SENSA

2023.06.07

THE 2、今年もクアトロで2マン×3デイズ開催! 盟友Hump Backとの記念すべき一夜に刻んだ古舘佑太郎の「反抗期の終わり」

THE 2、今年もクアトロで2マン×3デイズ開催! 盟友Hump Backとの記念すべき一夜に刻んだ古舘佑太郎の「反抗期の終わり」

昨年に引き続き今年も渋谷クラブクアトロで開催されたTHE 2の2マンライブ「THE 2 MAN LIVE 『HAKKE YOI 2023』」。THE 2は今年2月に産休に入っていたドラム・歌川菜穂が復帰するも、5月9日に脱退を発表。昨年新体制でスタートして以来、一筋縄ではいかない日々を送っている彼らだが、そのすべてをぶつけるようなエモーショナルなライブは、対バン相手との熱い相乗効果もあってますますとんでもないことになっていた。ここではその2日目、THE 2とは彼らがまだ「2」だった2019年にともに「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR」を回った仲であるHump Backとの一夜をレポートする。

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「うちらがTHE 2の友達、大阪・Hump Backです!」という林萌々子の名乗りから「月まで」でライブを始めると、そのままアンセム「番狂わせ」を繰り出していったHump Back。掛け合いにシンガロングにと、クアトロにものすごい一体感が生み出されていく。6月にリリースされる新曲「Linger」と「古さん(古舘佑太郎)が好きって言ってくれた歌」だという「サーカス」を経て、紆余曲折を重ねながら進み続けるTHE 2に「うちらもだいぶ遠回りしてきたタチなんで。遠回りしてきた同士にしかない日ってあると思うんです」とエールを送り、林はギターを爪弾き歌い始める。THE 2の「フォーピース」を連想させるような言葉を織り込みながら思いの丈を吐き出すと、それがもうひとつの新曲「tour」へと繋がっていった。Hump Backが歌い続けてきたことにTHE 2の物語、そしてロックバンドという人生が重なり、心を震わせる。「THE 2のこと応援してるよ! 同じ女性として、歌川さんのことも応援したいと思ってるよ!」というシンプルな言葉に、彼女たちがTHE 2というバンドをどれだけ大事に思っているかが表れていた。

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「ほんまに一筋縄ではいかないことばっかりです。でもなんで壁にぶち当たるのかって、自分がちゃんとやってるからなんですよね。ちゃんとぶち当たってるってことは今歩いている道が間違いないってこと。うちらもこれまでそんな感じやった。まだまだ壁にぶち当たる道をちゃんと選んでいこうと思います、THE 2のように」。そう宣言して「新しい朝」を歌うとライブは終盤へ。ぴかがマイクを握って、フロアの端っこで観ているTHE 2のメンバーに歌いかけつつ「僕らは今日も車の中」を届け、最後は「星丘公園」。フロアからでっかいシンガロングが生まれ、最高の一体感とともにHump Backのステージは幕を下ろした。

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そしてTHE 2の出番がやってきた。1曲目にもってきたのはいきなり未発表曲の「スプートニク」。今年2月22日のリキッドルームワンマンでも披露された曲だが、改めてバンドにとってとても大事な曲だということが伝わってくる熱いパフォーマンスが、Hump Backのライブで温まったフロアをさらに盛り上げていく。巻き起こる手拍子にのって歌い終えた古舘の顔には笑みが浮かんだ。そして「渋谷クアトロ、いけるか!」という声とともに渾身の「ニヒリズム」へ。ギターの加藤綾太とベースの森夏彦もステージ狭しと暴れ回って爆音を撒き散らしている。さらにここで「ケプラー」を投下。声を張り上げる古舘の後ろで加藤と森がそれこそ相撲のように押し合いへし合いして戯れている。サポートドラマーをつとめているホリエ.(yonigeレギュラーサポート)も含めて、4人とも充実した表情でとても楽しそうだ。

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「ナイトウォーク」でフロアを思いっきり揺らしてみせると、メンバー脱退に触れ、男だけで進んでいくこれからを「男子校」と表現する古舘。新たな道をいく歌川に向けては「バンドで一生懸命がんばることでしか応援できない」と彼らなりのやり方で後押しをする決意を表明する。その第一歩としてここで新曲を披露。タイトルは「夏がしつこくインターフォンを鳴らしているが、僕はいないふりをしている」。オールディーズテイストのサウンドに乗せたひねくれサマーチューンだが、そこはかとなく前向きなムードが伝わってくるところに今のバンドの意思を感じる。それにしても新曲だというのに瞬く間に手拍子で乗ってみせるお客さんの対応力にはものすごいものがある。そして古舘がハンドマイクで歌う「ミスサンシャイン」へ。気持ちのいいグルーヴが会場中に広がっていった。

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ここで「今日のHump Backのライブ、やばくなかった?」と興奮した様子で話し出す古舘。それを聞いていた森が「チクっていい?」とライブを観て楽屋に戻ってきた古舘が泣いていたと暴露する。古舘は目がじわりとなっただけだと釈明していたが、いずれにしてもTHE 2への愛に溢れたHump Backのステージが彼の心に刺さったことは間違いないだろう。ちなみに古舘はぴかが歌いかけてきたときにはマジ照れしてしまったらしい。そんなHump Backのライブを受けて「いいライブをしてもらったら、いいライブで返さないと」と気合を入れ直した古舘。その気合を胸に、ここから怒涛の後半戦が幕を開けていった。

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「SとF」で一面の手拍子を巻き起こしていきなりアクセルを踏むと、その勢いのままに「DAY BY DAY」へ。加藤が「渋谷ー!」と叫ぶ声に怒号のような歓声が起きた。そして、古舘がギターを弾きながら「ルシファー」を歌い始める。もちろんいつの間にか定番となった「ルシファー漫談」(歌詞の〈友達の彼女に手を出したい〉とか〈親のこと裏切ってしまいたい〉というフレーズをネタにお客さんをイジったり自虐をしたりする)なのだが、なぜかこの日の古舘は歯切れが悪い。なぜかというと、じつはこのライブ会場に、初めて古舘のお父さんが来ているというのだ。そういえばTwitterで彼が「父上へ」とつぶやいてライブに誘っていたが、それに応えて来てくれたらしい。

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彼のお父さんが古舘伊知郎氏であるということについては知っているファンも多かったと思うが、古舘自身はそのことを決して大っぴらにしてはこなかった。そこにどんな感情があったのかは彼自身にしかわからないが、彼の中に父親に対するある種の対抗心のようなものがあったのかもしれない。しかしそれを乗り越えて、古舘は「父上へ」とお父さんに呼びかけた。「古舘の反抗期、32歳で終わります」と彼は言っていたが、それだけこの出来事は画期的で象徴的なものだったのだと思う。とにかく、そんな一幕を経てぶちかまされた「ルシファー」は凄まじかった。フロアの前方に一気に人が押し寄せ、クラウドサーフも起きる。古舘もいつの間にかフロアにダイブしている。何かが解き放たれたようなエネルギーが、ステージとフロアを丸ごと爆発させていった。さらに重ねて披露されたのが家族への思いを歌い込んだ「Family」だったというのも感慨深い。古舘自身の人生も重なって、ライブはどんどんエモーショナルなものになっていった。

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「恋のジャーナル」でクライマックスを描き出すと、最後に再び新曲を披露。このライブで披露するために苦しみながら書いたというこの曲は、最近のTHE 2の楽曲には珍しいくらいストレートなロックチューンだった。まさにバンドとしてもう一度新たなスタートを切ろうというタイミングにふさわしいまっすぐな1曲が、どこまでも力強く響いた。その後アンコールでは「How many people did you say goodbye」をパフォーマンス。フロアから起きるシンガロングが、未来に向かうバンドの背中を押すように鳴り響いたのだった。

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文:小川智宏
撮影:中村里緒

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