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2023.02.16
眞名子新、suya suya junction、Niiiya、の3組で迎えた「Highlighter Live」記念すべき第一回!
2023年2月12日(日)下北沢BASEMENTBARにて、「Highlighter Live(通称"LIVE H")」が開催された。このイベントは今後の躍進が期待されるアーティストをいち早く紹介することを目的としたイベントである。記念すべき第一回目は、眞名子新、suya suya junction、Niiiyaの3組が出演し、会場には早耳リスナーが集まった。未完成な愛おしさも、希望に満ち溢れたワクワクも詰め込まれた素晴らしい空間だった。
トップバッターは神戸出身のアーティスト、眞名子新。ギターと声だけのシンプルなスタイルで登場し「眞名子新といいます。今日はよろしくお願いします!」と一言挨拶。1曲目にカントリーでフォーキーな『僕らの大移動』を演奏した。優しさとダイナミズムが同居したこの楽曲は、落ち着いたAメロで始まり、サビで盛り上がってまた落ち着き、そこからふつふつと盛り上がる...という展開が、大移動しながら変化していく景色を表しているようでワクワクする。そして続く『ラジオ』は夕焼けのようなオレンジの照明に照らされる中で、親密さと切なさを感じさせる歌声を披露。この曲は、同じラジオ好きを見つけた時のドキドキが込められているような歌詞なのだが、彼の『自戒のうた』にも〈深夜のラジオが僕の代弁者〉というフレーズがある。きっと彼や、作詞担当の実兄motoki manakoにとってラジオは欠かせない存在なのだろう。そして彼にとってのラジオと同じように、眞名子新の音楽も誰かの気持ちを代弁したり、新たな友達作りのきっかけになるのではないだろうか。
3曲目の『砂ぼこり』を力強い歌声で真っ直ぐに届けたあと、少し照れくさそうな笑顔で2月1日にリリースされた新曲『ナスティ・ハウス』について語った。「神戸の地元にあるナスティ・ハウスっていう異国風のバーのことを歌った歌です。歌詞は実の兄が書いておりまして、兄が青春時代を過ごした場所の歌を今回リリースしました。皆さんも、青春時代を過ごした場所を思い浮かべながら聴いてください。」その言葉通り、『ナスティ・ハウス』は、そのバーに行ったことがなくても容易に情景を想像できるくらい、リアルな描写で青春を伝えてくれた。音楽には、過去の青春を鮮度を保ったまま残す力がある。これからも忘れたくない想いや記憶や景色を鮮やかに残して、この綺麗な歌声で歌っていってほしいと思った。
そして間髪入れずに『マシかもしれない』を柔らかく届けると、「神戸の海を見ながら作った」という『海の一粒』を歌った。ミラーボールが回り、会場が海の中のような青い模様で照らされる中で、高音にも低音にも暖かさが灯されている歌声が美しく響く。これも地元の海の歌。自分が育った土地の見てきた景色を大切に歌う、彼の人となりがよく表れた曲だ。そして最後は新曲の『ライリーストーン』で締め括られた。小刻みなギターのリズムが軽快で、ハイテンポな歌が心地よい。これまで彼の歌声を存分に聞かせる曲が多かったが、『ライリーストーン』はフロアを跳ねさせられるような曲だ。声とギターだけでできる音楽の範囲をさらに広くした新曲に、彼の今後の活躍がより一層楽しみになった。
2組目は2020年秋に結成され、下北沢を拠点に活動するバンド、suya suya junction。登場してすぐに奏られた『さがしもの』は、"日常"をテーマにしたというEP『hometown』の最後に収録されている楽曲だ。地元を離れてからの怒涛の日々や、東京で生活する忙しさを歌詞やサウンドの端々から感じる。ただ、決して忙殺されているわけではなく、小さな幸せや希望を見逃していないワクワク感が疾走感ある旋律と透き通る春(Vo.Gt)の声、きらめきを感じるポップなギターフレーズから溢れている。曲を終えて挨拶を交えたMCでは、初めて5人体制でライブをすること、そして今後はこの体制で活動していくことを報告した。その5人の呼吸がピッタリ合って始まった『せまいまち』は、ライブで演奏しながら納得いくまでアレンジやリズムを試行錯誤した曲とのこと。ノスタルジックな雰囲気が素敵な冒頭からサビに向けてどんどんサウンドが厚みを増していき、ノイジーなギターも楽曲に広がりを持たせる。緩急豊かでかっこいいナンバーだ。激しさを増すアウトロで、リズム隊がお互いの呼吸を確認するように見合う姿も良かった。
3曲目には、まだ曲名未定の新曲を披露。ゆったりとしたビートが印象的で、低体温なボーカルとドリーミーなサウンドスケープが重なるsuya suya junctionらしさ満点の新曲だ。クールなステージングの中で丁寧に紡がれていく5人のグルーヴィな演奏が心地よく、フロアもゆらゆらと音に身を任せて揺れる。音源として届くのも非常に楽しみだ。そこから、温かみのあるイントロのギターフレーズが素敵な『to day』へ。素朴な始まりから一転、一気に明るく舵を切る楽曲の転調に合わせて、照明も派手にフロアを照らす。緩急自在で爽やかで、とてもライブ映えする名曲である。
最後の挨拶をして、『girl』へ。この曲は地元を離れて東京で生活するガールが、大人になる様子を描いたという曲。そのテーマに合わせて春が自ら撮ったMusic Videoでは、憧れや理想に手を伸ばすようにちょっと背伸びしてる雰囲気が表現されており、《大人になったのにあなたの元へ戻っていきたい》という歌詞がその背伸び感とマッチしてる。だがこの日、東京のライブハウスでクールな佇まいで音楽を鳴らしてる彼らの姿に何も背伸び感はなかった。むしろ希望に満ち溢れた姿があった。これからもこの街で堂々と、多くの人へ音楽を届けていってほしい。
そして3組目は福岡発のガールズバンド、Niiiya。陽気なSEが鳴る中、勢いよく駆け足でステージに出てきたキュートな3人とサポートドラムの永田"zelly"健志。4人で集まって拳をぶつけると、「初めまして、福岡から来たNiiiyaです。今日はよろしくね!」とご挨拶。彼女たちの記念すべき東京初ライブは新曲で幕を開けた。シャープなビートに乗せたちょっぴりクールな歌声で進んでいくAメロと、美しい高音を綺麗に歌い上げるサビの高低差がたまらなく盛り上がるナンバー。最後は突如無音になり、一言歌だけを残して終わるという非常にかっこいい新曲だ。そして切れ味の良いギターカッティングが繋げたのは『遅刻』。メンバーのミユ(Ba.)が実際に遅刻した日に電車の中で書いたというこの曲は、爽やかに遅刻を正当化するひねくれた歌詞感と疾走感あるサウンドに美しい歌声がかけ合わさって、とても面白く良い味の一曲である。アンナ(Vo/Gt.)が堂々と歌い上げた後に、ギターを置いてMCへと突入。「なんと、今回初東京でーす!」とアンナが明るく言うと、3人は揃って両手でガッツポーズ。その姿も、緊張でMCが飛んでしまうところも、それをニコニコ見守るメンバーもとても微笑ましかった。そのような立ち振る舞いから、結成一年未満の初々しさを感じるが、演奏やステージングは全くもって不安感なし。本当に結成一年未満なのか?と疑うパワフルでハイクオリティなライブだ。
「新曲持ってきたので、やりたいと思います。」ともう一つ新曲をお届け。リズム隊の小刻みな三連符に乗せてフロアも揺れ、透明感と力強さを兼ね備えたアンナの歌唱力を存分に発揮した一曲だ。しかし、本当に軽々しく歌うなあ、と何度も感動してしまう。
「Niiiyaを結成して初めてできた曲を」と言葉を添えて奏でられたのは『栞』。昨年11月にリリースされたミニアルバム『211』に収録されている楽曲で、優しく寄り添いながら応援してくれるような歌詞と四つ打ちのビートが軽快なポップナンバーだ。ナナ(Guitar)とミユのコーラスもとても気持ち良く、何より間奏でお互いを嬉しそうな笑顔で見合っている姿がとても素敵だ。Niiiyaが醸し出すピュアでハッピーな空気感が聞き手にも伝播していくとても幸せな空間。そんなライブは『ビビビ!!!』で締めくくられた。初めて聴いた時は「これも同じバンドか?」と振り幅に驚いた。おもちゃ箱をひっくり返したようなサウンドメイキングに遊び心満点の歌詞と旋律、自由気ままなテンポに思わず踊りたくなる。ステージ上の3人もとても楽しそうで、アウトロの音に重ねて「今日は本当にありがとうございました!Niiiyaでした!バイバイ!」とテンポよく挨拶をし、最後はみんなで向き合って演奏を締めた。
こうして「Highlighter Live(通称"LIVE H")」の第一回は幕を閉じた。ワクワクに満ちた三者三様のステージ。新しい曲、新しいメンバー、初めての土地。目を輝かせて真っ直ぐに音楽を届ける姿や素直に綴られた歌詞にはとても心を打たれた。これからそれぞれのアーティストがどのような景色を見せてくれるのかが非常に楽しみである。彼らの今後の活躍に期待したい。
文:髙橋夏央
撮影:宇都宮勝
@manakoarata
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@suya_suya_jun
@Niiiya_28
@niiiya__28
FRIENDSHIP.
トップバッターは神戸出身のアーティスト、眞名子新。ギターと声だけのシンプルなスタイルで登場し「眞名子新といいます。今日はよろしくお願いします!」と一言挨拶。1曲目にカントリーでフォーキーな『僕らの大移動』を演奏した。優しさとダイナミズムが同居したこの楽曲は、落ち着いたAメロで始まり、サビで盛り上がってまた落ち着き、そこからふつふつと盛り上がる...という展開が、大移動しながら変化していく景色を表しているようでワクワクする。そして続く『ラジオ』は夕焼けのようなオレンジの照明に照らされる中で、親密さと切なさを感じさせる歌声を披露。この曲は、同じラジオ好きを見つけた時のドキドキが込められているような歌詞なのだが、彼の『自戒のうた』にも〈深夜のラジオが僕の代弁者〉というフレーズがある。きっと彼や、作詞担当の実兄motoki manakoにとってラジオは欠かせない存在なのだろう。そして彼にとってのラジオと同じように、眞名子新の音楽も誰かの気持ちを代弁したり、新たな友達作りのきっかけになるのではないだろうか。
3曲目の『砂ぼこり』を力強い歌声で真っ直ぐに届けたあと、少し照れくさそうな笑顔で2月1日にリリースされた新曲『ナスティ・ハウス』について語った。「神戸の地元にあるナスティ・ハウスっていう異国風のバーのことを歌った歌です。歌詞は実の兄が書いておりまして、兄が青春時代を過ごした場所の歌を今回リリースしました。皆さんも、青春時代を過ごした場所を思い浮かべながら聴いてください。」その言葉通り、『ナスティ・ハウス』は、そのバーに行ったことがなくても容易に情景を想像できるくらい、リアルな描写で青春を伝えてくれた。音楽には、過去の青春を鮮度を保ったまま残す力がある。これからも忘れたくない想いや記憶や景色を鮮やかに残して、この綺麗な歌声で歌っていってほしいと思った。
そして間髪入れずに『マシかもしれない』を柔らかく届けると、「神戸の海を見ながら作った」という『海の一粒』を歌った。ミラーボールが回り、会場が海の中のような青い模様で照らされる中で、高音にも低音にも暖かさが灯されている歌声が美しく響く。これも地元の海の歌。自分が育った土地の見てきた景色を大切に歌う、彼の人となりがよく表れた曲だ。そして最後は新曲の『ライリーストーン』で締め括られた。小刻みなギターのリズムが軽快で、ハイテンポな歌が心地よい。これまで彼の歌声を存分に聞かせる曲が多かったが、『ライリーストーン』はフロアを跳ねさせられるような曲だ。声とギターだけでできる音楽の範囲をさらに広くした新曲に、彼の今後の活躍がより一層楽しみになった。
2組目は2020年秋に結成され、下北沢を拠点に活動するバンド、suya suya junction。登場してすぐに奏られた『さがしもの』は、"日常"をテーマにしたというEP『hometown』の最後に収録されている楽曲だ。地元を離れてからの怒涛の日々や、東京で生活する忙しさを歌詞やサウンドの端々から感じる。ただ、決して忙殺されているわけではなく、小さな幸せや希望を見逃していないワクワク感が疾走感ある旋律と透き通る春(Vo.Gt)の声、きらめきを感じるポップなギターフレーズから溢れている。曲を終えて挨拶を交えたMCでは、初めて5人体制でライブをすること、そして今後はこの体制で活動していくことを報告した。その5人の呼吸がピッタリ合って始まった『せまいまち』は、ライブで演奏しながら納得いくまでアレンジやリズムを試行錯誤した曲とのこと。ノスタルジックな雰囲気が素敵な冒頭からサビに向けてどんどんサウンドが厚みを増していき、ノイジーなギターも楽曲に広がりを持たせる。緩急豊かでかっこいいナンバーだ。激しさを増すアウトロで、リズム隊がお互いの呼吸を確認するように見合う姿も良かった。
3曲目には、まだ曲名未定の新曲を披露。ゆったりとしたビートが印象的で、低体温なボーカルとドリーミーなサウンドスケープが重なるsuya suya junctionらしさ満点の新曲だ。クールなステージングの中で丁寧に紡がれていく5人のグルーヴィな演奏が心地よく、フロアもゆらゆらと音に身を任せて揺れる。音源として届くのも非常に楽しみだ。そこから、温かみのあるイントロのギターフレーズが素敵な『to day』へ。素朴な始まりから一転、一気に明るく舵を切る楽曲の転調に合わせて、照明も派手にフロアを照らす。緩急自在で爽やかで、とてもライブ映えする名曲である。
最後の挨拶をして、『girl』へ。この曲は地元を離れて東京で生活するガールが、大人になる様子を描いたという曲。そのテーマに合わせて春が自ら撮ったMusic Videoでは、憧れや理想に手を伸ばすようにちょっと背伸びしてる雰囲気が表現されており、《大人になったのにあなたの元へ戻っていきたい》という歌詞がその背伸び感とマッチしてる。だがこの日、東京のライブハウスでクールな佇まいで音楽を鳴らしてる彼らの姿に何も背伸び感はなかった。むしろ希望に満ち溢れた姿があった。これからもこの街で堂々と、多くの人へ音楽を届けていってほしい。
そして3組目は福岡発のガールズバンド、Niiiya。陽気なSEが鳴る中、勢いよく駆け足でステージに出てきたキュートな3人とサポートドラムの永田"zelly"健志。4人で集まって拳をぶつけると、「初めまして、福岡から来たNiiiyaです。今日はよろしくね!」とご挨拶。彼女たちの記念すべき東京初ライブは新曲で幕を開けた。シャープなビートに乗せたちょっぴりクールな歌声で進んでいくAメロと、美しい高音を綺麗に歌い上げるサビの高低差がたまらなく盛り上がるナンバー。最後は突如無音になり、一言歌だけを残して終わるという非常にかっこいい新曲だ。そして切れ味の良いギターカッティングが繋げたのは『遅刻』。メンバーのミユ(Ba.)が実際に遅刻した日に電車の中で書いたというこの曲は、爽やかに遅刻を正当化するひねくれた歌詞感と疾走感あるサウンドに美しい歌声がかけ合わさって、とても面白く良い味の一曲である。アンナ(Vo/Gt.)が堂々と歌い上げた後に、ギターを置いてMCへと突入。「なんと、今回初東京でーす!」とアンナが明るく言うと、3人は揃って両手でガッツポーズ。その姿も、緊張でMCが飛んでしまうところも、それをニコニコ見守るメンバーもとても微笑ましかった。そのような立ち振る舞いから、結成一年未満の初々しさを感じるが、演奏やステージングは全くもって不安感なし。本当に結成一年未満なのか?と疑うパワフルでハイクオリティなライブだ。
「新曲持ってきたので、やりたいと思います。」ともう一つ新曲をお届け。リズム隊の小刻みな三連符に乗せてフロアも揺れ、透明感と力強さを兼ね備えたアンナの歌唱力を存分に発揮した一曲だ。しかし、本当に軽々しく歌うなあ、と何度も感動してしまう。
「Niiiyaを結成して初めてできた曲を」と言葉を添えて奏でられたのは『栞』。昨年11月にリリースされたミニアルバム『211』に収録されている楽曲で、優しく寄り添いながら応援してくれるような歌詞と四つ打ちのビートが軽快なポップナンバーだ。ナナ(Guitar)とミユのコーラスもとても気持ち良く、何より間奏でお互いを嬉しそうな笑顔で見合っている姿がとても素敵だ。Niiiyaが醸し出すピュアでハッピーな空気感が聞き手にも伝播していくとても幸せな空間。そんなライブは『ビビビ!!!』で締めくくられた。初めて聴いた時は「これも同じバンドか?」と振り幅に驚いた。おもちゃ箱をひっくり返したようなサウンドメイキングに遊び心満点の歌詞と旋律、自由気ままなテンポに思わず踊りたくなる。ステージ上の3人もとても楽しそうで、アウトロの音に重ねて「今日は本当にありがとうございました!Niiiyaでした!バイバイ!」とテンポよく挨拶をし、最後はみんなで向き合って演奏を締めた。
こうして「Highlighter Live(通称"LIVE H")」の第一回は幕を閉じた。ワクワクに満ちた三者三様のステージ。新しい曲、新しいメンバー、初めての土地。目を輝かせて真っ直ぐに音楽を届ける姿や素直に綴られた歌詞にはとても心を打たれた。これからそれぞれのアーティストがどのような景色を見せてくれるのかが非常に楽しみである。彼らの今後の活躍に期待したい。
文:髙橋夏央
撮影:宇都宮勝
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