SENSA

2023.08.17

KANA-BOON、力強くリベンジを誓った『Jack in tour 2023』ファイナル!充実の今を見せつけた夜。

KANA-BOON、力強くリベンジを誓った『Jack in tour 2023』ファイナル!充実の今を見せつけた夜。

KANA-BOONの対バンツアー『KANA-BOON Jack in tour 2023』が8月9日、LIQUIDROOMでファイナルを迎えた。勢いのある若手から同時代を生き抜いてきたバンドたちまで、多彩な面々と渡り合ってきたこのツアー、ファイナルの相手はKANA-BOONが敬愛してやまないASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)を予定していた。しかし、ライブ目前のタイミングでアジカンのドラマー・伊地知潔の新型コロナ罹患が判明。急遽、KANA-BOONのワンマンとして行われることとなった。

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ライブ中のMCによれば、実はゴッチこと後藤正文から、アコースティックセットなど代替の出演形態も対応できるようにするという旨が伝えられ、その上でKANA-BOON側の判断に委ねたい、というやりとりがあったそう。そこで彼らが出した結論はワンマンとして敢行するというものだった。それは全員揃った、万全の状態の4ピースバンド同士でやり合いたかったからだという。なぜそう思ったのか。きっといまのKANA-BOONがそれに見合うだけの充実した状態にあるからだ。ライブを観てそう確信した。

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開演前のBGMがアジカンの「転がる岩、君に朝が降る」に変わると、場内からワッと歓声が上がった。曲が終わりに差し掛かるタイミングでボリュームが上がると、盛大な拍手と叫び声がフロアに満ちる。SEなしで揃って登場した4人はリラックスした笑顔だが、みなぎる気合いはありありと見て取れる。「まず最初に言わせてほしい、今日は来てくれて本当にありがとうございます」と谷口鮪(Vo/Gt)。当然、アジカン目当てでチケットを買った人もいただろうから、ある程度キャンセルされることも覚悟の上だったと思うのだが、リキッドは満員である。

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初っ端から各々の楽器を威勢よく描き鳴らし、飛ばす気充分の4人が投下した一曲目は「シルエット」。そこから「1.2 step to you」へと続く。曲が始まるたび、終わるたび、フロアは盛大なリアクションを送り、曲中はほぼずっと手が上がりっぱなし。予期せぬ状況に奮い立っているのはメンバーだけではないようだ。3曲目、鮪が大きく両手を広げ、耳慣れたイントロが飛び込んできた「フルドライブ」。明滅する照明に照らされながら猛然と突っ走る。これらの高速4つ打ちに跳ねたギターフレーズが踊る曲調は、一時代を築いた彼らの必殺技。メモをとりながらでも身体を揺らしてしまう即効性のみならず、圧倒的にメロディが良いのも彼らの強みであることを、クリーンだがたくましく良く通る鮪のボーカルが際立たせる。

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それにしても強烈なセットリストだ。冒頭の3曲に続いては、軽快さの中に重厚感も感じさせる「タイムアウト」が来た。じっくりと低音域を支えるリズム隊と、速弾きも織り交ぜて動き回る古賀隼斗(Gt)のギターの対比が鮮やかだ。驚きと歓びの入り混じる出迎えを受けたのは、初期曲ならではの荒削りなギターロック感がたまらない「ウォーリーヒーロー」。「もう一発、みんなで大ジャンプでもしようか!」と鮪がハンドマイクに持ち替え、スカパンクのエッセンスを感じるノリが楽しい「FLYERS」を繰り出すと、たちまちフロアは大きく波打っていく。短いブレイクでは遠藤昌己(Ba)がスラップをビシッと挿し込む。

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ここまで驚くほどハイな展開が続いているが、それは急遽のワンマンゆえの「頑張らなくては」というような気負いだったり、来てくれた観客への配慮といった要因よりも、シンプルに4人がノリノリでやっていて、それに呼応するオーディエンスとの相乗効果によってますます加速していっているように見える。そんな前半のハイライトは小泉貴裕(Dr)が冒頭のフレーズを叩いた時点で沸いた「結晶星」だろう。曲中、鮪が自身に向けるように、あるいは目の前のオーディエンスに伝えるように言う。〈そうさ、ずっと俺たちは俺たちの道のりを歩いてきたわけだ〉──。ザラっと歪ませたギターと、ブレイクなどキメの多い構成にエモーショナルなメロディが映えるこういう曲調は、KANA-BOONの原点、音楽性の中核を如実に伝えるもの。言い換えれば、それはアジカンの系譜ということである。

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彼らがもともとアジカンのコピーバンドをやっていて、フォロワーであることを公言していることは周知の事実。デビューのきっかけからしてオーディションに勝ち抜いてアジカンのオープニングアクトに抜擢されたこと(その時の会場もLIQUIDROOMだ)だし、その後もたびたび共演や交流を重ねてきている。この日も鮪がゴッチに寿司を食べさせてもらったエピソードが披露されたし、今の自分たちに当てはまる言葉を「あいうえお作文」スタイルで言う、というくだりでも、「あ」をアジカンへの「愛」、「い」は他の誰にも負けないアジカン好きとしての「意志」である、と宣言するほどの筋金入りっぷりだ。それだけ特別なアジカンとの対バンに代わるワンマンなのである。そりゃあこのキレキレっぷりも頷ける。なお、「お」は「恩」であった。

「ワンマンになったのに見届けにきてくれたあなたにはすごく恩を感じています。だから一個決意表明というか。今日から始まる新しい物語をあなたに観てもらいたいなと思うんで、これから何十年とやっていく中で今日という日の恩をちゃんと返していきます。これからも末長くよろしくお願いします」

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そんな気持ちに通じる曲である、という紹介で「きらりらり」へ。後のMCによれば、前列で泣いている男子に鮪がもらい泣きしそうになったというくらい、輝かしく弾けるサウンドの中に感動が宿る。「スターマーカー」ではフロア中から上がった手が勢いよく打ち振られ、「恥ずかしげもなく言うよ、あなたのことが大好きだ! ただそれだけ!」と叫んで突入した「ただそれだけ」では疾走感あふれる演奏で場内を巻き込むと、一旦スローダウンしておいてからの猛スピードのフィニッシュで喝采を集めた。本人も言っていた通り、KANA-BOONはこの10年の歩みの中で色々経験してきたバンドだ。転機や困難をいくつも経たいま、好きでいてくれるファンに会うためにライブをして、その愛を伝えるという、とてもシンプルな境地に達しているようで、そのスタンスがライブにブーストをかけている。今日アジカンとの対バンが実現していれば、いまのKANA-BOONはこうですよ、みたいなことをどうしても言いたかったけど、それはまた次の機会にしましょう、と鮪は言っていたが、それが何を意味するのか、既に感覚としてわかった気がする。

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終盤、ハイライトとなったのは「まっさら」。逆光に照らされながら向き合って鳴らしたイントロから、終始ハイボルテージで叩きつけるような演奏。荒ぶる音、勇ましいコーラスもあいまってロックアンセムと呼びたい風格が備わっている。轟音を撒き散らしたあと、突然電源を切ったように音が鳴り止む鮮烈な終わり際にも痺れた。「もっと行けるか!」と古賀が檄を飛ばし、コールアンドレスポンスでも盛り上がった「ないものねだり」で本編は終了。ここまでピッタリ1時間半。だが体感はその半分以下、あっという間である。

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アンコールで登場してしばしトークをした後、おもむろに赤いギターを手に取り、メガネを掛け出す鮪。何かを察して色めき立つ場内は、小泉の叩き出したビートに即座に反応。アジカンのカバー、「君という花」だ。声色そのものはそんなに寄せていないものの、歌い回しや仕草(Aメロの時の手の置く位置とか動かし方とか)は完全に近年のゴッチのそれ。当然大いに盛り上がる。そしてラストはパーティー感とソリッドなロックサウンド、ポップさの中に忍ばせたパンチラインとが一体となって突き抜けていく「ソングオブザデッド」だった。まだC Dリリースされていない(※7/9先行配信リリース)にもかかわらず、演奏前からタオルが準備されてブンブン打ち振られるなど大歓迎を受けたこの曲、新たな定番ソングとなっていきそうだ。

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「次の機会を必ずまた作ります。(中略)次にやるときは俺たちはもっともっと強くタフに、14歳くらいの自分が見てもカッコいい!と思えるバンドになってるはずなので、また実現するときはどうぞよろしくお願いします」

力強くリベンジを誓った彼らは、その言葉を1ミリも疑う余地がないほどの説得力を歌と演奏に宿らせ、充実の今を見せつけてくれた。

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文:風間大洋
撮影:ハタサトシ

RELEASE INFORMATION

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KANA-BOON「ソングオブザデッド」
2023年9月20日(水)
Format:CD

通常盤(CD)
¥1,300+税/KSCL-3462
初回仕様:TVアニメ「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」描き下ろしワイドキャップステッカー付属

Track:
1.ソングオブザデッド
2.ソングオブザデッド 2
3.ソングオブザデッド 3
4.ソングオブザデッド (Anime Size)
5.ソングオブザデッド (Anime Size Instrumental)

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10th Anniversary Edition(CD+Blu-ray)
¥5,454+税/KSCL-3460~61
※三方背スリーブケース仕様
※メンバー直筆メッセージ&サイン入り野音LIVE PHOTOブックレット付

DISC1:CD
※通常盤と同一

DISC2:Blu-ray
KANA-BOON 10th Anniversary KICK OFF LIVE「Sunny side up - Moon side up」
Live at日比谷野外音楽堂 2023.5.14

1.1.2. step to you
2.盛者必衰の理、お断り
3.ないものねだり
4.FLYERS
5.Weekend
6.ロックンロールスター
7.オレンジ
8.ユーエスタス
9.桜の詩
10.サクラノウタ
11.夜のマーチ
12.スーパームーン
13.夜をこえて
14.フカ
15.まっさら
16.シルエット
17.きらりらり
18.ぐらでーしょん feat. 北澤ゆうほ
19.スターマーカー
20.眠れぬ森の君のため
21.Osaka & Tokyo Live Documentary

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LIVE INFORMATION

KANA-BOON 47都道府県TOUR " 47 SKIP STREET " - LIVE HOUSE ANTHEM -
2023年11月2日(木)
千葉 千葉LOOK

2023年11月4日(土)
福井 福井CHOP

2023年11月5日(日)
富山 富山MAIRO

2023年11月7日(火)
長野 長野CLUB JUNK BOX

2023年11月16日(木)
岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE

2023年11月18日(土)
秋田 秋田Club SWINDLE

2023年11月19日(日)
青森 青森Quarter

2023年11月23日(木)
茨城 水戸ライトハウス

2023年11月25日(土)
新潟 新潟LOTS

2023年11月30日(木)
神奈川 KT Zepp Yokohama

2023年12月2日(土)
山梨 甲府CONVICTION

2023年12月9日(木)
山形 山形ミュージック昭和Session

2023年12月10日(日)
福島 郡山Hip Shot Japan

2023年12月14日(木)
京都 京都MUSE

2023年12月16日(土)
島根 出雲APOLLO

2023年12月17日(日)
鳥取 米子AZTiC laughs

2024年1月7日(日)
栃木 HEAVEN'S ROCK 宇都宮

2024年1月8日(月)
群馬 ⾼崎芸術劇場 スタジオシアター

2024年1月13日(土)
岡山 岡⼭CRAZYMAMA KINGDOM

2024年1月14日(日)
山口 周南RISING HALL

2024年1月18日(木)
鹿児島 鹿児島CAPARVO HALL

2024年1月20日(土)
熊本 熊本B.9 V1

2024年1月21日(日)
長崎 長崎DRUM Be-7

2024年1月25日(木) 
兵庫 神⼾チキンジョージ

2024年1月27日(土) 
岐阜 岐阜CLUB ROOTS

2024年1月28日(日) 
静岡 Live House 浜松窓枠

2024年2月3日(土) 
埼玉 HEAVEN'S ROCK さいたま新都⼼ VJ-3

2024年2月10日(土) 
徳島 徳島club GRINDHOUSE

2024年2月11日(日) 
愛媛 松山サロンキティ

2024年2月13日(火) 
大分 大分DRUM Be-0

2024年2月14日(水) 
宮崎 宮崎LAZARUS

2024年2月16日(金) 
佐賀 佐賀GEILS

2024年2月18日(日)
三重 四日市CLUB ROOTS

2024年2月23日(金)
滋賀 滋賀U★STONE

2024年2月24日(土) 
和歌山 和歌山SHELTER

2024年3月2日(土) 
石川 金沢EIGHT HALL

2024年3月3日(日) 
奈良 奈良EVENS CASTLE

2024年3月9日(土) 
高知 高知CARAVAN SARY

2024年3月10日(日) 
香川 高松festhalle

2024年3月16日(土)
沖縄 沖縄 桜坂セントラル

チケット:全自由 ¥4,800(税込)※ドリンク代別 / 指定席 ¥5,500(税込)

KANA-BOON 47都道府県TOUR " 47 SKIP STREET " - ALL TIME BEST HALL -
2024年3月30日(土)
宮城 仙台電力ホール
2024年4月6日(土) 
北海道 道新ホール

2024年4月13日(土)
愛知 名古屋市公会堂

2024年4月14日(日)
大阪 オリックス劇場

2024年4月20日(土)
広島 JMS アステールプラザ 大ホール

2024年4月21日(日)
福岡 キャナルシティ劇場

2024年4月25日(木)
東京 LINE CUBE SHIBUYA

チケット:指定席 ¥5,500(税込)
ツアー特設サイト:https://sp.kanaboon.jp/feature/47SS


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