前衛的な要素も入ってたのに比べると、こっちのブルースアルバムはよりルーツ志向を感じさせる作品になっていて、特にこの「They're Red Hot」に関しては山岸潤史さんというギタリストが参加されていて。この方は御年70歳の大ベテランで、もともと関西のブルースシーンで活躍していたところから、ニューオーリンズに渡って、そっちでバリバリ活動されてる方で。
みさと:本場が認めたギタリストってことなんでしょうね。
金子:完全にそうですね。その方を招いて一緒に曲を演っていて、特にこの曲の後半は2人のギターバトルみたいになっていて、非常にかっこよかったですね。
みさと:ジャズもロックもルーツはブルースっていう、音楽の始まり、ジャンルを縦横無尽に行き来するDURANさんがそれを一枚にする意味がすごく見えてくるアルバムで。どうしても懐かしさ=古臭さを感じてしまいがちなんですけど、全くそんなことがなくて、まさに今言ってもらった伝統と革新が一枚になっているDURANさんらしいアルバムになっていて、タイムマシン・ミュージシャンですね。 素晴らしいです。
金子:2枚のアルバムという意味では、二面性みたいな言い方もできるし、ちゃんとルーツから、その先に未来があるという意味では繋がってるなって思うし、どっちの感じも伝わってきますよね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin