SENSA

2021.11.15

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


MISATO:11月8日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、まずは前半10作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!エスキベルからのKill The Gossipの男臭い感じとか最高でしたね。

金子:結構ゴリゴリした音が多かったですよね。ayutthayaもね。

MISATO:そうですね。

金子gatoもリアレンジだから、いつものエレクトロニックな感じじゃなくて、結構バンドサウンドでしたね。かっこよかったです。



MISATO:すごくよかった。そんな中、我らがユアネスの先行シングル第2弾リリース、おめでとうございます!

金子:12月に出るアルバム『6 case』からの先行第2弾ということで。この前の「アミュレット」はユアネスらしいロックナンバーだったのに対して、今回は「あれ?これユアネス?」っていう。

MISATO:ちょっと確認しましたよね?

金子:シティポップ風というか、nemoiさんという女性ボーカリストをフィーチャリングに迎えての曲になっています。でも今回のアルバムって、これまでの〈ギターロックバンド〉みたいなところから枠を大きく広げて、どんな曲調をやっても「これが今のユアネスです」という自信が感じられる作品というか。だからこういう曲をやっても、ちょっとやってみましたって感じじゃなくて、ちゃんとユアネス色に染め上げていて、さすがだなと。

MISATO:ツインボーカルになると、その女性の存在感がどれくらいの立ち位置になるかって重要になってくると思うんですけど。nemoiさんの魅力はもちろん出てはいるけど、やっぱりユアネスのボーカルは黒ちゃんなんだなというか、その感覚も再認識させてもらえる、不思議な楽曲ですね。ファン、聞き手とユアネスの関係値というのも再構築されるというか。



金子:ちなみに関係値というと、このタイトルの意味、「49/51」ってなんだと思います?

MISATO:そう、何なんだろうなと思ってて。え、関係値?何ですか?

金子:「50/50(フィフティフィフティ)」っていう言い方あるじゃないですか?

MISATO:は!!そういうこと?

金子:でもここで歌われている男女は、「50/50」じゃなくて「49/51」で、このちょっとしたズレが2人をどう導いていくのか、みたいなね。

MISATO:ヤダ〜。そうか〜惚れたもん負け的なやつね。

金子:っていうことでもあるかもしれない...みたいなことを、古閑くんがさすがの歌詞力で面白く書いてます。

MISATO:そんな大人の世界を黒ちゃんが歌ってるんですか?表現力ありますね〜。

金子:27歳になりましたからね。

MISATO:そうだ!大人だもの。

金子:大人の魅力をね!

MISATO:大人の魅力といえば、なんとORESKABANDがFRIENDSHIP.からリリース!もう大ベテランになりますよ。

金子:2003年結成ですかね?

MISATO:そうですね。高校生ぐらいのときからやってらっしゃいますかね。

金子:スカという音楽性の軸があるからこそ、彼女たちはこれまで本当にワールド・ワイドに活躍してきましたよね。それこそ大先輩でいうと、スカパラがいて、彼らも世界中で活躍してきて、この前オリンピックの閉会式にまで出てましたけど。ORESKABANDもそれに続くような位置にいるというか。そうやってやってきただけの実力が感じられる、完成度の高い、それでいてちゃんとポップで開かれてる曲だなと感じました。



MISATO:スカ感もそこまで全面的に押し出してるわけではないという、今2021年に出すべくして出された曲っていう感じがしますね。さあそんな中1曲ご紹介していきたいのですが。

金子:はい、今週前半はMuscle Soulを紹介しようかなと。

MISATO:Muscle Soulだ!愛知の4人組ですね。

金子:7月に彼らの「Vote It!」という曲を紹介したの覚えてます?投票の歌だったのですが、この前衆院選があったじゃないですか?

MISATO:そうですね。

金子:あのタイミングで「Vote It!」のMusic Videoを公開してて。

MISATO:そうなんですか!やっぱり最高だな〜。


金子:今回ってミュージシャンも「投票行きましょう」とか「行きました」だったり、発言してる人が多くて、それはそれでもちろんいいと思うんだけど、やっぱり音楽で、楽曲で、作品でそういうメッセージを明確に発している人って日本でそんなに多くないと思うから、そういうことをやってるという時点で、Muscle Soulはかっこいいなと思います。

MISATO:Muscle Soulは出るたびに好きになります。最初は「愛知にこういうバンドいるんだ」という、正直そんな認識だったんですけど、どんどん深みにはまってる感じがする、面白いバンドですね。

金子:音楽的にはRadioheadの影響が大きいんだろうなっていう感じがしつつ、それに彼ららしいポストロック、シューゲイザー、ポストパンクとかの色を混ぜて、オリジナルなものにしてる感じがあります。ちなみにRadioheadは2000年と2001年に『Kid A』と『Amnesiac』という2枚のアルバムを続けて出してて、特に『Kid A』は歴史的名盤と呼ばれてるんですけど、その20周年を記念して、2作品を1枚にコンパイルした、『Kid A Mnesia』という作品が今月出るんですよ。

MISATO:え!?買わなきゃ!

金子:『Kid A』も社会にメッセージを発する作品であり、 Radiohead自体がそういうバンドでもあるから、Muscle Soulはそのあたりもちゃんと受け継いで、作品に内包しているなって感じがしています。なので11月前半はRadioheadとMuscle Soulを一緒に聴いていただけると良いんじゃないかなと。



MISATO:歴史的作品と今の作品が20年のときを経て繋がるというのは、それこそ投票を続けて行ったり、自分が選択するものを、自分で選んでいくっていう人たちがいたからこその今というか。歴史は脈々と続くものだというのを見させてもらってる、聴かせてもらってる気がします。

New Release Digest Part 2


MISATO:11月8日週の新譜ダイジェストPart 2をお送りしました!『情緒不安定』な中島涼之介さんに、Wataru FujiwaraMark Diamondを処方したい(笑)。

金子:落ち着きますね(笑)。

MISATO:落ち着きますね〜。本当にほっこりしましたね。Mercy Woodpeckerも良いですね。今回アルバムですか?

金子:はい、『光をあつめて』というアルバムがリリースされました。フィジカルは1週間前に、11月3日に出てるんですけど、10日にデジタルが解禁ということで。いい曲多いなと思います。

MISATO:そうですね!

金子:前にも紹介した「さよならスターライト」という曲が、やっぱり一個抜けて名曲だと思うんですけど、でもアルバム全体聴いてみても粒揃いで、いい曲書くバンドだなって思いました。先週peelingwardsのリリースがあって、それにあわせて「Mercy Woodpecker、ちょっとcinema staffっぽいかも」みたいなことを、さらっと言ったと思うんですけど、案外間違ってなかったというか。Mercy Woodpeckerは90年代のエモとかにも影響を受けているらしく、cinema staffもそのあたりがルーツなので、だから似てるように感じるんだなと。そしたらcinema staffも先週ひさびさのアルバム『海底より愛をこめて』を出してて、またこれも一緒に聴いてくださいパターンです(笑)。



MISATO:すごい!セットで聴くといいですね。同じルーツを持ったバンドが、それぞれ自分たちでどういう風に消化してるのか、聴き比べができそうですね。さらにpollyが8ヶ月ぶりにシングルです。

金子:pollyも最初出てきたときは、「〇〇っぽい」みたいなことをいろいろ言われていたような気もするのですが、キャリアを重ねていく中でどんどんオリジナリティを増していってますね。今回の曲を聴いても、もうpollyでしかないというかね。いわゆるシューケイズサウンドではあるんですけど、1曲の中でいろんな種類の歪みがレイヤーのように入っていて、polly独自のものだなと感じました。



MISATO:さあそんな中で1曲紹介したいのですが。

金子:はい、今週はuruwashiを紹介しようかなと。

MISATO:満を持してのピックアップですね。

金子:先ほどWataru Fujiwaraの名前も出ましたけど、FRIENDSHIP.が誇る多作トラックメーカーの2組といえば、Wataru Fujiwaraとuruwashiみたいなイメージがあって。

MISATO:そうなんですよ!私たちが大好きなuruwashiさんです。

金子:今週はその2組が同時にリリースしてます。で、uruwashiさんは最近だとボイスサンプルを使った曲をリリースしてたんですけど、今回はフィーチャリングで実際のボーカリストと、さらにはギタリストも参加していて、ちょっと新境地というかね。

MISATO:今までリリースされて私たちが紹介してきた楽曲って、もうちょっとデジタルというか、色味的には青とか透明感、冷たさが感じられるような、洗練されたような音質だなと感じたんですけど、今回は木のぬくもりとか暖炉とか、何か温かい感じになっていましたね。それはやっぱりフィーチャリングで迎えたお二方の影響もあるんですかね?

金子:だと思います。ボイスサンプルは無機質だからこその良さが出るけど、ボーカリストを迎えるとその人の声の出し方があって、ギターにしてもそうだろうし、そこが温かみにつながっているんでしょうね。これからの季節にピッタリだなと。

MISATO:肌寒い季節にはuruwashiをお願いします。それでは曲を聴いて温まっていただきましょう。



MISATO:やはりいつもとはちょっと違いますね。どのuruwashiさんも好きだけど。

金子:ボイスサンプルとフィーチャリング、やっぱりそれぞれの色が出ますよね。

MISATO:聴きたくなるシチュエーションが変わりますね。これからの寒い季節、uruwashiさんと乗り越えていきましょう。

今推したいFRIENDSHIP.アーティストを紹介するコーナー「MISATOの推しゴト」

MISATO:FM福岡からお送りしているCurated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO。続いてのコーナーは「MISATOの推しゴト」!やってまいりました、月に1度の「推しゴト」コーナーです。今日はですね、「人」自体を推そうと思って。

金子:ほうほう。

MISATO:松浦大樹という人を推します。She Her Her Hersのドラマーであり、saccharinというソロプロジェクトも行い、TENDRE、LUCKY TAPES、奇妙礼太郎などなど数多くのサポートも手がけているミュージシャンです。She Her Her Hersをきっかけにファンになった人もいれば、ソロプロジェクトを知って、「あ、こういう人なんだ」って思い始めた人もいると思うんですけど、それぞれの良さも結局は松浦大樹の人間性が生み出したものだなと感じていて。彼はどちらでも歌詞を書いていて、She Her Her Hersは音の流れに沿った歌詞の書き方だと思うんですけど、saccharinだと母音の並びはブラックだし、単語選びの精神はパンク。先日出たばかりのsaccharinの新曲は、大正デモクラシーの時代に鳴ってたんじゃないかというような。

金子:あのイントロの感じが印象的ですよね。

MISATO:ただ深層心理にアクセスするという意味では、どちらの歌詞も共通しているなと思っていて。彼は例えるなら、氷山のような人だなぁと。

金子:氷山?その心は?

MISATO:水面から出てる氷山っていうのは、1割が出てるだけで、9割は水面の下にある状態じゃないですか?だからこそ「氷山の一角」という言葉が生まれたりもするんですけど、その氷山ができるにはとってもとっても長い年月と多くの危機と危険を経ていたり、あと実は溶けずに漂流して、バミューダ海域まで行っちゃうこととかあるんですって(笑)。あとは、そこに浮いているだけで生態系に変化をもたらしたりもするらしいんですよ。そういうのって意外と知られてないと思うんですけど、でもその水面下にある9割の部分がすごい深くて、ドラマがあって、物語性が多いっていう...そんな人です(笑)。

金子:最後が急(笑)。

MISATO:まだ全然見えていないんですよ、1割くらいしか。

金子:そもそも松浦さんはShe Her Her Hersやサポートも含めもちろんドラマーだけど、ドラマーで歌詞を書く人ってわりと珍しいじゃないですか?僕は人となりまでは知らないですけど、秘めた情熱だったり、メッセージを持ってる人なんだろうなっていうのは思っていました。

MISATO:無脊椎動物って氷山の周りをうろつくらしいんですよ。あとユキドリは氷山に巣を作るらしいんです。そうやってどんどん人が集まる人なんですよ。

金子:周りの生態系に影響を与えるっていうのはわかる気がします。She Her Her Hersだけでなく、いろんな人のサポートをして、いろんな影響を与えて、松浦さん自身も変わったり、みたいな。

MISATO:まさにまさに。それでバミューダ海域まで行っちゃうんですよ(笑)。

金子:そんなところまで行っちゃうの!? みたいなこともあると(笑)。

MISATO:これまでの彼の活動と出し方は本当に氷山の一角で、これからの9割をこのsaccharinというソロプロジェクトとして出していってくれるんだなあという楽しみがあります。今回の曲はかなりぶち切った曲なので、聴いていただければと思います。



MISATO:ちなみに「サッカリン」って、強い依存性があるため販売停止になった人工甘味料のことで、そこから引っ張ってきてプロジェクト名にしたんですって。

金子:お〜、なるほどね。

MISATO:「接種後に価値観が変わったり、これまでの基本が再構築されたり、新たな視点を発見してもらえたら最高」って本人がおっしゃっておりました。

金子:その感じは曲からもちゃんと伝わりますね。

MISATO:ぜひチェックを!


RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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