SENSA

2023.04.02

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! 優河 with 魔法バンド・Funkindustry & Natsu Summer・田口囁一ほか24全作品 -2023.04.01-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! 優河 with 魔法バンド・Funkindustry & Natsu Summer・田口囁一ほか24全作品 -2023.04.01-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:3月27日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全24作品の中から、まずはPart 1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!スキスキスキスな、Autumn Fruit

金子:それくらい大好きだということですね(笑)。

みさと:そういうことです(笑)。とてもかっこいいです。

金子:FRIENDSHIP.からのリリースは初めてなんですけど、いいですよね。Ryuuta Takakiさんという方がプロデュース/主宰をしているmakranというレーベルに所属していて、ボーカルのAutumnさんを中心に結成された音楽プロジェクトだそうです。さまざまなルーツや出身の人たちが集まっているみたいで、だからこそのボーダーレスな音楽性が持ち味としてありつつ、Autumnさんの歌声自体の記名性もすごく強いですよね。

みさと:声がいいですね。スモーキーで気だるいブルースボイスというか。あとうらみっこなしと言いつつ、沼に絡まって抜け出せなくなっているさまが、低音に絡まって抜け出せない表現になっていて、音としてもしっかり表現されているんだなというのが伝わってきますね。さりげない韻の踏み方も気持ちいいです。

金子:Lana Del Reyとか、あのあたりの雰囲気もありますね。



みさと:たしかに!ありますね。そして一応はじめましてになりますけど、改名と言ってもいいような?Otomodatchi

金子:もともとCIRRRCLEというグループで活動していたAmiideさんとJyodanさんによるユニットです。グループとしての活動は一回終了しているんですけど、去年の12月にライブで共演したことをきっかけに、デュオとして再始動して、Otomodatchiになったそうです。

みさと:CIRRRCLE時代から聴いていたけど、やっぱり2人は声の相性がいいですね。

金子:いいですよね。なおかつ今回の曲はカナダのHMLT(ハムレット)がプロデュースしていて、みんな大好きVulfpeckにも参加しているCory Wongが関わっているデュオです。ミックスとマスタリングはUKのエンジニアがやっていて、カバーアートとリリックビデオは東京を拠点に活動しているHyperbeamcatがやっているという、本当にグローバルな作品ですね。

みさと:すごいですね!

金子:このクオリティーの高さは素晴らしい。



みさと:面白いですね。今ならではだし、それぞれのアイデンティティとルーツと今いる場所の風もしっかりミックスできるというのは、彼らにしかできない曲作りでしょうね。そんなPart 1からお送りするのは?

金子優河 with 魔法バンドをかけようかなと思います。

みさと:本当に癒されますね。

金子:こちらは3月25日にNHKで放送された『月食の夜は』というドラマのサントラで、放送翌日の日曜日にリリースされているという形なんですけど。

みさと:優河さんに限っては3月26日のリリースとなっています。

金子:ドラマが終わってすぐ配信がスタートしているということですね。優河さんは去年『言葉のない夜に』というアルバムをリリースしていて、そこにドラマ主題歌も入っていて、夜明けが歌われていたりしたから、きっとこの『月食の夜は』というドラマの世界観とも通じるものがあって、劇伴のオファーがあったのかなと思いました。さらに言うと、今回は「優河 with 魔法バンド」の名義になっていて、これまでも優河さんの作品には魔法バンドが参加していたわけですけど、連名で作品を出すのは初めてで。劇伴なのでテーマ曲以外はインストなんですけど、魔法バンドのメンバーがそれぞれリードして作った曲も入ってるんじゃないかなという印象です。もともとシンガーとバックバンドというより、メンバー1人ひとりがプロデューサーみたいな人たちなので、だからこそできた作品なんだろうなと。

みさと:音楽史における「with系作品」の中でも、「加山雄三 with 谷村新司」レベルの組み合わせですね(笑)。

金子:「サライ」じゃないですか(笑)。

みさと:「feat.」ってゲストじゃないですか?だけど「with」って共同制作ということなので、それぞれいる意味がすごく際立っている作品なんだなと。

金子:そうだと思います。

みさと:もう「サライ」ですよ。

金子:このアルバムで言う「サライ」は、「光のゆくえ」というテーマ曲になりますね(笑)。

みさと:そういうこと!

金子:この曲はガットギターなのかな?その繰り返しのフレーズがずっと流れていて、その下に豊かな低音が鳴っていて、オルタナティブなトラックではあるんですけど、でもそこに優河さんの歌が乗ることによって、ポップスとして響かせちゃうという。素晴らしいですね。



みさと:どんどんこういう作品を作ってほしいですね。

金子:劇伴も絶対似合うと思うから、また聴いてみたいです。

みさと:素晴らしい組み合わせだな。出会うべくして出会っているんだなというのを感じちゃいますね。


New Release Digest Part 2


みさと:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!theトラウツがはじめましてですね。

金子:彼らは湘南発のオルタナバンドということで、2019年に地元の友人同士で結成。パワーポップやブリットポップに影響を受けたサウンド、人懐っこいメロディが特徴とあります。

みさと:たしかに人懐っこい。

金子:「センチメンタル」はOrange Juiceというスコットランドのバンドをイメージして書いているそうです。僕の世代はこの曲を聴いてサニーデイサービスを思い出す人も多い気がするんですけど、サニーデイももともとイギリスの、それこそOrange Juiceとかネオアコやギターポップとかにも影響を受けつつ、それを日本でやるためにはっぴいえんどとかも消化して、あの音楽性になったみたいなところがあるから、彼らも同じようなルーツがあって、結果的に似た雰囲気を持っているのかなと。こういうことが時間を超えて起こるのが音楽の面白さだなと改めて感じたりもしました。



みさと:やっぱり系譜を遡っていくと面白いですよね。Group2もよかったですね。

金子:Group2は面白いですよね。今回のアルバムは自分たちの楽曲をさまざまな角度から再解釈したコンピレーションアルバムになっていて、セルフカバーもあれば、No BusesのCwondoくんのリミックスとかも入っていたりして。今週流れている曲はもともと2020年に出した2ndアルバムに収録されていた曲に、フィーチャリングでhikaru Yamadaさんというアルトサックス奏者でありトラックメイカーでもある方を迎えてリメイクしていると。

みさと:アルバムのタイトルも面白いですよね。タイトルは波紋を意味していて、記号化されているんですけど、これも言語を超えた、国を超えた印象というか。

金子:波のように広がっていくイメージがありますね。



みさと:石を水面にパンって置いたときに広がっていく波紋の形が記号化されているので、どういう風に表現されているのかこちらもぜひ見てみてください。では、1曲お送りするのはどうしましょう?

金子:Part 2はみんな大好きFunkindustryをかけようかなと思います。

みさと:わーい!みんな大好きFunkindustryだ〜!

金子:Funkindustryはみさとさんがちょっとお休みされていたときにはWezくんとコラボしたりもしていて。

みさと:すごいコラボじゃないですか!

金子:結構日本人アーティストとコラボをしているんですけど、今回はレゲエ/シティポップのNatsu Summerとコラボレーションをして楽曲を作ったと。

みさと:6月にはこの曲も含めた日本のシンガー5人とのコラボEPもリリース予定ということです。

金子:今回の曲はまさにシティポップで、この言葉はいろんなところで使われて、今ではいろんな曲がシティポップにくくられてますけど、これはもうまさに日本の古き良きシティポップだなという感じがしました。ただそれをフランスのバンドであるFunkindustryがアシッドジャズとかそのあたりのルーツも感じさせつつ作ると、やっぱり少し独特なものになるという。この混ざり方はすごく面白いなと。

みさと:音だけで聴いたら「BBCでかかってそう」みたいな雰囲気もあるし。

金子:でもNatsu Summerさんの歌声は80年代の日本から出てきたような印象もあるし、面白いですよね。



みさと:Otomodatchiもそうですけど、どこの国にいてもこんなに素晴らしい曲が作れちゃう時代ってリスナーとしても贅沢ですね。

金子:Group2じゃないけど、波がどんどん広がっていますよね。


New Release Digest Part 3


みさと:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!さてTransvioletがFRIENDSHIP.からリリースですか?

金子:Transvioletはアメリカのオルタナポップロックバンドです。Part 2に出てきたBarrieとかもそうですけど、やっぱりアメリカのアーティストはSpotify とかで見ると再生数がすごくて、Barrieは月間リスナー60万人とかいるし、Transvioletも40万人いて、代表曲は2000万回再生とかされていて。

みさと:ひえー!

金子:アメリカの懐の深さを感じますね(笑)。

みさと:母数も違うのよって感じですね。

金子:そういうことですね。Transvioletはケイティ・ペリーとかハリー・スタイルズにも支持をされているらしくて、たしかにこのキャッチーなエレクトロポップの感じはめちゃめちゃいいですよね。



みさと:「Transvioletとレーベルメイトなんだよね」ってみんなに言えるわけですよね?FRIENDSHIP.面白いな〜。そして、norkéはアルバムのリリースですね。

金子:これまでコンスタントに楽曲を発表してきましたけど、やっぱりかっこいいですね。沖縄繋がりでFRIENDSHIP.のキュレーターでもあるdownyの青木ロビンさんからの紹介でスタートしていたかと思うんですけど、downyにも通じる構築美がありつつ、よりエレクトロニックな独自のビート感や低音感があって、非常に格好良いです。

みさと:すごく邪悪だなと思いながら聴いていました。最近yahyelが再始動したけど、D.A.N.とかあの辺りがお好きな方にも刺さると思うし、サウンドとアレンジとかトラックのループ感とか、全てがコンセプトに裏付けされた意味のある音の集合体なんだなというのがすごくわかりますね。

金子:yahyelは過去作でディストピアを表現していましたけど、norkéは今作のタイトルについて、「誰もが心の中で必死に守り、もがき、苦しみ、隠し持っている聖域/サンクチュアリを"Hidden City Archives"(隠された都市の記録)として表現した」とあって。こういうコンセプトがあって、それでこの音楽が生まれているんだなというのを知ると、より楽しめるかなと思います。



みさと:聴き方が変わってきますよね。さあ、Part 3からはどなたの曲をかけましょう?

金子田口囁一さんを紹介しようと思います。

みさと:田口さんもまた多才な方ですね。FRIENDSHIP.はどこからこういう面白い人たちを見つけてくるのか...すごい。

金子:彼は漫画家でありミュージシャンでもあるという人です。もともと感傷ベクトルというユニットで活動していたんですけど、僕は前にインタビューをしたことがあって、記事を見返したら2014年だったので、約10年前とかで。

みさと:そうなんですね。

金子:もともと同人サークルで活動していて、自分で書いたバンド漫画の曲を自分で音源にしちゃおうみたいなところからスタートしていて。最近で言うと、「『ぼっち・ざ・ろっく!』を全部自分たちでやっちゃった」みたいな(笑)。

みさと:そんな人いないよ(笑)。

金子:でも本格的に漫画家としても音楽家としてもデビューして、漫画の連載を持ちながら音楽活動をするっていうのは相当大変だったみたいなんですよね。ご本人のコメントで「今はボカロ出身のアーティストが国民的な人気になったり、顔を出さずにイラストのアバターを使って活動するアーティストが当たり前に活躍するようになって、その垣根が大分取り払われた印象があります」とあるんですけど、やっぱり10年前とかはまだサブカルチャーで、それをどう発信していくかもまだ試行錯誤の段階だったから、そういう意味でもすごく苦労したはずで。そこから感傷ベクトルとしての活動は一旦休止して、漫画家をメインに数年活動してきて、今回改めて田口囁一として音楽活動を再開したと。そういうストーリーがあるんですよね。

みさと:この人自身が漫画の主人公みたいな人生を生きてらっしゃいますよね。

金子:そうですよね。今回はそういう時期にいろいろと考えていたことが曲の元になっていて、この「魔法によせて」に関しては、「叶わなかった夢や、自分の現状を憂いて暗い気持ちになることがあります。それを身近な人のさりげない言葉で救われたことや、逆に自分もそんな誰かの力になれたらいいな、というような曲です」とコメントされていて。

みさと:やっぱり根っからのクリエイターですね。漫画と音楽、アウトプット先が違うだけで、きっと何か思っていらっしゃることを作品にしたいタイプの人なんだろうなと思いました。




RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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