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2024.02.20
Laura day romance、「日本のバンドシーンは確実に変わる」という可能性を存分に感じさせた東名阪ワンマンツアー初日公演。
Laura day romanceが2月6日(火)、東名阪ワンマンツアー「Laura day romance oneman tour 2024 『We are who we are』」の東京公演を恵比寿LIQUIDROOMで開催した。
同時代の海外のインディーロック、70年代あたりのソウル/R&Bから"ニューミュージック"と呼ばれた頃の日本の音楽まで、古今東西のグッド・ミュージックをしなやかに吸収し、独創的にしてポップなアンサンブルと歌を奏でるLaura day romanceは、昨年5月にギタリスト・川島健太朗の脱退に伴い、井上花月(Vo)、鈴木迅(Gt)、礒本雄太(Dr)による体制に移行。久々のツアーの初日で3人は──"私たちは私たち"を意味するツアータイトルが示す通り──自らのアイデンティティの音楽的な可能性をしっかりと見せてくれた。
前日の大雪に加え、この日は山手線の遅延もあり、開演時間は15分遅れの19時15分。まずは鈴木、礒本とサポートメンバーの内山祥太(Ba)、小林広樹(Gt)、西山心(Key)が登場。1曲目の「花束を編む | making a bouquet」をゆったりと奏で始める。そしてタンバリンを手にした井上がステージに現れ、メロディと言葉を加える。〈ねえ どうか 誰かを思うほどの優しさが街の 灯の届かないところまで行き渡りますように〉というフレーズがフロアを埋め尽くした観客のなかに浸透し、ライブは幕を開けた。
続いては、新体制になって初の新曲「brighter brighter」。不協和音や不規則的なリズムを取り入れながら、徐々に高揚感を増していくバンドサウンド、感情の揺らぎを反映したエモーショナルな旋律は、このバンドの新機軸と言っていいだろう。楽曲の後半、白いライトがステージを照らし出す演出も心に残った。さらにオルタナ・カントリー的なテイストを感じさせるポップチューン「rendez-vous」、軽快なダンスビートとサイケデリックな雰囲気が混ざり合う「sweet vertigo」(楽曲の後半、井上はまるでリアム・ギャラガーのように手を後ろに組んだ状態で歌ってました。かっこいい)と色とりどりの楽曲が放たれる。様々な音楽のファクターを自然に取り込みながら、他のどこにもない、だけど誰もが楽しめるポップミュージックへと昇華する。このバンドの在り方が目の前で立ち上がり、心地よい興奮に包まれる。
独創性に溢れたアンサンブルもLaura day romanceの魅力だ。「憧れの街」ではメンバー全員のフレーズが有機的に絡み合い、前衛とポップが絡み合うような音像が出現。さらに「アイデア」ではギターとボーカルが"タラッタッタッタタララ"なフレーズを掛け合い、愛らしいグルーヴへと結びつける。立体的で奥行きのあるサウンドメイクも楽しい。
「すごいタイミングで大雪になって。でも、みなさんが来てくれたので安心して演奏できてます」(井上)という言葉を挟み、憂いと郷愁が響き合うミディアムバラード「魔法は魔女に | magic belongs to witches」。エアリーな柔らかさと凛とした鋭さが共存するボーカルがなんとも気持ちいい。重層的なコーラス、歌とギターの絡みとともに〈あなたみたいになれないからせめて繋がっていよう〉というフレーズが広がる「潮風の人」、そして井上と鈴木のツインボーカルによる極上のノスタルジック・ポップチューン「lookback&kick」でライブは最初のピークへ。緊張と解放感が交互に訪れるセットリストはメインソングライターの鈴木によるものだ。
個人的にもっとも心に残ったのは、新曲「Young life」だった。奇妙で可愛いシンセの音、直線的なエイトビート、抑制の効いたメロディラインが一つになったこの曲は、一聴するときわめてシンプルだが、楽曲が進むにつれて深淵に引き込まれるような不思議な感覚がある。〈死んでもいいような今夜を 探して歩くんだ今夜〉というラインも、ライブで聴くとさらに強いインパクトを感じ取ることができた。おそらく分かり合えることはないし、輝かしい若き日々はいずれ過ぎ去る。それでも僕らは歩いていくのだろう──"メメントモリ"という言葉が脳裏をよぎるこの曲は、彼らの新たな代表曲になるはずだ。
淡々としたサウンド、官能と危うさが滲む歌、ノイジーなギターソロが溶け合う「灯火管制の夜」からライブは後半へ。〈書きたい 繋げたい つまらないことはしない〉という歌詞が心に響いた(それはこのバンドの姿勢そのものだと思う)「書きたい」でフロアの高揚感をさらに引き上げてみせた。
「いろんなことが不安だったんですけど、ツアー初日がこうして迎えられて......。2023年、私たち大変だったんですよね。めちゃくちゃいろんなことがあって、変化があり続けた年で。そこを乗り越えてこられたのは、メンバー、スタッフ、もちろんみなさんのおかげ。感謝が止まらない日々です。本当にありがとうございます」
そんな言葉に導かれたのは本編ラストの「happyend | 幸せな結末」。穏やかなメロディラインとともに淋しさと嬉しさをたっぷり含んだ歌が響き渡るシーンは、この日のライブの素晴らしさを象徴していたと思う。
鳴り止まない手拍子に導かれ、再びメンバーが登場。まず「little dancer | リトルダンサー」を披露し、幻想と現実が混ざり合うような音楽空間を作り出す(鈴木いわく「この曲は東京限定」だとか)。
「バンドって(観客)"二人"とかからはじまるんですよ。俺たちがいい曲作って、それを投げて、みなさんが喜んでくれて、その人数が増えていって。スタッフも自分たちのことをサポートするのが誇らしくて。これからも大きくなるつもりはあるけど、一人ひとりに届けたいということだけは曲げずにやっていきたいです」(鈴木)
「"We are who we are"だからね。私たちは私たちということで。私は"変われないんだろな"と思っていて、このまま大きくなっていくのがいちばんかなって」(井上)
そんなやり取りを挟み、ファンに高く支持されている「夜のジェットコースター」「Sad number」を演奏。心地よい多幸感のなかでライブはエンディングを迎えた。
本ツアー終了後、各地のイベント出演を経て、この秋に自身最大規模のワンマンツアーを全国6か所で開催(ファイナルは11/7 東京Zepp Shinjuku)。自らの音楽性や活動スタンスを貫いたまま、キャリアハイを更新し続けるLaura day romance。このバンドがもっと幅広いポピュラリティを得たとき、日本のバンドシーンは確実に変わる。そんな可能性を存分に感じさせてくれるステージだった。
文:森朋之
撮影:kokoro
Laura day romance「Young life / brighter brighter」
2024年1月31日(水)
Format:Digital
Track:
1.Young life
2.brighter brighter
試聴はこちら
北海道・札幌cube garden
開場:17:30 開演:18:00
2024年10月17日(木)
愛知・名古屋THE BOTTOM LINE
開場:18:00 開演:19:00
2024年10月18日(金)
大阪・BIGCAT
開場:18:00 開演:19:00
2024年10月25日(金)
福岡・BEAT STATION
開場:18:30 開演:19:00
2024年11月3日(日)
宮城・仙台darwin
開場:17:30 開演:18:00
2024年11月7日(木)
東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)
開場:18:00 開演:19:00
出演:Laura day romance
チケット代:前売り 一般 ¥4,800/U-22割 ¥3,800
※U-22割は2002年4月2日以後に生まれた方対象
オフィシャル先行
受付期間:2/18(日)12:00~2/25(日)23:59
URL:https://w.pia.jp/t/lauradayromance-tour24/
@lauradayromance
@lauradayromance
@lauradayromance
FRIENDSHIP.
同時代の海外のインディーロック、70年代あたりのソウル/R&Bから"ニューミュージック"と呼ばれた頃の日本の音楽まで、古今東西のグッド・ミュージックをしなやかに吸収し、独創的にしてポップなアンサンブルと歌を奏でるLaura day romanceは、昨年5月にギタリスト・川島健太朗の脱退に伴い、井上花月(Vo)、鈴木迅(Gt)、礒本雄太(Dr)による体制に移行。久々のツアーの初日で3人は──"私たちは私たち"を意味するツアータイトルが示す通り──自らのアイデンティティの音楽的な可能性をしっかりと見せてくれた。
前日の大雪に加え、この日は山手線の遅延もあり、開演時間は15分遅れの19時15分。まずは鈴木、礒本とサポートメンバーの内山祥太(Ba)、小林広樹(Gt)、西山心(Key)が登場。1曲目の「花束を編む | making a bouquet」をゆったりと奏で始める。そしてタンバリンを手にした井上がステージに現れ、メロディと言葉を加える。〈ねえ どうか 誰かを思うほどの優しさが街の 灯の届かないところまで行き渡りますように〉というフレーズがフロアを埋め尽くした観客のなかに浸透し、ライブは幕を開けた。
続いては、新体制になって初の新曲「brighter brighter」。不協和音や不規則的なリズムを取り入れながら、徐々に高揚感を増していくバンドサウンド、感情の揺らぎを反映したエモーショナルな旋律は、このバンドの新機軸と言っていいだろう。楽曲の後半、白いライトがステージを照らし出す演出も心に残った。さらにオルタナ・カントリー的なテイストを感じさせるポップチューン「rendez-vous」、軽快なダンスビートとサイケデリックな雰囲気が混ざり合う「sweet vertigo」(楽曲の後半、井上はまるでリアム・ギャラガーのように手を後ろに組んだ状態で歌ってました。かっこいい)と色とりどりの楽曲が放たれる。様々な音楽のファクターを自然に取り込みながら、他のどこにもない、だけど誰もが楽しめるポップミュージックへと昇華する。このバンドの在り方が目の前で立ち上がり、心地よい興奮に包まれる。
独創性に溢れたアンサンブルもLaura day romanceの魅力だ。「憧れの街」ではメンバー全員のフレーズが有機的に絡み合い、前衛とポップが絡み合うような音像が出現。さらに「アイデア」ではギターとボーカルが"タラッタッタッタタララ"なフレーズを掛け合い、愛らしいグルーヴへと結びつける。立体的で奥行きのあるサウンドメイクも楽しい。
「すごいタイミングで大雪になって。でも、みなさんが来てくれたので安心して演奏できてます」(井上)という言葉を挟み、憂いと郷愁が響き合うミディアムバラード「魔法は魔女に | magic belongs to witches」。エアリーな柔らかさと凛とした鋭さが共存するボーカルがなんとも気持ちいい。重層的なコーラス、歌とギターの絡みとともに〈あなたみたいになれないからせめて繋がっていよう〉というフレーズが広がる「潮風の人」、そして井上と鈴木のツインボーカルによる極上のノスタルジック・ポップチューン「lookback&kick」でライブは最初のピークへ。緊張と解放感が交互に訪れるセットリストはメインソングライターの鈴木によるものだ。
個人的にもっとも心に残ったのは、新曲「Young life」だった。奇妙で可愛いシンセの音、直線的なエイトビート、抑制の効いたメロディラインが一つになったこの曲は、一聴するときわめてシンプルだが、楽曲が進むにつれて深淵に引き込まれるような不思議な感覚がある。〈死んでもいいような今夜を 探して歩くんだ今夜〉というラインも、ライブで聴くとさらに強いインパクトを感じ取ることができた。おそらく分かり合えることはないし、輝かしい若き日々はいずれ過ぎ去る。それでも僕らは歩いていくのだろう──"メメントモリ"という言葉が脳裏をよぎるこの曲は、彼らの新たな代表曲になるはずだ。
淡々としたサウンド、官能と危うさが滲む歌、ノイジーなギターソロが溶け合う「灯火管制の夜」からライブは後半へ。〈書きたい 繋げたい つまらないことはしない〉という歌詞が心に響いた(それはこのバンドの姿勢そのものだと思う)「書きたい」でフロアの高揚感をさらに引き上げてみせた。
「いろんなことが不安だったんですけど、ツアー初日がこうして迎えられて......。2023年、私たち大変だったんですよね。めちゃくちゃいろんなことがあって、変化があり続けた年で。そこを乗り越えてこられたのは、メンバー、スタッフ、もちろんみなさんのおかげ。感謝が止まらない日々です。本当にありがとうございます」
そんな言葉に導かれたのは本編ラストの「happyend | 幸せな結末」。穏やかなメロディラインとともに淋しさと嬉しさをたっぷり含んだ歌が響き渡るシーンは、この日のライブの素晴らしさを象徴していたと思う。
鳴り止まない手拍子に導かれ、再びメンバーが登場。まず「little dancer | リトルダンサー」を披露し、幻想と現実が混ざり合うような音楽空間を作り出す(鈴木いわく「この曲は東京限定」だとか)。
「バンドって(観客)"二人"とかからはじまるんですよ。俺たちがいい曲作って、それを投げて、みなさんが喜んでくれて、その人数が増えていって。スタッフも自分たちのことをサポートするのが誇らしくて。これからも大きくなるつもりはあるけど、一人ひとりに届けたいということだけは曲げずにやっていきたいです」(鈴木)
「"We are who we are"だからね。私たちは私たちということで。私は"変われないんだろな"と思っていて、このまま大きくなっていくのがいちばんかなって」(井上)
そんなやり取りを挟み、ファンに高く支持されている「夜のジェットコースター」「Sad number」を演奏。心地よい多幸感のなかでライブはエンディングを迎えた。
本ツアー終了後、各地のイベント出演を経て、この秋に自身最大規模のワンマンツアーを全国6か所で開催(ファイナルは11/7 東京Zepp Shinjuku)。自らの音楽性や活動スタンスを貫いたまま、キャリアハイを更新し続けるLaura day romance。このバンドがもっと幅広いポピュラリティを得たとき、日本のバンドシーンは確実に変わる。そんな可能性を存分に感じさせてくれるステージだった。
文:森朋之
撮影:kokoro
RELEASE INFORMATION
Laura day romance「Young life / brighter brighter」
2024年1月31日(水)
Format:Digital
Track:
1.Young life
2.brighter brighter
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
「Laura day romance Tour 2024」
2024年10月6日(日)北海道・札幌cube garden
開場:17:30 開演:18:00
2024年10月17日(木)
愛知・名古屋THE BOTTOM LINE
開場:18:00 開演:19:00
2024年10月18日(金)
大阪・BIGCAT
開場:18:00 開演:19:00
2024年10月25日(金)
福岡・BEAT STATION
開場:18:30 開演:19:00
2024年11月3日(日)
宮城・仙台darwin
開場:17:30 開演:18:00
2024年11月7日(木)
東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)
開場:18:00 開演:19:00
出演:Laura day romance
チケット代:前売り 一般 ¥4,800/U-22割 ¥3,800
※U-22割は2002年4月2日以後に生まれた方対象
オフィシャル先行
受付期間:2/18(日)12:00~2/25(日)23:59
URL:https://w.pia.jp/t/lauradayromance-tour24/
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オフィシャルサイト@lauradayromance
@lauradayromance
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