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2022.11.18
〈ツマミになるグッドミュージック〉を奏でるバンド、YONA YONA WEEKENDERSのVo.磯野くん。自他共に認める大好物の"ラーメン"を音楽に例える連載企画「ラーメンから歌が聴こえる」が4月にMikikiで1度最終回を迎え、新たにSENSAで2ndシーズンがスタート!引き続き、各地のラーメンから聴こえてくる歌と共に紹介していく!
今年もあっという間に残り一ヶ月半。思えば、「夏フェスに向けて体を絞るぞ!」と勇んでジムに入会したり、「会社員の経験を音楽にも活かすぞ!」と誰に見せるでもない日報をつけはじめたり、志高くスタートしたはずの2022年。残念ながら、いずれも道半ばで挫折(ジムは4ヶ月で退会、日報は一週間持たず)してしまったことに今更絶望している向寒の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
そんなダメ人間の僕にも、本原稿を執筆中の現時点(11月1日)で既に達成目前となっている目標がたった一つだけある。それは"去年よりたくさんラーメンを食べる"ことだ。
別に誰かに頼まれている訳でも、評論家でもない僕だが、もしも「くそっ、結局あそこのラーメン食えずじまいだった・・・」と未練を残したまま死んでしまったら、きっと亡霊になって現世を彷徨ってしまうと思うのだ。それほどに僕はラーメンを愛している。
母から毎月届く僕の健康を気遣うラインをよそに食べたラーメンは現在127杯。昨年が128杯だったので、この記事が掲載される頃には余裕で達成されているだろう。年換算すると約150杯、だいたい週3ペースでラーメンを食べている計算だ。皆さんがこの数をどう捉えるかわからないが、一応妻にはドン引きされていることをお伝えしておく。
しかし、上には上がいるもので、昨年11月にMikikiさんにて対談をさせて頂いた、バンドマンとしても、ラーメン愛好家としても大先輩であるサニーデイ・サービスの田中貴さんは、なんと年間600杯ものラーメンを食べている。つまり、一年の半分以上が1日2ラーな訳だ。さすが大先輩、全然背中が見えない。
今回はそんな大先輩、田中さんが20年来通い続けているというラーメン屋に行ってみることにした。向かったのは飯田橋駅から徒歩5分ほどの場所にある"びぜん亭"。店主が岡山出身とのことでこの名が付いたそうだ。
オープンに合わせて店に着くと、既に数人のお客さんが美味しそうにラーメンを啜っている。
年季の入った暖簾を潜ると、名物店主の植田さんと女将さんが温かい笑顔で迎えてくれた。
いかにも老舗らしい木札のメニューを眺めながら、ちゃあしゅうそば大盛り(950円)にトッピングの味付け玉子(100円)とビールを注文。スタンダードな支那そばは650円、抜群のコスパだ。
昼間は数量限定でサービスの俵型おにぎりが提供される。この日は人参や椎茸が入った炊き込みご飯だった。
ビールとおにぎりに舌鼓を打っていると、あっという間にちゃあしゅうそばが着丼した。
薄っすら脂の浮いた醤油スープに白ネギ、支那竹、小松菜、数枚のチャーシューに海苔というビジュアルは、まさに東京ラーメンの王道だ。
鶏ガラ、豚ガラベースの昔ながらな味わいのスープは、濃いめの醤油がしっかり感じられ、いくらでも飲み続けられる。
そこに合わさるのは中細の縮れ麺。オーソドックスなものだが、このスープにはこれ以外考えられない!と言うほど抜群の相性である。
僕は所謂ノスラー系の店は"トッピングがとにかく酒に合う説"を唱えているのだが、びぜん亭もやはり例外ではなかった。
箸で持つと崩れてしまうほど柔らかいチャーシューは、タレがバッチリ染みていて抜群にビールが進む。これは大将が角煮からヒントを得て作ったものらしい。
ノスタルジックな固茹での味玉も、支那竹も、やっぱり最高にビールが進んだ。
大先輩田中さんが提唱する"ラ飲み"を実践しながら、トッピングをアテにビールを飲み、麺を啜り、少し冷めてより輪郭のはっきりとしたスープでまたビールを傾け・・・とやっているうちに、あっという間に完食した。
びぜん亭の大将は、常連にも、僕の様な一見にも分け隔てなく気さくに話しかけてくれる。「今日寒かったでしょ」、「しばらくぶりだね、元気してた?」。帰り際には「またいらっしゃい」と声を掛けられ、「また来ます!」と自然に返している自分がいた。
創業から46年が経った現在も愛され続けるびぜん亭のラーメンからは、大将の"人柄"という出汁の旨味も存分に感じることが出来る。この一杯に重なるのは、1986年にリリースされた河島英五の"時代おくれ"だ。
ギターを持って世界を放浪し、庶民の暮らしに触れ、音楽を通して共に喜怒哀楽を共有し合った経験から、彼のコンサート活動は大都市だけでなく、山間部や僻地でも行われ、音楽を通じてファンと交流することを主眼に置いたものだったそうだ。
阿久悠が書いた歌詞からもわかる様に、男の強さや優しさ、哀愁を歌ったこの曲からは、没後21年経った今でも多くのファンに愛される"時代おくれ"な男、河島英五の"人柄"が滲み出た楽曲になっている。
ラーメンの味を決めるのは"鶏ガラ"、"豚ガラ"、"人柄"とは誰が言ったか、言い得て妙だな〜としみじみ思う。
僕もそんなラーメンに惹かれるし、僕が好きな音楽も、アーティストの"人柄"を感じられるものが多いことに気づいた、そんな2022年の124杯目であった。
YONA YONA WEEKENDERS
"ツマミになるグッドミュージック" を奏でるメロコア・パンク出身の4人組バンド。
Vo. 磯野くんの表現力豊かな歌声と骨のあるバンドサウンド、長きにわたってアンダーグラウンドなシーンの最前線で活躍した彼らが作りだすステージは必見。
メジャーデビュー1周年となる2022年4月7日に1st Album「YONA YONA
WEEKENDERS」LP盤、配信シングルとしてbonobosのフロントマン・蔡忠浩とfeatした「夜行性 feat.蔡忠浩(bonobos)」をリリース。同月にbonobosを迎えたツーマンイベントを大盛況で終え、5月には配信シングル「1989's」をリリース。そして、6月には初となる恵比寿・LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催した。
YONA YONA WEEKENDERS「嗜好性」
Track:
1.考え中
2.1989's
3.Ice Cream Lover
4.夜行性 feat. 蔡忠浩(bonobos)
5.月曜のダンス
2022年11月19日(土)福岡県 graf
2022年11月26日(土)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
2022年12月11日(日)東京都 LIQUIDROOM
@yyw_from_tyo
今年もあっという間に残り一ヶ月半。思えば、「夏フェスに向けて体を絞るぞ!」と勇んでジムに入会したり、「会社員の経験を音楽にも活かすぞ!」と誰に見せるでもない日報をつけはじめたり、志高くスタートしたはずの2022年。残念ながら、いずれも道半ばで挫折(ジムは4ヶ月で退会、日報は一週間持たず)してしまったことに今更絶望している向寒の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
そんなダメ人間の僕にも、本原稿を執筆中の現時点(11月1日)で既に達成目前となっている目標がたった一つだけある。それは"去年よりたくさんラーメンを食べる"ことだ。
別に誰かに頼まれている訳でも、評論家でもない僕だが、もしも「くそっ、結局あそこのラーメン食えずじまいだった・・・」と未練を残したまま死んでしまったら、きっと亡霊になって現世を彷徨ってしまうと思うのだ。それほどに僕はラーメンを愛している。
母から毎月届く僕の健康を気遣うラインをよそに食べたラーメンは現在127杯。昨年が128杯だったので、この記事が掲載される頃には余裕で達成されているだろう。年換算すると約150杯、だいたい週3ペースでラーメンを食べている計算だ。皆さんがこの数をどう捉えるかわからないが、一応妻にはドン引きされていることをお伝えしておく。
しかし、上には上がいるもので、昨年11月にMikikiさんにて対談をさせて頂いた、バンドマンとしても、ラーメン愛好家としても大先輩であるサニーデイ・サービスの田中貴さんは、なんと年間600杯ものラーメンを食べている。つまり、一年の半分以上が1日2ラーな訳だ。さすが大先輩、全然背中が見えない。
今回はそんな大先輩、田中さんが20年来通い続けているというラーメン屋に行ってみることにした。向かったのは飯田橋駅から徒歩5分ほどの場所にある"びぜん亭"。店主が岡山出身とのことでこの名が付いたそうだ。
オープンに合わせて店に着くと、既に数人のお客さんが美味しそうにラーメンを啜っている。
年季の入った暖簾を潜ると、名物店主の植田さんと女将さんが温かい笑顔で迎えてくれた。
いかにも老舗らしい木札のメニューを眺めながら、ちゃあしゅうそば大盛り(950円)にトッピングの味付け玉子(100円)とビールを注文。スタンダードな支那そばは650円、抜群のコスパだ。
昼間は数量限定でサービスの俵型おにぎりが提供される。この日は人参や椎茸が入った炊き込みご飯だった。
ビールとおにぎりに舌鼓を打っていると、あっという間にちゃあしゅうそばが着丼した。
薄っすら脂の浮いた醤油スープに白ネギ、支那竹、小松菜、数枚のチャーシューに海苔というビジュアルは、まさに東京ラーメンの王道だ。
鶏ガラ、豚ガラベースの昔ながらな味わいのスープは、濃いめの醤油がしっかり感じられ、いくらでも飲み続けられる。
そこに合わさるのは中細の縮れ麺。オーソドックスなものだが、このスープにはこれ以外考えられない!と言うほど抜群の相性である。
僕は所謂ノスラー系の店は"トッピングがとにかく酒に合う説"を唱えているのだが、びぜん亭もやはり例外ではなかった。
箸で持つと崩れてしまうほど柔らかいチャーシューは、タレがバッチリ染みていて抜群にビールが進む。これは大将が角煮からヒントを得て作ったものらしい。
ノスタルジックな固茹での味玉も、支那竹も、やっぱり最高にビールが進んだ。
大先輩田中さんが提唱する"ラ飲み"を実践しながら、トッピングをアテにビールを飲み、麺を啜り、少し冷めてより輪郭のはっきりとしたスープでまたビールを傾け・・・とやっているうちに、あっという間に完食した。
びぜん亭の大将は、常連にも、僕の様な一見にも分け隔てなく気さくに話しかけてくれる。「今日寒かったでしょ」、「しばらくぶりだね、元気してた?」。帰り際には「またいらっしゃい」と声を掛けられ、「また来ます!」と自然に返している自分がいた。
創業から46年が経った現在も愛され続けるびぜん亭のラーメンからは、大将の"人柄"という出汁の旨味も存分に感じることが出来る。この一杯に重なるのは、1986年にリリースされた河島英五の"時代おくれ"だ。
ギターを持って世界を放浪し、庶民の暮らしに触れ、音楽を通して共に喜怒哀楽を共有し合った経験から、彼のコンサート活動は大都市だけでなく、山間部や僻地でも行われ、音楽を通じてファンと交流することを主眼に置いたものだったそうだ。
阿久悠が書いた歌詞からもわかる様に、男の強さや優しさ、哀愁を歌ったこの曲からは、没後21年経った今でも多くのファンに愛される"時代おくれ"な男、河島英五の"人柄"が滲み出た楽曲になっている。
ラーメンの味を決めるのは"鶏ガラ"、"豚ガラ"、"人柄"とは誰が言ったか、言い得て妙だな〜としみじみ思う。
僕もそんなラーメンに惹かれるし、僕が好きな音楽も、アーティストの"人柄"を感じられるものが多いことに気づいた、そんな2022年の124杯目であった。
PROFILE
YONA YONA WEEKENDERS
"ツマミになるグッドミュージック" を奏でるメロコア・パンク出身の4人組バンド。
Vo. 磯野くんの表現力豊かな歌声と骨のあるバンドサウンド、長きにわたってアンダーグラウンドなシーンの最前線で活躍した彼らが作りだすステージは必見。
メジャーデビュー1周年となる2022年4月7日に1st Album「YONA YONA
WEEKENDERS」LP盤、配信シングルとしてbonobosのフロントマン・蔡忠浩とfeatした「夜行性 feat.蔡忠浩(bonobos)」をリリース。同月にbonobosを迎えたツーマンイベントを大盛況で終え、5月には配信シングル「1989's」をリリース。そして、6月には初となる恵比寿・LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催した。
RELEASE INFORMATION
YONA YONA WEEKENDERS「嗜好性」
Track:
1.考え中
2.1989's
3.Ice Cream Lover
4.夜行性 feat. 蔡忠浩(bonobos)
5.月曜のダンス
LIVE INFORMATION
嗜好性 EP Release Oneman Tour
2022年11月19日(土)福岡県 graf
2022年11月26日(土)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
2022年12月11日(日)東京都 LIQUIDROOM
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