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2023.04.27
FM福岡で毎週水曜日 26:00~26:55にオンエアしている音楽番組「Room "H"」。ユアネスの黒川侑司、アツキタケトモ、odolの森山公稀が週替わりでMCを務め、彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。
今週のMCは、odolの森山公稀が担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
(森山)近況などを、ということでodolはレコーディング真っ最中ですね。最近odolのSNSの方でも、ソフィアンの写真などがアップされていると思います。今回のタームでは3曲レコーディングしているのですが、どれも本当に素晴らしいです。今回はドラムが大井一彌 、そしてギターが西田修大という盤石の布陣で臨んでいます。ストリングスも杏さんと修平さんという、いつもの信頼のお2人におまかせしておりまして、それぞれのパートを録る度に、本当に曲がどんどん良くなっています。あとは明日から歌のレコーディングも始まっていくので、完成も近いですね。
個人的な近況としては、現実の引っ越しが目前です。何も準備ができていなくて焦っているんですけど、これがオンエアされている日にはもう新居にいるんじゃないかというところなんです。実は引っ越し先は今の家から500mぐらいの距離のところなので、あまり寂しい気持ちというか、そういう気持ちはないのですが、準備を頑張りたいと思います。
そして僕、森山が担当するRoom "H"は、本日が最後の回となりました。2年と2ヶ月の間、聞いてくださった皆さん、本当にありがとうございました。前回の放送でお知らせしたのですが、僕のお引越しを惜しんでくださる方からのツイートもたくさん読ませていただきました。聞いてくださった皆様のおかげで、2年2ヶ月とても楽しく続けられたので、本当に感謝しております。ありがとうございました。Twiterとかで感想を送ってくれたことのある方もそうじゃない方もいると思うんですけれども、3週間に一度、ラジオ特有の緩やかなコミュニケーションというのが僕にとってすごく心地よくて、貴重な体験だったなと思います。ということで最終回も、ぜひ最後までお付き合いください。
本日お送りするのは、この番組Room"H"森山回の最後の特集、「坂本龍一特集」です。
最終回ということで通常のフォーマットでやってもよかったんですけれど、@リビングルームとか@レコーディングルームとかも楽しかったんですけれども、森山回らしくということで、最後も特集で締めさせていただこうかなと思いまして。今回は「坂本龍一特集」です。
高橋幸宏さんの訃報から2ヶ月余りですね。先月の28日に教授も亡くなって、僕としてはやっぱり今も全然実感はないまま過ごしているんですけれども。YMOであったり、お2人の曲を改めてたくさん聴いてみて、僕も少しだけ、30年弱だけなんですけれども、お2人と同時代に生きられたということがよかったと改めて感じております。たくさんのミュージシャンとか、リスナーとか、音楽全体にすごく大切なものを、遺伝子として残してくれたと思うので、しっかりとそれを僕たちも受け取って、僕たち自身もまた何かを残していけるように頑張っていきたいなと最近は考えているところです。
ということで特集へ入っていきたいと思うんですけれども、特集と言いつつ坂本龍一を1つの番組で語り尽くすことはできませんので、ただ僕が好きな曲をいくつか流しながら話してみようかなというだけのお時間になります。でも裏テーマ的には、何でもありなこの番組なので、あまりラジオとかで流される機会が少なそうな作品とかもいくつか流せたらいいなと思っております。代表作とか皆さんも結構耳にすることもあると思いますので、それよりは、そういうちょっと聴く機会が少ない楽曲やバージョンを選んでみました。
何が良かったかというのはあまりわからないんですけど。そのときの自分の感情とか気分とリンクしたのかもしれないですね。歌詞ももちろんいいですし、リズムは、カメラとか時計の動く音、機械の音というのがサンプリングされて構成されていたりします。
あとは何よりもギターソロが素晴らしくて、坂本龍一とギターソロというイメージは結びつきづらいところもあるかなと思うんですけど、僕はこのギターソロにもとりつかれました。このギターソロ自体も一発で弾いたものじゃなくて、いくつかのテイクを編集したものなんですね。もちろん歌も素晴らしいです。作詞は矢野顕子さんで、いつもYMOだったり、教授の詞を英訳しているピーターバラカンさんが翻訳で入って、バーナード・ファウラーさんが歌で参加しています。
教授がコラボで作っている作品というのは結構あるのですが、僕の中では教授のコラボレーターとして、Alva Notoというのは実は一番好きな組み合わせだったりするんですね。この「By This River」というのはこの5作品のシリーズの中でも、カバーということもあって、割とキャッチーに聴ける方の作品でして、他はもっと音響的だったり、リズムやメロディーというのも希薄なものも多くて、なかなかポップスを聴く耳であったいり、もしくはYMOを聴いていた耳で聴くというのは、ちょっとしたハードルがあるのですが、それは当時高校生の僕にとってもそうでした。やっぱりこういったアルバムを聴くと、「こんな音楽があるのか」と最初は戸惑いつつ思うわけですよね。でもこのアルバムにはどうしても聴き続けてしまうというか引き込まれて、何がいいと感じているのか理解していないけど、聴いてしまうみたいな感じで。そういったふうに、入口の一つになったのがこのアルバムでこの楽曲なんですね。ということで皆さんにもそういう新たな扉がまだあれば開けられれば、入口になればいいなと思って、当時を思い出しながら選曲しました。
本日お送りする「Thatness and Thereness」というのはトラックももちろんいいし、何より歌が素晴らしいなと感じるんですよ。教授自身が歌っているんですけれども、この歌は上手いとか下手とかじゃないんですよね。歌の良さというか、肉声の良さみたいなところが大きくて、本当に人間の声というのは、人間に対して与える力が大きいというか、持つパワーがすごく大きいなと思います。それが本当にソリッドに表れている楽曲かなと思いますね。もちろんシンセの音だったりリズムとか、トラック全体のムードというのも僕好みでして、ぜひ聴いてほしいなと思います。
2009年にリリースされた『アウト・オブ・ノイズ』というアルバム以来出てなかったんですよね。2009年は僕がまだ音楽をたくさん聴き始める前というか、ピアノ習ってましたみたいなぐらいの時代でした。それから、YMOも含めてどうしても過去を追っかけているような感覚で聴いていたんですけれど、それが大学生になって急に同時代の作品として受け止めるという状況に変わって、僕自身もそのときには芸大に通っていて、odolでもアルバムを何枚かリリースしていたりして、半分リスナーで、半分ミュージシャンとして聴けたというのも大きかったかなと思いますね。
2017年はodolとしても各地ですごくライブをよくやっていた時期でもあったので、リリースされたときはツアーの移動中の車の中とかでもひたすら聴いていましたね。コンサートの映画を見に行ったりとか、展示に行ったりとか、色々とファン活動をしていたなと今思い出しましたね。ということでそんな僕の中でも思い入れの強いアルバム『async』よりお送りしたいと思います。
この番組の森山回の最終回で、「坂本龍一特集」が出来て良かったというか。訃報は本当に寂しいことだったんですけれども、僕の最終回でこれができたというのはすごく嬉しいことだなと思います。ということでお付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました。
坂本龍一「Bibo no Aozora - instrumental (THREE Ver.)」
坂本龍一「Ballet Mechanique」
Alva Noto + 坂本龍一「By This River」
坂本龍一「Thatness and Thereness」
坂本龍一「andata」
odol「未来」
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年8月24日にシングル「ありえないよ。」を、同年11月30日にはシングル「Blur」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。2022年7月8日にはソロ第2弾シングルでギタリスト「こーじゅん」をフィーチャリングに迎えた「フライディ・チャイナタウン (Acoustic Cover)」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro
アツキタケトモ
2020年7月より活動開始。作詞・作曲・編曲を自ら手がける新世代の音楽家。日常に潜むちょっとした違和感を、独自のダンスミュージックで表現する。
1stアルバム『無口な人』は2020年9月にリリースされ、ノンプロモーションながらSpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスで多くのプレイリストに選出され、早耳の音楽ファンから好評を得た。2022年にはSG「Outsider」をリリースし、Billboard Heatseekersや、J-WAVETOKIO HOT 100に入るなど注目を高めている。
2023年4月19日に「NEGATIVE STEP」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @atsukitaketomo / @atsukitaketomo
森山公稀(odol Piano&Synth.)
福岡出身のミゾベリョウ(Vo.)、森山公稀(Pf./Syn.)を中心に2014年東京にて結成した3人組。ジャンルを意識せず、自由にアレンジされる楽曲には独自の先進性とポピュラリティが混在し、新しい楽曲をリリースする度にodolらしさを更新している。
2022年3月16日に「三月」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @odol_jpn/ @KokiMoriyama
今週のMCは、odolの森山公稀が担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
(森山)近況などを、ということでodolはレコーディング真っ最中ですね。最近odolのSNSの方でも、ソフィアンの写真などがアップされていると思います。今回のタームでは3曲レコーディングしているのですが、どれも本当に素晴らしいです。今回はドラムが大井一彌 、そしてギターが西田修大という盤石の布陣で臨んでいます。ストリングスも杏さんと修平さんという、いつもの信頼のお2人におまかせしておりまして、それぞれのパートを録る度に、本当に曲がどんどん良くなっています。あとは明日から歌のレコーディングも始まっていくので、完成も近いですね。
個人的な近況としては、現実の引っ越しが目前です。何も準備ができていなくて焦っているんですけど、これがオンエアされている日にはもう新居にいるんじゃないかというところなんです。実は引っ越し先は今の家から500mぐらいの距離のところなので、あまり寂しい気持ちというか、そういう気持ちはないのですが、準備を頑張りたいと思います。
そして僕、森山が担当するRoom "H"は、本日が最後の回となりました。2年と2ヶ月の間、聞いてくださった皆さん、本当にありがとうございました。前回の放送でお知らせしたのですが、僕のお引越しを惜しんでくださる方からのツイートもたくさん読ませていただきました。聞いてくださった皆様のおかげで、2年2ヶ月とても楽しく続けられたので、本当に感謝しております。ありがとうございました。Twiterとかで感想を送ってくれたことのある方もそうじゃない方もいると思うんですけれども、3週間に一度、ラジオ特有の緩やかなコミュニケーションというのが僕にとってすごく心地よくて、貴重な体験だったなと思います。ということで最終回も、ぜひ最後までお付き合いください。
「坂本龍一特集」@最後の森山回
本日お送りするのは、この番組Room"H"森山回の最後の特集、「坂本龍一特集」です。
最終回ということで通常のフォーマットでやってもよかったんですけれど、@リビングルームとか@レコーディングルームとかも楽しかったんですけれども、森山回らしくということで、最後も特集で締めさせていただこうかなと思いまして。今回は「坂本龍一特集」です。
高橋幸宏さんの訃報から2ヶ月余りですね。先月の28日に教授も亡くなって、僕としてはやっぱり今も全然実感はないまま過ごしているんですけれども。YMOであったり、お2人の曲を改めてたくさん聴いてみて、僕も少しだけ、30年弱だけなんですけれども、お2人と同時代に生きられたということがよかったと改めて感じております。たくさんのミュージシャンとか、リスナーとか、音楽全体にすごく大切なものを、遺伝子として残してくれたと思うので、しっかりとそれを僕たちも受け取って、僕たち自身もまた何かを残していけるように頑張っていきたいなと最近は考えているところです。
ということで特集へ入っていきたいと思うんですけれども、特集と言いつつ坂本龍一を1つの番組で語り尽くすことはできませんので、ただ僕が好きな曲をいくつか流しながら話してみようかなというだけのお時間になります。でも裏テーマ的には、何でもありなこの番組なので、あまりラジオとかで流される機会が少なそうな作品とかもいくつか流せたらいいなと思っております。代表作とか皆さんも結構耳にすることもあると思いますので、それよりは、そういうちょっと聴く機会が少ない楽曲やバージョンを選んでみました。
1曲目:「美貌の青空」
まず1曲目に選んできたのが、「美貌の青空」という曲で『THREE』というアルバムのバージョンです。『THREE』というのは2012年にリリースされたピアノとバイオリンとチェロのトリオ編成での教授のセルフカバーのアルバムで、この編成でツアーも行っていたりします。このピアノとバイオリンとチェロのトリオというのは、教授が定期的に録音やツアーを行っており、アルバムとしてもたしか3つか4つぐらい出ているんですね。本当にどれも素晴らしいんですけども、この『THREE』というアルバムは2012年リリースで、僕は高校生の頃なんですね。つまりリスナーとしてリアルタイムだったアルバムなんですよ。だから他のものに比べても特に思い入れが強くて、このアルバムのバージョンがその曲で一番好きなバージョンだという楽曲も多いです。「戦場のメリー・クリスマス」も収録されていて、こちらのバージョンもかなりいいので、ぜひ聴いてみてほしいなと思います。特にこの「美貌の青空」という曲は、数あるバージョンの中でもこの『THREE』のバージョンが最高に素晴らしい録音だと思っております。「美貌の青空」という楽曲のオリジナルの方は『スムーチー』という1995年のアルバムに収録されていて、もともとは教授自身が歌っている歌ものというか、歌詞がついている楽曲なんですよ。2004年にはこの『THREE』ではない、セルフカバーのトリオバージョンが、映画『バベル』で使用されたりしていますね。そっちの方で知っている方も多いんじゃないかなと思います。2曲目:「Ballet Mécanique」
続いて2曲目にご紹介するのは、1986年のアルバム『未来派野郎』より「Ballet Mécanique」という曲です。『未来派野郎』というアルバムを皆さんご存知でしょうか?僕はもともとこのアルバムはそんなに好きな方のアルバムじゃなかったというか、 高校生とか大学入ってくらいまではそこまで印象がなかったんですね。でもこの曲が今では大のお気に入りで、その切り替わりみたいな日のことを明確に覚えているんですけど、7〜8年ぐらい前のとある早朝にodolのリハーサルで中野のスタジオに向かっているときがあって、中野駅から降りてちょうどブロードウェイのところを歩いていたんですけれども、イヤホンからたまたまこの曲が流れてきて、そのときに直感的にというか、衝撃的に「なんて素晴らしい曲なんだ!」と感じたんですね。何が良かったかというのはあまりわからないんですけど。そのときの自分の感情とか気分とリンクしたのかもしれないですね。歌詞ももちろんいいですし、リズムは、カメラとか時計の動く音、機械の音というのがサンプリングされて構成されていたりします。
あとは何よりもギターソロが素晴らしくて、坂本龍一とギターソロというイメージは結びつきづらいところもあるかなと思うんですけど、僕はこのギターソロにもとりつかれました。このギターソロ自体も一発で弾いたものじゃなくて、いくつかのテイクを編集したものなんですね。もちろん歌も素晴らしいです。作詞は矢野顕子さんで、いつもYMOだったり、教授の詞を英訳しているピーターバラカンさんが翻訳で入って、バーナード・ファウラーさんが歌で参加しています。
公式音源が公開されていないため省いております。
3曲目:Alva Noto + 坂本龍一「By This River」
3曲目にご紹介するのは、Alva Notoと坂本龍一のコラボレーションによる作品「By This River」です。こちらはアルバムタイトルが造語なので正しい発音というのはないというかわからないんですけど、『Summvs』というアルバムに収録されています。2011年にリリースされたアルバムです。Alva Notoとのコラボレーションという風に紹介しましたが、Alva Notoというのはカールステン・ニコライというミュージシャンのことで、この2人のコラボレーションというのは継続して5作品のシリーズとして作られていて、2002年に始まって、2011年の『Summvs』で5作品目として、シリーズの完結としてこのアルバムがリリースされたんですね。繰り返しになっちゃうんですけど、やっぱり2011年は高校2年生なので、超リアルタイムでリスナーとして一番音楽を聴いたというか。音楽をプロとして始めるより前で、でも一番熱中していたみたいな時期なので、この時期の作品というのは思い入れが強くて選んでしまいがちなんですけれども。このアルバムも本当にどの曲も素晴らしいです。ちなみにこの「By This River」という曲は、ブライアン・イーノの楽曲のカバーで、オリジナルの方もそれはそれでめちゃくちゃ素晴らしいんですけれど、Alva Notoと坂本龍一のバージョンも本当に大好きです。教授がコラボで作っている作品というのは結構あるのですが、僕の中では教授のコラボレーターとして、Alva Notoというのは実は一番好きな組み合わせだったりするんですね。この「By This River」というのはこの5作品のシリーズの中でも、カバーということもあって、割とキャッチーに聴ける方の作品でして、他はもっと音響的だったり、リズムやメロディーというのも希薄なものも多くて、なかなかポップスを聴く耳であったいり、もしくはYMOを聴いていた耳で聴くというのは、ちょっとしたハードルがあるのですが、それは当時高校生の僕にとってもそうでした。やっぱりこういったアルバムを聴くと、「こんな音楽があるのか」と最初は戸惑いつつ思うわけですよね。でもこのアルバムにはどうしても聴き続けてしまうというか引き込まれて、何がいいと感じているのか理解していないけど、聴いてしまうみたいな感じで。そういったふうに、入口の一つになったのがこのアルバムでこの楽曲なんですね。ということで皆さんにもそういう新たな扉がまだあれば開けられれば、入口になればいいなと思って、当時を思い出しながら選曲しました。
4曲目:「Thatness and Thereness」
続いて4曲目は、1980年のアルバム『B-2ユニット』より「Thatness and Thereness」という曲です。『B-2ユニット』はもう大名盤というか、そういう評価ももちろんされていますけど。アルバム自体もう最高です。1980年なのでYMO真っ最中で、しかも一番ギスギスな時代というか。教授が一番尖っていた時代で、その尖った教授の真骨頂の一つだと思います。「Riot in Lagos」なども収録されているアルバムです。本日お送りする「Thatness and Thereness」というのはトラックももちろんいいし、何より歌が素晴らしいなと感じるんですよ。教授自身が歌っているんですけれども、この歌は上手いとか下手とかじゃないんですよね。歌の良さというか、肉声の良さみたいなところが大きくて、本当に人間の声というのは、人間に対して与える力が大きいというか、持つパワーがすごく大きいなと思います。それが本当にソリッドに表れている楽曲かなと思いますね。もちろんシンセの音だったりリズムとか、トラック全体のムードというのも僕好みでして、ぜひ聴いてほしいなと思います。
5曲目:「andata」
最後に5曲目にご紹介するのは、2017年のアルバム『async』より「andata」という曲です。記憶に新しい方も多いかなと思いますけれども、やっぱり最後は『async』かなと思ってそこから選曲しました。これも、僕にとっていつリリースされたかの話になっちゃうんですけど、大学生の頃にリリースされました。さっき言った『THREE』とかAlva Notoとのコラボレーションみたいなのは、続々とリリースされ続けていたんですけど、教授の完全に新たなスタジオアルバムというのをこの時代に聴けるなんて、と当時思ったのをすごく覚えていますね。2009年にリリースされた『アウト・オブ・ノイズ』というアルバム以来出てなかったんですよね。2009年は僕がまだ音楽をたくさん聴き始める前というか、ピアノ習ってましたみたいなぐらいの時代でした。それから、YMOも含めてどうしても過去を追っかけているような感覚で聴いていたんですけれど、それが大学生になって急に同時代の作品として受け止めるという状況に変わって、僕自身もそのときには芸大に通っていて、odolでもアルバムを何枚かリリースしていたりして、半分リスナーで、半分ミュージシャンとして聴けたというのも大きかったかなと思いますね。
2017年はodolとしても各地ですごくライブをよくやっていた時期でもあったので、リリースされたときはツアーの移動中の車の中とかでもひたすら聴いていましたね。コンサートの映画を見に行ったりとか、展示に行ったりとか、色々とファン活動をしていたなと今思い出しましたね。ということでそんな僕の中でも思い入れの強いアルバム『async』よりお送りしたいと思います。
この番組の森山回の最終回で、「坂本龍一特集」が出来て良かったというか。訃報は本当に寂しいことだったんですけれども、僕の最終回でこれができたというのはすごく嬉しいことだなと思います。ということでお付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました。
Photo by Shaikh Sofian
4月26日(水) オンエア楽曲
odol「時間と距離と僕らの旅 (Rearrange)」坂本龍一「Bibo no Aozora - instrumental (THREE Ver.)」
坂本龍一「Ballet Mechanique」
Alva Noto + 坂本龍一「By This River」
坂本龍一「Thatness and Thereness」
坂本龍一「andata」
odol「未来」
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Room "H"」
毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"203号室(毎週水曜日の26:00~26:55)"では、音楽番組「Room "H"」をオンエア。ユアネスの黒川侑司、アツキタケトモ、odolの森山公稀が週替わりでMCを務め、本音で(Honestly)、真心を込めて(Hearty)、気楽に(Homey) 音楽愛を語る。彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年8月24日にシングル「ありえないよ。」を、同年11月30日にはシングル「Blur」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。2022年7月8日にはソロ第2弾シングルでギタリスト「こーじゅん」をフィーチャリングに迎えた「フライディ・チャイナタウン (Acoustic Cover)」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro
アツキタケトモ
2020年7月より活動開始。作詞・作曲・編曲を自ら手がける新世代の音楽家。日常に潜むちょっとした違和感を、独自のダンスミュージックで表現する。
1stアルバム『無口な人』は2020年9月にリリースされ、ノンプロモーションながらSpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスで多くのプレイリストに選出され、早耳の音楽ファンから好評を得た。2022年にはSG「Outsider」をリリースし、Billboard Heatseekersや、J-WAVETOKIO HOT 100に入るなど注目を高めている。
2023年4月19日に「NEGATIVE STEP」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @atsukitaketomo / @atsukitaketomo
森山公稀(odol Piano&Synth.)
福岡出身のミゾベリョウ(Vo.)、森山公稀(Pf./Syn.)を中心に2014年東京にて結成した3人組。ジャンルを意識せず、自由にアレンジされる楽曲には独自の先進性とポピュラリティが混在し、新しい楽曲をリリースする度にodolらしさを更新している。
2022年3月16日に「三月」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @odol_jpn/ @KokiMoriyama