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2023.01.29
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!カネコアヤノ・ラッキーセベン・RIS-707ほか全21作品 -2023.01.28-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
カンナ:1月23日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全21作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!今回はじめましてのThiiird Place。私は主宰のスガナミユウさんのことはよく知っていて、下北沢にあるライブハウスLIVE HAUSの店長さんです。
金子:カンナさんもLIVE HAUSにときどき出演されているんですよね?
カンナ:はい、そうです!
金子:Thiiird Placeはそのスガナミさんが主体となって、2021年12月に結成されたバンド。2022年5月から現在のメンバーになって、13人編成という大所帯バンドですね。
カンナ:すごいですね。
金子:「アフロ、ソウル、ラテン、ジャズなどを基調に、万人に向けたポップネス・多幸感と真摯なメッセージを有するバンド」とのことです。スガナミさんはもともとGORO GOLOというバンドをやっていて、そのバンドはパンクを起点にしつつ、そこからファンクやソウルを吸収していったようなバンドだったんですけど、Thiiird PlaceはGORO GOLOからの発展形みたいな部分があって、実際GORO GOLOのメンバーも参加しています。コメントに「Silk Sonicに代表される現在進行形のソウルリバイバルとも呼応するようなムード」とあって、「たしかに!」と思いました。これ、ライブハウスで聴いたら絶対いいですよね。
カンナ:Thiiird Placeっていうバンド名にもあるように、スガナミさんは"場"を作る人だなっていう印象が昔からあったので、ここに来たらみんな幸せになれる、許されるというか。すごくいいバンドだなと思って聴いていました。
金子:ライブ見たいですね。
カンナ:見たいです。続いて、私は今回が最後ですけど、これまで毎週のようにご紹介してきましたShimon Hoshinoさんの、hario islandとしてのリリースもありました。
金子:本当に毎週のようにリリースがありますよね。ちなみにこの後のPart 2でも名前が出てきます(笑)。
カンナ:そうなんですよね(笑)。Shimonさんには元気づけられたというか、「音楽作るのってこんなに自然なことなんだ」みたいなことを思い出させてくれました。本当にありがとうございました、という気持ちでいっぱいです。
金子:曲調自体はチルな雰囲気が多いけど、たしかに「作り続ける」という、創作に対する意欲みたいなものからは、元気づけられますよね。
カンナ:今回「radio wave」というタイトルで、「私のラジオ最終回を祝してくれているのかな?」と勝手に祝されているような気がしました(笑)。
金子:なるほど!Shimonさん、さすがだな(笑)。
カンナ:ありがとうございました。そしてPart 1で聴いていただく曲は、みなさんお待ちかねなんじゃないですか?
金子:きっとそうでしょうね。カネコアヤノさんをかけようと思います。アルバムが遂に完成しました。
カンナ:おめでとうございます。
金子:先週には日本武道館の2DAYSも終わって、ついにアルバムなんですけど、今回も非常によかったですね。これまでの作品の延長線にある、アナログな質感のバンドサウンドによるインディー・フォーク的な作風はそのままに、カネコさんの歌の表現力はさらに上がっていますし、林くんのギターもいろんな音色・奏法でサイケデリックなムードを作り上げていて、まず音楽作品として素晴らしかったです。
カンナ:もともと「歌声に特徴がある人」っていうイメージがあったんですけど、アルバムに向けてリリースされてきた先行シングルを聴いていると、もっとサウンドの方にも着目すべきだったなというのを再発見できた気がします。
金子:その両方があって、という感じがしますよね。あとはやっぱりカネコさんの歌詞もすごく印象的です。どこまで直接関係しているかは分からないけど、ずっとサポートをやっていたドラムのBobくんがバンドから離れたということもあり、歌詞からは不安や迷いも強く感じられて、だからこそ"愛"みたいなものをもう一度見つめ直すような雰囲気というのも、アルバム全体から感じました。今から聴いてもらうタイトルトラックの「タオルケットは穏やかな」は10曲中9曲目に入っていて、アルバムのハイライトになっているんですけど、歌詞では〈いいんだよ 分からないまま 曖昧な愛〉と歌われていて。迷いや不安を感じることは誰にでもあると思うけど、わからないまま、答えを出さなくても、曖昧なままでも、それでも何かをやり続けること、信じること、愛すること。その大切さみたいなものを、この曲は歌っているような気がしています。
カンナ:本当にこれはアルバム全曲、みなさん聴いていただきたいです。
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます。はじめましてのHoboken Surprise(ホーボーケン・サプライズ)はめちゃくちゃ好きでした。
金子:かっこよかったですね。彼らは2021年に活動を開始していて、大学の同じサークルで知り合った3人による、栃木県宇都宮市を拠点に置くオルタナティブロックバンドということです。影響を受けたバンドが書いてあって、RadioheadとかCloud Nothings、 Yuckに混ざってNOT WONKがあげられていて。
カンナ:それが一番最初にあげられているという。
金子:そうなんですよね。「もうNOT WONKを影響源にあげる新しいバンドが出てきたんだな」っていう時代の流れを感じたんですけど、でも思えばNOT WONKのファーストアルバムが出たのは2015年とかだったりとかして、「その下の世代ももう出てくるよなあ」と思ったりしました。まだまだ荒削りな部分があるとは思うんですけど、この曲は5分以上あって、間奏でインストを聴かせるパートもあったりとか、「音楽的に志すものがあるバンドなんだな」というのが明確に伝わってくる曲で、これからが楽しみですね。
カンナ:めちゃくちゃかっこよかったです。ギターリフとかメロディーとかすごいセンスを感じるし、激しいんだけどその中にちゃんと秩序があるというのがかっこいいなと思いました。
カンナ:続いて、放課後ホタルが前回の曲調とは全く別のテイストに変わった「宿借さん」というシングルをリリースしました。
金子:これで3作目のリリースで、これまではアップテンポな曲の印象が強かったですけど、今回はアコギを使ったフォーキーな雰囲気があって、後半じわじわ盛り上がっていく感じはちょっとThe Beatles味もあったり、「こっちも行けるんだ」みたいな感じがありましたね。
カンナ:(メンバーの)根菜さんの歌の素晴らしさが前面に出てて、「こんなに歌うまかったんだ」って。知っていたけど改めてみたいな(笑)。
金子:歌詞のセンスもすごく今っぽいというか、キャッチーですよね。今回「宿借さん」というタイトルですけど、"宿を借りる"の"宿借さん"で、長年住み着いた彼の部屋を出て行く当日の歌になっていて。これまでずっと"宿を借りていた人"が、今度は自分が何かを背負って生きる"ヤドカリ"のように成長していくというストーリー。こういう言葉のセンスも面白いですね。
カンナ:ではPart 2はどちらの曲をかけましょう?
金子:ラッキーセベンをかけようと思います。
カンナ:EPがリリースになりました!おめでとうございます。
金子:こちらは関西の男6人が奏でるソウルブラザーズバンドということで、Part 1のThiiird Placeもライブの現場が絶対いいだろうなっていうバンドでしたけど、ラッキーセベンも間違いなくそういうバンドかなと。
カンナ:そうですね。
金子:もちろん、それぞれの色は違って、Thiiird Placeは世田谷感ありますよね(笑)。
カンナ:世田谷感(笑)。
金子:でもラッキーセベンは関西感というか、なんば感があるというか......大阪出身ではないので、正確なことは言えないけど(笑)。きっと聴いているものは近い部分もありそうだけど、アウトプットには地域の色が出るなと。
カンナ:その2バンドが一緒にライブやってくれたらいいですよね。
金子:絶対いいと思います!
カンナ:私は関西感がどんな感じかイメージついていないですけど(笑)、ちょっと聴き込んでみますね。
金子:「SOMETHING」 という曲は非常にベースがファンキーで、きっとライブでもキラーチューンになると思うんですけど、YouTubeでこの曲をストリートで演奏している動画があがっていて。それも非常に楽しげで、サビでメンバーが一斉にステップを踏んだりとか、そういうエンタメ感もあって......やっぱり関西感あるなって(笑)。
カンナ:その正体が気になります(笑)。
金子:関西には「Love Sofa」みたいなソウルやファンクとかをずっとやってきているパーティーもあったりして、そのあたりの人たちにも通じる感じがあるなって。
カンナ:音源はすごく生感があって、私は今回のリードトラックがこれまでリリースされた中で一番グッときました。
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!Part 3ははじめましての方が多くて、後半3曲が初登場です。まずは5曲目にかかりました、"あべまえば"さん。
金子:シンガーソングライター的な人がお二人いらっしゃって、その一人がまず"あべまえば"さん。すごく面白いキャリアのある方で、2019年にリリースした「とうもろこしガール」はTikTokにおける人気も高く、Mr.マリックが手品のBGMとして使用。
カンナ:あはは。
金子:あと"がつぽんず"というバンドで゙ギター・ボーカルを務めていて、「冷奴 in the morning」という曲が、TBSラジオ「JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力」の番組内で放送されたと。このプロフィール、気になりますよね。
カンナ:気になります。「Mr.マリック出てきたー!」と思って(笑)。
金子:あはは。今回「くすぶる」という曲ですが、「友達が結婚したり、仕事に打ち込んだり、身を固めていくにつれて、昔のようには遊べなくなる。それに引き替え、自分だけはいつまでも10代後半〜20代前半を引きずっているような焦燥感。そんな寂しさにも似た感情を、この曲に詰めた」ということで。こういうちょっと内省的な部分、焦燥感みたいな部分って、それこそ伊集院さん繋がりで言うとフラワーカンパニーズとか、そういうバンドにも通じる感じがして、そこが魅力だなと感じました。
カンナ:「くすぶる」というタイトルで、こんな明るい曲なんだという。そこもまた良いですよね。
金子:焦燥感や寂しさを跳ね飛ばす感じがまた良いですよね。
カンナ:続いてはじめましてで、井上杜和(イノウエ トワ)さん。
金子:こちらは1999年生まれ、湘南出身のシンガーソングライター。2021年から東京中心に弾き語りとバンド編成でライブ活動を行っているということです。FRIENDSHIP.からリリースしているKiQのフロントマン、やまのはさんが主宰しているレーベルからのリリース。今回が初めての録音作品ということで、弾き語りもあれば、ロックバンド編成もあれば、インプロを含む長尺の曲もあったりとか、やりたいことを詰め込んだEPになっているとのことです。「奇妙なのに生活に馴染む、癖になる曲を作る」ということを目標にしていて、今回の曲も「夜食を食べ過ぎてしまった罪を許してくれる君との穏やかな日々を独特な言葉選びで見せる」と。こういうテーマ選びに日常感がありつつも、「そこつくんだ」みたいな目線が面白いですね。
カンナ:この歌詞の世界観もそうですし、木琴が途中で入ってきたり、その辺りからも私は星野源さんを連想しました。でもギターがロックな音をしていたので、どっちの方面にも刺さりそうな曲だなと思いましたね。
金子:"謝謝"だからオリエンタルなテイストもあるし、たしかにちょっと通じる部分あるかもしれないですね。
カンナ:ではPart 3からおかけするのは?
金子:RIS-707をかけようかなと思います。
カンナ:はじめましてです。
金子:そうなんですけど、この方はすでに結構なキャリアのある方です。もともとグラムロックやパンク、ニューウェーブ、テクノ、エレクトロニカなどから影響を受け、2009年から宅録を開始していて、その年にセルフプロデュースのミニアルバムを発表。プロフィールが手元にあるんですけど、その後も錚々たる面子と活動をともにしています。ちなみにこの方は名義をコロコロ変えているらしく、"RIS-707"っていう名義も今年からみたいなんですけど、なんとなく由来わかりますか?
カンナ:全くわからないです...。
金子:それこそさっき名前の出た星野源さん絡みでも最近ちょっと話題になったりとか...。
カンナ:"707"でですか?
金子:違う数字ですけど、同じような並び。
カンナ:わからないです!
金子:星野源さんが「おんがくこうろん」という番組をやっていて、この前TR808というリズムマシンをピックアップしていて、SNSでも話題になってたりしました。で、707というリズムマシンもあるんですけど、RIS-707さんはギターシンセの"707"をずっと愛用しているらしく、そこからこの名前を取ったらしいんですね。
カンナ:いいエピソードですね。
金子:ギターシンセを使っての、エレクトロニック感やニューウェーブ感っていうのがやっぱり楽曲にもすごく反映されています。なおかつこの曲は「PLASTIC SAKURA」というタイトル通り、琴による「さくらさくら」のメロディーが使われていて、その和洋折衷みたいなところも魅力的だし、アートワークもすごくかっこよくて。
カンナ:かっこいいですよね。
金子:RIS-707さん自身もグラフィックデザイナーだったり、かなり多才な方で、トータルのクオリティーが非常に高い作品だなと思います。
カンナ:和風のメロディーってお正月とかに聴くと美しいメロディーだと思うんですけど、この曲みたいなビートに乗ると急に怪しげに聴こえてきて、すごく不思議だなと思いました。
カンナ:ということで、みなさん5ヶ月間本当にありがとうございました。この5ヶ月間はたぶん人生で一番音楽を聴いたと思います(笑)。
金子:毎週20曲とか聴くわけですもんね。
カンナ:アルバムが出たらさらにプラス10曲みたいな感じですしね。でも「毎週いっぱい聴いているな」って気持ちでいるんですけど、この音楽を作った期間のことを考えると、作り手側からしたら「ゆっくり消費されたい」と思うので、これからも繰り返し聴いていきたいなと改めて思いました。厚武さんはこの5ヶ月間はいかがでしたか(笑)?
金子:自分もアーティストとして、バンドで活動されている方ならではの視点というのはやっぱり他にはないもので、自分で歌詞も書いたりするからこその目線だったり、そういうところは僕も勉強になる部分がいろいろとあって、いい5ヶ月間なったなと。
カンナ:ありがとうございます!
金子:あとFRIENDSHIP.のアーティストで友達が多いんだなと思いました(笑)。
カンナ:そうですか(笑)?
金子:「この人、知り合いです」みたいな話になることが多くて、「そうなんだ!」みたいな(笑)。FRIENDSHIP.はそういう"フレンドシップ感"というか、"友達感"みたいなことが結構大事だと思っているので、カンナさんがピンチヒッターをやってくれたのは適役だったんだなと、番組をやりながら思いました。
カンナ:FRIENDSHIP.で初めて出会った、このラジオで初めて聴いた方もたくさんいますし、これから"フレンド"になっていきたいなという気持ちもありますので、アーティストのみなさんも、そして音楽を聴いてるみなさんも、引き続きよろしくお願いします。
金子:またアーティストとして、ゲストで戻ってきていただくのもお待ちしております!
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。現在はお休み中のMISATOに替わり、サトーカンナがMCを務めている。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
New Release Digest Part 1
カンナ:1月23日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全21作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!今回はじめましてのThiiird Place。私は主宰のスガナミユウさんのことはよく知っていて、下北沢にあるライブハウスLIVE HAUSの店長さんです。
金子:カンナさんもLIVE HAUSにときどき出演されているんですよね?
カンナ:はい、そうです!
金子:Thiiird Placeはそのスガナミさんが主体となって、2021年12月に結成されたバンド。2022年5月から現在のメンバーになって、13人編成という大所帯バンドですね。
カンナ:すごいですね。
金子:「アフロ、ソウル、ラテン、ジャズなどを基調に、万人に向けたポップネス・多幸感と真摯なメッセージを有するバンド」とのことです。スガナミさんはもともとGORO GOLOというバンドをやっていて、そのバンドはパンクを起点にしつつ、そこからファンクやソウルを吸収していったようなバンドだったんですけど、Thiiird PlaceはGORO GOLOからの発展形みたいな部分があって、実際GORO GOLOのメンバーも参加しています。コメントに「Silk Sonicに代表される現在進行形のソウルリバイバルとも呼応するようなムード」とあって、「たしかに!」と思いました。これ、ライブハウスで聴いたら絶対いいですよね。
カンナ:Thiiird Placeっていうバンド名にもあるように、スガナミさんは"場"を作る人だなっていう印象が昔からあったので、ここに来たらみんな幸せになれる、許されるというか。すごくいいバンドだなと思って聴いていました。
金子:ライブ見たいですね。
カンナ:見たいです。続いて、私は今回が最後ですけど、これまで毎週のようにご紹介してきましたShimon Hoshinoさんの、hario islandとしてのリリースもありました。
金子:本当に毎週のようにリリースがありますよね。ちなみにこの後のPart 2でも名前が出てきます(笑)。
カンナ:そうなんですよね(笑)。Shimonさんには元気づけられたというか、「音楽作るのってこんなに自然なことなんだ」みたいなことを思い出させてくれました。本当にありがとうございました、という気持ちでいっぱいです。
金子:曲調自体はチルな雰囲気が多いけど、たしかに「作り続ける」という、創作に対する意欲みたいなものからは、元気づけられますよね。
カンナ:今回「radio wave」というタイトルで、「私のラジオ最終回を祝してくれているのかな?」と勝手に祝されているような気がしました(笑)。
金子:なるほど!Shimonさん、さすがだな(笑)。
カンナ:ありがとうございました。そしてPart 1で聴いていただく曲は、みなさんお待ちかねなんじゃないですか?
金子:きっとそうでしょうね。カネコアヤノさんをかけようと思います。アルバムが遂に完成しました。
カンナ:おめでとうございます。
金子:先週には日本武道館の2DAYSも終わって、ついにアルバムなんですけど、今回も非常によかったですね。これまでの作品の延長線にある、アナログな質感のバンドサウンドによるインディー・フォーク的な作風はそのままに、カネコさんの歌の表現力はさらに上がっていますし、林くんのギターもいろんな音色・奏法でサイケデリックなムードを作り上げていて、まず音楽作品として素晴らしかったです。
カンナ:もともと「歌声に特徴がある人」っていうイメージがあったんですけど、アルバムに向けてリリースされてきた先行シングルを聴いていると、もっとサウンドの方にも着目すべきだったなというのを再発見できた気がします。
金子:その両方があって、という感じがしますよね。あとはやっぱりカネコさんの歌詞もすごく印象的です。どこまで直接関係しているかは分からないけど、ずっとサポートをやっていたドラムのBobくんがバンドから離れたということもあり、歌詞からは不安や迷いも強く感じられて、だからこそ"愛"みたいなものをもう一度見つめ直すような雰囲気というのも、アルバム全体から感じました。今から聴いてもらうタイトルトラックの「タオルケットは穏やかな」は10曲中9曲目に入っていて、アルバムのハイライトになっているんですけど、歌詞では〈いいんだよ 分からないまま 曖昧な愛〉と歌われていて。迷いや不安を感じることは誰にでもあると思うけど、わからないまま、答えを出さなくても、曖昧なままでも、それでも何かをやり続けること、信じること、愛すること。その大切さみたいなものを、この曲は歌っているような気がしています。
カンナ:本当にこれはアルバム全曲、みなさん聴いていただきたいです。
カネコアヤノの今作のアルバムレビューが公開しております!あわせてチェックしてみてください!
New Release Digest Part 2
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます。はじめましてのHoboken Surprise(ホーボーケン・サプライズ)はめちゃくちゃ好きでした。
金子:かっこよかったですね。彼らは2021年に活動を開始していて、大学の同じサークルで知り合った3人による、栃木県宇都宮市を拠点に置くオルタナティブロックバンドということです。影響を受けたバンドが書いてあって、RadioheadとかCloud Nothings、 Yuckに混ざってNOT WONKがあげられていて。
カンナ:それが一番最初にあげられているという。
金子:そうなんですよね。「もうNOT WONKを影響源にあげる新しいバンドが出てきたんだな」っていう時代の流れを感じたんですけど、でも思えばNOT WONKのファーストアルバムが出たのは2015年とかだったりとかして、「その下の世代ももう出てくるよなあ」と思ったりしました。まだまだ荒削りな部分があるとは思うんですけど、この曲は5分以上あって、間奏でインストを聴かせるパートもあったりとか、「音楽的に志すものがあるバンドなんだな」というのが明確に伝わってくる曲で、これからが楽しみですね。
カンナ:めちゃくちゃかっこよかったです。ギターリフとかメロディーとかすごいセンスを感じるし、激しいんだけどその中にちゃんと秩序があるというのがかっこいいなと思いました。
カンナ:続いて、放課後ホタルが前回の曲調とは全く別のテイストに変わった「宿借さん」というシングルをリリースしました。
金子:これで3作目のリリースで、これまではアップテンポな曲の印象が強かったですけど、今回はアコギを使ったフォーキーな雰囲気があって、後半じわじわ盛り上がっていく感じはちょっとThe Beatles味もあったり、「こっちも行けるんだ」みたいな感じがありましたね。
カンナ:(メンバーの)根菜さんの歌の素晴らしさが前面に出てて、「こんなに歌うまかったんだ」って。知っていたけど改めてみたいな(笑)。
金子:歌詞のセンスもすごく今っぽいというか、キャッチーですよね。今回「宿借さん」というタイトルですけど、"宿を借りる"の"宿借さん"で、長年住み着いた彼の部屋を出て行く当日の歌になっていて。これまでずっと"宿を借りていた人"が、今度は自分が何かを背負って生きる"ヤドカリ"のように成長していくというストーリー。こういう言葉のセンスも面白いですね。
カンナ:ではPart 2はどちらの曲をかけましょう?
金子:ラッキーセベンをかけようと思います。
カンナ:EPがリリースになりました!おめでとうございます。
金子:こちらは関西の男6人が奏でるソウルブラザーズバンドということで、Part 1のThiiird Placeもライブの現場が絶対いいだろうなっていうバンドでしたけど、ラッキーセベンも間違いなくそういうバンドかなと。
カンナ:そうですね。
金子:もちろん、それぞれの色は違って、Thiiird Placeは世田谷感ありますよね(笑)。
カンナ:世田谷感(笑)。
金子:でもラッキーセベンは関西感というか、なんば感があるというか......大阪出身ではないので、正確なことは言えないけど(笑)。きっと聴いているものは近い部分もありそうだけど、アウトプットには地域の色が出るなと。
カンナ:その2バンドが一緒にライブやってくれたらいいですよね。
金子:絶対いいと思います!
カンナ:私は関西感がどんな感じかイメージついていないですけど(笑)、ちょっと聴き込んでみますね。
金子:「SOMETHING」 という曲は非常にベースがファンキーで、きっとライブでもキラーチューンになると思うんですけど、YouTubeでこの曲をストリートで演奏している動画があがっていて。それも非常に楽しげで、サビでメンバーが一斉にステップを踏んだりとか、そういうエンタメ感もあって......やっぱり関西感あるなって(笑)。
カンナ:その正体が気になります(笑)。
金子:関西には「Love Sofa」みたいなソウルやファンクとかをずっとやってきているパーティーもあったりして、そのあたりの人たちにも通じる感じがあるなって。
カンナ:音源はすごく生感があって、私は今回のリードトラックがこれまでリリースされた中で一番グッときました。
ラッキーセベンのインタビューと今作のEPレビューが公開しております!あわせてチェックしてみてください!
New Release Digest Part 3
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!Part 3ははじめましての方が多くて、後半3曲が初登場です。まずは5曲目にかかりました、"あべまえば"さん。
金子:シンガーソングライター的な人がお二人いらっしゃって、その一人がまず"あべまえば"さん。すごく面白いキャリアのある方で、2019年にリリースした「とうもろこしガール」はTikTokにおける人気も高く、Mr.マリックが手品のBGMとして使用。
カンナ:あはは。
金子:あと"がつぽんず"というバンドで゙ギター・ボーカルを務めていて、「冷奴 in the morning」という曲が、TBSラジオ「JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力」の番組内で放送されたと。このプロフィール、気になりますよね。
カンナ:気になります。「Mr.マリック出てきたー!」と思って(笑)。
金子:あはは。今回「くすぶる」という曲ですが、「友達が結婚したり、仕事に打ち込んだり、身を固めていくにつれて、昔のようには遊べなくなる。それに引き替え、自分だけはいつまでも10代後半〜20代前半を引きずっているような焦燥感。そんな寂しさにも似た感情を、この曲に詰めた」ということで。こういうちょっと内省的な部分、焦燥感みたいな部分って、それこそ伊集院さん繋がりで言うとフラワーカンパニーズとか、そういうバンドにも通じる感じがして、そこが魅力だなと感じました。
カンナ:「くすぶる」というタイトルで、こんな明るい曲なんだという。そこもまた良いですよね。
金子:焦燥感や寂しさを跳ね飛ばす感じがまた良いですよね。
カンナ:続いてはじめましてで、井上杜和(イノウエ トワ)さん。
金子:こちらは1999年生まれ、湘南出身のシンガーソングライター。2021年から東京中心に弾き語りとバンド編成でライブ活動を行っているということです。FRIENDSHIP.からリリースしているKiQのフロントマン、やまのはさんが主宰しているレーベルからのリリース。今回が初めての録音作品ということで、弾き語りもあれば、ロックバンド編成もあれば、インプロを含む長尺の曲もあったりとか、やりたいことを詰め込んだEPになっているとのことです。「奇妙なのに生活に馴染む、癖になる曲を作る」ということを目標にしていて、今回の曲も「夜食を食べ過ぎてしまった罪を許してくれる君との穏やかな日々を独特な言葉選びで見せる」と。こういうテーマ選びに日常感がありつつも、「そこつくんだ」みたいな目線が面白いですね。
カンナ:この歌詞の世界観もそうですし、木琴が途中で入ってきたり、その辺りからも私は星野源さんを連想しました。でもギターがロックな音をしていたので、どっちの方面にも刺さりそうな曲だなと思いましたね。
金子:"謝謝"だからオリエンタルなテイストもあるし、たしかにちょっと通じる部分あるかもしれないですね。
カンナ:ではPart 3からおかけするのは?
金子:RIS-707をかけようかなと思います。
カンナ:はじめましてです。
金子:そうなんですけど、この方はすでに結構なキャリアのある方です。もともとグラムロックやパンク、ニューウェーブ、テクノ、エレクトロニカなどから影響を受け、2009年から宅録を開始していて、その年にセルフプロデュースのミニアルバムを発表。プロフィールが手元にあるんですけど、その後も錚々たる面子と活動をともにしています。ちなみにこの方は名義をコロコロ変えているらしく、"RIS-707"っていう名義も今年からみたいなんですけど、なんとなく由来わかりますか?
カンナ:全くわからないです...。
金子:それこそさっき名前の出た星野源さん絡みでも最近ちょっと話題になったりとか...。
カンナ:"707"でですか?
金子:違う数字ですけど、同じような並び。
カンナ:わからないです!
金子:星野源さんが「おんがくこうろん」という番組をやっていて、この前TR808というリズムマシンをピックアップしていて、SNSでも話題になってたりしました。で、707というリズムマシンもあるんですけど、RIS-707さんはギターシンセの"707"をずっと愛用しているらしく、そこからこの名前を取ったらしいんですね。
カンナ:いいエピソードですね。
金子:ギターシンセを使っての、エレクトロニック感やニューウェーブ感っていうのがやっぱり楽曲にもすごく反映されています。なおかつこの曲は「PLASTIC SAKURA」というタイトル通り、琴による「さくらさくら」のメロディーが使われていて、その和洋折衷みたいなところも魅力的だし、アートワークもすごくかっこよくて。
カンナ:かっこいいですよね。
金子:RIS-707さん自身もグラフィックデザイナーだったり、かなり多才な方で、トータルのクオリティーが非常に高い作品だなと思います。
カンナ:和風のメロディーってお正月とかに聴くと美しいメロディーだと思うんですけど、この曲みたいなビートに乗ると急に怪しげに聴こえてきて、すごく不思議だなと思いました。
エンディング
カンナ:ということで、みなさん5ヶ月間本当にありがとうございました。この5ヶ月間はたぶん人生で一番音楽を聴いたと思います(笑)。
金子:毎週20曲とか聴くわけですもんね。
カンナ:アルバムが出たらさらにプラス10曲みたいな感じですしね。でも「毎週いっぱい聴いているな」って気持ちでいるんですけど、この音楽を作った期間のことを考えると、作り手側からしたら「ゆっくり消費されたい」と思うので、これからも繰り返し聴いていきたいなと改めて思いました。厚武さんはこの5ヶ月間はいかがでしたか(笑)?
金子:自分もアーティストとして、バンドで活動されている方ならではの視点というのはやっぱり他にはないもので、自分で歌詞も書いたりするからこその目線だったり、そういうところは僕も勉強になる部分がいろいろとあって、いい5ヶ月間なったなと。
カンナ:ありがとうございます!
金子:あとFRIENDSHIP.のアーティストで友達が多いんだなと思いました(笑)。
カンナ:そうですか(笑)?
金子:「この人、知り合いです」みたいな話になることが多くて、「そうなんだ!」みたいな(笑)。FRIENDSHIP.はそういう"フレンドシップ感"というか、"友達感"みたいなことが結構大事だと思っているので、カンナさんがピンチヒッターをやってくれたのは適役だったんだなと、番組をやりながら思いました。
カンナ:FRIENDSHIP.で初めて出会った、このラジオで初めて聴いた方もたくさんいますし、これから"フレンド"になっていきたいなという気持ちもありますので、アーティストのみなさんも、そして音楽を聴いてるみなさんも、引き続きよろしくお願いします。
金子:またアーティストとして、ゲストで戻ってきていただくのもお待ちしております!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。現在はお休み中のMISATOに替わり、サトーカンナがMCを務めている。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.