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2023.06.01
polly、新体制初のツアーで与えたインパクトの強さ『polly Release Tour「Heavenly Heavenly」』大阪公演をレポート
5月19日(金)、pollyが最新EP『Heavenly Heavenly』のリリースツアーを大阪・梅田Shangri-laで開催した。さよならポエジーをゲストに迎えた愛知公演に続くツアー2本目の対バン相手は、旧友のmol-74(ファイナルの東京公演にはKOTORIが出演)。pollyは2020年に自主レーベル「14HOUSE.」を設立。コロナ禍を経て、結成10周年を迎えた2022年4月に飯村悠介(Gt.Syn.)と須藤研太(Ba.)が脱退、7月には志水美日(Key.Cho./ex.MO MOMA、LILI LIMIT)が加入した。彼らにとってこの数年は目まぐるしい変化と共にあった。歩みを止めずに進み続けた彼らの新体制初の東名阪ツアー。この日は間違いなく、pollyの現在地と未来を鮮やかに指し示したライブとなった。
午前中は雨がパラついていたが、開場時間を迎える頃には曇り空になった大阪。武市和希(Vo.Gt.Key.)がMCで「pollyもmol-74も曇り空が似合うバンド」と話していたが、天気もライブの大事なエッセンスのひとつ。親和性の高い2組だと尚更だ。会場には新体制のpollyを目撃しようとするファンが続々と集合した。
先攻はmol-74。SEが流れ、井上雄斗(Gt.Cho.)、髙橋涼馬(Ba.Cho.)、坂東志洋(Dr.)に続いて武市が登場、「Replica」からライブスタート。武市の柔らかなハイトーンボイスとピアノ、井上、高橋、坂東による包容力のあるアンサンブルが心地良く、あたたかな空気で満たしていく。歓迎するようにサビでは早速フロアの手がアップ。続いては良質なメロディラインがたまらない「Renew」を披露。上昇感のあるサウンドスケープを描きつつも、彼らの推進力を感じさせるパワフルな楽曲で魅了した。
MCで武市は「polly、『Heavenly Heavenly』リリースおめでとう」と述べ、pollyとの出会いを回顧。「出会って7年ぐらい経つんですけど、越雲ちゃんから"出てくれー"ってDMが来て。まだ縁が繋がっててすごく嬉しく思います。久しぶりのpollyとの対バンなので、pollyと出会った頃によくやってた曲を、歴史を遡るような形でお届けできたらと思います」と、再会を懐かしむように、武市のファルセットが染み渡った幻想的な「アルカレミア」、浮遊感と哀愁を漂わせた「フローイング」、初期の名曲「エイプリル」という2015~2016年の楽曲を連続で演奏した。
2度目のMCで武市は、pollyと最後に共演したのは6年前の宇都宮HEAVEN'S ROCKだと話す。「6年の間にお互い変わった部分もすごくあって」と新体制について触れ、志水が所属していたLILI LIMIT、サポートのカミヤマリョウタツ(Ba./ex.PELICAN FANCLUB)が所属していたPELICAN FANCLUBと3マンをしたこともあると振り返り「同窓会みたいやな」と喜び、「大切なツアーに呼んでくれてありがとうございます」と感謝を述べる。そして「6年ぶりに越雲に会った第一声が"おー、武市!"で、変わってへんなと思って。(自分は)後輩に舐められがちやから(笑)」と仲の良さも覗かせた。ここからはラストスパート。新曲の「0.1s」や「%」といったアップテンポな楽曲を経て、最後は「Saisei」を壮大にプレイ。井上はバイオリンの弓でギターを奏でるボウイング奏法で荘厳なサウンドを響かせる。エモーショナルな疾走感に乗せて素晴らしいグルーヴを作り出し、ライブを終了した。陰の部分もありながら繊細で力強く、洗練された独自のサウンドを聞かせたmol-74。7月にはミニアルバム『きおくのすみか』をリリースする。
後攻はpolly。ファイナルの東京公演を控えているため、『Heavenly Heavenly』収録楽曲以外のセットリストを極力伏せることをご了承いただきたい。ノイジーな英語のセリフがサンプリングされたSEが鳴り響くと同時に赤い緞帳がゆっくりと開き、スモークで霞んだ暗闇に越雲龍馬(Vo.Gt.Prog.)、高岩栄紀(Dr.)、志水、サポートのカミヤマ、上坂仁志(Gt./KOTORI)が登場。1曲目はEPの幕開けを飾る「MORNINGRISE」。高岩のカウントから一気に放たれた越雲の高音ボーカルと飲み込まれるような立体的なサウンドを全身に浴びる。この日のライブで最も記憶に残ったのが、音の大きさだ。2曲目に披露された、志水が加入前に参加した「Laugher(feat.志水美日)」では、耳をつんざく轟音シューゲイズに衝撃を受けた。今までShangri-laでこんなに大きな音を聞いたことがない。下半身がビリビリ痺れ、鼓膜が震え、思考回路が停止する。閃光にも似た激しい照明の下で一心不乱に音を弾き出すメンバー。こちらはとにかく五感全開で受け止める。
「Snow/Sunset」では志水の鍵盤とコーラスが際立ち、思わず鳥肌が立った。彼女のプレイが与える繊細さとまろやかさは生で一聴すべきだ。最新EP以外の楽曲も、志水の歌声と鍵盤が入ることで自然と新たな表情を加えていた。
MCでは越雲が「『Heavenly Heavenly』、聞いてくれましたか?新体制になって初の作品としてリリースしたわけですけど、どこまでもpollyらしいなと思える作品になりました。きっとこの作品があれば、将来過去を振り返った時に背中を押してくれるお守りみたいな存在になると僕は思っていて。聞いてくれてるあなたにとっても、安心感や将来や過去に対してポジティブなものを与えてくれる作品であるといいなと思っています」と想いを述べる。mol-74については「先輩なんですけど先輩じゃないっていうか(笑)。敬語使ったことあるかな。良くも悪くも友達みたいなお兄ちゃんみたいな感じで、会うと嬉しくなっちゃうんです。久しぶりに会えて良かった。武市くんのエンジェルボイスは健在でした。出てくれてありがとうございました」と感謝を述べた。
越雲と志水のハーモニーが甘美で儚い「K」を経て、越雲もボウイング奏法でギターを奏でた「Kikoeru」では、前半のドリーミーなサウンドから後半のエコーとリバーブをきかせた轟音へ変化するコントラストの強さに圧倒される。そしてあっという間にラストチューン「ごめんね」へ。越雲は「また絶対大阪来ます。mol-74の皆もありがとう。とても楽しかったです」と両手を広げて感謝を口にする。スモークで真っ白になったステージに高らかに響いた浮遊感のあるギターは、やがて今日1番の轟音になってShangri-laを包み込んだ。その迫力に引っ張られて前後不覚のトランス状態に。ステージ上の5人も全身全霊で叩き込み、越雲はイヤモニもふっ飛ばす勢いで頭を振りまくる。アンコールなしの1番勝負で全力を出し切り、圧巻のライブを終えたpolly。しばらく余韻で放心状態になるほどの強烈なインパクトを残した。
ライブ後、越雲に手応えはあったか聞いてみると「手応えはあまり気にしてないけど、やってることが受け入れられるかどうかを見てる。それが手応えなのかな」と述べた。彼の話ぶりから察するに、この日のライブがオーディエンスに届いた実感を得つつも、既に次の展望を描いている様子だった。今はあくまでも通過点。しかしpollyの進化には目を見張るものがある。『Heavenly Heavenly』の帯に書かれた「はじまりの音がする。」というコピーは、まさに今のpollyを体現しているのだなと感じた。
本ツアーは6月7日(水)の東京・WWW Xでツアーファイナルを迎える。ゲストは大阪公演のサポートをつとめた上坂が在籍するKOTORI。音源では決して感じることのできない新生pollyのエネルギーをぜひ体感してほしい。
文:久保田 瑛理
撮影:稲垣ルリコ
polly「Heavenly Heavenly」
2023年5月10日(水)
Format:CD/Digital
Label:14HOUSE
Track:
1.MORNINGRISE
2.ごめんね
3.Snow/Sunest
4.K
5.Kikoeru
試聴はこちら
2023年6月7日(水)
東京・WWW X
〈ゲスト:KOTORI〉
OPEN18:30/START19:00
前売¥3,800(drink別)
https://lit.link/pollyticket
@polly__jp
@polly_jp
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FRIENDSHIP.
午前中は雨がパラついていたが、開場時間を迎える頃には曇り空になった大阪。武市和希(Vo.Gt.Key.)がMCで「pollyもmol-74も曇り空が似合うバンド」と話していたが、天気もライブの大事なエッセンスのひとつ。親和性の高い2組だと尚更だ。会場には新体制のpollyを目撃しようとするファンが続々と集合した。
先攻はmol-74。SEが流れ、井上雄斗(Gt.Cho.)、髙橋涼馬(Ba.Cho.)、坂東志洋(Dr.)に続いて武市が登場、「Replica」からライブスタート。武市の柔らかなハイトーンボイスとピアノ、井上、高橋、坂東による包容力のあるアンサンブルが心地良く、あたたかな空気で満たしていく。歓迎するようにサビでは早速フロアの手がアップ。続いては良質なメロディラインがたまらない「Renew」を披露。上昇感のあるサウンドスケープを描きつつも、彼らの推進力を感じさせるパワフルな楽曲で魅了した。
MCで武市は「polly、『Heavenly Heavenly』リリースおめでとう」と述べ、pollyとの出会いを回顧。「出会って7年ぐらい経つんですけど、越雲ちゃんから"出てくれー"ってDMが来て。まだ縁が繋がっててすごく嬉しく思います。久しぶりのpollyとの対バンなので、pollyと出会った頃によくやってた曲を、歴史を遡るような形でお届けできたらと思います」と、再会を懐かしむように、武市のファルセットが染み渡った幻想的な「アルカレミア」、浮遊感と哀愁を漂わせた「フローイング」、初期の名曲「エイプリル」という2015~2016年の楽曲を連続で演奏した。
2度目のMCで武市は、pollyと最後に共演したのは6年前の宇都宮HEAVEN'S ROCKだと話す。「6年の間にお互い変わった部分もすごくあって」と新体制について触れ、志水が所属していたLILI LIMIT、サポートのカミヤマリョウタツ(Ba./ex.PELICAN FANCLUB)が所属していたPELICAN FANCLUBと3マンをしたこともあると振り返り「同窓会みたいやな」と喜び、「大切なツアーに呼んでくれてありがとうございます」と感謝を述べる。そして「6年ぶりに越雲に会った第一声が"おー、武市!"で、変わってへんなと思って。(自分は)後輩に舐められがちやから(笑)」と仲の良さも覗かせた。ここからはラストスパート。新曲の「0.1s」や「%」といったアップテンポな楽曲を経て、最後は「Saisei」を壮大にプレイ。井上はバイオリンの弓でギターを奏でるボウイング奏法で荘厳なサウンドを響かせる。エモーショナルな疾走感に乗せて素晴らしいグルーヴを作り出し、ライブを終了した。陰の部分もありながら繊細で力強く、洗練された独自のサウンドを聞かせたmol-74。7月にはミニアルバム『きおくのすみか』をリリースする。
後攻はpolly。ファイナルの東京公演を控えているため、『Heavenly Heavenly』収録楽曲以外のセットリストを極力伏せることをご了承いただきたい。ノイジーな英語のセリフがサンプリングされたSEが鳴り響くと同時に赤い緞帳がゆっくりと開き、スモークで霞んだ暗闇に越雲龍馬(Vo.Gt.Prog.)、高岩栄紀(Dr.)、志水、サポートのカミヤマ、上坂仁志(Gt./KOTORI)が登場。1曲目はEPの幕開けを飾る「MORNINGRISE」。高岩のカウントから一気に放たれた越雲の高音ボーカルと飲み込まれるような立体的なサウンドを全身に浴びる。この日のライブで最も記憶に残ったのが、音の大きさだ。2曲目に披露された、志水が加入前に参加した「Laugher(feat.志水美日)」では、耳をつんざく轟音シューゲイズに衝撃を受けた。今までShangri-laでこんなに大きな音を聞いたことがない。下半身がビリビリ痺れ、鼓膜が震え、思考回路が停止する。閃光にも似た激しい照明の下で一心不乱に音を弾き出すメンバー。こちらはとにかく五感全開で受け止める。
「Snow/Sunset」では志水の鍵盤とコーラスが際立ち、思わず鳥肌が立った。彼女のプレイが与える繊細さとまろやかさは生で一聴すべきだ。最新EP以外の楽曲も、志水の歌声と鍵盤が入ることで自然と新たな表情を加えていた。
MCでは越雲が「『Heavenly Heavenly』、聞いてくれましたか?新体制になって初の作品としてリリースしたわけですけど、どこまでもpollyらしいなと思える作品になりました。きっとこの作品があれば、将来過去を振り返った時に背中を押してくれるお守りみたいな存在になると僕は思っていて。聞いてくれてるあなたにとっても、安心感や将来や過去に対してポジティブなものを与えてくれる作品であるといいなと思っています」と想いを述べる。mol-74については「先輩なんですけど先輩じゃないっていうか(笑)。敬語使ったことあるかな。良くも悪くも友達みたいなお兄ちゃんみたいな感じで、会うと嬉しくなっちゃうんです。久しぶりに会えて良かった。武市くんのエンジェルボイスは健在でした。出てくれてありがとうございました」と感謝を述べた。
越雲と志水のハーモニーが甘美で儚い「K」を経て、越雲もボウイング奏法でギターを奏でた「Kikoeru」では、前半のドリーミーなサウンドから後半のエコーとリバーブをきかせた轟音へ変化するコントラストの強さに圧倒される。そしてあっという間にラストチューン「ごめんね」へ。越雲は「また絶対大阪来ます。mol-74の皆もありがとう。とても楽しかったです」と両手を広げて感謝を口にする。スモークで真っ白になったステージに高らかに響いた浮遊感のあるギターは、やがて今日1番の轟音になってShangri-laを包み込んだ。その迫力に引っ張られて前後不覚のトランス状態に。ステージ上の5人も全身全霊で叩き込み、越雲はイヤモニもふっ飛ばす勢いで頭を振りまくる。アンコールなしの1番勝負で全力を出し切り、圧巻のライブを終えたpolly。しばらく余韻で放心状態になるほどの強烈なインパクトを残した。
ライブ後、越雲に手応えはあったか聞いてみると「手応えはあまり気にしてないけど、やってることが受け入れられるかどうかを見てる。それが手応えなのかな」と述べた。彼の話ぶりから察するに、この日のライブがオーディエンスに届いた実感を得つつも、既に次の展望を描いている様子だった。今はあくまでも通過点。しかしpollyの進化には目を見張るものがある。『Heavenly Heavenly』の帯に書かれた「はじまりの音がする。」というコピーは、まさに今のpollyを体現しているのだなと感じた。
本ツアーは6月7日(水)の東京・WWW Xでツアーファイナルを迎える。ゲストは大阪公演のサポートをつとめた上坂が在籍するKOTORI。音源では決して感じることのできない新生pollyのエネルギーをぜひ体感してほしい。
文:久保田 瑛理
撮影:稲垣ルリコ
RELEASE INFORMATION
polly「Heavenly Heavenly」
2023年5月10日(水)
Format:CD/Digital
Label:14HOUSE
Track:
1.MORNINGRISE
2.ごめんね
3.Snow/Sunest
4.K
5.Kikoeru
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
polly Release Tour「Heavenly Heavenly」
2023年6月7日(水)
東京・WWW X
〈ゲスト:KOTORI〉
OPEN18:30/START19:00
前売¥3,800(drink別)
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