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2024.01.18

アツキタケトモとGhost like girlfriend、盟友同士の共演!2マンライブ「makuake curated by FRIENDSHIP.」ライブレポート

アツキタケトモとGhost like girlfriend、盟友同士の共演!2マンライブ「makuake curated by FRIENDSHIP.」ライブレポート

アツキタケトモとGhost like girlfriendの2マンライブ「makuake curated by FRIENDSHIP.」が渋谷FS.にて1月11日に開催された。両者のどちらかを追っているファンであればすでにご存知のことかと思うがアツキタケトモとGhost like girlfriendこと岡林健勝は盟友だ。同世代のポップス職人と言うだけでなく、プライベートでもお互いが現在の名義に変わる以前から交流のある良き友人であり理解者、何より近しい境遇を生き抜いてきた表現者としてお互いのファンでありライバルと呼べる稀有な存在。イベントタイトルが示す通り新たな一年の幕開けを祝うようなライブになることだろうし、そんな2人が2マンライブを行うとなれば特別なものにならないはずはない。しかもアツキタケトモはこの名義になってから初のライブだ。本稿ではそのイベントの模様をお届けする。

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ソールドアウトとなり、オーディエンスの詰まった渋谷FS.のステージにまず現れたのはGhost like girlfriend。マニピュレーター兼ギターの土器大洋(MO MOMA)と2人の編成だ。「よろしくお願いします」と軽快なポップナンバー「Highway」でライブをスタート。ラップや歌声の緩急でいきなりフロアの心を奪っていく。曲はスムースに繋がれ「(want) like (lover)」へ突入。疾走感のあるギターソロが歌声をさらに後押しする1曲を終えると、息もつかせず「サイレント、幻」へとなだれ込む。一言「ありがとうございます」と言いつつも、特にしっかりとしたMCは挟まず、ゆるりとムードを変え「girlfriend」が始まる。キラキラと舞う儚げなヴォーカルはGhost like girlfriendの真骨頂の一つだろう。アツキもバックコーラスで参加した「Birthday」でもそれは顕著で、どこまでも優しい歌詞が胸に飛び込んでくる。

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おそらくGhost like girlfriendの名前を広く世に知らせた次の曲「fallin'」のディレイのかかったギターによる印象的なイントロが響くと、岡林は照明のスタッフに向かって「青い照明って消したりできますか?」と尋ね、それまでステージ全体を照らしていた青い照明が消える。「どうしてだろう?」と純粋に疑問に思っていると、2つ目のヴァースの前に「照明ありがとうございます。こっちの方がお客さんの顔がよく見えるんです」と嬉しそうな笑顔で教えてくれる。そう、岡林はMCをほとんどせずとも観客を置き去りにしなかった。1曲1曲、音楽を通してフロアとのコミュニケーションを取っていたのだ。

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その後、セカンドアルバム『ERAM』のタイトルトラック「ERAM」でより親密になった("ERAM"は"EAT RAMEN AT MIDNIGHT"の頭文字を取ったものだ)リリックをGhost like girlfriendの特徴の一つである日本の歌謡曲的センスに落とし込んで届け、ラストは「これが歌えたら今日はもうOKです」と『ERAM』でも指折りの名曲「光線」をエモーショナルに歌い上げて締めた。曲がすべて繋がるような、まるでDJのミックスのように滑らかでGhost like girlfriendらしい上品さを持ったライブだった。

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アツキタケトモはキーボードに狩野龍太郎(NOMAD POP)、ギターに再び土器大洋を招いた3人編成。インダストリアルで不穏なイントロからしっとりとしたメロディに繋がる「不純」を奏で始めると、出鼻から「ポップであるためにはオルタナティブじゃなきゃいけない」と語るアツキの音楽哲学が渋谷FS.に充満する。これがアツキタケトモ名義での初ライブというのはにわかに信じがたい仕上がりだ。「不純」がアツキのファーストアルバム『無口な人』(2020年)のオープニングトラックだったというのも感慨深い。そして「最高の時間にしましょう!踊ろうぜ!」とアップテンポに現代社会に蔓延る孤独を歌う「Outsider」へ。アウトロまで存分にその歌唱力を見せつけフロアを圧倒すし、「最高な夜にしましょう!」とほとんど間を空けず「Remember me」をプレイ。哀愁の漂う失恋ソングだ。畳み掛けるようにアツキ自身がイントロでパッドを叩き、エフェクターのつまみを操作するイントロから始まる「リセット」を繰り出し、失恋ソングが続く。しかし、ここで気づくのがアツキの失恋ソングには、悲しみだけではないニュアンスがあるということ。たしかに歌詞だけを読めば紛れもなく過去の恋を思い返し寂しさや悲しさを歌った曲なのだが、曲調やメロディはどこかその後ろ向きな感情を丸っと肯定している。どれだけ悲しくても、その先に未来がある、だから今は存分に悲しみに浸ればいいと言われているような安心感だ。だからこそ失恋ソングが続いても重たい気持ちにならない。

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ライブは中盤に差し掛かり、アツキは2023年4月にリリースしたシングル「NEGATIVE STEP」をドロップ。ポップミュージックのダイナミックさがこれでもかと詰め込まれた1曲で、歌詞の通り〈地団駄さえダンス・ステップに〉変えてしまうパワーを放つと、ドラマのタイアップにもなった「#それな」でさらにダンス・ポップのグルーヴを爆発させる。

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MCでは「(現名義になって)約3年半で今日が初めてのライブとなっております」と前置きしつつ、今後のライブの予定を語ったアツキ。この日以外に3本のライブが決まっているとのことで、次回のTOKIO TOKYOでのライブ以外の2つは5ピースのバンド編成だそう(この辺りの詳細はぜひ本人のSNSをチェックしてほしい)。これまで楽曲の制作やアレンジ、もしくは楽曲提供などスタジオワークに集中してきた彼が、2023年以降に彼がリリースしてきた楽曲に通底する開放的なフィーリングの延長線にライブ活動を本格化することがあったのかもしれない。もちろん真意はわからないが、ここまでのライブを観た限り他でライブをやらないという選択肢は考えられないだろう。また、MCでは「思えばこんな長い付き合いの友人って僕の人生の中でもかなり少ない」とGhost like girlfriendとの関係性についても触れ、「今日は本当にありがとうございます」と改めてオーディエンスに感謝を告げた。

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「自分なりの居場所みたいなものを、どんなかたちでもいいので、死守して、守って。この世の中本当にいろんな障害があるけど、それでも絶対自分のこの居場所は守るんだという気持ちで、自分の、それぞれの居場所を守り抜いていけたら。そんな願いを込めて」と最後にアツキもアコギを持って「カモフラージュ」を披露。アツキタケトモ名義で初めて本人出演のMVも制作した、まさに幕開けの1曲だ。キャッチーなメロディとオルタナティブな要素の融合という彼の持つ独自の世界観が、この頃からすでに完成していたということを改めて感じられる時間だった。

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アンコールではGhost like girlfriendも呼び込まれ、この夜一番長いMCに。2人による幻のユニット"老け顔"の話もしつつ和やかな雰囲気で届けられるMCは終始微笑ましい。本当のラストはアツキの曲「愛なんて」を2人で届けるレアなステージで大団円。両者の歌声が重なると、両者のキャリアの集大成を見ているような感動とこれから次の章が幕を開けるような清々しさとが一気に押し寄せた。きっと2人がこれまで止まらずに走り続けたからこそたどり着いた「makuake」であり、同時に2人のこれからを祝う「makuake」だったのだろうということを、終演後の満足感の中で感じながら帰路に着いた。今後のアツキタケトモとGhost like girlfriendの行方にも注目だ。

文:高久大輝
撮影:マチダナオ

LIVE INFORMATION
「LOOSE PLAY」
2024年1月22日(月)@TOKIO TOKYO
開場 18:00 / 開演 18:30
前売 ¥2,000 / 当日 ¥2,500 (税込・ドリンク代別途)
出演)アツキタケトモ / Utaka / Natsudaidai

NiEW presents 『exPoP!!!!! vol.158』
2024年1月26日(金)@Spotify O-nest 開場 18:30 / 開演 19:00
入場無料 (入場時要2D)
出演)アツキタケトモ / エスキベル / tenbin O / and more!

FEAT. by FRIENDSHIP.
2024年2月10日(土)@渋谷CLUB QUATTRO 開場 17:30 / 開演 18:00
前売 ¥1,500 / 当日 ¥2,000 (税込・ドリンク代別途) 出演)アツキタケトモ / WOLVEs GROOVY / First Love is Never Returned /and more

LINK
アツキタケトモ
オフィシャルサイト
@atsukitaketomo
@atsukitaketomo

Ghost like girlfriend
@G_l_g_official

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