SENSA

2022.02.12

polly「Pray Pray Pray」──轟音の音の渦に見つけた清らかな祈りの歌声、「生」への確かな手触り

polly「Pray Pray Pray」──轟音の音の渦に見つけた清らかな祈りの歌声、「生」への確かな手触り

清くて強い。一聴した率直な印象はそれだ。祈りをタイトルに据えたこのアルバムは強烈に「死」や「別れ」を主題に据えているにもかかわらず、冬の朝日が窓辺に射すような静謐な光を放っている。それは圧倒的にアルバム全体を通して、生への拘泥を感じさせてくれるからだ。pollyはこれまでも様々なジャンルを内包させた音楽を制作してきたが、今作は特にシンフォニックでありながらも主旋律を際立たせるような演奏やMIXが印象的だ。どれだけ音圧が高かろうが、ギターが歪んでいようが、あくまで「歌」を伝えることを大切にしているように感じられる。

不思議なことにより壮大でサウンドスケープがシンフォニックになればなるほど、主旋律の美しさが際立つという相乗効果を生んでいるのだ。例えば、轟音のノイズのなかで、突き動かすように心の芯に触れていくようなM1-3の怒涛の流れ。ふとメロディーだけが際立つ瞬間、歌詞を読まなくとも、ボーカル・越雲の歌声が所々ふと深く刺さって聴こえてくる。

何と言ってもアルバム前半の白眉はM4の「窓辺」だろう。メロディーラインをより強く打ち出し、歌を聴かせることに意欲的で強度や深度を保ったまま、開けた音が鳴っている。アルバム後編では、鉄琴の音が印象的に映えるM7「one」を挟みながら、再び広がりを見せる「Farewell Farewell」。再生を想起させる心臓の鼓動のような幕開けから ラストトラック「silence(remaster)」ではBon Iverを彷彿させるボーカル加工が施され、「死や別れ」という主題に徹底的に向き合った先の確かな生き抜くための手触りや自然と湧き上がってくる覚悟を感じさせる。

〈またいつか出会えるだろう いき終えたその先で〉

まずは、音に、そして不意に胸を鷲掴みにされるような切実な言葉に耳を傾けて欲しい。絶望や虚無を見つめた先に辿り着いた清らかな強さを抱いたpollyの珠玉作「pray」に込められた祈りは誰かの心の暗がりにそっと明かりを灯してくれるだろう。

文:冨手公嘉




RELEASE INFORMATION

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polly「Pray Pray Pray」
2022年2月2日(水)
Format: Digital
Label:14HOUSE.

Track:
1. Laugher(feat.志水美日)
2. Light us
3. A.O.T.O.
4. 窓辺
5. Daybreak
6. 愛している
7. one
8. Farewell Farewell
9. Yours
10. Life goes on
11. silence(remaster)

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PROFILE

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polly
越雲(Vo,Gt,Pg)を中心に2012年宇都宮にて結成された4人組。
海外の様々なジャンルを消化したサウンドとJ-Popにも精通する耳馴染みの良いメロディを軸とし、リリース毎に変化を見せている。
2015年6月、DAIZAWA RECORDS / UK.PROJECTよりデビュー。
2020年9月、自主レーベル"14HOUSE.(フォーティーンハウス)"を設立。


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