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2023.02.19
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!YAJICO GIRL・HoSoVoSo・NITRODAYほか全作21品 -2023.02.18-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターのMISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:1月30日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全21作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!seekx、invisible design、SNJOの流れは"クラブ活動"でしたね!
金子:学校の"クラブ活動"ではなくて、夜の"クラブ活動"ということですね?(笑)
MISATO:もちろん!深夜の最高の流れでした。invisible designが一応はじめましてですね。
金子:一応そうなんですけど、お馴染みのShimon Hoshinoさんがまたしても新しいプロジェクトをスタートさせたという。「名義何個あるねん」というね。
MISATO:「何足の草鞋を履いとるねん」という(笑)。
金子:そうなんですよね(笑)。でもShimon Hoshinoさんはもともとフレグランスデザイナーでもあって、今回はそこと音楽をしっかり混ぜ合わせたプロジェクトです。ジャケットに香りのレシピが載っていて、その香りと一緒に音楽を楽しんでくださいというプロジェクト。
MISATO:もちろん足元には及ばないんですけど、私もアロマ検定の1級を持っているんですね。今回はシトラスとラベンダーとフランキンセンスをテーマに曲を書いたとのことで、このフランキンセンスって私の解釈なんですけど、徳の高い香りというか。
金子:徳の高い香り?
MISATO:精神世界を表すのにとてもマッチしていて、私はヨガの先生でもあるんですけど、瞑想によく使ったりする香りなんです。だからトラックの下の方で鳴っている怪しげな気配がまさにフランキンセンスっぽいなと感じました。
金子:曲のタイトルにも"quiet dream"と入っているから、まさにそんな感じですよね。
MISATO:これは毎作楽しみです。そして初登場になります、arne(アルネ)!
金子:こちらは"岐阜県発の男女ツインボーカルのマスロックバンド"ということで、影響を受けたバンドを見ても、ポストロックの伝説的なバンドであるAmerican Footballとか、残響レコードから出していたthe cabsとか、いかにもな名前が挙がっていて、「おー!マスロックだ!」と思ったんだけど、聴いたらめちゃめちゃポップで(笑)。
MISATO:「あれ!?」と思いました(笑)?
金子:「あれ!?」と思ったんだけど、でも最近この傾向があるなというか。ポストロックとかマスロックのちょっと内省的な世界観と、ボカロ以降のポップスってわりと親和性があって。それこそFRIENDSHIP.だとユアネスが、もともとポストロックっぽい音楽性だったところから、最近どんどんポップになってたり、あと同じ福岡出身でクレナズムというバンドがいて、arneもそのバンドのファンらしいんですけど。
MISATO:そうなんだ!
金子:彼らももともとシューゲイザーな音楽性だったところから、最近の作品はすごくポップになっていたり、そういう流れがある感じがして、arneからもその流れを感じました。
MISATO:そんなPart 1から1曲なにをおかけしましょうか?まあでもこのバンドでしょ!
金子:はい、ずっとこの番組でも推してきているYAJICO GIRLの新曲をかけようかなと思います。
MISATO:聞くほどのことでもなかった(笑)。
金子:よくお分かりで!
MISATO:厚武さんの特別に好きなバンドの一つでもありますもんね。
金子:取材もよくやらせてもらってますしね。3月8日にいよいよ1stフルアルバム『Indoor Newtown Collective』がリリースということで、そこからの先行シングル。アルバムでも1曲目に入っている曲です。かっこいい。
MISATO:かっこいいですね。サビの部分を「ラララ」のノリで歌っているのがすごく可愛いなあと思って。
金子:ちなみに歌詞だとひらがなで「るろう るろう るろう」と書いてあるんですよね。
MISATO:可愛い!丸い字体が並んでるのを見るだけでもいいですね。
金子:最近はダンスミュージックっぽい路線の曲が続いていて、テクノとかハウスっぽい曲が続いていたんですけど、そういうダンサブルな路線も引き継ぎつつ、この曲はもう少しファンクっぽい要素も強い曲で、やはりライブ映えがしそうな曲だなと。あとはやっぱりこの「流浪」というタイトルが印象的で。歌詞では「るろう るろう るろう 目が回りそうです 彷徨っている」と歌っていて。1stフルアルバムの1曲目を飾る曲だから、「彷徨っている」とかじゃなくて、「俺たちは真っすぐこの道を行くんだ!」みたいな、そういう曲が1曲目にきそうじゃないですか(笑)?
MISATO:想像しやすいですよね。
金子:いわゆるロックバンドだとそうだと思うけど、そうじゃないのがYAJICOっぽいというか。今っていろんな意味でも不安の多い時代だから、「これが正解」みたいなものをどうしても求めてしまいがちだったりするけど、でも「そういうものに頼らなくても、迷っていても、その中でもがきながら進んでいくことの方が大事なんじゃない?」というメッセージを感じるというか。最後に「迂回させられようが構わない くだらない処世術ばっかで暮らしたくない」という歌詞があって、これがすごいYAJICOっぽいなと思って。こういうところがいいんですよね。
MISATO:厚武さんも歌詞に触れていましたけど、この曲は「孵化してまだ二十数年 スタイルが定まらない」という歌詞のスタートじゃないですか?すごく理解できる。やっぱり等身大な曲を書いてくれるバンドというか、「俺はこういうスタイルでかっこいいだろ?ついてこい!」というノリのバンドもそれはそれでかっこいいけど、そうじゃないといいますか。「ロックバンドはこうじゃなきゃいけない」というのをぶち壊してくれる、それが逆にとてもかっこいいです。
MISATO:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!嬉しい!TENDOUJIがFRIENDSHIP.にやってきた!
金子:お好きですか?
MISATO:TENDOUJIは同い歳で、会えばお酒を酌み交わす仲なんですけど。彼らを見ていると、自分はまともなんだなって思えるので、ずっとそのままでいてほしいですよね(笑)。
金子:それは誉め言葉ですよね(笑)?
MISATO:もちろん悪口ではありません(笑)。
金子:最高にイカしていかれたやつらだということですよね。
MISATO:そういうこと!あと演奏とか上手くならないでほしい(笑)。ずっとこのままでいてほしい。
金子:今回の曲も「BeachBoys」というタイトルをつけちゃうところからして、いい意味でぶっ飛んでますよね。でもちょっとサーフなテイストとオルタナテイストをあわせるというのは、90年代からPixiesだったりWeezerだったり、そういうバンドがずっとやってきたことでもあって、それを今に引き継いでいる感じが僕も好きですね。
MISATO:いいですね。ライブは日頃の悩みとかを考えている余裕がなくなるぐらい没入させてくれるのも最高です。3月に大阪と東京であるんですよね。
金子:自分たちのフェスを開催するそうですね。
MISATO:そうそう。チケットがまだ余っていると言って、Twitterに土下座している写真をアップしていました(笑)。ぜひみなさん足をお運びください!
金子:行きましょう!
MISATO:よろしくお願いします。そして、ひさしぶりとなるユウテラスさん。
金子:約1年ぶりのリリースです。TENDOUJIもいつまで経ってもある意味バカなことやっているのが最高だなって感じですけど、ユウテラスもキャリアは長いんだけど、いつまでもピュアさというか、青さというか、そういうものを持っているバンドで。
MISATO:たしかに。
金子:今週のリリースって基本的には2月15日なんですけど、この作品は1日前、つまりはバレンタインの2月14日のリリースなんですよね。たぶん意図的にその日にしていて、本当にラブレターのような5曲が入っているという。
MISATO:ジャケットもすごく可愛いくて、油絵タッチの金髪のボーイ&ガールがキスをしているというもので、たしかにバレンタインにぴったりだなと思わせる、純情な感じがします。
金子:僕は少し大滝詠一さんっぽいなと思いました。
MISATO:あ!そのテイスト入ってますね。
金子:ちょっとしたオマージュなのかなと。
MISATO:そんな中ですよ。バレンタインもいいですけど、やはりこの人のことをピックアップするんじゃないかなと思っております。
金子:はい、HoSoVoSoさんの新作が届きました。
MISATO:届きましたね。春の便りが来ました。
金子:そうなんですよね。この番組を始めてからHoSoVoSoさんの新作が届くと、春が近づいてきたなと感じるようになりました。
MISATO:風物詩になってきていますね。
金子:いつもこの時期になると『春を待つ僕ら』というタイトルの作品を出していて、今回が4作目。ちなみに過去を振り返ったら、『春を待つ僕ら2』は4月に出て、『春を待つ僕ら3』は3月に出て、今回が2月のリリースで、少しずつ前倒しされてるんですよね(笑)。
MISATO:おや(笑)?温暖化の影響とかあるんですかね?
金子:それかな(笑)。僕は春を待ちきれない気持ちが年々強くなってるのかなって。「早く春になってくれ!」みたいな。
MISATO:とにかく急いじゃっている感じがね。「春よこい!」という気持ちが前倒しになっているんですかね。
金子:でも曲を聴くと非常にゆったりとした時間が流れていて、今回かける曲が「冬と夏の間」というタイトルの曲で、「冬と夏の間」って、「そりゃあ春だよな」と(笑)。
MISATO:「冬と夏の間」は"秋"じゃないですか?
金子:ん?「冬と夏の間」は......"春"ですよ(笑)。
MISATO:あ、"春"か。
金子:秋、冬、春、夏という順番で考えると、"春"ですよ。
MISATO:あ!そっか!
金子:普通時間軸で見るでしょ(笑)。
MISATO:そっか(笑)。
金子:まあ、たしかに捉え方によっては"秋"でも間違いではないですね。夏、秋、冬っていう。
MISATO:ちょっとひねくれた捉え方をしました(笑)。深読みしすぎた。
金子:でもこのタイトルも好きだし、一番の歌詞では、「冬と夏の間 春かしら」「恋と愛の間 ラルラリラ」と歌っていて、それが良い。
MISATO:恋と愛の間の感覚を"春"と表現している。その春を"初恋のはじまり"みたいな瞬間の表現の仕方がすごく素敵ですよね。
金子:「春かしら」のあとにもう一度「〜かしら」と行かないで、「ラルラリラ」にするところが詩的だなって。
MISATO:余白を持たせてくれるのが良いですね。
金子:僕はそこでグッと引き込まれました。
MISATO:弦の擦れる音とか息遣いとか、語尾の余韻とか。素材の良さで出来ていた無農薬野菜プレートみたいな、玄米付きご飯みたいな、そんな1曲でしたね。
金子:あはは。ちなみにこの曲は廃校で録音されているらしくて。
MISATO:そうなんだ。
金子:その空間の響きの感じに、MISATOさんのおっしゃったことが表れていると思います。
MISATO:いいですね。身体にも優しい曲でした。
MISATO:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!やはりマルチクリエイターが多いですね。Kanameさんが初登場です。
金子:KEISUKE SAITOさんやShimon Hoshinoさんが画家としても活躍されていたりしますけど、Kanameさんも音楽だけじゃなくて画家やデザイナーとしても活動されている方で、こういうマルチな人たちが面白い作品を届けてくれていますね。
MISATO:そして、Ivy to Fraudulent Game。結構ひさしぶりじゃないですか?
金子:そうですね。アルバム以来のリリースになります。去年ギタリストが脱退したこともあって、ここからもう一度再始動してまた進んでいくんだという一曲。今週はPart 1もPart 2もそうですけど、"青さ"を感じさせるアーティストがなんとなく多いなと。
MISATO:たしかにそうですね。これも苦悩は感じるんだけど、それを置き去りにするほどの疾走感がイントロからあって、悩ませる時間を与えないくらい吹っ切れて、ここからスタートしようというのが伝わってきますね。
金子:歌詞でも「未熟でも鮮やかな青でいようぜ」というラインがあって、そこがすごく印象的で、Ivyらしいなと。
MISATO:では、Part 3はどの曲にしましょうか?
金子:Part 3はNITRODAYをかけようと思います。
MISATO:NITRODAYも良かった。
金子:かっこいいですよね。彼らもFRIENDSHIP.から出すのは初めてなんですけど、バンド好きの中では一時期かなり話題になったバンドです。ストレートに言ってしまうと、「NUMBER GIRLみたいなバンドが出てきたぞ」という感じですごく話題になりました。その後にNUMBER GIRLが再結成して、「これはライブハウスシーン盛り上がるぞ」と思ったら、2020年以降は状況ががらりと変わり。
MISATO:そうでしたね。
金子:NITRODAYもひっそりと休止していたらしいんですけど、NUMBER GIRLが2度目の解散をしたら、今度はNITRODAYが戻ってきたという(笑)。
MISATO:同じ世界線では生きられないルールとかあるんですかね(笑)?
金子:一緒にやってる世界線を見たかったんですけどね。
MISATO:見たかったですね!
金子:でも、このタイミングで帰ってきてくれたのはすごく嬉しいです。しかも今回のアルバムは、新曲で構成されたいわゆるオリジナルアルバムなんだけど、ライブ録音をしたアルバムになっていて。NITRODAYはドラムの岩方ロクローくんが、FRIENDSHIP.でいうとÅlborgをやっていたり、あとbetcover!! のバンドにも参加していて、betcover!! も去年12月にスタジオで一発録りしたアルバムを出していたので、それにも通じる感覚があるというか。DTMでリモートでもいくらでも曲が作れちゃう中、一発録りでそれをそのまま生々しく出すというのが今のバンドのひとつのやり方だなって。NITRODAYはそういうことをやるのがすごく似合うバンドだと思うし、まさにロックバンドのカッコ良さが詰まっている、そういう作品になっていると思います。
MISATO:ぜひ今あなたの部屋がライブハウスだと思って聴いてみてください。
MISATO:小箱のライブハウスでお客さんがギュウギュウで汗だくになっている、もわっとした空気感みたいなものが感じられますよね。
金子:やっぱりライブアルバムっていいですよね。
MISATO:いいですね。たぶんこのライブに参加していたら、バーカウンターの横のちょっと空気があるところで、すごいつま先立ちになって観てそうな気がする(笑)。
金子:あはは。
MISATO:コロナ以前のカルチャーが歴史みたいになっちゃってるけど、もしかしたらまた復活してくれるかもしれないし、楽しみにしたい。
金子:声出しはだいぶOKになりましたし、少しずつ戻ってきそうですよね。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とナビゲーターのMISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:1月30日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全21作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!seekx、invisible design、SNJOの流れは"クラブ活動"でしたね!
金子:学校の"クラブ活動"ではなくて、夜の"クラブ活動"ということですね?(笑)
MISATO:もちろん!深夜の最高の流れでした。invisible designが一応はじめましてですね。
金子:一応そうなんですけど、お馴染みのShimon Hoshinoさんがまたしても新しいプロジェクトをスタートさせたという。「名義何個あるねん」というね。
MISATO:「何足の草鞋を履いとるねん」という(笑)。
金子:そうなんですよね(笑)。でもShimon Hoshinoさんはもともとフレグランスデザイナーでもあって、今回はそこと音楽をしっかり混ぜ合わせたプロジェクトです。ジャケットに香りのレシピが載っていて、その香りと一緒に音楽を楽しんでくださいというプロジェクト。
MISATO:もちろん足元には及ばないんですけど、私もアロマ検定の1級を持っているんですね。今回はシトラスとラベンダーとフランキンセンスをテーマに曲を書いたとのことで、このフランキンセンスって私の解釈なんですけど、徳の高い香りというか。
金子:徳の高い香り?
MISATO:精神世界を表すのにとてもマッチしていて、私はヨガの先生でもあるんですけど、瞑想によく使ったりする香りなんです。だからトラックの下の方で鳴っている怪しげな気配がまさにフランキンセンスっぽいなと感じました。
金子:曲のタイトルにも"quiet dream"と入っているから、まさにそんな感じですよね。
MISATO:これは毎作楽しみです。そして初登場になります、arne(アルネ)!
金子:こちらは"岐阜県発の男女ツインボーカルのマスロックバンド"ということで、影響を受けたバンドを見ても、ポストロックの伝説的なバンドであるAmerican Footballとか、残響レコードから出していたthe cabsとか、いかにもな名前が挙がっていて、「おー!マスロックだ!」と思ったんだけど、聴いたらめちゃめちゃポップで(笑)。
MISATO:「あれ!?」と思いました(笑)?
金子:「あれ!?」と思ったんだけど、でも最近この傾向があるなというか。ポストロックとかマスロックのちょっと内省的な世界観と、ボカロ以降のポップスってわりと親和性があって。それこそFRIENDSHIP.だとユアネスが、もともとポストロックっぽい音楽性だったところから、最近どんどんポップになってたり、あと同じ福岡出身でクレナズムというバンドがいて、arneもそのバンドのファンらしいんですけど。
MISATO:そうなんだ!
金子:彼らももともとシューゲイザーな音楽性だったところから、最近の作品はすごくポップになっていたり、そういう流れがある感じがして、arneからもその流れを感じました。
MISATO:そんなPart 1から1曲なにをおかけしましょうか?まあでもこのバンドでしょ!
金子:はい、ずっとこの番組でも推してきているYAJICO GIRLの新曲をかけようかなと思います。
MISATO:聞くほどのことでもなかった(笑)。
金子:よくお分かりで!
MISATO:厚武さんの特別に好きなバンドの一つでもありますもんね。
金子:取材もよくやらせてもらってますしね。3月8日にいよいよ1stフルアルバム『Indoor Newtown Collective』がリリースということで、そこからの先行シングル。アルバムでも1曲目に入っている曲です。かっこいい。
MISATO:かっこいいですね。サビの部分を「ラララ」のノリで歌っているのがすごく可愛いなあと思って。
金子:ちなみに歌詞だとひらがなで「るろう るろう るろう」と書いてあるんですよね。
MISATO:可愛い!丸い字体が並んでるのを見るだけでもいいですね。
金子:最近はダンスミュージックっぽい路線の曲が続いていて、テクノとかハウスっぽい曲が続いていたんですけど、そういうダンサブルな路線も引き継ぎつつ、この曲はもう少しファンクっぽい要素も強い曲で、やはりライブ映えがしそうな曲だなと。あとはやっぱりこの「流浪」というタイトルが印象的で。歌詞では「るろう るろう るろう 目が回りそうです 彷徨っている」と歌っていて。1stフルアルバムの1曲目を飾る曲だから、「彷徨っている」とかじゃなくて、「俺たちは真っすぐこの道を行くんだ!」みたいな、そういう曲が1曲目にきそうじゃないですか(笑)?
MISATO:想像しやすいですよね。
金子:いわゆるロックバンドだとそうだと思うけど、そうじゃないのがYAJICOっぽいというか。今っていろんな意味でも不安の多い時代だから、「これが正解」みたいなものをどうしても求めてしまいがちだったりするけど、でも「そういうものに頼らなくても、迷っていても、その中でもがきながら進んでいくことの方が大事なんじゃない?」というメッセージを感じるというか。最後に「迂回させられようが構わない くだらない処世術ばっかで暮らしたくない」という歌詞があって、これがすごいYAJICOっぽいなと思って。こういうところがいいんですよね。
MISATO:厚武さんも歌詞に触れていましたけど、この曲は「孵化してまだ二十数年 スタイルが定まらない」という歌詞のスタートじゃないですか?すごく理解できる。やっぱり等身大な曲を書いてくれるバンドというか、「俺はこういうスタイルでかっこいいだろ?ついてこい!」というノリのバンドもそれはそれでかっこいいけど、そうじゃないといいますか。「ロックバンドはこうじゃなきゃいけない」というのをぶち壊してくれる、それが逆にとてもかっこいいです。
New Release Digest Part 2
MISATO:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!嬉しい!TENDOUJIがFRIENDSHIP.にやってきた!
金子:お好きですか?
MISATO:TENDOUJIは同い歳で、会えばお酒を酌み交わす仲なんですけど。彼らを見ていると、自分はまともなんだなって思えるので、ずっとそのままでいてほしいですよね(笑)。
金子:それは誉め言葉ですよね(笑)?
MISATO:もちろん悪口ではありません(笑)。
金子:最高にイカしていかれたやつらだということですよね。
MISATO:そういうこと!あと演奏とか上手くならないでほしい(笑)。ずっとこのままでいてほしい。
金子:今回の曲も「BeachBoys」というタイトルをつけちゃうところからして、いい意味でぶっ飛んでますよね。でもちょっとサーフなテイストとオルタナテイストをあわせるというのは、90年代からPixiesだったりWeezerだったり、そういうバンドがずっとやってきたことでもあって、それを今に引き継いでいる感じが僕も好きですね。
MISATO:いいですね。ライブは日頃の悩みとかを考えている余裕がなくなるぐらい没入させてくれるのも最高です。3月に大阪と東京であるんですよね。
金子:自分たちのフェスを開催するそうですね。
MISATO:そうそう。チケットがまだ余っていると言って、Twitterに土下座している写真をアップしていました(笑)。ぜひみなさん足をお運びください!
金子:行きましょう!
今回のフェスの開催を記念して、特別記事を公開していますので、ぜひチェックしてください!
MISATO:よろしくお願いします。そして、ひさしぶりとなるユウテラスさん。
金子:約1年ぶりのリリースです。TENDOUJIもいつまで経ってもある意味バカなことやっているのが最高だなって感じですけど、ユウテラスもキャリアは長いんだけど、いつまでもピュアさというか、青さというか、そういうものを持っているバンドで。
MISATO:たしかに。
金子:今週のリリースって基本的には2月15日なんですけど、この作品は1日前、つまりはバレンタインの2月14日のリリースなんですよね。たぶん意図的にその日にしていて、本当にラブレターのような5曲が入っているという。
MISATO:ジャケットもすごく可愛いくて、油絵タッチの金髪のボーイ&ガールがキスをしているというもので、たしかにバレンタインにぴったりだなと思わせる、純情な感じがします。
金子:僕は少し大滝詠一さんっぽいなと思いました。
MISATO:あ!そのテイスト入ってますね。
金子:ちょっとしたオマージュなのかなと。
ユウテラスのインタビュー記事を公開しています!あわせてぜひチェックしてください!
MISATO:そんな中ですよ。バレンタインもいいですけど、やはりこの人のことをピックアップするんじゃないかなと思っております。
金子:はい、HoSoVoSoさんの新作が届きました。
MISATO:届きましたね。春の便りが来ました。
金子:そうなんですよね。この番組を始めてからHoSoVoSoさんの新作が届くと、春が近づいてきたなと感じるようになりました。
MISATO:風物詩になってきていますね。
金子:いつもこの時期になると『春を待つ僕ら』というタイトルの作品を出していて、今回が4作目。ちなみに過去を振り返ったら、『春を待つ僕ら2』は4月に出て、『春を待つ僕ら3』は3月に出て、今回が2月のリリースで、少しずつ前倒しされてるんですよね(笑)。
MISATO:おや(笑)?温暖化の影響とかあるんですかね?
金子:それかな(笑)。僕は春を待ちきれない気持ちが年々強くなってるのかなって。「早く春になってくれ!」みたいな。
MISATO:とにかく急いじゃっている感じがね。「春よこい!」という気持ちが前倒しになっているんですかね。
金子:でも曲を聴くと非常にゆったりとした時間が流れていて、今回かける曲が「冬と夏の間」というタイトルの曲で、「冬と夏の間」って、「そりゃあ春だよな」と(笑)。
MISATO:「冬と夏の間」は"秋"じゃないですか?
金子:ん?「冬と夏の間」は......"春"ですよ(笑)。
MISATO:あ、"春"か。
金子:秋、冬、春、夏という順番で考えると、"春"ですよ。
MISATO:あ!そっか!
金子:普通時間軸で見るでしょ(笑)。
MISATO:そっか(笑)。
金子:まあ、たしかに捉え方によっては"秋"でも間違いではないですね。夏、秋、冬っていう。
MISATO:ちょっとひねくれた捉え方をしました(笑)。深読みしすぎた。
金子:でもこのタイトルも好きだし、一番の歌詞では、「冬と夏の間 春かしら」「恋と愛の間 ラルラリラ」と歌っていて、それが良い。
MISATO:恋と愛の間の感覚を"春"と表現している。その春を"初恋のはじまり"みたいな瞬間の表現の仕方がすごく素敵ですよね。
金子:「春かしら」のあとにもう一度「〜かしら」と行かないで、「ラルラリラ」にするところが詩的だなって。
MISATO:余白を持たせてくれるのが良いですね。
金子:僕はそこでグッと引き込まれました。
MISATO:弦の擦れる音とか息遣いとか、語尾の余韻とか。素材の良さで出来ていた無農薬野菜プレートみたいな、玄米付きご飯みたいな、そんな1曲でしたね。
金子:あはは。ちなみにこの曲は廃校で録音されているらしくて。
MISATO:そうなんだ。
金子:その空間の響きの感じに、MISATOさんのおっしゃったことが表れていると思います。
MISATO:いいですね。身体にも優しい曲でした。
New Release Digest Part 3
MISATO:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!やはりマルチクリエイターが多いですね。Kanameさんが初登場です。
金子:KEISUKE SAITOさんやShimon Hoshinoさんが画家としても活躍されていたりしますけど、Kanameさんも音楽だけじゃなくて画家やデザイナーとしても活動されている方で、こういうマルチな人たちが面白い作品を届けてくれていますね。
MISATO:そして、Ivy to Fraudulent Game。結構ひさしぶりじゃないですか?
金子:そうですね。アルバム以来のリリースになります。去年ギタリストが脱退したこともあって、ここからもう一度再始動してまた進んでいくんだという一曲。今週はPart 1もPart 2もそうですけど、"青さ"を感じさせるアーティストがなんとなく多いなと。
MISATO:たしかにそうですね。これも苦悩は感じるんだけど、それを置き去りにするほどの疾走感がイントロからあって、悩ませる時間を与えないくらい吹っ切れて、ここからスタートしようというのが伝わってきますね。
金子:歌詞でも「未熟でも鮮やかな青でいようぜ」というラインがあって、そこがすごく印象的で、Ivyらしいなと。
MISATO:では、Part 3はどの曲にしましょうか?
金子:Part 3はNITRODAYをかけようと思います。
MISATO:NITRODAYも良かった。
金子:かっこいいですよね。彼らもFRIENDSHIP.から出すのは初めてなんですけど、バンド好きの中では一時期かなり話題になったバンドです。ストレートに言ってしまうと、「NUMBER GIRLみたいなバンドが出てきたぞ」という感じですごく話題になりました。その後にNUMBER GIRLが再結成して、「これはライブハウスシーン盛り上がるぞ」と思ったら、2020年以降は状況ががらりと変わり。
MISATO:そうでしたね。
金子:NITRODAYもひっそりと休止していたらしいんですけど、NUMBER GIRLが2度目の解散をしたら、今度はNITRODAYが戻ってきたという(笑)。
MISATO:同じ世界線では生きられないルールとかあるんですかね(笑)?
金子:一緒にやってる世界線を見たかったんですけどね。
MISATO:見たかったですね!
金子:でも、このタイミングで帰ってきてくれたのはすごく嬉しいです。しかも今回のアルバムは、新曲で構成されたいわゆるオリジナルアルバムなんだけど、ライブ録音をしたアルバムになっていて。NITRODAYはドラムの岩方ロクローくんが、FRIENDSHIP.でいうとÅlborgをやっていたり、あとbetcover!! のバンドにも参加していて、betcover!! も去年12月にスタジオで一発録りしたアルバムを出していたので、それにも通じる感覚があるというか。DTMでリモートでもいくらでも曲が作れちゃう中、一発録りでそれをそのまま生々しく出すというのが今のバンドのひとつのやり方だなって。NITRODAYはそういうことをやるのがすごく似合うバンドだと思うし、まさにロックバンドのカッコ良さが詰まっている、そういう作品になっていると思います。
MISATO:ぜひ今あなたの部屋がライブハウスだと思って聴いてみてください。
MISATO:小箱のライブハウスでお客さんがギュウギュウで汗だくになっている、もわっとした空気感みたいなものが感じられますよね。
金子:やっぱりライブアルバムっていいですよね。
MISATO:いいですね。たぶんこのライブに参加していたら、バーカウンターの横のちょっと空気があるところで、すごいつま先立ちになって観てそうな気がする(笑)。
金子:あはは。
MISATO:コロナ以前のカルチャーが歴史みたいになっちゃってるけど、もしかしたらまた復活してくれるかもしれないし、楽しみにしたい。
金子:声出しはだいぶOKになりましたし、少しずつ戻ってきそうですよね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.