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2024.02.11
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!ユアネス・Henryne Girls・Keishi Tanakaほか全18作品 -2024.2.10-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:2月5日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全20作品の中から、まずはPart-1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます! さて、はじめましてさんです。Antiage。
金子: 2021年2月に結成された、越谷を拠点とするオルタナティブバンド、越谷や東京都内のライブハウスを中心に活動中とのことです。エモを背景に持つJ-ROCKみたいなバンドも増えてきた印象で、前に紹介した、「Mineralがミスチルをやろうとしてるイメージで曲を作った」というFUJIを思い出したり、この手のサウンドで言うとやっぱりcinema staffの影響って改めて大きいなと思ったりもしました。
みさと:繊細さと強さが1曲の中に感じられて、1対1のエモい感じでいくのかなと思いきや、後半のシンガロングではバンドが会場、オーディエンスを包み込んで、どういうふうにライブパフォーマンスしていくのかまで見えるという、幕の内弁当的な、すごく良いとこ取りな楽曲作りをするんだなっていうのを感じながら聴かせてもらいました。
金子:「あの街で」というタイトルの曲で、バンドらしくいろんな街、いろんなライブハウスを回って、そこで出会った人たちをテーマにしていて、だからこそああいう合唱みたいなコーラスにも繋がっていく。ちゃんと1曲の中に必然性があるなって感じもしましたね。
みさと:そして、阿佐ヶ谷ロマンティクスがEPをリリースです。
金子:「あの街で」ってどの街?って言われたら「阿佐ヶ谷です」みたいなね(笑)。
みさと:盆踊りの曲を作ったり、阿佐ヶ谷の街全体を活性化するキーになりつつあるような、面白いバンドですよね。
金子:「Best Friend」という曲がタイトル曲になってるんですけど、この曲は言ってみたらその街を飛び越して、世界へも羽ばたいていきそうな感じというか。阿佐ヶ谷ロマンティクスはSpotifyとかでも海外リスナーの数を伸ばしつつあって、それは彼女たちが持ってるシティポップ的な、日本的な感覚が海外でも興味を持って聴かれてるという側面があったと思うんですけど、その上で今回は改めて海外にもアプローチしてて、サビが英詞で歌われていて。これまでの阿佐ヶ谷ロマンティクスのイメージにはなかったけど、でもすごく良いんですよね。
みさと:良かったですね。
金子:日本過ぎず、洋楽過ぎず、ちゃんと阿佐ヶ谷ロマンティクスらしい、ちょうどいいバランスの英語詞のサビになってて、めちゃめちゃ気持ちよくて。リファレンスでNo NameとかJacob Collierみたいな名前も挙がってたりするんですけど、そういう洋楽的な感覚も取り入れつつ、ちゃんと自分たちのものにしてる感じがして、めちゃ良い曲だなと思いました。
みさと:バンド自体にもテーマがあるというか、ドラマがあるじゃないですか。阿佐ヶ谷という街で出会って、そこでも"Best Friend"という繋がりを感じてらっしゃると思うし、どんどん海外にリスナー数を伸ばしていくっていう、友達の輪が広がってる様相もこのEPが作られた理由というか、そこのドラマも見させてもらえてる。どんどん輪が広がっていきそうですね。そんな中、我らがユアネスがミニアルバムリリースです!おめでとう!タイトルは『Ⅶ(セブン)』です。
金子:ユアネスは毎回ちゃんとコンセプト立てた作品を作ってますけど、今回はユアネスとして通算7作目で、7曲入りで『Ⅶ(セブン)』。7という数字は1週間であり、感性と独自性を象徴する数字でもあり、さらに言うと、向学心と強い意志を持って困難を乗り越え、その先を目指そうとする性質を持っている数字でもあるらしいです。
みさと:知らなかった。
金子:こうやって、7という数字からイメージを広げて、コンセプトをどんどん強化していくのはらしいですよね。 その中でもこの「命の容量」という曲はキーになる曲になっていて、今やユアネスの代表曲になっていると言ってもいい「私の最後の日」のアレンジャーでもあった釣俊輔さんがこの曲にも参加していて。古閑くんのソングライティングやアレンジのスキルもどんどん上がってるし、そこに釣さんも加わることによって、ストリングスを生かした非常にスケール感のあるバラード曲になっていて。ライブハウスというよりも、もっとでかいところで見たいと思わせるようなバンドにどんどんなってきてるなと思います。
みさと:音の鳴りが良いホールとかがすごく似合いそうな音作りだなっていうのと、あと古閑くんが書く歌詞の死生感というか、ただただ悲しいとか喪失感だけじゃなくて、そこに美しさとか、尊さみたいなものも上品に描ける人なんだなっていうのをすごく作品作りとして毎作感じていて、さらにはやっぱりこれを黒ちゃんに歌わせたいっていう、黒ちゃんに声で表現してほしいっていうのが、すごくいいチームなんだなって。ミニアルバム、全曲聴いていただきたいですね。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。一応ですが、初めましてです、BON-SAN。
金子: TAMIWやN4TURALKILLERSなどで活動しているドラマーでありビートメーカーでもあるBON-SAN。前にTAMIWのセルフリミックスをBON-SANが自分でやっている作品が出てるんですけど、BON-SAN名義としては初めての作品です。現在SNSで煩悩の数だけ曲をリリースするという"煩悩プロジェクト"をやっていて、その曲をまとめた第一弾のアルバムということなので、一服trackにもちょっと通じるところありますよね。
みさと:そしてこれはこの方じゃないとリリースできない形態ですよね。浄土真宗の僧侶である。
金子: BON-SANという名前の通り、本当にお坊さんでもあるんですよね。TAMIWはボーカルのtamiさんもお寺の出身の方で、そこを改造して自分たちのスタジオにしちゃったりしていて。
みさと:面白いですねー。確かに音の鳴りとか良さそう。天井高くて。
金子:自然の鳴りがね。BON-SANはヒップホップへの愛情が非常に強くて、いわゆるトラップ以降のものっていうよりも、もうちょっとオールドスクールな、ブーンバップ的な、サンプリングから作ってますっていう、そこにはすごくこだわりを感じさせるトラックになってましたね。
みさと:日本のアーティストさんの中でひさしぶりに骨太、漆黒、重量を感じるようなビートだなって感じながら聴いてましたけど、これを扱えるアーティストさんって限られてるなぁ、玄人好みだよなぁっていうのも思いつつ、バチバチにかっこいいドープな音で、これを煩悩の数だけリリースって、楽しみで仕方がないです。続いてDENIMSもシングルです。
金子:ひさびさのシングルですね。DENIMSはベースの土井さんが最近話題の離婚伝説の録音に参加をしてて、今月開催されるツーマン・ツアーでは大阪で離婚伝説との対バンも決まってたりするんですけど、そんな中での新曲です。6分以上ある結構長い曲で、だからパッと聴きの派手さがあるタイプの曲ではないんだけど、6分という長さを使ってジワジワと盛り上がっていって、最後は壮大になるっていう、きっと新たなライブのクライマックスになる一曲だろうなという感じがしました。
みさと:「これ以上望む事はないや」っていう決意を歌ってるんですけど、歌声からはすごく矛盾を感じる切ない表現をしているなと思って。一曲の中にとにかく矛盾が詰まっているんですけど、どれも真実だよなぁって思いながら聴かせてもらって。冷たいご飯が好きな元彼のことを思い出しながら聴きました(笑)。
金子:それが「たがまま」というタイトルにも表れていて。"我がまま"じゃなくて"他がまま"で、他の人のために我を通して進んでいく、その矛盾を歌ってる。でもそれってやっぱり大事ですよね。
みさと:そうなんですよね。それを否定するわけでもないし、みなさんきっと経験したことがあるんじゃないかなと思って。矛盾だらけなんだけど共感ができるっていう、素晴らしい着眼点を持ってますよね。そしてご紹介するのはどなたにしましょう?
金子: Henryne Girlsを紹介しようと思います。
みさと:あらあらあら、ここがユニットを組みましたよ。DÉ DÉ MOUSEとShimon Hoshinoがユニットを組みました。
金子:どちらも作品出しまくりな人で、DÉ DÉ MOUSEさんもFake CreatorsをはじめいろんなコラボレーションをしてるしShimon Hoshinoさんもいろんな名義を使い分けてリリースしてるし、そんな多作家2人が組んじゃったっていう。パッと聴いた印象としては、やっぱり海外を狙ってるだろうなっていうのはすごく感じました。Shimonさんのこのチル、ローファイなトラックは、すでに世界にリスナーを増やしてるし、そこにDÉ DÉ MOUSEさんのオリエンタルなメロディやボーカルのカットアップといった、らしい要素が加わることによって、ファンタジックな世界観を作り上げていて。ジャケットも女の子のイラストだったり、そういうところもある意味日本的な部分を押し出していると思うし、これは海外の反応が気になるなっていう1曲でしたね。
みさと:ハネそうですね。2人がやってきたことと2人がやってる意味が本当にバランスよく形になっているユニットだなと思います。楽しみです。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。この名義では初ですね、Piezoluminescence。
金子: Tamuraryoさんとmippopotamusさんのユニットということで、前にコラボレーションという形でリリースはあったんですけど、もともと1曲だけのコラボ予定だったのが、つい筆が乗ってしまい4曲も作ってしまったので、せっかくだからユニット名をつけてリリースすることにしたと。最近Jane Jade、藤原さくらさんと優河さんの2人もコラボレーションから発展してユニットになったって話がありましたけど、それにも通じるエピソードだなと思うし、曲的にもすごくアコースティックな、フォーキーな作品で、でもサウンドにはアンビエント感もあったり、実際Jane Jadeとも相性良さそうな、現代のフォークっていう感じで、すごく良かったですね。
みさと:素朴でシンプルでオーガニックで、すぐそばにある誰にでもある感情を穏やかに聴かせてくれる曲だなと思って、心地良かったです。もう一組はじめましてさんです、solh Instrumental。
金子:こちらは2023年に結成された名古屋を拠点とするミュージシャンたちによるインストバンドということです。 インストバンドも最近また色々面白いバンドが増えている印象ですけど、この人たちもジャズとかヒップホップを背景にしつつ、サックスの生楽器の響きとその一方でのシンセとかドラムパッドのエレクトロニックな響きとが混ざっていて、かっこいい曲になっていましたね。
みさと:始まりのビートから「これ好きなやつ!」と思って、メロが入ってきて絶対好きと思って、サックス聴こえてきて、「はい、確定!」っていう。毎秒ごとに溢れてくる期待を裏切らない曲作りだなと思って、なんとなく展開も予想できるんだけど、ちゃんと個性も溢れていて、すごくいいバランスだなと思いました。
金子:後半の展開は「あ、そっち行くのね、ニヤニヤ」みたいな、そういう感じもありましたよね。他の曲も聴いてみたいです。
みさと:そんなパート3からお送りするのはどうしましょう?
金子: Keishi Tanakaさんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回お一人で宅録でセルフレコーディングしたEPなんですね。
金子:このEPはまず3月にライブ会場限定で発売されるということで、FRIENDSHIP.はデジタルのディストリビューションなわけですけど、デジタルの時代だからこそ、こうやって直にものを届けることの意義や意味も同時に大事にしたいなと思います。で、みさとさんがさっき言ってくれた通り、今回の作品は一人で宅録で、セルフで作っていて、そういう作品だからこそ、誰にでも広く届けるというよりは、まずは一人一人に届けようっていう、それでこういう届け方をしようと思ったんだと思うし、文字通り心を込めて一つひとつっていう、それが楽曲自体のテーマにも繋がったんだろうなっていう感じはします。
みさと:全ての曲がとは言わないですけど、今までのKeishiさんって、"大縄やってるから入ってくる?"っていうオープンなイメージがすごく距離感としてあったんですけど、今回は、"何の本読んでる?"とか、聞かなくてもその場に一緒にいるぐらいの、そういう距離感を感じて。
金子:なるほどね。
みさと:Keishiさんが今どこに向かってるのかっていうベクトルがちゃんと表れてる、優しい曲だなというのを感じてます。
金子:確かに、これまではファンクだったり、フィジカルな要素も強かったから、大縄飛びな感じだったけど、今回は音楽的なコンセプトとして「アンビエント」があったみたいで、フィジカルというよりも親密さ、"何読んでるの?"って声をかけるぐらいの距離感っていうのが、音楽性ともちゃんとリンクしていて、全てに整合性がありますよね。
みさと:ありますね。だから説得力がすごくあって、自分の何かとリンクさせやすい。Keishiさんの導き方って毎回素晴らしいなと思って、ハッとさせられます。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武 1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。 @a2take / @a2take3 奥宮みさと ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。 @_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin