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2023.04.23
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! Enfants・ORESKABAND・somaほか全19作品 -2023.04.22-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
みさと:4月17日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、まずはPart 1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!はじめましてという風に紹介していいのか、inweu(インウェウ)さん!
金子:この曲はリリースの経緯が少し特殊なんですけど、まずinweuさん自体ははじめましてで、2012年に結成された水戸を拠点に活動するインストバンドです。彼らが以前、柳田久美子さんをフィーチャーした「BLUE」という曲を出していて、柳田久美子さんの作品をリリースしているレーベルのオーナーであるTSUTCHIEさんが、この曲を自分のライブのためにリミックスして、ライブで披露したと。それがinweuのメンバーであり、その場にいたオーディエンスも含めてすごく好評で、「これはリリースしよう」と、今回のリリースに繋がったということのようで。
みさと:なるほど!ドラマがありますね。
金子:面白いですよね。TSUTCHIEさんがリミックスをして、さらにinweuのメンバーがバイオリンを追加して、この形になっているそうです。
みさと:どんどん進化して、人の手が1人加わり、2人加わりというのがすごく面白いですね。また「君のダンスは光」というリリックの自由さが、より際立つリミックスになっているなと。
金子:やっぱりこのフレーズがあるからフロアで映えたんでしょうね。
みさと:これはたしかにオーディエンスからも好評をいただけそうな楽曲ですね。原曲も素晴らしいですもんね。そしてこちらも面白いコラボです。Kafka(カフカ)とWAZGOGG!
金子:Part 1にはFunkindustryのコラボシリーズもありましたけど、こちらも海外と日本のアーティストのコラボで、WAZGOGGがKafkaというオランダの2人組ポップバンドとコラボレーションをしています。普段は基本インストだから、歌が加わるとまた印象が変わって、シンセポップみたいな感じになっていますね。個人的にはPassion Pitとかを連想しました。
みさと:たしかに!
金子:Passion Pitが2020年代に新曲出したらこんな感じになりそう、みたいな。
みさと:あー!わかる!
金子:もう少しメロウなR&B寄りになったみたいな、そんな感じがしてすごく好きでした。
みさと:普通にギターロックでもかっこよくなるんだろうなという曲なんだけど、それをWAZGOGGと一緒にやっているからこそのアレンジ。音の粒がパンパンと入ってくるのが、「WAZGOGGだな!」という節を感じるのですが、しっかりとそこが残っていながらも、Kafkaの声も入っていて、FRIENDSHIP.ならではのコラボですよね。
金子:Shimon HoshinoさんもドイツのThe Flipsideとコラボした曲がすごく聴かれてたりするので、やっぱりこういうのは何かのきっかけになるんじゃないですかね。
みさと:そんなPart 1から気になるバンドが出てきましたけど、触れていいでしょうか?
金子:ぜひ触れましょう。
みさと:Enfants(アンファン)です!
金子:LAMP IN TERRENの松本 大くんの新しいバンドです。もともとRoom "H"のお仲間だったわけですけれども、ちょっと前にお引越しされまして(笑)。
みさと:次の新天地に向かわれましたね(笑)。
金子:そんな中でEnfantsが本格的に始動となります。Enfantsというのはフランス語で"子供たち"を意味するバンド名で、活動のコンセプトとしても"遊び"だったり、あと"身にまとう"みたいな意味も込めているみたいです。これまでのバンドを一旦区切って、"子供たち"や"遊び"というコンセプト通り、より自由に活動しようという姿勢が、音と言葉の両方からすごく伝わってくるなと思いました。
みさと:いただいた資料の「前世バンドの活動が終了し」という言い回しもすごくユーモアがあると思いますけど、「前世と一線を画してスタートしたい。だけど作る・歌う人間は変わらないという葛藤があった」という一言が、「そうだよな」と思いつつ。でもやっぱりすごく新しいバンドの風というのは感じるし、ただやっぱり松本くんがもともと持っているワードチョイスのセンスというか。今回は「ゲームをしながら作っていた」ということもあったみたいなので、ゲームのワードが出てくるというものも含めて、すごく自分の身近に感じさせてもらえるような、そんな歌詞世界にもなっているなという印象です。
金子:音も90年代のオルタナと2000年代のガレージロックの良いとこ取りな感じでかっこよかったです。僕はLAMP IN TERRENは昔に1回取材をしたぐらいで、彼らのことをすごくよく知っているわけではないんですけど、今回改めて彼らのことを調べてみたら、松本くんが日本のバンドだと「GRAPEVINEがすごく好き」と公言していて。で、GRAPEVINEには『真昼のストレンジランド』というアルバムがあって、その中に「真昼の子供たち」 という曲があるんですけど、その曲の歌詞が今のEnfantsをすごく表している気がして。
みさと:そうなんだ!
金子:「"子供たち"というワードはここから取ったのかな」と勝手に思ったりもしたので、ぜひその曲も聴いてみてほしいです。
みさと:いいですね。前世を遡っていただくのは楽しいと思います。
みさと:やっぱり彼らはバンドをやってないとダメですよね。
金子:やっていてほしいですよね。
みさと:嬉しいな。ここからのスタートを見守っていたいですね。
みさと:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!ツッコミたくなるOsteoleucoの「モネダリ」はみなさん最後まで聴いていただきつつ、おひしぶりのSakuraさん!
金子:約3年ぶりくらいのリリースですね。2000年生まれ、福井県出身のシンガーソングライターで、2019年以降は上京して東京を拠点に活動中ということです。ギターと声だけで表現するシンガーソングライターなんですけど、もともとご両親がバンドをやられていたこともあって、パンクバンドとかとも共演をしながら、それでもあくまで自分の歌とギターを大事にする活動を続けてきています。今回はこれまでの曲とは少し違って、今までアコギ1本だったところから、エレキを重ねていたりとか、ボーカルのリバーブが深めでコーラスも多めに入れたりとかしていて。この3年で彼女にもいろんなことがあったんだと思うんですけど、それだけの月日を経て新たに再始動するというのが音であり、この「new morning」というタイトルからもすごく伝わってくるなと思いました。
みさと:そもそも弾き語りの時点で他のシンガーソングライターとは一線を画しているというのが重要で、それが評価されてきた実績もあるわけじゃないですか?そこに厚武さんが言ってくれたように、さらにいろんな武器を手に入れちゃったら、「ここからSakura無双物語の始まり!」みたいな感じっていうか(笑)、「ここから行くぞ!」というのが感じられる曲で良かったです。
金子:良い曲ですよね。
みさと:そしてはじめましてさんもいて、OCEANS!
金子:彼らは八王子の3ピースバンドで、THE NINTH APOLLOに所属しているバンドなんですよね。
みさと:そうなんですね。
金子:日本のパンクやロックが好きな人ならご存知の方も多いであろうレーベルで、最近だとKOTORIとかSIX LOUNGE、TETORAとかいろんなバンドを輩出しています。ちょっと前にヒップランドとTHE NINTH APOLLOで共同のイベントをやったことがあって、おそらくそういう関係性もありつつ、今回のリリースに繋がっているのかなと。音自体はまさにTHE NINTH APOLLOらしい勢いのある3ピースで、この「私の好きな抹茶のドーナツを買ってきてね」っていうタイトルとかも含めて、やはりMy Hair is Badの系譜を連想させるロックバンドだなと。
みさと:やっぱり安心しますね。こういう言葉があって、ギターとドラムとベースが鳴って、ジャーンとやって、ワー!とやって、「いいよね!」というのが良いですよね!
金子:わかります(笑)。
みさと:そんな中、1曲かけるのはどの曲にしましょうか?
金子:こちらも少しひさしぶりなORESKABANDをかけようと思います。
みさと:これもライブ映えというか、生で聴きたいですよね。
金子:そうですね。ORESKABANDは今年20周年ということで。
みさと:もう大ベテランですよ。
金子:先週LITEも今年20周年という話をした気がするんですけど、世界でも活躍しているバンドたちが長くキャリアを重ねていて、非常に頼もしいなと思います。今回の曲は「WACHA」で、曲名通り"わちゃわちゃ"したダンスホールレゲエ的な1曲でした。それこそライブハウスでもいいし、クラブでも聴きたくなるようなダンスチューンになっていて、20年目もアグレッシブに活動を続けるバンドの姿勢がすごく表れているなと思いました。
みさと:媚びない等身大なリリックで、やっぱり彼女たちだからこういう歌詞世界なんだなとも思うし、サウンドからはORESKABANDをやっている理由がしっかり聴こえてきます。20年やってきたことと、「ここまで来たけど止まりませんし、まだまだ進化続けますよ」という意気込みも感じられる、頼もしい1曲ですね。
金子:ストリーミングの時代になって、改めて「ラテン音楽が世界中で聴かれているんだな」というのが伝わってきて、レゲトンのBad Bunnyとかが世界中で聴かれていて。そういうところともリンクしていったら、より新しい領域が開けたりするかもと妄想しました。
みさと:たしかに!ORESKABANDはFRIENDSHIP.お得意の海外アーティストとのコラボをやったらすごく映えそうだし、楽しみですね。
みさと:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!私が"推しゴト"をしたこともありましたが、SHU-MI!
金子:相変わらず面白いですね、SHU-MIは現在万国博覧会をヒントに各国の音楽ジャンルを取り入れたカラフルなアルバムを制作しているそうで。
みさと:もう最高じゃん(笑)。
金子:この曲はアメリカ担当の曲で、アメリカからファーストフードを連想して、この「Wendy」というタイトルになっていると。
みさと:おや?あれかな?
金子:「ファーストフード」でこのタイトルをチョイスするのがいかにもSHU-MIという感じがしますよね。
みさと:私と厚武さんって埼玉出身じゃないですか?埼玉にこの赤毛の女の子のハンバーガー屋さんってあんまりないというか、見かけたことあります?
金子:ないかも。
みさと:でしょ?私が初めて都内で見かけたときに「都会にはこんなおしゃれなハンバーガー屋さんがあるのか!」と思ったんですよ。ただ赤毛の女の子のハンバーガー屋さんと、オレンジ色のハンバーガー屋さんが合併したじゃないですか?
金子:はいはい、そうですね。
みさと:なかなか見かけないのは経営的なことも理由にあったと気づいたわけですよ。「生きるための施策なんだな」とか「自分は大人になってそういうことに気がついちゃったんだな」と思ったときにすごく寂しい想いをしたことを、この曲を聴きながら思い出して。彼らもそういう視点で歌詞を書いてるから、「私だけじゃなかったんだ!」と思って。
金子:なるほど。
みさと:本当にいつも面白い視点で、昔の私の気持ちというか、感情を掘り起こしてくれる。SHU-MIは毎作エモさというか、切なさみたいなのを思い出させてくれてすごく楽しみにしています。
金子:他の国の曲も早く聴いてみたいですね。
みさと:どの国がラインナップされるんでしょうね。そして、APOGEEがライブ音源です。
金子:去年の5月に渋谷で開催したワンマンのライブ音源です。この前のライブでメンバーが脱退して、新体制になって3年ぶりのライブだったこともあり、その熱狂が詰め込まれています。僕もこれ見に行ってたんですけど、めちゃめちゃいいライブでした。
みさと:やっぱり思い出しますか?
金子:思い出しますね。ただこの放送がされる前日にこの音源のライブから約1年ぶりのライブが行われていて、たぶん僕はそれも見に行ってるので、今はそっちの記憶になってるかも(笑)。
みさと:厚武さんのツイートをチェックしておかないと!
金子:ぜひチェックしてください。
みさと:きっと何か呟いていますね。ライブはそれぞれの記憶ももちろんあるけど、いい意味で上書きされることもあるし、それは音源とは別物ですよね。そんなPart 3からはどの曲をオンエアしましょうか?
金子:somaをかけようと思います。
みさと:私は初めてだったんですけど、めちゃめちゃ良かったです。
金子:よかったですよね。FRIENDSHIP.からは初めてのリリースで、1995年生まれで東京をベースに活動しているシンガーソングライター、2017年から作詞作曲をスタートしているという方です。bud musicという京都のレーベル・マネジメントが彼をサポートしていて。
みさと:そうなんだ。
金子:jizueとか、最近だとyonawoとかをマネジメントしているところです。さっきのTHE NINTH APOLLOもそうですけど、そういうレーベルとかマネジメントと流通のFRIENDSHIP.がこうやって一緒になって、アーティストをサポートしていく流れがどんどんできているのはすごくいいなと思います。
みさと:somaはすごくスモーキーでモヤがかった世界観というか。やりたいことが形になっていると思うんですけど、ミニシアター系の作品が好きな方にも刺さりそうな感じで、物語をすごく感じる作品作りという印象があります。2022年の映画『裸足で鳴らしてみせろ』の主題歌と劇中音楽も担当されていたというのを情報としていただいているんですけど、そういう作品とコラボレーションするのも得意ということですよね。
金子:フォーキーでもあるし、R&Bの香りもするし、ベッドルーム・ポップ的なニュアンスもあって、情景が浮かぶ感じというのはすごくわかります。
みさと:somaさんの楽曲から映画とか何か物語を作れそうな、そんなタイプの音楽ですよね。
金子:そういえばプロフィールを調べていたら、somaさんは役者もやられているそうです。
みさと:そうなんだ!それは納得ですね。「点と点が繋がって線になって、その線はどこまでも伸びていき、世界に向かって発信していた。そんな彼の末恐ろしい伸びしろですね」な人なんですね。
金子:急に本田圭佑出てきましたけど(笑)。
みさと:somaさんは本田圭佑タイプですね(笑)。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:4月17日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、まずはPart 1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!はじめましてという風に紹介していいのか、inweu(インウェウ)さん!
金子:この曲はリリースの経緯が少し特殊なんですけど、まずinweuさん自体ははじめましてで、2012年に結成された水戸を拠点に活動するインストバンドです。彼らが以前、柳田久美子さんをフィーチャーした「BLUE」という曲を出していて、柳田久美子さんの作品をリリースしているレーベルのオーナーであるTSUTCHIEさんが、この曲を自分のライブのためにリミックスして、ライブで披露したと。それがinweuのメンバーであり、その場にいたオーディエンスも含めてすごく好評で、「これはリリースしよう」と、今回のリリースに繋がったということのようで。
みさと:なるほど!ドラマがありますね。
金子:面白いですよね。TSUTCHIEさんがリミックスをして、さらにinweuのメンバーがバイオリンを追加して、この形になっているそうです。
みさと:どんどん進化して、人の手が1人加わり、2人加わりというのがすごく面白いですね。また「君のダンスは光」というリリックの自由さが、より際立つリミックスになっているなと。
金子:やっぱりこのフレーズがあるからフロアで映えたんでしょうね。
みさと:これはたしかにオーディエンスからも好評をいただけそうな楽曲ですね。原曲も素晴らしいですもんね。そしてこちらも面白いコラボです。Kafka(カフカ)とWAZGOGG!
金子:Part 1にはFunkindustryのコラボシリーズもありましたけど、こちらも海外と日本のアーティストのコラボで、WAZGOGGがKafkaというオランダの2人組ポップバンドとコラボレーションをしています。普段は基本インストだから、歌が加わるとまた印象が変わって、シンセポップみたいな感じになっていますね。個人的にはPassion Pitとかを連想しました。
みさと:たしかに!
金子:Passion Pitが2020年代に新曲出したらこんな感じになりそう、みたいな。
みさと:あー!わかる!
金子:もう少しメロウなR&B寄りになったみたいな、そんな感じがしてすごく好きでした。
みさと:普通にギターロックでもかっこよくなるんだろうなという曲なんだけど、それをWAZGOGGと一緒にやっているからこそのアレンジ。音の粒がパンパンと入ってくるのが、「WAZGOGGだな!」という節を感じるのですが、しっかりとそこが残っていながらも、Kafkaの声も入っていて、FRIENDSHIP.ならではのコラボですよね。
金子:Shimon HoshinoさんもドイツのThe Flipsideとコラボした曲がすごく聴かれてたりするので、やっぱりこういうのは何かのきっかけになるんじゃないですかね。
WAZGOGGとKafkaのコラボEPを記念したスペシャルインタビュー公開しておりますので、あわせてチェックしてみてください!
みさと:そんなPart 1から気になるバンドが出てきましたけど、触れていいでしょうか?
金子:ぜひ触れましょう。
みさと:Enfants(アンファン)です!
金子:LAMP IN TERRENの松本 大くんの新しいバンドです。もともとRoom "H"のお仲間だったわけですけれども、ちょっと前にお引越しされまして(笑)。
みさと:次の新天地に向かわれましたね(笑)。
金子:そんな中でEnfantsが本格的に始動となります。Enfantsというのはフランス語で"子供たち"を意味するバンド名で、活動のコンセプトとしても"遊び"だったり、あと"身にまとう"みたいな意味も込めているみたいです。これまでのバンドを一旦区切って、"子供たち"や"遊び"というコンセプト通り、より自由に活動しようという姿勢が、音と言葉の両方からすごく伝わってくるなと思いました。
みさと:いただいた資料の「前世バンドの活動が終了し」という言い回しもすごくユーモアがあると思いますけど、「前世と一線を画してスタートしたい。だけど作る・歌う人間は変わらないという葛藤があった」という一言が、「そうだよな」と思いつつ。でもやっぱりすごく新しいバンドの風というのは感じるし、ただやっぱり松本くんがもともと持っているワードチョイスのセンスというか。今回は「ゲームをしながら作っていた」ということもあったみたいなので、ゲームのワードが出てくるというものも含めて、すごく自分の身近に感じさせてもらえるような、そんな歌詞世界にもなっているなという印象です。
金子:音も90年代のオルタナと2000年代のガレージロックの良いとこ取りな感じでかっこよかったです。僕はLAMP IN TERRENは昔に1回取材をしたぐらいで、彼らのことをすごくよく知っているわけではないんですけど、今回改めて彼らのことを調べてみたら、松本くんが日本のバンドだと「GRAPEVINEがすごく好き」と公言していて。で、GRAPEVINEには『真昼のストレンジランド』というアルバムがあって、その中に「真昼の子供たち」 という曲があるんですけど、その曲の歌詞が今のEnfantsをすごく表している気がして。
みさと:そうなんだ!
金子:「"子供たち"というワードはここから取ったのかな」と勝手に思ったりもしたので、ぜひその曲も聴いてみてほしいです。
みさと:いいですね。前世を遡っていただくのは楽しいと思います。
みさと:やっぱり彼らはバンドをやってないとダメですよね。
金子:やっていてほしいですよね。
みさと:嬉しいな。ここからのスタートを見守っていたいですね。
New Release Digest Part 2
みさと:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!ツッコミたくなるOsteoleucoの「モネダリ」はみなさん最後まで聴いていただきつつ、おひしぶりのSakuraさん!
金子:約3年ぶりくらいのリリースですね。2000年生まれ、福井県出身のシンガーソングライターで、2019年以降は上京して東京を拠点に活動中ということです。ギターと声だけで表現するシンガーソングライターなんですけど、もともとご両親がバンドをやられていたこともあって、パンクバンドとかとも共演をしながら、それでもあくまで自分の歌とギターを大事にする活動を続けてきています。今回はこれまでの曲とは少し違って、今までアコギ1本だったところから、エレキを重ねていたりとか、ボーカルのリバーブが深めでコーラスも多めに入れたりとかしていて。この3年で彼女にもいろんなことがあったんだと思うんですけど、それだけの月日を経て新たに再始動するというのが音であり、この「new morning」というタイトルからもすごく伝わってくるなと思いました。
みさと:そもそも弾き語りの時点で他のシンガーソングライターとは一線を画しているというのが重要で、それが評価されてきた実績もあるわけじゃないですか?そこに厚武さんが言ってくれたように、さらにいろんな武器を手に入れちゃったら、「ここからSakura無双物語の始まり!」みたいな感じっていうか(笑)、「ここから行くぞ!」というのが感じられる曲で良かったです。
金子:良い曲ですよね。
みさと:そしてはじめましてさんもいて、OCEANS!
金子:彼らは八王子の3ピースバンドで、THE NINTH APOLLOに所属しているバンドなんですよね。
みさと:そうなんですね。
金子:日本のパンクやロックが好きな人ならご存知の方も多いであろうレーベルで、最近だとKOTORIとかSIX LOUNGE、TETORAとかいろんなバンドを輩出しています。ちょっと前にヒップランドとTHE NINTH APOLLOで共同のイベントをやったことがあって、おそらくそういう関係性もありつつ、今回のリリースに繋がっているのかなと。音自体はまさにTHE NINTH APOLLOらしい勢いのある3ピースで、この「私の好きな抹茶のドーナツを買ってきてね」っていうタイトルとかも含めて、やはりMy Hair is Badの系譜を連想させるロックバンドだなと。
みさと:やっぱり安心しますね。こういう言葉があって、ギターとドラムとベースが鳴って、ジャーンとやって、ワー!とやって、「いいよね!」というのが良いですよね!
金子:わかります(笑)。
みさと:そんな中、1曲かけるのはどの曲にしましょうか?
金子:こちらも少しひさしぶりなORESKABANDをかけようと思います。
みさと:これもライブ映えというか、生で聴きたいですよね。
金子:そうですね。ORESKABANDは今年20周年ということで。
みさと:もう大ベテランですよ。
金子:先週LITEも今年20周年という話をした気がするんですけど、世界でも活躍しているバンドたちが長くキャリアを重ねていて、非常に頼もしいなと思います。今回の曲は「WACHA」で、曲名通り"わちゃわちゃ"したダンスホールレゲエ的な1曲でした。それこそライブハウスでもいいし、クラブでも聴きたくなるようなダンスチューンになっていて、20年目もアグレッシブに活動を続けるバンドの姿勢がすごく表れているなと思いました。
みさと:媚びない等身大なリリックで、やっぱり彼女たちだからこういう歌詞世界なんだなとも思うし、サウンドからはORESKABANDをやっている理由がしっかり聴こえてきます。20年やってきたことと、「ここまで来たけど止まりませんし、まだまだ進化続けますよ」という意気込みも感じられる、頼もしい1曲ですね。
金子:ストリーミングの時代になって、改めて「ラテン音楽が世界中で聴かれているんだな」というのが伝わってきて、レゲトンのBad Bunnyとかが世界中で聴かれていて。そういうところともリンクしていったら、より新しい領域が開けたりするかもと妄想しました。
みさと:たしかに!ORESKABANDはFRIENDSHIP.お得意の海外アーティストとのコラボをやったらすごく映えそうだし、楽しみですね。
New Release Digest Part 3
みさと:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!私が"推しゴト"をしたこともありましたが、SHU-MI!
金子:相変わらず面白いですね、SHU-MIは現在万国博覧会をヒントに各国の音楽ジャンルを取り入れたカラフルなアルバムを制作しているそうで。
みさと:もう最高じゃん(笑)。
金子:この曲はアメリカ担当の曲で、アメリカからファーストフードを連想して、この「Wendy」というタイトルになっていると。
みさと:おや?あれかな?
金子:「ファーストフード」でこのタイトルをチョイスするのがいかにもSHU-MIという感じがしますよね。
みさと:私と厚武さんって埼玉出身じゃないですか?埼玉にこの赤毛の女の子のハンバーガー屋さんってあんまりないというか、見かけたことあります?
金子:ないかも。
みさと:でしょ?私が初めて都内で見かけたときに「都会にはこんなおしゃれなハンバーガー屋さんがあるのか!」と思ったんですよ。ただ赤毛の女の子のハンバーガー屋さんと、オレンジ色のハンバーガー屋さんが合併したじゃないですか?
金子:はいはい、そうですね。
みさと:なかなか見かけないのは経営的なことも理由にあったと気づいたわけですよ。「生きるための施策なんだな」とか「自分は大人になってそういうことに気がついちゃったんだな」と思ったときにすごく寂しい想いをしたことを、この曲を聴きながら思い出して。彼らもそういう視点で歌詞を書いてるから、「私だけじゃなかったんだ!」と思って。
金子:なるほど。
みさと:本当にいつも面白い視点で、昔の私の気持ちというか、感情を掘り起こしてくれる。SHU-MIは毎作エモさというか、切なさみたいなのを思い出させてくれてすごく楽しみにしています。
金子:他の国の曲も早く聴いてみたいですね。
みさと:どの国がラインナップされるんでしょうね。そして、APOGEEがライブ音源です。
金子:去年の5月に渋谷で開催したワンマンのライブ音源です。この前のライブでメンバーが脱退して、新体制になって3年ぶりのライブだったこともあり、その熱狂が詰め込まれています。僕もこれ見に行ってたんですけど、めちゃめちゃいいライブでした。
みさと:やっぱり思い出しますか?
金子:思い出しますね。ただこの放送がされる前日にこの音源のライブから約1年ぶりのライブが行われていて、たぶん僕はそれも見に行ってるので、今はそっちの記憶になってるかも(笑)。
みさと:厚武さんのツイートをチェックしておかないと!
金子:ぜひチェックしてください。
みさと:きっと何か呟いていますね。ライブはそれぞれの記憶ももちろんあるけど、いい意味で上書きされることもあるし、それは音源とは別物ですよね。そんなPart 3からはどの曲をオンエアしましょうか?
金子:somaをかけようと思います。
みさと:私は初めてだったんですけど、めちゃめちゃ良かったです。
金子:よかったですよね。FRIENDSHIP.からは初めてのリリースで、1995年生まれで東京をベースに活動しているシンガーソングライター、2017年から作詞作曲をスタートしているという方です。bud musicという京都のレーベル・マネジメントが彼をサポートしていて。
みさと:そうなんだ。
金子:jizueとか、最近だとyonawoとかをマネジメントしているところです。さっきのTHE NINTH APOLLOもそうですけど、そういうレーベルとかマネジメントと流通のFRIENDSHIP.がこうやって一緒になって、アーティストをサポートしていく流れがどんどんできているのはすごくいいなと思います。
みさと:somaはすごくスモーキーでモヤがかった世界観というか。やりたいことが形になっていると思うんですけど、ミニシアター系の作品が好きな方にも刺さりそうな感じで、物語をすごく感じる作品作りという印象があります。2022年の映画『裸足で鳴らしてみせろ』の主題歌と劇中音楽も担当されていたというのを情報としていただいているんですけど、そういう作品とコラボレーションするのも得意ということですよね。
金子:フォーキーでもあるし、R&Bの香りもするし、ベッドルーム・ポップ的なニュアンスもあって、情景が浮かぶ感じというのはすごくわかります。
みさと:somaさんの楽曲から映画とか何か物語を作れそうな、そんなタイプの音楽ですよね。
金子:そういえばプロフィールを調べていたら、somaさんは役者もやられているそうです。
みさと:そうなんだ!それは納得ですね。「点と点が繋がって線になって、その線はどこまでも伸びていき、世界に向かって発信していた。そんな彼の末恐ろしい伸びしろですね」な人なんですね。
金子:急に本田圭佑出てきましたけど(笑)。
みさと:somaさんは本田圭佑タイプですね(笑)。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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