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2023.02.26
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!butohes・First Love is Never Returned・futuresほか全22作品 -2023.02.25-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターのMISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:2月20日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全22作品の中から、まずはPart 1の8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!今週も大豊作ですね。ちょっとおひさしぶりなところで言うと、HHMMと阿部芙蓉美さん。まずHHMMよかったですね。
金子:去年出た『5』というアルバムのアナログ盤のみに収録されていた曲が、今回ストリーミングで解禁されるとのことです。フィーチャリングで入っているサックスの馬場智章さんは今月公開されている映画『BLUE GIANT』というジャズ漫画原作の作品で、上原ひろみさんと石若駿くんと一緒に、主人公のジャズバンドの演奏を担当している人です。
MISATO:すごいですね!今をときめく、あの話題作に参加していらっしゃるという。
金子:さらに言うと、昨日2月24日は松下マサナオくんの40歳の誕生日で。
MISATO:めでたいことがいっぱいですね!
金子:そして今日2月25日に生誕祭をご自身で開催されていて、めちゃめちゃ豪華なメンバーが集まっていて、その中にはもちろんHHMMもいるという。おめでとうございます!
MISATO:それでいうと、最近日向秀和さんもご自分の主催でご自身が関わっているストレイテナー、Nothing's Carved In Stone、HHMMとかを集めたごちゃ混ぜのイベント(『HINA-MATSURI 2023』)をやっていましたよね!「豪華すぎ!」と思って。
金子:自分主体でどんどんイベントを開催するっていうのはたくましいですよね。
MISATO:40歳からまた脂が乗っちゃって、どんどんキラキラされていかれるんでしょうね、そして、阿部芙蓉美さんです。
金子:阿部芙蓉美さんもキャリアが長い方ですけど、今回1年8ヶ月ぶりのシングル。ピアノとあと環境音も入っているのか、アンビエントやニューエイジな感じのする厳かな曲でした。この曲はもともとちょっと前にCMで使われていて、そのときに阿部さん自身がコメントで「"Neverland"。つまりは非日常を経由して、遠回りしてもそれでも生きていく。暮らしは続いていく」ということを歌っているとコメントしていて。この世の中いろんなことがあるけど、どっしり構えて、遠回りだったとしてもちゃんと生きていくという、その感じもすごくいいなと思いました。
MISATO:ライナーノーツで「湿度のある森、逃避行、立ち止まらず前に進む」ということがテーマだと書かれているんですけど、まさに霧雨の中、雨を含んで柔らかい足元に光が射しているような絵が見えるというか。湿度の柔らかさの表現というのが、こんなに音だけで見えてくるんだという。素晴らしい作品になっていますね。
金子:4月には3年以上ぶりのライブも決まっているということで、それも楽しみです。
MISATO:楽しみ続きですが、1曲をお送りするのはどなたにしましょうか?
金子:butohesをかけようかと思います。
MISATO:めちゃめちゃかっこよかったです。最強にリピートしてる!7分10秒もあるけど(笑)。
金子:気づけば何回もリピートしてるんじゃないですか?
MISATO:してる!「あ、1時間経った」みたいな(笑)。
金子:あはは。Part 1はFRIENDSHIP.らしいオルタナな感じの人たちのリリースが多かった印象で、揺らぎもHoboken Surpriseも6分以上の曲をリリースしていて、ストリーミング時代の中でちゃんと芸術性のある長めの曲を出しているのは頼もしいなと思います。
MISATO:変わらないでいてほしい。
金子:その中でもbutohesの曲は7分超えという。ミニマルミュージック的に2本のギターがずっと同じフレーズを奏でつつ、でも音像・音色がどんどん変わっていって、リズムも少しずつ変わっていって、それこそ時間が経つのを忘れちゃうぐらいのトリップ感を味わえる。この感じはやっぱりかっこいいですね。
MISATO:ライナーノーツに「凍るような寒さの日に聴いてみてください」と書かれていたんですけど、ちょうど夜の高速で聴いたらすごく良かったです。やっぱり暖かくない方がいいので、窓を開けて冷たい風が入るくらいのヒリヒリ感は必要なんですけど、少しひりついた感じで、外の景色も同じくらいのスピードで回るような高速はピッタリでした。
金子:寒さでひりついてるぐらいじゃないと、トリップしていてどこかに飛んでいっちゃいそう(笑)。
MISATO:たしかに(笑)。この深夜帯の時間にも合うと思うので、聴いていただきましょう。
MISATO:これはFFKTとか深夜のフェスとかにめっちゃハマりそうですよね。
金子:いいですね。踊りたいですね。
MISATO:踊りたい!今年はいっぱいフェスやライブに出てほしいバンドですね。
MISATO:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!影山朋子さんが初登場なんですけど、マリンバですね。
金子:最後のThiiird Placeから影山朋子さんの流れで日本のポップミュージックもどんどんグローバル化している感じがして、すごく良かったです。
MISATO:その流れよかったですよね。
金子:影山朋子さんはマリンバとビブラフォンの奏者であり、シンガーソングライターでもあるという、なかなか珍しいですよね。
MISATO:きっとこの楽曲もギターとかピアノでできるというか、可能は可能なんでしょうけど、マリンバにするだけでこんなに素朴になるんですね。
金子:星野源さんがよくマリンバを使っていて、聴き馴染みのある人もいるとは思うけど、やっぱり珍しいですよね。影山さんはずっとマリンバとビブラフォンで活動してきて、過去には折坂悠太くんとかトクマルシューゴさんとか、森は生きているとか、音楽好きな人たちからすれば間違いない人たちと一緒に活動してきていて、やっぱり曲を聴いても素晴らしかったです。
MISATO:納得です。
金子:マリンバの演奏ももちろんだし、影山さんの歌もいいですね。曲の後半で少しシタールも入ってきたり、アレンジもすごく良かった。
MISATO:そしてアルバムが出ていますね、toronto。
金子:こちらはファーストアルバムになります。
MISATO:おめでとうございます!
金子:彼らは若い3ピースで、自身のコメントで「結成して4年、僕がずっと恋焦がれていたスリーピースバンドの姿が、このアルバムには詰まっています。同時に、僕の大学4年間を総括するようなアルバムにもなりました」とあります。
MISATO:いいな〜。
金子:間違いなく大事なアルバムですよね。
MISATO:青い風景が広がっていますね。びっくりするほどシンプルで、言葉ありきのバンドで、大切にやってきたんだなというのが見えます。
金子:シンプルなんだけど、ちょっとダブの要素とかも入っている感じがかっこいい。あとこの「ねがいごと」というリード曲だけピアノが入っていて、これまでの集大成なんだけど、ちょっとこれから先の展開も見せているという。その感じもいいなと思いました。
MISATO:ではPart 2からの1曲はどうしましょうか?
金子:First Love is Never Returnedをかけようと思います。
MISATO:厚武さんありがとう!
金子:なぜありがとう?
MISATO:私的には触れずにはいられなかったです。ラジオのことをすごくよく分かってらっしゃる歌詞だなと。
金子:そうなんですよね。First Love is Never Returnedは活動休止を挟みつつ、去年の年末に再始動して、1stミニアルバムが完成しました。そして、MISATOさんが今おっしゃったように、「Baby,Don't Stop」はラジオのことがテーマになっていて、「Hey DJ's,Baby Don't Stop!(音楽を止めないで)」と歌詞で言っています。僕はこの曲を聴いて、Suchmosの「STAY TUNE」を思い出したんですよね。
MISATO:なるほど。
金子:Suchmosが「STAY TUNE」を出して、90年代のアシッドジャズとかネオソウルを日本のポップチャートにリバイバルさせた印象があるんですけど、この「Baby,Don't Stop」は2000年代のUKガラージとか2ステップをもう一度リバイバルさせるというか。それぐらいの勢いとクオリティを感じさせる曲だなと思いました。
MISATO:かっこいいですよね。歌詞的には「キューシート差し替えて カフが上がる前に」 ってあるんですけど、キューシートの差し替えが生放送中に起こると結構面倒くさいです(笑)。
金子:経験者は語る(笑)。
MISATO:キューシートって、「この番組の中で何の曲を何番目にかけるか」というシートのことなんですけど、カフは自分の目の前のマイクのスイッチが入るという機材なので、そのカフが上がる前にキューシートを差し替えられると、「次の曲なに?」みたいになるので、まあ大変(笑)。
金子:あはは。そういうちょこっとマニアックな話が歌詞の中に入っているのも面白いですよね。
MISATO:素晴らしい、よく知っているなと思って。
MISATO:私的にはちょっとヒリヒリします(笑)。
金子:焦った感じを思い出す?
MISATO:そうそう(笑)。でもいいチームじゃないとキューシートを差し替えたりしないんですよ。今この瞬間に合う曲を届けたいっていうチームじゃないと、キューシートを差し替えたりしないから。
金子:なるほど。
MISATO:ちゃんと曲に寄り添っているラジオ番組を聞いていたんじゃないかなって思う。
金子:この曲がラジオでたくさんかかってほしいですね。
MISATO:ラジオからまたムーブメントが起きてほしいなと思います。ぜひみなさんも聴いてみてください。
MISATO:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます。初登場のはじめましてさんが2組です。まずは"生活は忘れて"。
金子:面白い名前ですよね。
MISATO:最初曲のタイトルかと思っちゃいました。
金子:そうですよね。彼はソロアーティストなんですけど、まさに2020年代の J-Popというか。こういうベッドルームR&B的なテイストで、ちょっとメランコリックなんだけどすごくキャッチーでもあるという、この感じはすごく今を体現しているし、"生活は忘れて"の人間性みたいなものもちゃんと表れている気がして、良い曲でしたね。
MISATO:推しゴトをしている立場から触れたいんですけど、"推し活"とか"古参"って言葉を私自身もよく使うんだけど、詳しくなくていいし、推しをやめてもいいし、にわかでもミーハーでもいいんですよ。その推し疲れしたときにこの曲を聴いてほしいなと思いました。
MISATO:そして、もう1組はMisty Toneです。
金子:こちらもちょっと変わっていて、「プロジェクトごとにミュージシャン・作家、ボーカリストなど様々なプロフェッショナルを招聘し、最適化されたチームが編成されるメンバー変動型音楽制作ユニット」とのことです。この曲はドラマのオープニングテーマで、もう1曲は挿入歌になっていると。最近ドラマと音楽の関係性も凝ったものが多いですよね。
MISATO:多いですね。そのドラマ用にバンドを組んだりとかありますもんね。
金子:ちょっと前の『エルピス』ではSTUTSがMirage Collectiveとかもやっていましたし、面白いのが多いですよね。あと今回のボーカルが石野理子さんで、元・赤い公園のボーカルです。FRIENDSHIP.的に言うと、THE 2のドラムが歌川菜穂さんなので、元・赤い公園のお二人が奇せずして揃っている。それもちょっと面白いなと。
MISATO:いいですね。それこそ胸アツな古参ファンの方が多いんじゃないかと思いますけど、私は『ブラザー・トラップ』を漫画で読んでいるんです。原作はすごくまっすぐな恋の話なんですけど、ずっと一緒にいたいという表現が主人公の二人にぴったりな歌詞世界になっているなと思って。「挿入歌を作るのがまた新しい試みだ」という情報もいただいているんですけど、すごく良い作品だなと感じています。
MISATO:そして厚武さん、事件です。事件が起きました。
金子:何でしょうか(笑)?
MISATO:butohes(ブトース)ですよね。そして、SPECIAL OTHERS(スペシャル・アザース)ですよね?futuresは?
金子:ということは、futures(フューチャース)?
MISATO:そう、futuresは読み方「フューチャース」だったんですよ!
金子:たぶんずっと"フューチャーズ"って言ってましたね。
MISATO:どうしましょう!まさかのSPECIAL OTHERS方式でした。申し訳ございません。
金子:この問題が発覚して、僕昔のツイートを調べたんですけど。
MISATO:特定班すごい!
金子:futuresの楠野さんが2019年に「正直"ス"か"ズ"はどうでもいいです。そんな"どっちだろう問題"が巷で飛び交うくらいの名前になってくれれば良いなと思っています」とツイートしているんですよ。
MISATO:えー!飛び交っていますよ!この界隈で大事件です!でもよかった。この展開を待ち望んでくださったということであれば、すごく心が軽くなります(笑)。
金子:作品自体もすごく良くて、futuresは去年の7月にもアルバムを出してるんですよね。そこから半年ぐらいでまたアルバムができて、すごいペースなんですけど、これは彼らがちゃんと現場を大事にしてきて、自分たちが主催している"New Now!"というパーティーをやってきて、そこから生まれたのが今回のアルバムという感じがして。実際パーティーで共演してきた人たちがコラボレーションで曲に参加していたりもするし、「DubStory」もすごくいい曲なんですけど、ボーカルの楠野さんだけじゃなくて、メンバーもコーラスで歌っていて。このみんなで歌う感じも、パーティーの風景を思い起こさせるというか。やっぱり現場があったからこそできたアルバムなんだろうなという感じがして、そのあたりも胸アツでした。
MISATO:ぜひ行きたい箱であったり、場所を思い浮かべながら聴いてみてください。
MISATO:「ノスタルジック・ダブ・ミュージック」の良いところ取りがいっぱい感じられる曲ですね。日本人のDNA的にも、琴線に触れるような曲だと思います。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とナビゲーターのMISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:2月20日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全22作品の中から、まずはPart 1の8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!今週も大豊作ですね。ちょっとおひさしぶりなところで言うと、HHMMと阿部芙蓉美さん。まずHHMMよかったですね。
金子:去年出た『5』というアルバムのアナログ盤のみに収録されていた曲が、今回ストリーミングで解禁されるとのことです。フィーチャリングで入っているサックスの馬場智章さんは今月公開されている映画『BLUE GIANT』というジャズ漫画原作の作品で、上原ひろみさんと石若駿くんと一緒に、主人公のジャズバンドの演奏を担当している人です。
MISATO:すごいですね!今をときめく、あの話題作に参加していらっしゃるという。
金子:さらに言うと、昨日2月24日は松下マサナオくんの40歳の誕生日で。
MISATO:めでたいことがいっぱいですね!
金子:そして今日2月25日に生誕祭をご自身で開催されていて、めちゃめちゃ豪華なメンバーが集まっていて、その中にはもちろんHHMMもいるという。おめでとうございます!
MISATO:それでいうと、最近日向秀和さんもご自分の主催でご自身が関わっているストレイテナー、Nothing's Carved In Stone、HHMMとかを集めたごちゃ混ぜのイベント(『HINA-MATSURI 2023』)をやっていましたよね!「豪華すぎ!」と思って。
金子:自分主体でどんどんイベントを開催するっていうのはたくましいですよね。
松下マサナオのバースデーイベント開催を記念して、特別記事を公開していますので、ぜひチェックしてください!
MISATO:40歳からまた脂が乗っちゃって、どんどんキラキラされていかれるんでしょうね、そして、阿部芙蓉美さんです。
金子:阿部芙蓉美さんもキャリアが長い方ですけど、今回1年8ヶ月ぶりのシングル。ピアノとあと環境音も入っているのか、アンビエントやニューエイジな感じのする厳かな曲でした。この曲はもともとちょっと前にCMで使われていて、そのときに阿部さん自身がコメントで「"Neverland"。つまりは非日常を経由して、遠回りしてもそれでも生きていく。暮らしは続いていく」ということを歌っているとコメントしていて。この世の中いろんなことがあるけど、どっしり構えて、遠回りだったとしてもちゃんと生きていくという、その感じもすごくいいなと思いました。
MISATO:ライナーノーツで「湿度のある森、逃避行、立ち止まらず前に進む」ということがテーマだと書かれているんですけど、まさに霧雨の中、雨を含んで柔らかい足元に光が射しているような絵が見えるというか。湿度の柔らかさの表現というのが、こんなに音だけで見えてくるんだという。素晴らしい作品になっていますね。
金子:4月には3年以上ぶりのライブも決まっているということで、それも楽しみです。
MISATO:楽しみ続きですが、1曲をお送りするのはどなたにしましょうか?
金子:butohesをかけようかと思います。
MISATO:めちゃめちゃかっこよかったです。最強にリピートしてる!7分10秒もあるけど(笑)。
金子:気づけば何回もリピートしてるんじゃないですか?
MISATO:してる!「あ、1時間経った」みたいな(笑)。
金子:あはは。Part 1はFRIENDSHIP.らしいオルタナな感じの人たちのリリースが多かった印象で、揺らぎもHoboken Surpriseも6分以上の曲をリリースしていて、ストリーミング時代の中でちゃんと芸術性のある長めの曲を出しているのは頼もしいなと思います。
MISATO:変わらないでいてほしい。
金子:その中でもbutohesの曲は7分超えという。ミニマルミュージック的に2本のギターがずっと同じフレーズを奏でつつ、でも音像・音色がどんどん変わっていって、リズムも少しずつ変わっていって、それこそ時間が経つのを忘れちゃうぐらいのトリップ感を味わえる。この感じはやっぱりかっこいいですね。
MISATO:ライナーノーツに「凍るような寒さの日に聴いてみてください」と書かれていたんですけど、ちょうど夜の高速で聴いたらすごく良かったです。やっぱり暖かくない方がいいので、窓を開けて冷たい風が入るくらいのヒリヒリ感は必要なんですけど、少しひりついた感じで、外の景色も同じくらいのスピードで回るような高速はピッタリでした。
金子:寒さでひりついてるぐらいじゃないと、トリップしていてどこかに飛んでいっちゃいそう(笑)。
MISATO:たしかに(笑)。この深夜帯の時間にも合うと思うので、聴いていただきましょう。
MISATO:これはFFKTとか深夜のフェスとかにめっちゃハマりそうですよね。
金子:いいですね。踊りたいですね。
MISATO:踊りたい!今年はいっぱいフェスやライブに出てほしいバンドですね。
New Release Digest Part 2
MISATO:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!影山朋子さんが初登場なんですけど、マリンバですね。
金子:最後のThiiird Placeから影山朋子さんの流れで日本のポップミュージックもどんどんグローバル化している感じがして、すごく良かったです。
MISATO:その流れよかったですよね。
金子:影山朋子さんはマリンバとビブラフォンの奏者であり、シンガーソングライターでもあるという、なかなか珍しいですよね。
MISATO:きっとこの楽曲もギターとかピアノでできるというか、可能は可能なんでしょうけど、マリンバにするだけでこんなに素朴になるんですね。
金子:星野源さんがよくマリンバを使っていて、聴き馴染みのある人もいるとは思うけど、やっぱり珍しいですよね。影山さんはずっとマリンバとビブラフォンで活動してきて、過去には折坂悠太くんとかトクマルシューゴさんとか、森は生きているとか、音楽好きな人たちからすれば間違いない人たちと一緒に活動してきていて、やっぱり曲を聴いても素晴らしかったです。
MISATO:納得です。
金子:マリンバの演奏ももちろんだし、影山さんの歌もいいですね。曲の後半で少しシタールも入ってきたり、アレンジもすごく良かった。
MISATO:そしてアルバムが出ていますね、toronto。
金子:こちらはファーストアルバムになります。
MISATO:おめでとうございます!
金子:彼らは若い3ピースで、自身のコメントで「結成して4年、僕がずっと恋焦がれていたスリーピースバンドの姿が、このアルバムには詰まっています。同時に、僕の大学4年間を総括するようなアルバムにもなりました」とあります。
MISATO:いいな〜。
金子:間違いなく大事なアルバムですよね。
MISATO:青い風景が広がっていますね。びっくりするほどシンプルで、言葉ありきのバンドで、大切にやってきたんだなというのが見えます。
金子:シンプルなんだけど、ちょっとダブの要素とかも入っている感じがかっこいい。あとこの「ねがいごと」というリード曲だけピアノが入っていて、これまでの集大成なんだけど、ちょっとこれから先の展開も見せているという。その感じもいいなと思いました。
MISATO:ではPart 2からの1曲はどうしましょうか?
金子:First Love is Never Returnedをかけようと思います。
MISATO:厚武さんありがとう!
金子:なぜありがとう?
MISATO:私的には触れずにはいられなかったです。ラジオのことをすごくよく分かってらっしゃる歌詞だなと。
金子:そうなんですよね。First Love is Never Returnedは活動休止を挟みつつ、去年の年末に再始動して、1stミニアルバムが完成しました。そして、MISATOさんが今おっしゃったように、「Baby,Don't Stop」はラジオのことがテーマになっていて、「Hey DJ's,Baby Don't Stop!(音楽を止めないで)」と歌詞で言っています。僕はこの曲を聴いて、Suchmosの「STAY TUNE」を思い出したんですよね。
MISATO:なるほど。
金子:Suchmosが「STAY TUNE」を出して、90年代のアシッドジャズとかネオソウルを日本のポップチャートにリバイバルさせた印象があるんですけど、この「Baby,Don't Stop」は2000年代のUKガラージとか2ステップをもう一度リバイバルさせるというか。それぐらいの勢いとクオリティを感じさせる曲だなと思いました。
MISATO:かっこいいですよね。歌詞的には「キューシート差し替えて カフが上がる前に」 ってあるんですけど、キューシートの差し替えが生放送中に起こると結構面倒くさいです(笑)。
金子:経験者は語る(笑)。
MISATO:キューシートって、「この番組の中で何の曲を何番目にかけるか」というシートのことなんですけど、カフは自分の目の前のマイクのスイッチが入るという機材なので、そのカフが上がる前にキューシートを差し替えられると、「次の曲なに?」みたいになるので、まあ大変(笑)。
金子:あはは。そういうちょこっとマニアックな話が歌詞の中に入っているのも面白いですよね。
MISATO:素晴らしい、よく知っているなと思って。
MISATO:私的にはちょっとヒリヒリします(笑)。
金子:焦った感じを思い出す?
MISATO:そうそう(笑)。でもいいチームじゃないとキューシートを差し替えたりしないんですよ。今この瞬間に合う曲を届けたいっていうチームじゃないと、キューシートを差し替えたりしないから。
金子:なるほど。
MISATO:ちゃんと曲に寄り添っているラジオ番組を聞いていたんじゃないかなって思う。
金子:この曲がラジオでたくさんかかってほしいですね。
MISATO:ラジオからまたムーブメントが起きてほしいなと思います。ぜひみなさんも聴いてみてください。
New Release Digest Part 3
MISATO:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます。初登場のはじめましてさんが2組です。まずは"生活は忘れて"。
金子:面白い名前ですよね。
MISATO:最初曲のタイトルかと思っちゃいました。
金子:そうですよね。彼はソロアーティストなんですけど、まさに2020年代の J-Popというか。こういうベッドルームR&B的なテイストで、ちょっとメランコリックなんだけどすごくキャッチーでもあるという、この感じはすごく今を体現しているし、"生活は忘れて"の人間性みたいなものもちゃんと表れている気がして、良い曲でしたね。
MISATO:推しゴトをしている立場から触れたいんですけど、"推し活"とか"古参"って言葉を私自身もよく使うんだけど、詳しくなくていいし、推しをやめてもいいし、にわかでもミーハーでもいいんですよ。その推し疲れしたときにこの曲を聴いてほしいなと思いました。
MISATO:そして、もう1組はMisty Toneです。
金子:こちらもちょっと変わっていて、「プロジェクトごとにミュージシャン・作家、ボーカリストなど様々なプロフェッショナルを招聘し、最適化されたチームが編成されるメンバー変動型音楽制作ユニット」とのことです。この曲はドラマのオープニングテーマで、もう1曲は挿入歌になっていると。最近ドラマと音楽の関係性も凝ったものが多いですよね。
MISATO:多いですね。そのドラマ用にバンドを組んだりとかありますもんね。
金子:ちょっと前の『エルピス』ではSTUTSがMirage Collectiveとかもやっていましたし、面白いのが多いですよね。あと今回のボーカルが石野理子さんで、元・赤い公園のボーカルです。FRIENDSHIP.的に言うと、THE 2のドラムが歌川菜穂さんなので、元・赤い公園のお二人が奇せずして揃っている。それもちょっと面白いなと。
MISATO:いいですね。それこそ胸アツな古参ファンの方が多いんじゃないかと思いますけど、私は『ブラザー・トラップ』を漫画で読んでいるんです。原作はすごくまっすぐな恋の話なんですけど、ずっと一緒にいたいという表現が主人公の二人にぴったりな歌詞世界になっているなと思って。「挿入歌を作るのがまた新しい試みだ」という情報もいただいているんですけど、すごく良い作品だなと感じています。
MISATO:そして厚武さん、事件です。事件が起きました。
金子:何でしょうか(笑)?
MISATO:butohes(ブトース)ですよね。そして、SPECIAL OTHERS(スペシャル・アザース)ですよね?futuresは?
金子:ということは、futures(フューチャース)?
MISATO:そう、futuresは読み方「フューチャース」だったんですよ!
金子:たぶんずっと"フューチャーズ"って言ってましたね。
MISATO:どうしましょう!まさかのSPECIAL OTHERS方式でした。申し訳ございません。
金子:この問題が発覚して、僕昔のツイートを調べたんですけど。
MISATO:特定班すごい!
金子:futuresの楠野さんが2019年に「正直"ス"か"ズ"はどうでもいいです。そんな"どっちだろう問題"が巷で飛び交うくらいの名前になってくれれば良いなと思っています」とツイートしているんですよ。
MISATO:えー!飛び交っていますよ!この界隈で大事件です!でもよかった。この展開を待ち望んでくださったということであれば、すごく心が軽くなります(笑)。
金子:作品自体もすごく良くて、futuresは去年の7月にもアルバムを出してるんですよね。そこから半年ぐらいでまたアルバムができて、すごいペースなんですけど、これは彼らがちゃんと現場を大事にしてきて、自分たちが主催している"New Now!"というパーティーをやってきて、そこから生まれたのが今回のアルバムという感じがして。実際パーティーで共演してきた人たちがコラボレーションで曲に参加していたりもするし、「DubStory」もすごくいい曲なんですけど、ボーカルの楠野さんだけじゃなくて、メンバーもコーラスで歌っていて。このみんなで歌う感じも、パーティーの風景を思い起こさせるというか。やっぱり現場があったからこそできたアルバムなんだろうなという感じがして、そのあたりも胸アツでした。
MISATO:ぜひ行きたい箱であったり、場所を思い浮かべながら聴いてみてください。
MISATO:「ノスタルジック・ダブ・ミュージック」の良いところ取りがいっぱい感じられる曲ですね。日本人のDNA的にも、琴線に触れるような曲だと思います。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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