SENSA

2023.03.01

THE 2、有言実行のリキッドルームワンマン!新体制スタートから1年、久しぶりの「完全体」ライブで刻んだ新たな始まり

THE 2、有言実行のリキッドルームワンマン!新体制スタートから1年、久しぶりの「完全体」ライブで刻んだ新たな始まり

昨年、2022年2月22日に改名と新体制でのスタートを宣言してからちょうど1年。節目となる「2の日」に、THE 2は記念すべきステージに立った。古舘佑太郎(Vo/Gt)にとってはキャリアを通して初となるリキッドルームでのワンマンライブ「新章-スプートニク-」。これまた昨年、5月に慣れ親しんだ渋谷クラブクアトロで開催した自主企画2マン3デイズライブ「THE 2 man LIVE 2022-KOI NO JOURNALISM-」のステージ上で古舘は「1年以内にリキッドルームでやる」と宣言していたが、その「約束」が現実となった一夜は、見事ソールドアウトとなったフロアと一緒になってどこまでも熱く情熱を燃やしていくようなメモラブルなものだった。

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さらに、「THE 2としてのスタートから1年」「有言実行のリキッドルームワンマン」というのに加え、このライブにはもうひとつ、バンドとして重要な意味合いがあった。いうまでもなく、昨年6月から出産と育児のためにお休みしていたドラム・歌川菜穂の復帰である。この東京公演に先立って2月2日に開催された大阪・心斎橋Music Club JANUSでのライブが復帰一発目のステージとなったが、ホームである東京でのライブはこれが最初。彼女の加わった4人の佇まいを見ていると「やっぱりこれだよなあ」と思った。この4人のTHE 2はほんの数えるくらいしか観ていないわけで、考えてみれば不思議なのだが、ロックバンドというのはそういうものなのかもしれない。

とはいえ、歌川不在の間THE 2を支えてきたサポートドラマーの活躍も忘れるわけにはいかない。というわけでこの日のステージは吉田雄介(tricot)とホリエ.(yonigeレギュラーサポート)という2人に歌川を加えた3人のドラマーが順番に登場してプレイするという、あまり見ない「ドラマー3人体制」でのパフォーマンスとなった。最初にキットの前に座ったのはホリエ.だ。1曲目に鳴らされたのは「ANTHEM SONG」。イントロのギターリフが鳴り響いた瞬間にフロアからは歓声が上がり、手拍子が広がっていく。続けて「SONG FOR YOU」を投下すると、加藤綾太(Gt)のキャッチーなギターリフに乗ってその熱はさらに高まっていく。ずっしりとした量感のあるホリエ.のドラミングが背骨のようになって、バンドのアンサンブルもがっちりとタイトに響いてくる。

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パワーコードが炸裂する「PSYCHOLOGIST」を終えると古舘は「ドラムス、ホリエ.!」と絶叫。それを合図にパワフルなエイトビートが始まっていく。キラキラと眩しいギターサウンドと刻まれるハイハットが景色を大きく広げる「急行列車」だ。「ケプラー」では再びオーディエンス全員を巻き込んでハンズクラップの嵐。「いいね!」と古舘も満足げだ。そして「GO 2 THE NEW WORLD」を最後にホリエ.が退場すると、代わって吉田が登場。流れを止めるなとばかりに加藤のギターが鳴り続ける中、吉田の気合の入ったタムがリキッドルームの空気を一変していく。ブルージーでサイケなグルーヴが鳴り響く「ロボット」だ。当然セットリストもドラマーのリレーを前提にして組まれているのだろうが、ドラムが変わるとこうもバンドが色を変えるのか、と驚かされた。

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「改めまして、THE 2です! 今日はどうもありがとう!」とここでようやく古舘が挨拶。満員御礼のフロアに感謝を述べると「だから言ったんだよ、俺はやるときはやるって」と胸を張るが、そこに即座に「やめてよ」と突っ込んだのは森夏彦(Ba)だ。機材車で帰るときにいつも「ワンマン大丈夫かな、俺なんかには無理だよ」と不安を吐露していたことを暴露されると、古舘も「確かに死ぬほど宣伝したよ」とここに辿り着くまでの努力を振り返る。クアトロでライブをやりすぎて「クアトロの住人」とまで呼ばれていたという古舘が無事ここに立てたことに、フロアからも温かな拍手が送られた。

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「大人になっているのに大人になりきれない、なんとか踏ん張って立っているピーターパンたちに」と演奏された「NEVERLAND」から、じっくりと溜め込んだエモーションをどんどん解き放っていくような「東狂」へ。さらにカラフルな照明とともにポップに「UFO CATCHER」、パンキッシュに突っ走る「生と詩」。多彩な楽曲でバンドの歩みを振り返りつつ、ライブは後半へと進んでいく。「ヤケのダンス」では森がテクニカルなベースプレイを見せつつオーディエンスのジャンプを誘い、吉田のビートと手拍子にけしかけるように「SとF」に突入すると、久しぶりに声出しが解禁されたフロアからは〈やり直し!〉の掛け声が飛んだ。

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そして加藤がマイクスタンドをぶっ倒して自分もぶっ倒れながら弾き倒して叫び倒した「DAY BY DAY」を終えると吉田が御役御免。その空席に最後に座るのはもちろん歌川菜穂だ。拍手を浴びつつ登場した歌川は「お待たせいたしました! 無事に出産して戻ってまいりました!」と挨拶するとその拍手はさらに大きくなる。「帰ってきたら男臭さが増しててどうしようと思った」と笑う歌川。不在中もサポートメンバーからバンドの様子を聞いていたらしく、地方でのライブで対バンを見ないでサウナに行ったことを知ったときにはメンバーを叱ったというエピソードも披露され、「これからは女子学級委員長が戻ってきたわけですから......」という古舘に「勘弁してよ。ここではお母さんはやめて」と返す歌川。バンドの力関係がなんとなくわかる会話である。

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そんな和やかなMCを経て、いよいよ「完全体」のTHE 2が復活。今のところ世に出ている最新曲である「ミスサンシャイン」からライブは再開していく。AORのゆったりとしたグルーヴが印象的な曲だが、何より歌川のドラムが力強い。前に叩いていた2人ももちろん最高のドラマーだが、ガシガシとメンバーのケツを叩くようなドラムを聴いていると「学級委員長」という形容が確かにしっくりくる。そしてギターを爪弾いて歌いながら古舘が自分の歌詞をネタに喋りまくる「ルシファー漫談」(〈親のこと裏切ってしまいたい〉という歌詞に合わせて「言ってなかったけど、俺2世タレントなの」と言っているのには笑った)から「ルシファー」をぶちかまし、「Family」を経て「恋のジャーナル」を「メガフルタチ」とともにパフォーマンス。よく見るとサラサラだったはずの「メガフルタチ」の髪の毛は傷んでチリチリになっていて、「この髪の毛のボロボロ具合が、1年間俺たちが頑張ってきた証です!」と古舘は言っていた。

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ここで5月のクアトロ3デイズを今年も開催することを発表し、「今年こそはアルバムを必ず形にしたい」と約束すると、本編ラストへ。そこで披露された「スプートニク」は、THE 2としては初めて、古舘が作詞作曲をした楽曲。「作ったというよりもふと生まれた」という言葉どおり、彼独特のメロディ感覚や言葉のハマり方がはっきりとわかる曲だ。4人で一気呵成に鳴らすサウンドがぐんぐんと広がっていく。初見のはずのオーディエンスがたちまち手拍子をしているのを見ると、この曲はバンドにとってもファンにとってもとても大事なものになっていく予感がした。

アンコールでは森の「次、どうする?」という問いかけに古舘は勢いに任せて「来年はもっと大きいところでやります! O-EASTとか!」と宣言。きっとその言葉も現実になるだろう。「今日4人揃って、みんな集まってくれて。俺たち4人が集まったらこの曲しかないなってずっと思っていました」と披露されたこの日最後の曲は「フォーピース」。前のめりなバンドサウンドがひた走る。オーディエンスのシンガロングも挟んで最後のサビへ。まっすぐなバンド讃歌であるこの曲が書かれたときとはメンバーも名前も変わったけれど、紆余曲折を経たからこそ、ここに込められたピュアな思いはいっそうキラキラと輝いていた。

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文:小川智宏
撮影:中村里緒

LIVE INFORMATION

THE 2 『THE 2 man LIVE 2022-タイトル未定-』
5月29日(月) / 5月30日(火) / 5月31日(水)
いずれも18:00開場 / 19:00開演
会場:渋谷CLUB QUATTRO
出演:THE 2 / 各日対バンアーティスト後日発表

チケット:前売¥4,500(+別途入場時1ドリンク代必要)

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