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2022.07.21
鳴っている音、全てが愛しい。まるで陽だまりのような音楽。The Chimney Sweeper、POINT HOPEのメンバーでもあるAyumi Nakamuraのソロアルバム『Strata』を聴きながらこの数年間のことを考える。強制的に外に出ることが出来なくなり、ゆっくり陽を浴びることも減り、物理的に身体は休まったとしても心が休まる瞬間なんて殆どなかった。僕らの生活の殆どであり、僕らのアイデンティティともいえる音楽が糾弾される時期もあった。歌うことを禁止される日がくるなんて思ってもいなかった。そんなときでもやっぱり僕らの傍にあったのは音楽だった。当たり前が当たり前じゃなくなり、日々価値観は更新され、何歩後ろに下がったか分からないけれど、それでも足だけは前に進めようとしていた。一歩でも半歩でも前に。そうやって前を見て来た僕らは、音楽は、2022年、新しい靴を履いて騒がしい朝を迎える時期に立っている。
そんな中で届いたAyumi Nakamuraのアルバムに地層を意味する『Strata』と名付けられていることにも心が反応した。人類の歴史の中で転機になったことはきっと僕らの想像以上に沢山あって、そのときそのときで、そこに生きていた人たちの生活や想いや記憶が地層となって今に繋がっていて、それはこの先の未来の人たちにまで今度は僕らが地層となって繋いでいくものなのかなと思ったりする。アルバム冒頭の「Morning」「Unicorns」のエモーショナルでドリーミーな音像に、そうやって何度も繰り返してきた人類の歴史に思いを馳せる。〈小さな明かりを追いかける〉と綴られた「Little Lights」では今の時期だからこそドンピシャで共感するけれど、それはとても普遍的なものでもあって、僕らはずっと夢を見ているし、小さな明かりを追いかけて生きている。その鼓動を見事に表現した中川航( sans visage, くだらない一日 etc.)のドラムにも心拍数がリンクする。「Phantom」でみせるキーボードの長島による世界観の作り方、気持ちが晴れるようなサウンドで「Kuten」を彩るクボ(Janflu)のギター、アルバム全体を支えるサトウヒナコ(くぐり)のベースと、それぞれの光が、全ての光がぶつかりあうことで生まれる音楽。そして全身でその光を浴びながら伸びやかに歌うAyumi Nakamuraの歌。そんなの聴いているだけで嬉しくなってしまう。
いつか終わりが来ても僕らが生きた軌跡はなくならない。昨日が今日になって今日が明日になって明日が来年、10年、100年後になって、そうやって夜明けを繰り返しながらまた僕らは新しい靴を履いて、騒がしい朝を迎える。「New Yearʼs Eve」「Blue Yonder」で歌われているように、いつか終わりが来たとしても眩しいまでの影や声は地層となって次の世代に繋がっていくだろう。景色が変わることやいつか何かを忘れてしまうことが怖かったけれど、このアルバムを聴き終えて確信したのは、それすら愛して今を生きることで次の世代に伝えたい何かが芽生えたこと。さあ次へ行こう。
文:柴山順次
Ayumi Nakamura「Strata」
2022年7月15日(金)
Format:Digital
Label:ungulates
Track:
1.Morning
2.Unicorns
3.Little Lights
4.Phantom
5.Kuten
6.New Year's Eve
7.Blue Yonder
試聴はこちら
名古屋 金山 BRAZIL COFFEE
w/スーベニア、ムルヒ、石川丈
2022年8月12日(金)
大阪 心斎橋CONPASS
w/Barbara、Noranekoguts、ui、Khaki
2022年8月13日(土)
京都 二条GROWLY
w/パラメヒコ、littlegirlhiace、MEGA X、Amsterdamned、LADY FLASH
2022年8月14日(日)
東京 渋谷HOME
w/meatmountain、MINAKEKKE、Khaki
FRIENDSHIP.
そんな中で届いたAyumi Nakamuraのアルバムに地層を意味する『Strata』と名付けられていることにも心が反応した。人類の歴史の中で転機になったことはきっと僕らの想像以上に沢山あって、そのときそのときで、そこに生きていた人たちの生活や想いや記憶が地層となって今に繋がっていて、それはこの先の未来の人たちにまで今度は僕らが地層となって繋いでいくものなのかなと思ったりする。アルバム冒頭の「Morning」「Unicorns」のエモーショナルでドリーミーな音像に、そうやって何度も繰り返してきた人類の歴史に思いを馳せる。〈小さな明かりを追いかける〉と綴られた「Little Lights」では今の時期だからこそドンピシャで共感するけれど、それはとても普遍的なものでもあって、僕らはずっと夢を見ているし、小さな明かりを追いかけて生きている。その鼓動を見事に表現した中川航( sans visage, くだらない一日 etc.)のドラムにも心拍数がリンクする。「Phantom」でみせるキーボードの長島による世界観の作り方、気持ちが晴れるようなサウンドで「Kuten」を彩るクボ(Janflu)のギター、アルバム全体を支えるサトウヒナコ(くぐり)のベースと、それぞれの光が、全ての光がぶつかりあうことで生まれる音楽。そして全身でその光を浴びながら伸びやかに歌うAyumi Nakamuraの歌。そんなの聴いているだけで嬉しくなってしまう。
いつか終わりが来ても僕らが生きた軌跡はなくならない。昨日が今日になって今日が明日になって明日が来年、10年、100年後になって、そうやって夜明けを繰り返しながらまた僕らは新しい靴を履いて、騒がしい朝を迎える。「New Yearʼs Eve」「Blue Yonder」で歌われているように、いつか終わりが来たとしても眩しいまでの影や声は地層となって次の世代に繋がっていくだろう。景色が変わることやいつか何かを忘れてしまうことが怖かったけれど、このアルバムを聴き終えて確信したのは、それすら愛して今を生きることで次の世代に伝えたい何かが芽生えたこと。さあ次へ行こう。
文:柴山順次
RELEASE INFORMATION
Ayumi Nakamura「Strata」
2022年7月15日(金)
Format:Digital
Label:ungulates
Track:
1.Morning
2.Unicorns
3.Little Lights
4.Phantom
5.Kuten
6.New Year's Eve
7.Blue Yonder
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
2022年8月11日(木・祝)名古屋 金山 BRAZIL COFFEE
w/スーベニア、ムルヒ、石川丈
2022年8月12日(金)
大阪 心斎橋CONPASS
w/Barbara、Noranekoguts、ui、Khaki
2022年8月13日(土)
京都 二条GROWLY
w/パラメヒコ、littlegirlhiace、MEGA X、Amsterdamned、LADY FLASH
2022年8月14日(日)
東京 渋谷HOME
w/meatmountain、MINAKEKKE、Khaki
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オフィシャルサイトFRIENDSHIP.