SENSA

2023.01.27

ラッキーセベン『Welcome to our 1st EP』──歓喜の中で刹那を見つめるソウル

ラッキーセベン『Welcome to our 1st EP』──歓喜の中で刹那を見つめるソウル

大阪を拠点とする6人組バンド、ラッキーセベンの6曲入り初EP。彼らの拠点といえる路上ライブでは6人の笑顔がはじけているし、今作の1曲目「intro」は〈エブリデイ エブリナイ/ウィーアートゥゲザー〉というアカペラが響き渡るし、第一印象は"このメンバーと音楽を鳴らすことが楽しくて仕方がない!という喜びにあふれたバンド"。
ソウルやファンク、ジャズを昇華した中に、メンバーの見せ場が光る楽曲も"生きてる!"という躍動感に満ちている。

しかし、歌詞に耳を傾けると〈少しずつ時間は流れて/僕らは もう いつのまにか はなればなれ/だけどそう いつでもそう 目を閉じれば/あの頃の ぼくらの まま〉(「ぼくらのまま」)と、抗えない刹那にも目を向けているのだ。楽しさ真っ只中に見えるのに、そして年齢だってまだ若いのに、よく浮かれずにそこに目を向けることができるなあ――そう、彼らよりも恐らく年齢が上の私は、この歌詞に激しく共感しながら思う。

さらに、聴き進めるうちに、〈あの頃〉の仲間や出来事に、もう再会できないかもしれないと嘆くより、その記憶が胸の奥にあることを喜べたほうが生きる支えになると噛みしめられるのだ。〈きっと俺たちなら/大丈夫さ〉と、リスナーそれぞれの〈あの頃〉の仲間に成り代わって歌っているように感じられる「ITSUKA」。
〈胸の奥にそっと潜むのは/くだらないバカ笑いや/何気ないエブリデイ〉に〈消えない日々の魔法〉が、確かにあったと信じられる「THEME」。

"ソウルブラザーズバンド"と名乗るぐらい絆が深いバンドだけれど、6人だけの世界に留まらず、演奏の楽しさや温かさを伝播させ、リスナー一人ひとりに寄り添う言葉を歌う――そんな思いを巡らせているうちに、過去のレジェンドたちの音楽が頭をよぎり、ああ、ソウルミュージックってこういうものかもしれない、と気づかされた。

しっかりと聴かせる実力を発揮しながらも、「YADA」の〈帰りを待つパピー/子犬のように/アオーーーーーゥ!〉という咆哮を筆頭に、笑顔がこぼれる親しみやすいフレーズも多々ちりばめられている。大阪を拠点としているからか、日本らしい人情味やブルースの匂いも感じられる。彼ら自身のルーツやキャラクターもふんだんに注ぎ込まれており、名刺代わりの初EPとしても秀逸。これから、目と耳を離してはならないバンドだ。

文:高橋美穂



RELEASE INFORMATION

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ラッキーセベン「Welcome to our 1st EP」
2023年1月25日(水)
Format:Digital

Track:
1.intro
2.SOMETHING
3.ぼくらのまま
4.ITSUKA
5.YADA
6.THEME

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