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2022.07.24
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! Fake Creators・Solgasa・YAJICO GIRLほか全19作品 -2022.07.23-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:7月18日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!この中で私はhyouが好きです!
金子:良い声ですよね。
MISATO:人物像がまだはっきりとしてないところも魅力的ですね。
金子:気になります。
MISATO:そしてはじめましてさんがいらっしゃいまして、Velvet Sighs!
金子: 2019年に東京で結成された3ピースのバンドです。Velvet Sighsの"Sighs"は"ため息"という意味ですけど、「嬉しいため息や悲しいため息があるように、いろんな面を持つことから名付けられた」バンド名とのことです。この曲についてはセルフライナーノーツも届いていて、「悪の思考に支配され自分がこの世で開放されていることに危険を感じ、どこかに拘束されていた方が、存在しない方が、死んだ方がマシだと思い込む葛藤の曲」。
MISATO:なんと!これを一文に落とし込むのも素晴らしい感性だと思います。
金子:音楽的にはめちゃめちゃキャッチーで、この曲はデモテープの審査会議で初めて聴いたんですけど。
MISATO:そうなんですね!
金子:とてもキャッチーで良い曲だなと思いました。サウンド的には90年代のオルタナ感がありつつ、メロのキャッチーさは2000年代ポップ・パンクのレベルで、時代的にもすごく合うなと。それに加えて、こういうメッセージ的な部分についても知ると、より曲の深みが増すし、あとこのバンドは自分たちで過去の曲のMVとかも作っていて。かなりDIYな感じで、いい意味で完成されてはないですけど、応援したくなるバンドだなと思いますね。
MISATO:セルフライナーノーツからもご自身たちの色を濃く反映させたいという気持ちが伝わってくるし、だからこそのDIYでの活動なのかもしれないですね。
金子:"こういうことがやりたい"というのがしっかりあるんでしょうね。
MISATO:そんな感じがします。そしてFake Creatorsの初のEPがリリースされます。
金子:LITEとDÉ DÉ MOUSEによるコラボレーション。フジロックにも出ます。
MISATO:ド深夜の時間帯ですね。これはド深夜に聴きたい!
金子:前回の曲よりもバンド感強めではあったけど、サウンドはやっぱりただのバンドではなく、DÉ DÉ MOUSEを通過してる感じがすごくしてかっこよかったですね。
MISATO:DÉ DÉ MOUSEを通過させているんだけど、少しサイケデリックでヒリヒリする感じとゴワゴワする感じが組み合わさっていますね。ドロドロしている感じもあって(笑)。
金子:あはは。でもその言い方は言い得て妙というか。前の曲が「When You Fake Sleep」で、たぶんマイブラの曲名をもじってるという話をしたのですが、今回の曲名はおそらくですけど「Here Come The Warm Jets」というBrian Enoの曲をもじっていて。
MISATO:そうなんだ!
金子:そういうBrian Eno的な......ゴワゴワしているかわからないけど(笑)、ノイジーでもありつつ、アンビエントな空気みたいなものも意識しているのかなという感じがします。
MISATO:いいな〜。フジロックで観たいな〜。
MISATO:そして1曲お送りするのはどなたでしょうか?
金子:Analogfishをかけようかなと思います。
MISATO:「Radio Star」ですね!
金子:AnalogfishがFRIENDSHIP.から出すのは初めてです。
MISATO:選んでくれて嬉しいですね。
金子:この番組でいろんなバンドのことを好きだと言ってますけど、僕はAnalogfish大好きで、取材をずっとしていたり、付き合いが長いこともあって、FRIENDSHIP.からのリリースは本当に嬉しいなと感じています。今回の曲はニッポン放送でやっている日向坂46の松田好花さんのラジオ番組「日向坂高校放送部」のオープニングテーマになっていて。
MISATO:書き下ろしなんですね。
金子:そうなんです。Analogfishは2013年にオードリーの単独ライブの曲を書き下ろしていて、それはオードリーの若林さんと、オードリーの盟友とも言ってもいい佐藤満春さん、通称サトミツさんという、どきどきキャンプでもあり放送作家としても活躍している方なのですが、その2人がAnalogfishのことが好きで、それで楽曲を頼んだという経緯があります。サトミツさんは日本のロック自体めちゃめちゃ好きで、ご自身でラジオ番組を持って、曲を紹介したりしているような人でもあって、その番組でAnalogfishもかけたりしていて。
MISATO:そういうイメージあります。
金子:で、その単独ライブの曲を書き下ろしたときから結構な時間を経て、今回その日向坂46の松田さんの番組にもサトミツさんが関わっていて、「ひさしぶりにAnalogfishに曲を書いてもらいたい!」となって、今回の書き下ろしに至るという。
MISATO:何年越しものストーリーがあるわけですね。やはり歌詞を読んでいても、「深夜ラジオ好きなんだな」という感じがありますね。
金子:みんなのラジオ愛が詰まっていますよね。松田好花さんもめちゃめちゃラジオが大好きな子で、だからこそサトミツさんと馬が合って、アイドルなのに放送作家目線を持っているような子で(笑)。
MISATO:すごく面白い方ですね。
金子:だから曲名も「Radio Star」で、曲を聴くとThe Bugglesの有名曲のオマージュ的なアレンジになっていたりとか、そういう遊び心も感じられて良い曲だなと思いました。
MISATO:みなさんもこんな深夜に聞いてくださっているので、きっとこの曲ハマるでしょう!
MISATO:続いてPart 2から6作品を紹介しました。リリースおめでとうございます!Solgasaたちがすごいですね!出してくれて嬉しい。
金子:Wez Atlas、michel ko、Sagiri Sólのコラボレーションシングルです。Solgasaのメンバーが8月7日の日曜日に有観客のイベントをやるということで、今週と来週でSolgasaのメンバーによるコラボレーション曲を2週連続でリリースする、その第1弾ということになります。
MISATO:所属のアーティストが3名ずつに分かれたコラボシングルをリリースすると伺っております。
金子:ということは、来週はあの人とあの人とあの人かな?
MISATO:早く言いたいですね(笑)。楽しみにしていてください!
金子:やはりSolgasaはこういうコラボレーションの面白さがいつもありますよね。
MISATO:醍醐味ですね。そして、はじめましてさんが2組います。前身バンド「スクイズメン」を経て結成された3ピースバンド、Episode!
金子:2015年に結成されたバンドです。スクイズメンって名前めちゃくちゃひさしぶりに聞いたなという感じなんですけど、ちょっと調べたらもともと1998年結成のバンドなんですよ。
MISATO:そうなんですね!
金子:2000年代に活躍していて、すごく良いバンドだった印象があるんですけど、音楽性がとても雑多で、「なんて形容していいかわかんないけど、でもすごくかっこいい」というバンドだったんですよね。そこからEpisodeになって、やっぱりなんて言っていいかわからないけど、でもすごくかっこいい曲でした(笑)。
MISATO:変わらないということですね(笑)。でも最大級の褒め言葉ですよ。
金子:ご自身たちの資料の中に「90'sのオルタナティブロックを想起させるギターと、サンバやファンクのリズムが融合したサウンド」と書いてあって、たしかにそういう部分もあるなと思いましたし、でもそれだけじゃない要素もかなりある。そのうえでメロディーはとてもキャッチーだし、やはりすごく面白いバンドだなと思いました。
MISATO:セルフライナーノーツの「納得がいかないときに最大音量で聴いてください」というのにすごくグッと来ました。歌詞世界もヒリヒリとした言葉を使っているけど、陽気に落とし込んでいるので聴きやすいですよね。
MISATO:そして、5人組のバンド、路地もはじめましてです。
金子:路地もとても良かったですね。
MISATO:よかったですね。楽曲名は「君はボタニカル」。
金子:このタイトルはおそらく大瀧詠一さんの「君は天然色」をモチーフにしているんだと思うけど、まさにそういうシティ・ポップみたいな感じもありつつ、もう少しバンド感強めな感じで、素敵ですね。5人組で、今回からドラムとして、グソクムズもやっている中島さんが入ってたりとか、「なるほど、そのあたりとも共通する感じあるな」というのもあったし、めちゃ良かったです。
MISATO:夏の季節にぴったりな雰囲気がありますよね。そして、1曲どうしましょうか?
金子:futuresを紹介しようかなと思います。
MISATO:ファースト・フル・アルバムおめでとうございます!
金子:おめでとうございます。2週間前にPictured Resortのアルバムが出ましたけど、FRIENDSHIP.的な夏のイチオシといえば、こちらも忘れちゃいけないって感じで、futuresを選びました。
MISATO:そうですよ〜稼ぎどきです〜(笑)。
金子:Pictured Resortのときも言ってましたね(笑)。改めて紹介すると、2019年から始動した"City Hip Music"を掲げているバンドで、2021年から現在の3人体制になっています。シティ・ポップならぬ"City Hip Music"は、レゲエとかダブをサウンド的には基調にしつつ、よりジャンルレスな広がりも見せながら、歌の感じはそれこそシティ・ポップだったり、ニューミュージックだったり、エバーグリーンな良さも持っているという、いいバンドですね。レゲエとダブということで言うと、やっぱりフィッシュマンズ的なところがあって、それを2020年代に更新しているような感じもあります。あとPart 1でAnalogfishをかけて、その後にfuturesを聴いたら、futuresの楠野さんは歌声もすごく魅力的なんですけど、Analogfishの佐々木さんに通じる部分があるなと思って。佐々木さんも山下達郎とか大瀧詠一とかのラインがすごく好きな人だから、共通するルーツがあって、歌声やメロディーの感じも少し似ているのかなと思いました。そう考えると、フィッシュマンズでAnalogfishだから、「魚・魚だな」みたいな(笑)。
MISATO:サカナ・サカナ・サカナ〜(笑)。
金子:あはは。昨年3ピースの体制になってからコンスタントに曲を発表してきて、その曲たちもアルバムに入ってるんですけど、ただの寄せ集めではなく、ちゃんとリアレンジもされて、今の表現に落とし込まれています。これからかける「Long Night out」という曲は、昨年「Night out」という曲が出ていて、それをリアレンジした曲です。これはまさにフィッシュマンズ的で、「Season」があっての「Long Season」を連想させたんですけど、でも「Season」というコンパクトな曲を「Long Season」という長い曲にしていたのに対して、「Night out」と「Long Night out」って、めちゃ細かい話なんですけど、「Long Night out」の方が短いんですよ。
MISATO:おやおや(笑)。気になる〜。
金子:あくまでリアレンジであって、伸ばしたバージョンではないんだけど、精神的には「Long Season」を受け継いでいて、おそらく「Long」とタイトルにつけたんだろうなと。リスペクトはありつつも、真似をするのではなく、自分たちなりのやり方をしている感じがとても良いなと思いました。
MISATO:では少しコンパクトになったこの曲を聴いていきましょう。
金子:本当に数秒なんだけどね(笑)。
MISATO:アルバムがこのタイミングで出されたのも、きっと大きな意味があるんだろうなという感じがしています。
金子:アルバムタイトルは『What's a future?』で、「futuresとは?」という意味もあるだろうし、「これからの未来にワクワクしたいね」という気持ちも込められているような気がします。良いアルバムでした。
MISATO:最後はPart 3から6作品を紹介しました。リリースおめでとうございます!私はCHAILDが好きでした。
金子:かっこいいですね。踊れますね。
MISATO:3ヶ月連続のリリースとなります。そしてYAJICO GIRLが「寝たいんだ」をリリース。
金子:寝たいですか?
MISATO:もうそういう時間ですよね。もう寝ませんか(笑)?
金子:もう少しだけお付き合いしていただけると(笑)。YAJICO GIRLは毎回歌詞が面白いですよね。
MISATO:面白いですね。
金子:そして音楽的にも毎回進歩しています。5人編成のバンドではあるけれど、もともとコレクティブということを打ち出しているので、サウンド的にはすごく自由で、今回もリズムの変化とかがかなり面白い。曲を出すごとにどんどん幅を広げている感じがすごくします。
MISATO:そうですね。さらにユレニワ!
金子:YAJICO GIRLとユレニワはどっちも「MASH FIGHT!」でグランプリを獲っているので、その2組が並ぶのも面白いですね。ユレニワはミニアルバムがリリースとなります。今作はセカイイチの岩崎慧さんが関わっている作品で、新境地を打ち出しているとのことです。今回の曲に関してはメンバーのコメントが来ていて、「悲壮感、つまりは冷たげで悲しげな世界の中に、勇ましくプロローグのような高揚感や力強さの両側面を感じさせるアレンジメント。冷徹だけど人間らしい気持ち。そんな観点で歌詞を書いています」と。たしかに楽曲的には徐々に盛り上がっていくようなアレンジメントで、後半でノイジーなギターが入ってから開ける感じで、それがまさにプロローグのような、ファンファーレのような高揚感があって、かっこいい曲でした。
MISATO:YAJICOもユレニワもすごく言葉遣いが面白くて、彼ららしいアイデンティティが詰まっている楽曲ですね。
金子:ユレニワの方がよりロックバンドらしいアプローチで、YAJICOはロックバンドという枠を取っ払ってより自由にアレンジしていて、でもどちらもオリジナリティがすごくある。かっこいいですね。
MISATO:言葉的なところでいうと、日向文さんも素晴らしかったですね。今回がEPになります。
金子:日向文さんもやっぱりいいですね。これまでこの番組で紹介してきた曲たちも含めて、パッケージされています。今回の「煙草と共犯者」という曲も言葉がすごく印象的で、歌い出しが〈この頭に響く鈍痛を 人に与えられない虚しさを 煙でなんとか紛らわしてる〉で。
MISATO:良い表現。
金子:痛みとか焦燥感みたいなものが根底にはあるんだけど、それを音楽に昇華している感じがすごくあります。あと、これまでの曲はビートがほとんど入っていないのが彼女の特徴だったりしたんですけど、今回の曲には入っていて。でもやっぱすごく面白い使い方で、ただのビートではないというか、この曲だとバスドラが鳴っていて、その音色自体も面白いんですけど、もしかしたらこの歌詞の〈頭に響く鈍痛〉をバスドラで表しているのかなと思って。
MISATO:なるほど!!
金子:サウンドデザイン自体の面白さもありつつ、それがしっかり言葉ともリンクして世界観が作り上げられていて、やっぱりこの人はそういうところがさすがだなと思うし、どの曲にもそういう面白さが詰まっている作品だと思います。
MISATO:音色の感触のいじり方で、たまにコーラスでボーカルが2つに重なったりとか、実験的なこともされているんですよね。でもそれがすごくシンプルに聴けるというのが、彼女の声の際立つ、ボーカリストとして、シンガー・ソングライターとしてのオリジナリティなのかなというのもありますよね。素晴らしいEPですね。
MISATO:私はEP収録の「逃避計画」も好きでした。
金子:どの曲もタイトルだけでも気になりますよね。
MISATO:素晴らしいセンスをお持ちですよね。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:7月18日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!この中で私はhyouが好きです!
金子:良い声ですよね。
MISATO:人物像がまだはっきりとしてないところも魅力的ですね。
金子:気になります。
MISATO:そしてはじめましてさんがいらっしゃいまして、Velvet Sighs!
金子: 2019年に東京で結成された3ピースのバンドです。Velvet Sighsの"Sighs"は"ため息"という意味ですけど、「嬉しいため息や悲しいため息があるように、いろんな面を持つことから名付けられた」バンド名とのことです。この曲についてはセルフライナーノーツも届いていて、「悪の思考に支配され自分がこの世で開放されていることに危険を感じ、どこかに拘束されていた方が、存在しない方が、死んだ方がマシだと思い込む葛藤の曲」。
MISATO:なんと!これを一文に落とし込むのも素晴らしい感性だと思います。
金子:音楽的にはめちゃめちゃキャッチーで、この曲はデモテープの審査会議で初めて聴いたんですけど。
MISATO:そうなんですね!
金子:とてもキャッチーで良い曲だなと思いました。サウンド的には90年代のオルタナ感がありつつ、メロのキャッチーさは2000年代ポップ・パンクのレベルで、時代的にもすごく合うなと。それに加えて、こういうメッセージ的な部分についても知ると、より曲の深みが増すし、あとこのバンドは自分たちで過去の曲のMVとかも作っていて。かなりDIYな感じで、いい意味で完成されてはないですけど、応援したくなるバンドだなと思いますね。
MISATO:セルフライナーノーツからもご自身たちの色を濃く反映させたいという気持ちが伝わってくるし、だからこそのDIYでの活動なのかもしれないですね。
金子:"こういうことがやりたい"というのがしっかりあるんでしょうね。
MISATO:そんな感じがします。そしてFake Creatorsの初のEPがリリースされます。
金子:LITEとDÉ DÉ MOUSEによるコラボレーション。フジロックにも出ます。
MISATO:ド深夜の時間帯ですね。これはド深夜に聴きたい!
金子:前回の曲よりもバンド感強めではあったけど、サウンドはやっぱりただのバンドではなく、DÉ DÉ MOUSEを通過してる感じがすごくしてかっこよかったですね。
MISATO:DÉ DÉ MOUSEを通過させているんだけど、少しサイケデリックでヒリヒリする感じとゴワゴワする感じが組み合わさっていますね。ドロドロしている感じもあって(笑)。
金子:あはは。でもその言い方は言い得て妙というか。前の曲が「When You Fake Sleep」で、たぶんマイブラの曲名をもじってるという話をしたのですが、今回の曲名はおそらくですけど「Here Come The Warm Jets」というBrian Enoの曲をもじっていて。
MISATO:そうなんだ!
金子:そういうBrian Eno的な......ゴワゴワしているかわからないけど(笑)、ノイジーでもありつつ、アンビエントな空気みたいなものも意識しているのかなという感じがします。
MISATO:いいな〜。フジロックで観たいな〜。
MISATO:そして1曲お送りするのはどなたでしょうか?
金子:Analogfishをかけようかなと思います。
MISATO:「Radio Star」ですね!
金子:AnalogfishがFRIENDSHIP.から出すのは初めてです。
MISATO:選んでくれて嬉しいですね。
金子:この番組でいろんなバンドのことを好きだと言ってますけど、僕はAnalogfish大好きで、取材をずっとしていたり、付き合いが長いこともあって、FRIENDSHIP.からのリリースは本当に嬉しいなと感じています。今回の曲はニッポン放送でやっている日向坂46の松田好花さんのラジオ番組「日向坂高校放送部」のオープニングテーマになっていて。
MISATO:書き下ろしなんですね。
金子:そうなんです。Analogfishは2013年にオードリーの単独ライブの曲を書き下ろしていて、それはオードリーの若林さんと、オードリーの盟友とも言ってもいい佐藤満春さん、通称サトミツさんという、どきどきキャンプでもあり放送作家としても活躍している方なのですが、その2人がAnalogfishのことが好きで、それで楽曲を頼んだという経緯があります。サトミツさんは日本のロック自体めちゃめちゃ好きで、ご自身でラジオ番組を持って、曲を紹介したりしているような人でもあって、その番組でAnalogfishもかけたりしていて。
MISATO:そういうイメージあります。
金子:で、その単独ライブの曲を書き下ろしたときから結構な時間を経て、今回その日向坂46の松田さんの番組にもサトミツさんが関わっていて、「ひさしぶりにAnalogfishに曲を書いてもらいたい!」となって、今回の書き下ろしに至るという。
MISATO:何年越しものストーリーがあるわけですね。やはり歌詞を読んでいても、「深夜ラジオ好きなんだな」という感じがありますね。
金子:みんなのラジオ愛が詰まっていますよね。松田好花さんもめちゃめちゃラジオが大好きな子で、だからこそサトミツさんと馬が合って、アイドルなのに放送作家目線を持っているような子で(笑)。
MISATO:すごく面白い方ですね。
金子:だから曲名も「Radio Star」で、曲を聴くとThe Bugglesの有名曲のオマージュ的なアレンジになっていたりとか、そういう遊び心も感じられて良い曲だなと思いました。
MISATO:みなさんもこんな深夜に聞いてくださっているので、きっとこの曲ハマるでしょう!
New Release Digest Part 2
MISATO:続いてPart 2から6作品を紹介しました。リリースおめでとうございます!Solgasaたちがすごいですね!出してくれて嬉しい。
金子:Wez Atlas、michel ko、Sagiri Sólのコラボレーションシングルです。Solgasaのメンバーが8月7日の日曜日に有観客のイベントをやるということで、今週と来週でSolgasaのメンバーによるコラボレーション曲を2週連続でリリースする、その第1弾ということになります。
MISATO:所属のアーティストが3名ずつに分かれたコラボシングルをリリースすると伺っております。
金子:ということは、来週はあの人とあの人とあの人かな?
MISATO:早く言いたいですね(笑)。楽しみにしていてください!
金子:やはりSolgasaはこういうコラボレーションの面白さがいつもありますよね。
MISATO:醍醐味ですね。そして、はじめましてさんが2組います。前身バンド「スクイズメン」を経て結成された3ピースバンド、Episode!
金子:2015年に結成されたバンドです。スクイズメンって名前めちゃくちゃひさしぶりに聞いたなという感じなんですけど、ちょっと調べたらもともと1998年結成のバンドなんですよ。
MISATO:そうなんですね!
金子:2000年代に活躍していて、すごく良いバンドだった印象があるんですけど、音楽性がとても雑多で、「なんて形容していいかわかんないけど、でもすごくかっこいい」というバンドだったんですよね。そこからEpisodeになって、やっぱりなんて言っていいかわからないけど、でもすごくかっこいい曲でした(笑)。
MISATO:変わらないということですね(笑)。でも最大級の褒め言葉ですよ。
金子:ご自身たちの資料の中に「90'sのオルタナティブロックを想起させるギターと、サンバやファンクのリズムが融合したサウンド」と書いてあって、たしかにそういう部分もあるなと思いましたし、でもそれだけじゃない要素もかなりある。そのうえでメロディーはとてもキャッチーだし、やはりすごく面白いバンドだなと思いました。
MISATO:セルフライナーノーツの「納得がいかないときに最大音量で聴いてください」というのにすごくグッと来ました。歌詞世界もヒリヒリとした言葉を使っているけど、陽気に落とし込んでいるので聴きやすいですよね。
MISATO:そして、5人組のバンド、路地もはじめましてです。
金子:路地もとても良かったですね。
MISATO:よかったですね。楽曲名は「君はボタニカル」。
金子:このタイトルはおそらく大瀧詠一さんの「君は天然色」をモチーフにしているんだと思うけど、まさにそういうシティ・ポップみたいな感じもありつつ、もう少しバンド感強めな感じで、素敵ですね。5人組で、今回からドラムとして、グソクムズもやっている中島さんが入ってたりとか、「なるほど、そのあたりとも共通する感じあるな」というのもあったし、めちゃ良かったです。
MISATO:夏の季節にぴったりな雰囲気がありますよね。そして、1曲どうしましょうか?
金子:futuresを紹介しようかなと思います。
MISATO:ファースト・フル・アルバムおめでとうございます!
金子:おめでとうございます。2週間前にPictured Resortのアルバムが出ましたけど、FRIENDSHIP.的な夏のイチオシといえば、こちらも忘れちゃいけないって感じで、futuresを選びました。
Pictured Resortが最新アルバムについて語ったインタビューをSENSAで公開中!
MISATO:そうですよ〜稼ぎどきです〜(笑)。
金子:Pictured Resortのときも言ってましたね(笑)。改めて紹介すると、2019年から始動した"City Hip Music"を掲げているバンドで、2021年から現在の3人体制になっています。シティ・ポップならぬ"City Hip Music"は、レゲエとかダブをサウンド的には基調にしつつ、よりジャンルレスな広がりも見せながら、歌の感じはそれこそシティ・ポップだったり、ニューミュージックだったり、エバーグリーンな良さも持っているという、いいバンドですね。レゲエとダブということで言うと、やっぱりフィッシュマンズ的なところがあって、それを2020年代に更新しているような感じもあります。あとPart 1でAnalogfishをかけて、その後にfuturesを聴いたら、futuresの楠野さんは歌声もすごく魅力的なんですけど、Analogfishの佐々木さんに通じる部分があるなと思って。佐々木さんも山下達郎とか大瀧詠一とかのラインがすごく好きな人だから、共通するルーツがあって、歌声やメロディーの感じも少し似ているのかなと思いました。そう考えると、フィッシュマンズでAnalogfishだから、「魚・魚だな」みたいな(笑)。
MISATO:サカナ・サカナ・サカナ〜(笑)。
金子:あはは。昨年3ピースの体制になってからコンスタントに曲を発表してきて、その曲たちもアルバムに入ってるんですけど、ただの寄せ集めではなく、ちゃんとリアレンジもされて、今の表現に落とし込まれています。これからかける「Long Night out」という曲は、昨年「Night out」という曲が出ていて、それをリアレンジした曲です。これはまさにフィッシュマンズ的で、「Season」があっての「Long Season」を連想させたんですけど、でも「Season」というコンパクトな曲を「Long Season」という長い曲にしていたのに対して、「Night out」と「Long Night out」って、めちゃ細かい話なんですけど、「Long Night out」の方が短いんですよ。
MISATO:おやおや(笑)。気になる〜。
金子:あくまでリアレンジであって、伸ばしたバージョンではないんだけど、精神的には「Long Season」を受け継いでいて、おそらく「Long」とタイトルにつけたんだろうなと。リスペクトはありつつも、真似をするのではなく、自分たちなりのやり方をしている感じがとても良いなと思いました。
MISATO:では少しコンパクトになったこの曲を聴いていきましょう。
金子:本当に数秒なんだけどね(笑)。
MISATO:アルバムがこのタイミングで出されたのも、きっと大きな意味があるんだろうなという感じがしています。
金子:アルバムタイトルは『What's a future?』で、「futuresとは?」という意味もあるだろうし、「これからの未来にワクワクしたいね」という気持ちも込められているような気がします。良いアルバムでした。
New Release Digest Part 3
MISATO:最後はPart 3から6作品を紹介しました。リリースおめでとうございます!私はCHAILDが好きでした。
金子:かっこいいですね。踊れますね。
MISATO:3ヶ月連続のリリースとなります。そしてYAJICO GIRLが「寝たいんだ」をリリース。
金子:寝たいですか?
MISATO:もうそういう時間ですよね。もう寝ませんか(笑)?
金子:もう少しだけお付き合いしていただけると(笑)。YAJICO GIRLは毎回歌詞が面白いですよね。
MISATO:面白いですね。
金子:そして音楽的にも毎回進歩しています。5人編成のバンドではあるけれど、もともとコレクティブということを打ち出しているので、サウンド的にはすごく自由で、今回もリズムの変化とかがかなり面白い。曲を出すごとにどんどん幅を広げている感じがすごくします。
MISATO:そうですね。さらにユレニワ!
金子:YAJICO GIRLとユレニワはどっちも「MASH FIGHT!」でグランプリを獲っているので、その2組が並ぶのも面白いですね。ユレニワはミニアルバムがリリースとなります。今作はセカイイチの岩崎慧さんが関わっている作品で、新境地を打ち出しているとのことです。今回の曲に関してはメンバーのコメントが来ていて、「悲壮感、つまりは冷たげで悲しげな世界の中に、勇ましくプロローグのような高揚感や力強さの両側面を感じさせるアレンジメント。冷徹だけど人間らしい気持ち。そんな観点で歌詞を書いています」と。たしかに楽曲的には徐々に盛り上がっていくようなアレンジメントで、後半でノイジーなギターが入ってから開ける感じで、それがまさにプロローグのような、ファンファーレのような高揚感があって、かっこいい曲でした。
MISATO:YAJICOもユレニワもすごく言葉遣いが面白くて、彼ららしいアイデンティティが詰まっている楽曲ですね。
金子:ユレニワの方がよりロックバンドらしいアプローチで、YAJICOはロックバンドという枠を取っ払ってより自由にアレンジしていて、でもどちらもオリジナリティがすごくある。かっこいいですね。
MISATO:言葉的なところでいうと、日向文さんも素晴らしかったですね。今回がEPになります。
金子:日向文さんもやっぱりいいですね。これまでこの番組で紹介してきた曲たちも含めて、パッケージされています。今回の「煙草と共犯者」という曲も言葉がすごく印象的で、歌い出しが〈この頭に響く鈍痛を 人に与えられない虚しさを 煙でなんとか紛らわしてる〉で。
MISATO:良い表現。
金子:痛みとか焦燥感みたいなものが根底にはあるんだけど、それを音楽に昇華している感じがすごくあります。あと、これまでの曲はビートがほとんど入っていないのが彼女の特徴だったりしたんですけど、今回の曲には入っていて。でもやっぱすごく面白い使い方で、ただのビートではないというか、この曲だとバスドラが鳴っていて、その音色自体も面白いんですけど、もしかしたらこの歌詞の〈頭に響く鈍痛〉をバスドラで表しているのかなと思って。
MISATO:なるほど!!
金子:サウンドデザイン自体の面白さもありつつ、それがしっかり言葉ともリンクして世界観が作り上げられていて、やっぱりこの人はそういうところがさすがだなと思うし、どの曲にもそういう面白さが詰まっている作品だと思います。
MISATO:音色の感触のいじり方で、たまにコーラスでボーカルが2つに重なったりとか、実験的なこともされているんですよね。でもそれがすごくシンプルに聴けるというのが、彼女の声の際立つ、ボーカリストとして、シンガー・ソングライターとしてのオリジナリティなのかなというのもありますよね。素晴らしいEPですね。
MISATO:私はEP収録の「逃避計画」も好きでした。
金子:どの曲もタイトルだけでも気になりますよね。
MISATO:素晴らしいセンスをお持ちですよね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.