SENSA

2023.02.12

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターのMISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


MISATO:2月6日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全20作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!黄鶯睍睆(uguisu-naku)がめちゃめちゃ気になります。

金子:これ、いい曲でしたね。

MISATO:すごく良かったです。

金子:FRIENDSHIPにはサイケなポップバンドがたくさんいて。僕がいつも「好き」って言ってる、踊ってばかりの国がいれば、最近だとGateballersやkunmohileとか、カネコアヤノさんもそこに入れてもいいかもしれない。そういうサイケデリックで、日本語のいいポップスのバンドがいっぱいいて、そんな中で黄鶯睍睆(uguisu-naku)もめちゃいいバンドだなって改めて思いました。

MISATO:なるほど。

金子:今回の曲はもともと10年前ぐらいに作った曲らしいんですけど、長い年月をかけてついに完成して、彼ららしい日本語詞に対するこだわりも存分に詰まっていて、めちゃいい曲でしたね。

MISATO:「ジョン・レノンやトッド・ラングレンといった往年のスターと名曲の末裔にしてほしい」というセルフライナーノーツがとても素敵だなと感じます。ファルセットの使い方とかギターソロの入り方とかが納得というか、まさに「末裔だな」と思わせるアレンジになっていましたね。



MISATO:そして、SADFRANKの新曲です。

金子:SADFRANKは3月についにアルバムが出ることが決まりまして、非常に楽しみです。今回でリリースは3曲目なんですけど、毎回曲調が全然違って。1曲目は日本語詞の歌で、ストリングスがすごく印象的だったけど、2曲目はインストで、もう少しジャズ要素が強かったりして。今回もジャズ要素は強いんだけど、よりアブストラクトな、エクスペリメンタルな色合いが強い曲になっていて。こんなに1曲1曲色の違う曲が詰まったアルバムはどんなことになってしまうんだろうという、非常に楽しみですね。



MISATO:すごそう...。語尾を震わせた発語感と、ノイズと余白、そのエクスペリメンタルという感覚が、音のインスタレーションを聴いているかのような、芸術性が高い曲になっているので、本当にアルバムが楽しみですね。そんなPart 1で1曲お送りするのはどなたにしましょう?

金子Tamuraryoさんの曲をかけようかなと思います。

MISATO:Tamuraryoさんもよかったです。

金子:よかったですよね。Part 1にはRyo Murataさんもいたのでちょっと紛らわしいですけど(笑)、TamuraryoさんはFRIENDSHIP.からのリリースは初めてで、"Tokyo night time music"のコンセプトで楽曲を制作する、アメリカ合衆国コネチカット出身のシンガーソングライターでビートメイカーという方です。Part 1にはWataru FujiwaraさんやuruwashiさんといったFRIENDSHIP.ではお馴染みのビートメイカーの方たちもいて、ちょっとチルな、夜の時間帯に聴くのがぴったりな曲が並んでますけど、その人たちが基本インストなのに対して、このTamuraryoさんの曲ではフィーチャリングでmippopotamus(ミポポタマス)さんという神奈川出身のシンガーソングライターでマルチインストゥルメンタルリストの方を招いています。こういう歌もので、チルなリラックスできる曲っていうのは、また違った魅力を持っていてすごく良いなと。

MISATO:「シンとした雪国の黄昏時と別れた男女がそれを振り返る黄昏を重ねた」というような、1曲の中でいろんな視点が繰り広げられるっていうのもとても魅力的な構成ですね。

金子:ローファイヒップホップ的な、サンセットみたいな感じというよりは、もうちょっとくぐもった曇り空な感じがしました。なので、「ローファイトリップホップ」みたいな(笑)。

MISATO:おー!いかもしれない。

金子:とっても良いですよね。



MISATO:この曲を聴くと別れが悲しいものではなくなる感覚になります。あと今週のリリースタイトルで世界旅行ができるなと思っていて。アイスランドに行ったかのような、そんな旅行感も味わえる1曲になっているのではと思いますが、いかがでしょうか?

金子:たしかに、想像力を広げられるような、いろんな空間に行けるような雰囲気の曲が多かったですね。


New Release Digest Part 2


MISATO:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます。petalheadは北欧旅行に行きたくなるなと。

金子:たしかに!



MISATOジャンプスがはじめてなんですが、彼らはアジア旅行といったところでしょうか?

金子:いろんな国に行けますね(笑)。それこそアジアに"ジャンプ"ってことですかね?

MISATO:お、行っちゃいますか(笑)?

金子:あはは。ジャンプスは非常に個性的で、結成は2016年らしいんですけど、ガットギターとビオラの2人組という。

MISATO:聞いたことない!

金子:あまり聞いたことないですよね。彼らはskillkillsのGuruConnectのレーベルからのリリースだそうで、skillkillsのビートミュージックの感じと、ガットギターとビオラと歌っていう、音楽性は全然違いますよね。でも「他の人がやってないことをやる」とか、「自分がやりたいことをやる」という、その姿勢は共通している気がして、だからこそのリリースなのかなと。



MISATO:たしかに納得です。あとこちらはじめましてのVooDooCoo。ヘンショクリュウがすごく好きなんですけど、そのメンバーが在籍している新しいバンドということですね。

金子:ヘンショクリュウのメンバーとシンガーソングライター「Nakanoまる」として活動をしているバンリさんが新しく組んだバンドということです。ヘンショクリュウ単体のときはもうちょっと尖った音楽性の印象があるんですけど、VooDooCooに関してはJ-Pop寄りというか、より開かれた音楽性になっていて、印象的でした。

MISATO:全く違うんだけど、やはりグルーヴは隠しきれないところが、どちらも好きになる要素の一つかなと。

金子:ヘンショクリュウのヂーノさんからは「カッコいい音楽は好きなだけ作ってきたので、これからは誰かの人生の一部になるような作品を作っていきたい。そんな決心を込めて一心に作った1曲」というコメントもあります。



MISATO:いいな〜。新境地なんでしょうね。そんなPart 2ですが、1曲選ぶのはどの曲でしょう?

金子Osteoleucoの新曲をかけようと思います。

MISATO:とてもいいです!"空耳アワ〜"ですね。

金子:これはそうですね。「悩殺新幹線」(笑)。

MISATO:そんな日本語はないですけどね(笑)。

金子:タイトルだけ聞くと「なんじゃそりゃ?」ですけど、曲を聴けばなんとなく聴こえてくる。カタカナ読みをしますと「ノー・サッチ・シングス・アズ・インセーン(no such things as insane)」と歌詞にありまして。

MISATO:「ノー・サッチ・シングス・アズ・インセーン(悩殺新幹線)」と。難しいな(笑)

金子:でもこのタイトルはインパクトありますよね。曲自体は非常にカッコ良くて、特に印象的だったのが後半にShimon Hoshinoさんの長めのピアノソロが入ってるんですけど、これはKORGのnanoKEY Studioというすごくコンパクトな、どこでも打ち込みができるようなちっちゃい鍵盤を使って、このソロ弾いているらしいんですよね。

MISATO:そうなんだ!

金子:だから音の幅はすごく少ないんだけど、でもそういう狭い中で弾くことによって、いつもの自分が弾くソロとは違う感じになって、ご自身でも「裸のソロが弾けたんじゃないか」というコメントもくれたりしていて。そこも聴きどころだと思います。

MISATO:「この限られた中で自分がどう表現できるか?」って制限を課すことによって、新しいものが生まれたってことですよね。面白いですね。

金子:OsteoleucoはShimonさんにしてもKEISUKE SAITOさんにしても、ソロではナチュラルに生まれてくる音楽をやっていて、この曲に関しても「朝フリースタイルで一気に録った」みたいなコメントがあって。そういう自然に生まれる音楽の可能性みたいなものを追求しているような印象も受けますね。



MISATO:やっぱりこの「ノー・サッチ・シングス・アズ・インセーン(悩殺新幹線)」のフレーズが「いつ来るんだろう!?」っていうワクワク感がたまらないものがありますね(笑)。

金子:「きた!」ってなりますもんね(笑)。


New Release Digest Part 3


MISATO:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます。ニーハオ!!!!、私とても好きです!

金子:いいですよね。ニーハオ!!!!はFRIENDSHIP.から出すのは初めてなんですけど、彼女たちはキャリアがあって、Limited Express(has gone?)のメンバーでもあるYUKARIさんとかが在籍しているバンドです。2020年に出したアルバムの中に入っている「MATSURI-SHAKE」という曲がスペインの歌姫のROSALÍAという、今世界的にかなりのポップアイコンになっている人のツアーのSEに選ばれて、海外でちょっとバズったりとかもしていて。

MISATO:すごい!これだけ重いサウンドだと、野太い声が飛んでくるのが従来の形だと思うけど、ニーハオ!!!!はスーパープリティで、でも媚びてない強めボイスが乗るじゃないですか?もう"テンアゲー"って感じ。

金子:"テンアゲー"(笑)。

MISATO:すごく可愛い。

金子:"チアパンク"というキャッチコピーも付いていたりして、まさにチア的な高めの声の感じと、このハードコアな音の組み合わせがいいですよね。



MISATO:そうそう!すごく好き。あと打って変わって、SNJOさんもはじめましてなんですけど、彼もとても好きです。

金子:FRIENDSHIP.からは光学というユニットでリリースがあるんですけど、ソロとしては初めてです。関西在住の音楽プロデューサーでビートメイカーですね。いわゆるMaltine Records以降というか、ネットレーベル以降の感じで、ジャンル的には非常に多彩な要素を持ちつつ、クオリティの高いポップスになっていて、洗練されたかっこよさがあります。でもこの「Swim」という曲に関しては、急に思い立って去年の夏頃からジムのプールに通い始めて、そこがインスピレーション源になっているらしくて。この洗練された音楽性と、ジムのプール通いからインスピレーションを受けたというエピソードのアンバランスさが面白いなって(笑)。

MISATO:たしかに(笑)。ジムのプールの音には聴こえないですよね。水の音の表現がすごく素敵だなと思ったんですけど、見えるのはジムのプールというより、ちょっと異国の湖の音とか、潜っている感じはするけど、ジム感は消えているのが素晴らしいですね。

金子:日常からこういう音が生まれているっていうのがすごいですよね。



MISATO:それではPart 3からの1曲はどうしましょう?

金子sucolaをかけようかなと思います。

MISATO:sucolaもいいですよね。よかった!

金子:sucolaもコンスタントに楽曲をリリースしていますけど、今回は初めてのコラボ楽曲。大阪発の2人組ユニット・お茶の間天国とのコラボレーションです。お茶の間天国からsucolaに「コラボしませんか?」っていうお誘いがあって、面識はなかったけど曲を聴いて、「これはいいものができるんじゃないか?」って、コラボに至ったそうです。

MISATO:なるほど。聴いていて、すごくもどかしくなっちゃって。

金子:もどかしい?

MISATO:聴きながら、「もう付き合っちゃえよ〜」みたいなことをずっと思っていたんです(笑)。お節介おばさん発動中みたいな感じで、「二人とも付き合っちゃえばいいじゃん」みたいな、そんな気持ちになりました(笑)。

金子:あはは。キュンキュンきますよね。sucolaの曲はもともと90年代感があるなと思っていたんですけど、こうしてコラボレーションでヒップホップっぽい感じが加わると、それこそFRIENDSHIP.からもリリースしているSmall Circle of Friendsとか、90年代からずっといるラップの人たちも連想しました。でもコメントでは「普段の僕らのリスナー層は20代中盤から30代なんですが、今回の曲は10代の方にも響く内容になっているんじゃないか」と書いていて、まさにそのキュンキュンな内容が10代にも響きそうな感じで。

MISATO:学生が聴いたら憧れちゃうんじゃないかと思いますよ。

金子:90年代感もあるんだけど、さとうもかちゃんとか2010年代以降なテイストを曲自体からも感じたりするし、リスナーの幅がすごく広がりそうな曲だなと思いました。



MISATO:音的には30代とか40代が懐かしんで聴けるようなサウンドだけど、甘酸っぱい歌詞で年齢層がガッと広がりそうな曲になっていますね。2組の掛け合いも、声のバランスがすごくあってる気がする。

金子:この2組でもうちょっと何曲か聴いてみたいですね。


RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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