SENSA

2022.08.09

【SENSA夏の特別企画2022】アーティストがおすすめ!文庫本 編

【SENSA夏の特別企画2022】アーティストがおすすめ!文庫本 編

SENSA夏の特別企画がスタート!アーティストによるおすすめの文庫本&ホラー映画を特集!今回は、The fin.・odol・LITE・She Her Her Hers・Wez Atlas・YAJICO GIRLによるおすすめの文庫本を紹介します。夏休みの宿題や読書タイムの参考にもぜひ!ホラー映画特集はこちら


The fin.


夜のピクニック
恩田陸/著

なぜか意外がられるのですが、平均よりは読書量は多いと自分では思っていて、その中でも頭にすぐ浮かぶ心に残る本と言われると数冊しかなく、今回は恩田陸さんの「夜のピクニック」を挙げさせていただきました。
結構有名な作品だと思うのでご存知の方も多いと思いますが、軽くあらすじをまとめさせていただきます。

異母兄弟である主人公の融と貴子。2人が通う高校の最後の行事、「歩行祭」。24時間かけて80キロもの距離をただひたすら歩くというもの。
お互いの存在は知っていても、これまで言葉を交わしたことは1度もない二人。すでに他界してしまった父の影を貴子に重ねてしまう融。「歩行祭」で融に話しかけるという賭けに挑む貴子。
果たして2人の行方は?というお話です。

高校生の頃から今まで何度か読んでいるのですが、多くの年代の方が楽しめる作品だと思います。高校生当時、男子校の自分からすれば、女子がいる行事というだけで前日の夜は眠れません。男子校あるあるで、たまに電車で見る隣の女子校の女の子に好意を寄せたりするのですが、気にはなるけどなかなか声なんてかけれない、意味合いは少し違いますが、それに似た感覚を味わうことができます。ある程度大人になって読み返すと、学生時代の修学旅行を思い出します。普段はなかなか友達と過ごすことなんてなかった真夜中に仲間と過ごす。大人になった今は簡単なことが、やはり当時はあまりできなかったものです。そんな夜は普段は話せなかったことを話す絶好の機会でした。Yutoと行った5年生の自然学校、6年生の修学旅行を思い出します。今夜は語り合おうぜ、なんて言いつつ、自分がすぐに寝てしまったのも今となってはいい思い出です。そんな昔の、苦かったり、甘酸っぱかったりする思い出を思い起こさせてくれるような作品だと思います。

皆さんもぜひ読んでみて、昔は楽しかったな、なんてことを思って、明日からのエナジーに変えてもらえたら幸いです。
(Kaoru Nakazawa)

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オフィシャルサイト
@_thefin
@the_fin


odol


レプリカたちの夜
一條次郎/著

動物の精巧なレプリカを製造する工場に勤める主人公、往本。彼は夜中の十二時すぎに、絶滅したはずのシロクマを目撃する。生き残りか、精巧な偽物を被ったスパイか、あるいは環境に適応した新種か。その正体を追う中で、彼の日常は不条理に掻き乱され、混沌とした世界が露わになる。

本書は新潮ミステリー大賞の受賞作だが、ミステリー以上にシュルレアリスム小説として強い衝撃を覚えた。
シロクマがかき氷を食べ、用水路で鮭が大量発生し、身に覚えのない交通事故の心配をされ、同僚の妻を自称する女性から古語で詰め寄られ、隣の双子は実は三子で、遂には頭の皿でレコードをモノラル再生するカッパまで現れる。骨董無稽な言葉の応酬も、どこかリズミカルで心地いい。
大胆な不条理に日常を踏みしだかれる中、往本は工場長や同僚たちから様々な問いや持論を投げかけられる。人間と動物、記憶と記録、そしてオリジナルとレプリカ。カオスな状況・展開に貫く哲学的な命題が、言葉のそこかしこから顔を覗かせる。

まずは難しいことは考えずに、物語の奔流に身を委ねよう。気づいた頃には、すっかり著者のファンになっているはず。
(Shaikh Sofian)

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オフィシャルサイト
@odol_jpn
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LITE


テロリストのパラソル
藤原伊織/著

男子なら一度は考えそうな主人公の設定。アル中のバーテンだが実は東大中退の切れ者で、ボクシング経験のある強者。漫画なら確実にイケメンオヤジ。むしろ少女漫画に出てきそうかも。
その主人公の島村が偶然巻き込まれた新宿の爆発事件を発端に過去の真相、事件の真相に迫るミステリー小説。
ヤクザとのやり取りなど、ややハードボイルド内容だがエンタメ&ご都合主義(今で言う"なろう系"的な?)要素も強く、難しいことを考えずにサクッと読めます。
所々に時代的な古さもあるので若い人にはピンとこない部分もあるかもしれませんが、現代と変わらぬ価値観なども見れたりと総じて面白く読めると思います。
(楠本 構造)

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オフィシャルサイト
@lite_jp
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She Her Her Hers


夏への扉
ロバート・A・ハインライン/著 福島 正実/訳

2021年に山崎賢人主演で映画化されましたが、原作は恋愛要素少なめで、胸がスカッとするほど気持ちのよい逆転劇が待っている小説です。
"世のすべての猫好きにこの本を捧げる"という作者のメッセージから始まるほど、猫の描写が丁寧に描かれていて、作中で猫を邪険に扱う人間には不幸がまっていて、ネコに敬意を抱いて接する人はハッピーになれるところも、猫好きにはたまらない作品です。
シニカルで、ユーモアがあり、村上春樹に通じる淡々とした空気感も大好きな作品で、中盤くらいから一気に伏線を回収しまくる怒涛の展開も止まらなくなる理由です。
(とまそん)

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オフィシャルサイト
@shhh_s
@sheherherhers_official


Wez Atlas


The Artist's Way
Julia Cameron/著

クリエイティブには欠かせない本。この本を読んでからリリックへのアプローチがガラッと変わりました!

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@wezzyatlas
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YAJICO GIRL


草枕
夏目漱石/著

俗世間に疲れた画家の主人公が、芸術について思いを巡らせながら温泉宿を訪れ、そこでただひたすら思索に耽るという小説。
漱石の芸術論が存分に味わえる作品で、数ヶ月に一度は読み返す愛読書です。少し難しい部分もありますが、アートやエンタメが好きな人ならハッとする文章が沢山あると思いますし、適当にページを開いてどこから読み進めても面白く読めるので、移動時間にもおすすめです。
(四方 颯人)

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オフィシャルサイト
@YAJICOGIRL
@yajicogirl



いかがでしたか?それぞれジャンルやストーリーの違う本を紹介していただきました。スマホやタブレットを使って本を読む機会も増えてきましたがこの機会にぜひ、現物の"文庫本"を手にとって読んでみるのも良いかもしれません。アーティストによるホラー映画のおすすめ記事もぜひチェックしてください!

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