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2023.04.09
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! 揺らぎ・6 mab・有元キイチ feat. 三浦透子ほか全27作品 -2023.04.08-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
みさと:4月3日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全27作品の中から、まずはPart 1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!厚武さん、今週27作品です!
金子:おそらく過去最多ですね。
みさと:27作品ってすごいですね。お時間の都合上いつもよりは言葉数少なめにご紹介していこうと思いますが、Part 1は3組のはじめましてさんが入っています。志摩陽立さん、清水玲奈さん、Japanese Football。
金子:志摩陽立さんは北海道出身のシンガーソングライターで、1人で演奏からミックス・マスタリングまで行ってしまう才能豊かなシンガーソングライター。清水玲奈さんはキャリアのあるサックスプレイヤーで、過去にはuruwashiさんの楽曲に参加していたこともあります。
みさと:そうなんですね。
金子:個人的にはJapanese Footballが気になっていて。このバンド自体は2020年12月にボーカルのJackさんとドラムのKenさんが出会って始まっているらしいんですけど、もともとAmerican Footballというエモとかポストロックの伝説的なバンドがいるんですね。で、そのバンドが好きなChinese Footballという中国のバンドがいて、さらにはJapanese Baseballという日本のインストバンドもいるんですよ。
みさと:ちょっとみんな、おふざけがすぎるんじゃない(笑)?
金子:そして、ここに来てJapanese Footballも登場したという(笑)。
みさと:いいですね(笑)。ふざけた由来なんだろうけど、めっちゃかっこいい。
金子:音はちゃんとかっこいいんですよね。
みさと:後半の流れるギターリフに叩きつけるようなドラムはスタジアムを想起させる曲だなと思って、すごくかっこよかったです。
金子: American Football以降の系譜にちゃんと連なるような、エモやインディーロックのすごくかっこいいバンドでした。
みさと:そんなPart 1から1曲お届けするのはどちらにしましょうか?
金子:揺らぎをかけようと思います。
みさと:アルバムです。おめでとうございます!
金子:揺らぎはずっと「シューゲイザー」という言葉が代名詞になっていたわけですけど、今回のアルバムを聴くともうその言葉をいちいち言わなくてもいいかなって。もちろんシューゲイザー的な要素というのは持ってるんだけど、もはやそういう枠組みは要らないような、オルタナティブロック、インディーロック、インディーポップのとてもいいバンドだなと、このアルバムですごく感じました。
みさと:なるほど。
金子:本人たちもコメントで「全編通して今までとは違ったアプローチで作曲を試みています。曲ごとに表情が違うと思いますので、アルバム通して楽しんでいただければ幸いです」と言っていて、1曲目のタイトルトラックこそいかにもシューゲイザー的な、広い風景を立ち上げるような曲だったりもするんだけど、他は歌が前に出たインディーポップ的な曲もあるし、後半の曲はアコースティックだったり、かなり表情豊かな仕上がりになっていて。シンプルに「いいバンドだなあ」という印象が残る作品でしたね。
みさと:ちょっと意外性があったくらい、色が全く違う曲が詰め込まれているなという。先ほど厚武さんがおっしゃった通りに、固定概念に捉われない揺らぎがここにいるということがわかる1枚になっていますね。
金子:『Here I Stand』というタイトルはまさに、「ただ揺らぎとしてここに立っている」というような、そんな感じがしますよね。
みさと:この曲がリードなのかという驚きもありつつ、たっぷりレイドバックしたビートに透明感のあるボーカルで、言葉とか楽器とか声とかそれぞれが際立つバランスになっているのがすごく好感度の高い1曲だなと思って聴いていました。ぜひアルバム通して聴いてみてください。
みさと:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!こちらにもはじめましてさんがいらっしゃって、徳永由希さんと谷口尚久さんです。
金子:徳永由希さんは2015年から大阪を拠点に活動開始しているシンガーソングライターで、2017年に「COMIN'KOBE」というフェスのソロ部門のオーディションで優勝して、その年にそのフェスに出ています。でもプロフィールには「2018年、全てを見失う」と書いてあって(笑)。
みさと:いいな〜。これ自分で書いているんだろうから、それがすごくいいなと思って。
金子:でもそこからもう一度立ち直って、作品をリリースしてきての今回のシングルになります。曲を聴くとこういうプロフィールを書く感じもわかるというか、曲タイトルからして「あほくさ」ですし、「歌がないと生きられない自分」を少し客観的に見つつ、でもやっぱり「それでも歌から離れられない」という感じが伝わってきますね。
みさと:きっと2018年に自分を見失ったことで、「もう1回自分と向き合ってみよう」と思っていまこの作品が出ているんだろうなって。〈売れてないバンドの動画を見て今日も安心してた〉という歌詞も、「いいな、みんなそうだよ!」って思いながら聴いていたんですけど、すごく自分と向き合っている感じが1曲に込められていますよね。
みさと:それから打って変わって、谷口さんは穏やかな朝の時間を感じさせる楽曲です。
金子:谷口さんはかなりキャリアがあって、この並びに入っていること自体に「おお!」となっちゃうくらいの方なんですけど。
みさと:そうなんですね。
金子:手元の資料によると、CHEMISTRY、SMAP、V6、関ジャニ∞とかジャニーズもそうだし、倖田來未さんやJUJUさん、最近だとすとぷりとか、数多くのアーティストにプロデュースや楽曲提供で関わられていて、自分のグループでも、先日お亡くなりになってしまいましたけど、高橋幸宏さんのプロデュースでアルバムを出してたりして。それだけのキャリアがある方の作るインストですから、クオリティは保証済みですよね。
みさと:イントロから30秒ぐらいまではベッドでまどろんで、「起きよう」という感覚になって、1分42秒ぐらいで「1回卵の焼き加減チェックしたいな」って、具体的な朝の時間が見えてくるというか。音だけでも何を伝えようとされているのかがすごく伝わってくる1曲になっています。
金子:ポップスにも数多く関わっているけど、自分の作品だとより音楽的な探究心が出ているのかもしれないですね。コメントでも「新しい"Vaporwave"、生演奏録音による柔らかな"Alternative Music"」と書いてあって、そういうコンセプトも面白いなと思いました。
みさと:では、Part 2からはどなたをかけましょう?
金子:6 mabをかけようと思います。
みさと:かっこいいですね。しかも福岡ですね。
金子:そうなんですよ。僕も今回初めて知りました。3人組のバンドではあるんですけど、音を聴くと生のドラムと打ち込みのビートが混ざっていて、エレクトロニックミュージックっぽい感触もありつつ、ポストロックっぽい感じもあり、R&Bやジャズの要素もある。あとミックスの面白さでいうと、ハイパーポップとかそっちの方面にも繋がる感じがあるし、すごくよかったですよね。
みさと:今回は最新EPのリリースということになります。
金子:ちなみに、ボーカルのUbuyuさんはユアネスの黒ちゃんの専門学校の同級生らしくて。
みさと:そうなんだ!
金子:黒ちゃんが「ボーカルとして一番影響を受けたのがこの人かもしれない」と言っていました。だから、音楽的にも面白いんだけど、ボーカル自体もすごくよくて。
みさと:あの"歌うま芸人"が。
金子:あははははは。
みさと:黒ちゃんが最近自分で「僕、めっちゃ歌うまい」とツイートしているのがすごく好きなんですけど(笑)。そんな彼に「影響を受けた」と言わしめている人?
金子:そうなんですよ。
みさと:これは他の曲も過去作も聴きたくなっちゃうな。
みさと:最小限の音使いだけど、欲しいところに音が残っていて、言葉が際立つ。彼の持つボーカル力も相まって、「もう1回聴きたい」と引き寄せられるような1曲になっていました。
みさと:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!突っ込まずにはいられない、解散しているが新曲、マーベルマベリック!
金子:解散しちゃったけど、最後にこうして音源が届けられるというのはいいことですよね。
みさと:本当ですね。
金子:もともと「安頭」(アンズ)というバンド名で同じメンバーで活動していて、途中で改名してマーベルマベリックになってるんですけど、安頭時代から含めると12年活動してきての集大成ということで、その想いが詰まった作品になっています。ボーカルのれーやさんは音楽活動を続けて、これからはギタリストとして活動していくとのことで、これまでは「れーや」という名前だったんですけど、これからは「金井伶弥」という本名で活動していくそうです。みさとさんともちょっと通じるところがありますね。
みさと:改名アーティストには人一倍、親近感を覚えてしまうタームです(笑)。「汽笛は鳴り始めて」という歌詞とか「急行列車」みたいな単語から、スタートとゴールが見えるというか、それを想像させられるような1曲になっていて、次の駅に向かう金井伶弥さんのこれからが良いものになるように願っています。そしてニーハオ!!!!がアルバムですよ!みんな大好き、ニーハオ!!!!。
金子:これはもうすごいですね。元気になります。17曲だけど25分というこの短さ。
みさと:短いな(笑)。
金子:彼女たちらしいガレージポップやニューウェーブ的な要素がめちゃめちゃ詰め込まれています。最近のCHAIがちょっとおとなしいなと感じる人にはぜひニーハオ!!!!を聴いてほしいですね。
みさと:「もっとガチャガチャしてほしいんだよ」という方にはニーハオ!!!!かもね(笑)。
みさと:そんな中で私大好きすぎました、有元キイチ。ちょっとイケボすぎません?フラッシュでは流れていないんだけど、「忘れてた」って言うところをみんなに聴いてほしい!
金子:改めてご紹介すると、TondenheyとしてODD Foot Worksのギタリストとして活動しつつ、他のアーティストのプロデュースとかもしている有元キイチさんが本格的にソロを始動させたということで。今言ってくれたように、まずこの歌声は痺れますよね。
みさと:こんな特別な秘密兵器を隠していたとは(笑)!
金子:星野源さんの歌声より低音を増して、バリトン強めみたいな感じですね。この歌声はすごくいい。
みさと:三浦透子さんが名は体を表すみたいな本当に透明感のある声だから、より2人の声が引き立てあえる感じがして、そこの相性もすごく良かったです。
金子:まさに、2人の声を引き立たせるかのようにトラックは音数がすごく少なくて、生音なんだけど、アンビエンスの広がりが感じられるような独自の音像にもなっていて。声との混ざり具合いや響きがすごく印象的でした。
みさと:ちょっとみんな、このイケボを聴いてみて。
金子:この時間帯に聴くのもいいですね。
みさと:しっとり系の芸術舞台を見ているような、そんな満足感もありますね。以前出している「私は貴方」という三浦透子さんの曲も作詞作曲が有元キイチで、やっぱり単語の使い方がすごく上手だし、その単語を立たせる歌い方とか声の乗せ方を有元キイチも三浦透子さんもされていて...彼らの持っているポテンシャルが恐ろしい!
金子:もう一曲の「ありがとう」はまた全然違うサウンドアプローチだったりして、これからどんな曲が出てくるのかとても楽しみです。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:4月3日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全27作品の中から、まずはPart 1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!厚武さん、今週27作品です!
金子:おそらく過去最多ですね。
みさと:27作品ってすごいですね。お時間の都合上いつもよりは言葉数少なめにご紹介していこうと思いますが、Part 1は3組のはじめましてさんが入っています。志摩陽立さん、清水玲奈さん、Japanese Football。
金子:志摩陽立さんは北海道出身のシンガーソングライターで、1人で演奏からミックス・マスタリングまで行ってしまう才能豊かなシンガーソングライター。清水玲奈さんはキャリアのあるサックスプレイヤーで、過去にはuruwashiさんの楽曲に参加していたこともあります。
みさと:そうなんですね。
金子:個人的にはJapanese Footballが気になっていて。このバンド自体は2020年12月にボーカルのJackさんとドラムのKenさんが出会って始まっているらしいんですけど、もともとAmerican Footballというエモとかポストロックの伝説的なバンドがいるんですね。で、そのバンドが好きなChinese Footballという中国のバンドがいて、さらにはJapanese Baseballという日本のインストバンドもいるんですよ。
みさと:ちょっとみんな、おふざけがすぎるんじゃない(笑)?
金子:そして、ここに来てJapanese Footballも登場したという(笑)。
みさと:いいですね(笑)。ふざけた由来なんだろうけど、めっちゃかっこいい。
金子:音はちゃんとかっこいいんですよね。
みさと:後半の流れるギターリフに叩きつけるようなドラムはスタジアムを想起させる曲だなと思って、すごくかっこよかったです。
金子: American Football以降の系譜にちゃんと連なるような、エモやインディーロックのすごくかっこいいバンドでした。
みさと:そんなPart 1から1曲お届けするのはどちらにしましょうか?
金子:揺らぎをかけようと思います。
みさと:アルバムです。おめでとうございます!
金子:揺らぎはずっと「シューゲイザー」という言葉が代名詞になっていたわけですけど、今回のアルバムを聴くともうその言葉をいちいち言わなくてもいいかなって。もちろんシューゲイザー的な要素というのは持ってるんだけど、もはやそういう枠組みは要らないような、オルタナティブロック、インディーロック、インディーポップのとてもいいバンドだなと、このアルバムですごく感じました。
みさと:なるほど。
金子:本人たちもコメントで「全編通して今までとは違ったアプローチで作曲を試みています。曲ごとに表情が違うと思いますので、アルバム通して楽しんでいただければ幸いです」と言っていて、1曲目のタイトルトラックこそいかにもシューゲイザー的な、広い風景を立ち上げるような曲だったりもするんだけど、他は歌が前に出たインディーポップ的な曲もあるし、後半の曲はアコースティックだったり、かなり表情豊かな仕上がりになっていて。シンプルに「いいバンドだなあ」という印象が残る作品でしたね。
みさと:ちょっと意外性があったくらい、色が全く違う曲が詰め込まれているなという。先ほど厚武さんがおっしゃった通りに、固定概念に捉われない揺らぎがここにいるということがわかる1枚になっていますね。
金子:『Here I Stand』というタイトルはまさに、「ただ揺らぎとしてここに立っている」というような、そんな感じがしますよね。
みさと:この曲がリードなのかという驚きもありつつ、たっぷりレイドバックしたビートに透明感のあるボーカルで、言葉とか楽器とか声とかそれぞれが際立つバランスになっているのがすごく好感度の高い1曲だなと思って聴いていました。ぜひアルバム通して聴いてみてください。
New Release Digest Part 2
みさと:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!こちらにもはじめましてさんがいらっしゃって、徳永由希さんと谷口尚久さんです。
金子:徳永由希さんは2015年から大阪を拠点に活動開始しているシンガーソングライターで、2017年に「COMIN'KOBE」というフェスのソロ部門のオーディションで優勝して、その年にそのフェスに出ています。でもプロフィールには「2018年、全てを見失う」と書いてあって(笑)。
みさと:いいな〜。これ自分で書いているんだろうから、それがすごくいいなと思って。
金子:でもそこからもう一度立ち直って、作品をリリースしてきての今回のシングルになります。曲を聴くとこういうプロフィールを書く感じもわかるというか、曲タイトルからして「あほくさ」ですし、「歌がないと生きられない自分」を少し客観的に見つつ、でもやっぱり「それでも歌から離れられない」という感じが伝わってきますね。
みさと:きっと2018年に自分を見失ったことで、「もう1回自分と向き合ってみよう」と思っていまこの作品が出ているんだろうなって。〈売れてないバンドの動画を見て今日も安心してた〉という歌詞も、「いいな、みんなそうだよ!」って思いながら聴いていたんですけど、すごく自分と向き合っている感じが1曲に込められていますよね。
みさと:それから打って変わって、谷口さんは穏やかな朝の時間を感じさせる楽曲です。
金子:谷口さんはかなりキャリアがあって、この並びに入っていること自体に「おお!」となっちゃうくらいの方なんですけど。
みさと:そうなんですね。
金子:手元の資料によると、CHEMISTRY、SMAP、V6、関ジャニ∞とかジャニーズもそうだし、倖田來未さんやJUJUさん、最近だとすとぷりとか、数多くのアーティストにプロデュースや楽曲提供で関わられていて、自分のグループでも、先日お亡くなりになってしまいましたけど、高橋幸宏さんのプロデュースでアルバムを出してたりして。それだけのキャリアがある方の作るインストですから、クオリティは保証済みですよね。
みさと:イントロから30秒ぐらいまではベッドでまどろんで、「起きよう」という感覚になって、1分42秒ぐらいで「1回卵の焼き加減チェックしたいな」って、具体的な朝の時間が見えてくるというか。音だけでも何を伝えようとされているのかがすごく伝わってくる1曲になっています。
金子:ポップスにも数多く関わっているけど、自分の作品だとより音楽的な探究心が出ているのかもしれないですね。コメントでも「新しい"Vaporwave"、生演奏録音による柔らかな"Alternative Music"」と書いてあって、そういうコンセプトも面白いなと思いました。
みさと:では、Part 2からはどなたをかけましょう?
金子:6 mabをかけようと思います。
みさと:かっこいいですね。しかも福岡ですね。
金子:そうなんですよ。僕も今回初めて知りました。3人組のバンドではあるんですけど、音を聴くと生のドラムと打ち込みのビートが混ざっていて、エレクトロニックミュージックっぽい感触もありつつ、ポストロックっぽい感じもあり、R&Bやジャズの要素もある。あとミックスの面白さでいうと、ハイパーポップとかそっちの方面にも繋がる感じがあるし、すごくよかったですよね。
みさと:今回は最新EPのリリースということになります。
金子:ちなみに、ボーカルのUbuyuさんはユアネスの黒ちゃんの専門学校の同級生らしくて。
みさと:そうなんだ!
金子:黒ちゃんが「ボーカルとして一番影響を受けたのがこの人かもしれない」と言っていました。だから、音楽的にも面白いんだけど、ボーカル自体もすごくよくて。
みさと:あの"歌うま芸人"が。
金子:あははははは。
みさと:黒ちゃんが最近自分で「僕、めっちゃ歌うまい」とツイートしているのがすごく好きなんですけど(笑)。そんな彼に「影響を受けた」と言わしめている人?
金子:そうなんですよ。
みさと:これは他の曲も過去作も聴きたくなっちゃうな。
みさと:最小限の音使いだけど、欲しいところに音が残っていて、言葉が際立つ。彼の持つボーカル力も相まって、「もう1回聴きたい」と引き寄せられるような1曲になっていました。
New Release Digest Part 3
みさと:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!突っ込まずにはいられない、解散しているが新曲、マーベルマベリック!
金子:解散しちゃったけど、最後にこうして音源が届けられるというのはいいことですよね。
みさと:本当ですね。
金子:もともと「安頭」(アンズ)というバンド名で同じメンバーで活動していて、途中で改名してマーベルマベリックになってるんですけど、安頭時代から含めると12年活動してきての集大成ということで、その想いが詰まった作品になっています。ボーカルのれーやさんは音楽活動を続けて、これからはギタリストとして活動していくとのことで、これまでは「れーや」という名前だったんですけど、これからは「金井伶弥」という本名で活動していくそうです。みさとさんともちょっと通じるところがありますね。
みさと:改名アーティストには人一倍、親近感を覚えてしまうタームです(笑)。「汽笛は鳴り始めて」という歌詞とか「急行列車」みたいな単語から、スタートとゴールが見えるというか、それを想像させられるような1曲になっていて、次の駅に向かう金井伶弥さんのこれからが良いものになるように願っています。そしてニーハオ!!!!がアルバムですよ!みんな大好き、ニーハオ!!!!。
金子:これはもうすごいですね。元気になります。17曲だけど25分というこの短さ。
みさと:短いな(笑)。
金子:彼女たちらしいガレージポップやニューウェーブ的な要素がめちゃめちゃ詰め込まれています。最近のCHAIがちょっとおとなしいなと感じる人にはぜひニーハオ!!!!を聴いてほしいですね。
みさと:「もっとガチャガチャしてほしいんだよ」という方にはニーハオ!!!!かもね(笑)。
今作のアルバムレビューも公開されていますので、ぜひあわせてチェックしてみてください!
みさと:そんな中で私大好きすぎました、有元キイチ。ちょっとイケボすぎません?フラッシュでは流れていないんだけど、「忘れてた」って言うところをみんなに聴いてほしい!
金子:改めてご紹介すると、TondenheyとしてODD Foot Worksのギタリストとして活動しつつ、他のアーティストのプロデュースとかもしている有元キイチさんが本格的にソロを始動させたということで。今言ってくれたように、まずこの歌声は痺れますよね。
みさと:こんな特別な秘密兵器を隠していたとは(笑)!
金子:星野源さんの歌声より低音を増して、バリトン強めみたいな感じですね。この歌声はすごくいい。
みさと:三浦透子さんが名は体を表すみたいな本当に透明感のある声だから、より2人の声が引き立てあえる感じがして、そこの相性もすごく良かったです。
金子:まさに、2人の声を引き立たせるかのようにトラックは音数がすごく少なくて、生音なんだけど、アンビエンスの広がりが感じられるような独自の音像にもなっていて。声との混ざり具合いや響きがすごく印象的でした。
みさと:ちょっとみんな、このイケボを聴いてみて。
金子:この時間帯に聴くのもいいですね。
みさと:しっとり系の芸術舞台を見ているような、そんな満足感もありますね。以前出している「私は貴方」という三浦透子さんの曲も作詞作曲が有元キイチで、やっぱり単語の使い方がすごく上手だし、その単語を立たせる歌い方とか声の乗せ方を有元キイチも三浦透子さんもされていて...彼らの持っているポテンシャルが恐ろしい!
金子:もう一曲の「ありがとう」はまた全然違うサウンドアプローチだったりして、これからどんな曲が出てくるのかとても楽しみです。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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