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2022.07.21
6月から全国を回ってきたユレニワのツアー「JURENIWA IS EARTH TOUR 2022」ファイナルが7月10日、新宿Marbleで行われた。ライブ会場限定のミニアルバム『あかるい透明』を携えて繰り広げられたツアーは各地対バン形式で開催されてきたが、このファイナルはワンマンライブである。この日のライブ中にメンバーが語ったところによれば車中泊あり自炊ありのハードなツアーだったようだが、それだけにツアーを完走した達成感とその中で得た手応えは格別だったのだろう。Marbleのステージに立った4人はみんな充実した表情で熱のこもった演奏を繰り広げてくれた。
SEに乗せてメンバーが登場すると、オーディエンスで埋まったフロアから拍手が巻き起こる。最後に登場したシロナカムラはサングラスをかけてノリノリだ。そこからパンド全員で爆音を鳴らすと、力強いリフとビートが耳をつんざく。一曲目は「Birthday」だ。動と静の鮮やかなコントラストがエモーショナルにMarbleの空気を染め上げていく。ストロボライトが点滅する中、一心不乱に轟音をかき鳴らせば、いきなりクライマックスのような高揚感がやってくる。
だが、当たり前だがここからが本番。のっけから記録した自己新記録を更新していくかのように、バンドのテンションは高まっていく。軽快なリズムで突っ走る「遺書」ではギターのメロディアスなフレージングがシロの歌声の背中を押し、「Lilac」では宮下レジナルドのベースがどっしりとしたグルーヴを牽引。曲ごとに異なる顔を見せながら広がり続けるユレニワの音楽世界の一端を垣間見せる。「めっちゃ人いるね。みんな、来てくれてありがとう!」。3曲を終えてRENJUが口を開く。「今日が最終日ですが、すごく楽しいツアーです」とシロが続く。前述のとおり、さまざまな苦労をしながら回ったツアーの思い出を語ると、彼は「音楽でも音楽以外でもいろいろなことがあって、勉強しながら回れた」と胸を張った。
フロアからハンズクラップが巻き起こった「まじまいえんじぇる」から曲名をシロが絶叫して「Cherie」に突入すると、さらに複雑怪奇な展開を轟音とテンションでぶち抜いてみせる「だらしないね」へ。どかどかと打ち鳴らされるRENJUのキックドラムにけしかけられるように、シロのヴォーカルが感情を爆発させれば、今度はフロアからはいくつもの拳が突き上げられる。ステージとフロアを包み込む一体感が掛け算のように膨れ上がっていく。「昔の曲やります」というシロの一言から始まったのは「チョコレート」。切なく叙情的なメロディでそれまでの空気を変えると、ゆったりとしたリズムが心地よい「Bianca」へ。歌い上げるシロの声を、繊細な種谷佳輝のギターと宮下のベースが支える。ひとつひとつ音符を置いていくような丁寧な演奏が映画のように物語を描き出していった。
一転、暗転したステージからシーケンスが流れ、スケールの大きなドラムのサウンドとともに始まったのは「まぼろしの夜に」だ。種谷の弾くシンセサイザーがその景色をさらに広げると、アウトロでは全員が体を激しく揺らしながら楽器を弾き倒す圧巻の展開に息を呑んだ。そして、シロの「このツアーでより大好きになった曲をやります」と始まったのは「恋人たちのヒム」。ディスコビートに乗せて、どこまでも高みに登っていくような美しい楽曲である。ギターを置いてスタンドマイクで歌うシロ。ベースを刻む宮下もハードなソロを決めた種谷も笑顔だ。もちろんそれはフロアも同様。3月にリリースされてから半年あまり。この曲はすっかりユレニワのアンセムになっていた。
そろそろライブも終盤にさしかかり、シロが口を開く。「何年前だろうか。2018年くらいだったかな。コロナに入る前、ここの景色を思い出す。もっとみんな、今より気分が楽そうだった。じゃあ今は暗いかと言ったらそんなことはない。今はもっと真実を見つめようと頑張っている、そんな目をしている。僕はステージから見てそう思う。音楽のライブだから、音楽をとおして愛を伝えたいし、感謝を伝えたい......そんなんじゃないな。おこがましいもんな。言葉が安易なんだよな。俺、一生懸命歌うから。俺の頭じゃ言葉にならない部分をたくさん歌に詰め込むから。その目のままで聴いてください」。
言葉を探すようにして紡がれた言葉。そうして彼が歌い始めたのは「バージン輿論」。弾き語りからバンドが入ってきてステージが明るく照らし出された瞬間、そしてその音が一気にスピードを上げて眩い光を放った瞬間、さっきのシロの言葉がなんだか理屈を超えてわかるような気がした。この日のライブずっとそうだったが、そこには「言葉にならない」熱のようなものが確かにあったからだ。そのまま「音楽を永遠にしよう」と言い放ち「革命児」を披露。シロの「ラララ」に合わせて手拍子が鳴り渡ると、RENJUは「めっちゃいいわ!」と太鼓判だ。『あかるい透明』収録のシンプルなロックンロール「purple」を軽快に鳴らすと、「終わるのが嫌です」とシロが素直な感想を口にする。それくらい充実したツアー、そしてこのファイナルだったのだろう。「でもこのツアーを超えていかないといけないから、常に」と決意を新たにして、本編最後に演奏したのは「知りたい」だった。
アンコールではグッズ紹介を挟んで、バンド史上最大規模のとあるインフォメーションが為された。詳細は現在ユレニワ公式LINEオープンチャット内限定でアナウンスされているとのことなので、気になる方は是非チェックしてみては。そしてMCに続く形で「あばよ、ビューティー」の美しいメロディと迫力あるサイケデリアを響かせると、最後に「阿呆」。メンバー4人とオーディエンス、全員がすべてのエネルギーを注ぎ込んで生まれた一体感が美しい風景を描き出した。その後もダブルアンコールに応えて再びステージに戻ってきた4人。ドッカンドッカンと鳴らされるビートとともに、ギターのノイズがほとばしる「PLAY」を繰り出すと、ツアーファイナルは本当の大団円を迎えたのだった。
文:小川智宏
撮影:マチダナオ
ユレニワ「あかるい透明」
2022年7月20日(水)
Format: Digital / 会場限定CD
Label:MASH A&R
1. 知りたい
2. まじまいえんじぇる
3. purple
4. 恋人たちのヒム
試聴はこちら
@JURENIWA
SEに乗せてメンバーが登場すると、オーディエンスで埋まったフロアから拍手が巻き起こる。最後に登場したシロナカムラはサングラスをかけてノリノリだ。そこからパンド全員で爆音を鳴らすと、力強いリフとビートが耳をつんざく。一曲目は「Birthday」だ。動と静の鮮やかなコントラストがエモーショナルにMarbleの空気を染め上げていく。ストロボライトが点滅する中、一心不乱に轟音をかき鳴らせば、いきなりクライマックスのような高揚感がやってくる。
だが、当たり前だがここからが本番。のっけから記録した自己新記録を更新していくかのように、バンドのテンションは高まっていく。軽快なリズムで突っ走る「遺書」ではギターのメロディアスなフレージングがシロの歌声の背中を押し、「Lilac」では宮下レジナルドのベースがどっしりとしたグルーヴを牽引。曲ごとに異なる顔を見せながら広がり続けるユレニワの音楽世界の一端を垣間見せる。「めっちゃ人いるね。みんな、来てくれてありがとう!」。3曲を終えてRENJUが口を開く。「今日が最終日ですが、すごく楽しいツアーです」とシロが続く。前述のとおり、さまざまな苦労をしながら回ったツアーの思い出を語ると、彼は「音楽でも音楽以外でもいろいろなことがあって、勉強しながら回れた」と胸を張った。
フロアからハンズクラップが巻き起こった「まじまいえんじぇる」から曲名をシロが絶叫して「Cherie」に突入すると、さらに複雑怪奇な展開を轟音とテンションでぶち抜いてみせる「だらしないね」へ。どかどかと打ち鳴らされるRENJUのキックドラムにけしかけられるように、シロのヴォーカルが感情を爆発させれば、今度はフロアからはいくつもの拳が突き上げられる。ステージとフロアを包み込む一体感が掛け算のように膨れ上がっていく。「昔の曲やります」というシロの一言から始まったのは「チョコレート」。切なく叙情的なメロディでそれまでの空気を変えると、ゆったりとしたリズムが心地よい「Bianca」へ。歌い上げるシロの声を、繊細な種谷佳輝のギターと宮下のベースが支える。ひとつひとつ音符を置いていくような丁寧な演奏が映画のように物語を描き出していった。
一転、暗転したステージからシーケンスが流れ、スケールの大きなドラムのサウンドとともに始まったのは「まぼろしの夜に」だ。種谷の弾くシンセサイザーがその景色をさらに広げると、アウトロでは全員が体を激しく揺らしながら楽器を弾き倒す圧巻の展開に息を呑んだ。そして、シロの「このツアーでより大好きになった曲をやります」と始まったのは「恋人たちのヒム」。ディスコビートに乗せて、どこまでも高みに登っていくような美しい楽曲である。ギターを置いてスタンドマイクで歌うシロ。ベースを刻む宮下もハードなソロを決めた種谷も笑顔だ。もちろんそれはフロアも同様。3月にリリースされてから半年あまり。この曲はすっかりユレニワのアンセムになっていた。
そろそろライブも終盤にさしかかり、シロが口を開く。「何年前だろうか。2018年くらいだったかな。コロナに入る前、ここの景色を思い出す。もっとみんな、今より気分が楽そうだった。じゃあ今は暗いかと言ったらそんなことはない。今はもっと真実を見つめようと頑張っている、そんな目をしている。僕はステージから見てそう思う。音楽のライブだから、音楽をとおして愛を伝えたいし、感謝を伝えたい......そんなんじゃないな。おこがましいもんな。言葉が安易なんだよな。俺、一生懸命歌うから。俺の頭じゃ言葉にならない部分をたくさん歌に詰め込むから。その目のままで聴いてください」。
言葉を探すようにして紡がれた言葉。そうして彼が歌い始めたのは「バージン輿論」。弾き語りからバンドが入ってきてステージが明るく照らし出された瞬間、そしてその音が一気にスピードを上げて眩い光を放った瞬間、さっきのシロの言葉がなんだか理屈を超えてわかるような気がした。この日のライブずっとそうだったが、そこには「言葉にならない」熱のようなものが確かにあったからだ。そのまま「音楽を永遠にしよう」と言い放ち「革命児」を披露。シロの「ラララ」に合わせて手拍子が鳴り渡ると、RENJUは「めっちゃいいわ!」と太鼓判だ。『あかるい透明』収録のシンプルなロックンロール「purple」を軽快に鳴らすと、「終わるのが嫌です」とシロが素直な感想を口にする。それくらい充実したツアー、そしてこのファイナルだったのだろう。「でもこのツアーを超えていかないといけないから、常に」と決意を新たにして、本編最後に演奏したのは「知りたい」だった。
アンコールではグッズ紹介を挟んで、バンド史上最大規模のとあるインフォメーションが為された。詳細は現在ユレニワ公式LINEオープンチャット内限定でアナウンスされているとのことなので、気になる方は是非チェックしてみては。そしてMCに続く形で「あばよ、ビューティー」の美しいメロディと迫力あるサイケデリアを響かせると、最後に「阿呆」。メンバー4人とオーディエンス、全員がすべてのエネルギーを注ぎ込んで生まれた一体感が美しい風景を描き出した。その後もダブルアンコールに応えて再びステージに戻ってきた4人。ドッカンドッカンと鳴らされるビートとともに、ギターのノイズがほとばしる「PLAY」を繰り出すと、ツアーファイナルは本当の大団円を迎えたのだった。
文:小川智宏
撮影:マチダナオ
RELEASE INFORMATION
ユレニワ「あかるい透明」
2022年7月20日(水)
Format: Digital / 会場限定CD
Label:MASH A&R
1. 知りたい
2. まじまいえんじぇる
3. purple
4. 恋人たちのヒム
試聴はこちら
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オフィシャルサイト@JURENIWA