SENSA

2023.04.06

N4TURALKILLERS「Bubblin」──ファンクやアフロ・ビートなどを片っ端から呑み込む、雑食趣味のバンドの4曲入り。

N4TURALKILLERS「Bubblin」──ファンクやアフロ・ビートなどを片っ端から呑み込む、雑食趣味のバンドの4曲入り。

 音楽は絶対雑食のほうが楽しいよ!──N4TURALKILLERSの4曲入りEP『Bubblin』を聴いて、彼らから屈託のない声でそう呼びかけられた気がした。実際、ディープ・ファンクからアフロビート、ヒップホップ、エチオ・ジャズまでを包含するそのサウンドは、闇鍋的なグルーヴが核になっている。いわば、具材(=音楽)を片っ端から鍋に放り込んで、グツグツ煮込めた結果、すべてはスープの中に溶け込けてしまっている状態。過去の音楽も彼ら特有のマナーによって調理されているわけだ。

 劈頭を飾るのは「wunderkammer」。のっけからトバしまくる。インスト・ファンク・バンドと称されることも多い彼らだが、ここではハスキーなヴォーカルをフィーチャー。うたもので幕を開けることで間口を広げたかったのだろうか。この曲でN4TURALKILLERSを知って好きになったリスナーも多いと見た。

 サウンド面でのトピックは色々あるが、まず盤石のリズム隊を讃えたい。オルガンやギターが性急にインサートされても、ボトムが揺らいだりぐらついたりしないから、全体のアンサンブルは常に安定している。ファットでタフでタイトなビートこそが、このバンドの武器であり強みだろう。だからこそ、ギターのエキゾティックなフレーズも活きてくるし、オルガンの心地よさも倍増するというものだ。 

 関西のストリート・シーンから出発し、昨今は韓国など海外でも定期公演を行う彼ら。グローバルで勝負できるサウンドなのだから、海外のマーケットを視野に入れていないはずはないだろう。かつて矢沢永吉は「自分の母語が英語だったら、世界でも有数の大歌手になっていた」と言っていたが、これを逆の形から裏付けるのが、インスト主体のN4TURALKILLERSの人気ではないだろうか。

 彼らの過去のインタビューを読むと、ジェームス・ブラウンやタワー・オブ・パワーの音楽をそのまま演奏しても受け入れられにくいと思う、と述べている。筆者の友人にも、N4TURALKILLERSを聴いて、そこからルーツへと遡行する形でファンクなどのレア・グルーヴにどっぷり漬かっているリスナーがいる。バンドの狙いや企図は充分通じている、ということだ。

 ブラジルのレニーニというミュージシャンは、音楽を作る上で根っことアンテナの両方から音楽を醸成している、と述べていた。N4TURALKILLERSの場合なら、根っことなるファンクから養分を吸収しつつ、世界中から飛んでくる電波──最新のヒップホップだったり、エチオピアのジャズだったり――を選り好みせず片っ端から受信する。アンテナは時代や国をまたいで飛んでくる電波をキャッチするが、常に根っこからエネルギーを充填しているから、創作意欲が枯れることはない。どんなサウンドに仕上げるか、選択肢は無限にあるはず。今後はどんな手を打ってくるか楽しみでならない。

文:土佐有明



RELEASE INFORMATION

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N4TURALKILLERS「Bubblin」
2023年4月5日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP.

Track:
1.Wunderkammer
2.Coelacanth mom
3.Bubblin
4.Side G

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LINK
@naturalkillers7
@n4turalkillers_band

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