SENSA

2023.04.07

推し事...それは人生に張りをもたらせるもの。ラジオパーソナリティ奧宮みさとによる連載企画【みさとの推し事】

推し事...それは人生に張りをもたらせるもの。ラジオパーソナリティ奧宮みさとによる連載企画【みさとの推し事】

ラジオパーソナリティ、ヨガインストラクターなど様々な分野で活躍する奧宮みさとが忖度なく、みさと好み全開で"推し"ていく企画「みさとの推し事」。FM福岡で毎週土曜日26:00-26:55に放送中の「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」内でのプチコーナーがWEB版として連載スタート!

私の趣味は絵を描くこと。
美術鑑賞もとても好きです。

制作中に音は欠かせないもので、音によって選択する色も筆のスピードも変わってきます。

友人のバンドのジャケットを描かせてもらった時には、対象の曲を永遠にループさせ曲に自らを合わせていく作業が最も大切でした。

そんな私がインスピレーションを刺激されるいい絵がかけそうなバンドに出会えたのです。

彼らの名前は

【butohes】


2nd EP 1曲目に置かれた「Higher」は

クロード・モネの「印象 日の出」からインスパイアされたときき、ますます私の好奇心は高まりました。

「印象 日の出」は

境がなく、透き通るような色使い。
濃淡とシルエットで対象物を現し
グラデーションのように様々な灰色を重ねることで
靄がかった朝の港を描いています。
唯一大胆にはっきりと描かれるのは朝であることを示すオレンジ色の太陽だけ。

彼らがルーツに持つ
アンビエント・ポストロック・シューゲイザー...
これらがもたらす幽玄な音像。
それはまさに印象と言えます。

ギターのリフが
船のマスト
煙突のシルエット
空高くに太陽のオレンジの光が広がる様を

低音でうねるベースは海の深さを想起させ

タイトなビートは5拍子。
複雑に独特で壊れてはまた形をかえる、
まさにモネの名言である
「Everything changes, even stone(すべては変わる、石さえも)」そのもの。



「Higher」だけでなく
前作の「Alba」もとても前衛的な作品で
何にも迎合しない7分10秒という大作。

常に流れを止めないミニマルミュージック特有の没入感。
シンセサイザーを使わない人力での美学と
ロックバンドであることを表すギター2本が為せる音の協奏は彼らのクリエイティビティが具現化された最たる作品でもあります。
(終わり方もかっこいい...!)



「印象 日の出」は
印象派という言葉の由来にもなった
一時代のアートを作ったきっかけのような作品です。

モネは波乱万丈な人生を送る中
古い価値観を覆そうとしていた
自分のスタイルと信念を大切にしていた革命家なんです。

butohesの曲作りからモネを感じざるを得ません。


ちなみにbutohesの由来は日本の前衛芸術
「暗黒舞踏」から。

暗黒舞踏は逆輸入的に日本に認知されました。
戦後の日本に生まれたオリジナルな現代舞踏ととしてヨーロッパを中心にブームを巻き起こし、パリ逆輸入として日本に戻ってきました。

彼らの行く末を、未来を想起させる由来ではないでしょうか。

2nd EPのリリースが待ち遠しくてたまりません。


最後にもう一度クロード・モネの言葉を。

「人は私の作品について議論し、まるで理解する必要があるかのように理解したふりをする。私の作品はただ愛するだけでよいのに。」

...butohesについてあれこれ並べてきたけど
ただ好きです。それだけです。

さあみんな!推しは推せる時に推せ!

PROFILE

misato_a_photo.jpg
奧宮みさと/MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
MISATO名義での活動を経て2023年4月より奧宮みさとに改名。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡、bayfmといったラジオを中心とした活動の他、全国規模の某有名店の店内放送など声を使ったキャリアを重ねる。
お茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。スラッシュキャリアだからこその視点や言葉選びで、聞く人の間口を広げることを得意とする。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

気になるタグをCHECK!