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2024.02.25
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!THE 2・宗藤竜太・DALLJUB STEP CLUBほか全23作品 -2024.2.24-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:2月19日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全23作品の中から、まずはPart-1、8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてさんです、Taishi Sato。
金子:Taishi SatoさんはODD Foot Worksの第4のメンバーと言ってもいいような存在で、楽曲のプロデュースもしてるし、ライブではサポートもしています。特にギタリストのキイチくん、この前ソロも出してましたけど、彼とは昔からの知り合い、音楽仲間で、Zattaというユニットも組んでいます。で、この曲を出した2月21日は彼の28歳の誕生日。
みさと:おめでとうございます。
金子:ここでシンカーソングライターとしてデビューと。この経歴がすでに示している通り、非常に音楽的にもクオリティが高くて。この「抱擁」って曲、ビートがないんですよね。ピアノとオルガンとストリングスとデジタルクワイアだけで作られてて、もしかしたらベースも入ってないかも。多分ピアノの低音がベースの代わりをしてて。
みさと:ベーシストなのにね。
金子:ベーシストとしての顔も持ってるのに。 でも、ちゃんとダイナミックな音像になってるっていう、それはすごいなと思いました。
みさと:キイチくんと同じ多摩出身で、同年代で、こんな素晴らしい音楽家がいるんだっていう驚きもあるし、2人に共通して言えるところが、本当にドラマチックな楽曲作りが得意なんだなっていうこと。一番最初のあの吐息聴きました?ぜひこの曲はイヤホンで、耳元で囁かれる、あの瞬間を体感していただきたい。あの漏れ出るため息のような吐息の、聴こえるか聴こえないかわからないぐらいのものが一番最初に入ってるんですけど、そこからスタートして、多重コーラスとストリングスの重厚感とか本当にもう終始ドラマチック。素晴らしいアーティストですね。そして、志摩陽立さん。
金子:志摩さんは現在12ヶ月連続リリース中で。
みさと:なんてことをしてるんでしょう、すごいことですよね。
金子:で、これがついに11作目と。
みさと:うわー、来ましたね、リーチが。
金子:最後はこれまでリリースした曲をまとめてアルバムで出すのか、それとも純粋な新曲をまた出すのか、どうなんですかね。
みさと:って考えると、これがシングルとしてはラストの可能性もありますもんね。
金子:アルバムにするにしても、たぶん新曲を1曲は入れてそうな気がするけど、まあでも、どうなるんだろうな、という気もしつつ、今回は非常にアコースティックなテイストの曲調で、志摩さんの曲は毎回メロディーも素晴らしいです。
みさと:私たちの中で、言うまでもないよねっていう空気感がいつも漂ってしまいますけど、声を大にして言いたいですよね。90年代初頭のドラマで使われてそうな、すごく懐かしみを感じるメロディーとフォーク要素、そして全体的にアコースティックのサウンドを目指して制作したっていうのと、エレピとオルガンが6年前のデモを一部流用しているっていう、録り直さずに、あえて使ってるっていう、そこのこだわり、時空を超えた感じも音楽作りの妙だなー、なんてことを感じてました。そしてそんなPart-1からお送りするのはどうしましょう?
金子:THE 2を紹介しようと思います。
みさと:ラストアルバムになりました。リリースおめでとうございます。
金子:前にこの番組で「スプートニク」という曲を紹介して、そのときは僕らTHE 2が解散するっていうのはまだ知らなくて。その後に発表されて、ポッドキャストの方では解散のことについても少し喋ったりしたんですけど、 既にこのアルバムが2月22日にリリースされて、その日にラストライブも行われていると。
みさと:はぁー。
金子:どんなラストだったんですかね。
みさと:どんなラストだったんでしょうね。なんだかもうこのアルバム自体も並びが完璧じゃないですか。解散が決まる前の曲と、行く末が決まってからの曲が収録されているっていう、彼らの今の曲、気持ちっていうのが全て収録されている。で、「蛙鳴蝉噪」の歌詞を見るともうね、涙腺が崩壊しますよね。
で、最後の終わりが「スプートニク」ってところも、はぁーなんか5曲に込められたこの彼らにとって短かったのか長かったのか、どんな思いでやってるのか、まあ想像はつかないですけど、やっぱりグッとくるものありますよね。
金子:「蛙鳴蝉噪」は4文字熟語で、カエルやセミが騒がしく鳴くことから、意味のない空虚な騒がしいことだったりを表す言葉で。
周りにはいろんな社会のノイズがあるけど、でも音楽だけは、歌だけはしっかり聴こえるっていう、それを寄り処にしていくっていう、その気持ちが伝わってくる歌詞になってるのもいいですよね。
みさと:古舘くんの本音が詰まってるというか、解釈がいろいろ取り行われる、いい曲でしたよね。アルバム通してぜひ聴いていただきたいです。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのはPart-2でした。リリースおめでとうございます。はじめましてさん、お二組です。まずは"國"。
金子:國は2020年の9月から東京を拠点に活動開始したオルタナティブ・ロック・バンド。去年からずっと言ってますけど、女性ボーカルのオルタナティブなロックバンドがどんどん出てきている。
みさと:本当にそうですね。ちょっと予言味を感じるんだけど。去年"これからどんどん増えてくんでしょうね"みたいな話をしたなと思って。まさにですね。
金子:増えてますよね。
みさと:もちろん2020年から活動されているので、彼女たちからしたら、ようやくみんな私たちの存在に気付いたのねっていう感じかもしれないですけど、やっぱり潮流が今、起こってるなっていう雰囲気ありますよね。
金子:その理由はいろいろあるだろうけど、今回の曲は東京の梅ヶ丘にあるhmcスタジオで録音されてるらしく、1曲目に紹介したÅlborgもhmcを使ってたり、Helsinki Lambda Clubとか、いろんなバンドがここを使っていて。このhmcスタジオがある種、若手バンドの拠点みたいな感じになってて、ここからいろんなバンドが出てきてる。その中でオルタナなサウンドも一つの特徴になってる、ということもあるのかなと思いました。
みさと:ありそうですね。今回の作品は月にまつわる作品になってるんですけど、月にまつわるおとぎ話って多いじゃないですか。それが表すように内省的になりやすいモチーフだと思うんですよね。その怪しさとかなんとも表現できない荒々しさみたいなものがすごく絶妙にマッチしていて、かっこいい曲でしたね。そしてもう一組がPSYSALIA 人。
金子:もともとPsysalia Psysalis Pshycheという名前で活動していて、一回解散したんですけど、2021年に復活してPSYSALIA 人になったと。僕からするとちょっと懐かしいというか。
みさと:そうなんですね、私、初めてです。
金子:通称"サイサリ"なんですけど、彼らが活動してた頃に僕もバンドをやってて、わりと近しいところにいたんですよね。 FRIENDSHIP.だったらPLASTICZOOMSとかもわりと近いところにいて、当時で言うとTHE HORROSとか、そういうバンドの影響下にあった印象があります。その頃からディープでコアな表現をしてたんですけど、PSYSALIA 人になって、よりハードコアでノイジーな独自の世界観を追求してるなという印象ですね。当時はそれこそロンドンとかのポストパンクやゴスに通じる感じがあったけど、今だったらGEZANとかのアンダーグランドなシーンと結びついたりしても面白そうだなと思いました。
みさと:「PSYSALIA 人」っていう名前に改名したのは、ルーツを知ってる厚武さんからすると、"やっぱこういうことしちゃうよね"っていう感じなのか、"それでも意外だったわ"っていう、どんなリアクションなんですか?
金子:まあ、納得かな。
みさと:そうなんですね。
金子:資料にも書いてあるんですけど、もともと「シーンの異端児」みたいなところはあって、当時から「こんなことするんだ!」みたいなことをやってる人たちだったので、"PSYSALIA人"っていうのも面白いなって。
みさと:PSYSALIAは英語でバンって出るのに"人"だけ漢字っていうこの異端な感じっていうのは、そうかそうか。
金子:でも昔から知っている人からすると通称"サイサリ"なんで、その呼び方自体は変わらない。
みさと:そうか、そうか。
金子:だから多分「人」まで読むことがあんまりない気がする(笑)。
みさと:それも想定してそうですね(笑)。
金子:かもしれない。
みさと:そんなPart-2からご紹介するのはどうしましょう?
金子:宗藤竜太さんの曲を紹介したいと思います。
みさと:いいですね。全く違うジャンルを紹介できるのがFRIENDSHIP.の強みでございます。
金子:宗藤さんおひさしぶりで、新曲は2年ぶりぐらいなんですよね。弾き語りのシンプルな形態っていう、それ自体は変わらないんですけど、この間にEテレの番組で歌唱を担当したり、子供向けの番組に曲を提供してたり、子供と接点があるような活動が多かったようで、今回の曲も「きみといっしょ」っていうタイトルからしてひらがなだし、"子供たちに伝わる言葉を選びたいという思いと弾き語りだからこその想像の余地を両立させたいと思い作りました"という本人のコメントもあるように、歌詞も全部ひらがな。今の宗藤さんが向かっているところがよく表れた曲になってるのかなと思います。
みさと:誰にでも伝わる表現ってありふれたものになる可能性がある中、しっかり宗藤竜太が壊れずに濃くなってるっていうのはやっぱり彼の素材の良さを再確認できる作品だったと思います。
金子:「きみといっしょ」って本当にすごくシンプルなワードではあるけど、でも歌詞を読み込むと「存在」と、その一方での「不在」と、その両方をちゃんと見つめながら言葉を紡いでいて、そういう彼の世界観はしっかり息づいているなと思います。
みさと:しかもその存在と不在の解釈も大人でもいろんな解釈、一文の中に何通りも解釈できるようなワードになっていて、子供向けでありながら大人も"うーん"と唸らせるような、そんな言葉選びが秀逸ですよね。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。こちらもはじめましてさんです、 "しゅばる"。
金子:作曲・編曲家の井之上俊輔さんによるソロユニットです。オーダーメイドで音楽を作るお店「shun sound store」 というのも経営していると。
みさと:へー、お任せで曲を作ってくれるってことかな?私のために一曲作ってください、みたいなのができるってことなんですかね?
金子:そういうのもできるし、それこそ今だと「動画のBGM作ってください」とかそういうのもできたり。
みさと:素晴らしいお仕事。
金子:この人は着眼点が面白くて、まず自分の音楽のジャンルのことを"ルーラルポップ"と呼んでいて。ルーラルは田舎のことで、最近若くして都会を離れて田舎の方で生活する人が増えたりする状況も見据えつつ、そういう憧れみたいなところを"ルーラルポップ"として作ってるっていうのがまず面白い。
みさと:ご自身で名付けた造語ですって書いてますね。
金子:で、歌詞はひさしぶりに会った幼馴染が美容整形をしていたという内容で、この着眼点も面白いし。
みさと:なかなか書けないですよね。
金子:だからこの人は経営とかも含めて面白いアイディアをどんどん生み出す人なんだろうなっていう感じがすごくしますね。
みさと:「ああ無常」と言いつつ、そんなに悲観してるように聴こえないのも、それはやっぱりサウンドが持つ力だなぁっていうのと、その美容整形に関して肯定も否定もしていなくて、変わったことに驚いたとは言ってるんですけど、そこまでに留めている客観性がとてもいいなと思って、誰が聴いても傷つかない落とし所にしてるのがすごく好感を持てました。そしてLuminous 101。
金子:これは今週のベストタイトル賞。「風邪ひきぬ」。
みさと:あはははは。風立ちないね。
金子:そしてこの"かぜ"はキャッチコールドの風邪ね。
みさと:病気の方です。
金子:セルフライナーノーツによると、コロナ禍真っ盛りの頃に普通に風邪を引いちゃったそうで。
みさと:しかもコロナじゃないのね(笑)。
金子:普通に風邪を引いちゃって、すごくいろんな意味で大変だった、っていう。
みさと:大変だったんだろうけど、笑っちゃって申し訳ないですよね。
金子:それからこのタイトルであり、この曲が生まれていると。笑っちゃうんだけど曲自体はすごくかっこよくて、Luminous 101のサイケなサウンド・プロダクションは今回も健在。資料にもあるんですけど、ちょっとTempalayとかにも通じるような感じがあってTempalayも結構言葉はふざけてて、でも曲はかっこよかったり、みたいなところがあるから、そういう意味でも通じるし、非常にかっこいいなと思いました。
みさと:あの頃を思い出して、この3年を思い出して、鬱々とする気持ちだけではない何かを感じさせてくれるような1曲になってます。そんなPart-3からご紹介するのは?
金子:DALLJUB STEP CLUBを紹介しようと思います。
みさと:アルバムがリリースです。『3%』おめでとうございます。
金子:アルバムとしては約6年ぶりと。
みさと:わーお。
金子:結構空いたんですね。でも、この間にドラムのGOTOくんがとにかく活躍の場を広げていて、いろんなバンドであり、サポートであり、幅広く活躍していて。それはやっぱり時代感とも重なっているもので、もともとDALLJUB STEP CLUBは「オルタナティブ・ベース・ミュージック・バンド」みたいな言葉もありますけど、クラブ・ミュージック、ダンス・ミュージックを生演奏に落とし込むっていうのをずっとやってきたわけです。
で、最近は90年代末ぐらいからのクラブ・ミュージックがいろいろ掘り起こされて、オーバーグランドでもそれがポップスと結びついたりしてるし、アンダーグラウンドでもレイヴのパーティーが広がっていったりしてる。で、GOTOくんはオーバーグラウンドにも行けるしアンダーグラウンドでかっこいいこともできるしっていう、そういう時代に求められて活躍の場を広げているなという印象があります。
でも自分のバンドであるDALLJUB STEP CLUBに関してはコアな方をめちゃめちゃ突き詰めていて、特にこの6年の間にボーカルをやっていた森心言くんが抜けて、もともとの3人に戻ったっていうのも大きくて。心言くんがいたときは歌とかラップの要素もあったから、よりポップな方向の曲もあったけど、それがなくなったことによって、よりコアに、ドープに、サウンドやアンサンブルを突き詰めていて、今回の曲もかっこよかったですね。
みさと:オーバーグラウンドもアンダーグラウンドも行き来ができる、そして曲の作り方とかアルバムのジャケットの雰囲気とかも、ふざけてるのかふざけてないのかわからないっていう、総じてバランス感覚のいい人たちなんだなっていうのを感じますよね。
金子:『3%』というアルバムタイトルで、ジャケットがスマホの充電が残り3%になってます。
みさと:充電が3%しか残らないぐらい詰め込まれて消費されるようなアルバムになっているし、シングルカットされていた「Breath - ver.2」はチャットGPTのスクショ。あれは充電が56%残ってたんですけど、徐々になくなっていってるっていう、なんとなく紐づいてる感じもファンからするとニヤッとさせられるところ、ポイントが押さえられていて、隙のない、そんな作品になっています。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武 1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。 @a2take / @a2take3 奥宮みさと ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。 @_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin