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2021.09.03
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!VivaOla・Emerald・Ivy to Fraudulent Gameほか全18作品 -2021.09.01-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:8月30日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、まずは前半9作品ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。いやいや、厚武さんいいですね、今週も!
金子:豊作ですね。全部で18曲。
MISATO:Ivy to Fraudulent Game、久しぶりですね。
金子:アルバム『再生する』以来のリリースで、最近は自主で動いていたんですけど、今回からmurffin discsに所属が決まりまして。sumika、SUPER BEAVER、マカロニえんぴつなどなど、彼らが所属するmurffinにIvyも加わるんですよ!
MISATO:私はちょっと意外だった。
金子:あ、そうですか。俺はちょっとわかるなと思った。
MISATO:どんなところがしっくり来ましたか?
金子:sumikaもSUPER BEAVERもマカロニえんぴつもそれぞれ色は違うけど、ちゃんと歌モノの、言ってみれば王道のロックをそれぞれのスタイルでやってるイメージで、Ivyも色々な要素を持っているものの、芯にあるのは歌モノのロックかなと思って。実際、今回の新曲もかなりストレートだし。
MISATO:それは確かに。murffinだからこその楽曲づくりってところもあるのかなって思いますけど、おっしゃる通り、もともとの根本的な歌モノのロックってところをより前面に押し出した感じの楽曲って感じがしますね。
金子:そうそう、そんな感じがしました。
MISATO:良いタッグですね。
金子:今「タッグ」って言ってくれたように、murffinの中にある mini muff recordsとタッグを組んで、自分たちのブランドfrom ovumを立ち上げて、一緒にやるという形で。
MISATO:すごく今っぽい!良い!
金子:もともとメジャーで活動していた時期があって、自主で活動して、ちゃんとその自主での経験も活かしながら、レーベルとタッグを組んで一緒に活動していく。なおかつ、デジタルはもちろんFRIENDSHIP.からのリリースということで、本当にすごく今っぽい形ですよね。
MISATO:盤石の布陣。それぞれの良さというか、「餅は餅屋」じゃないけど、そういうところが際立っている形になるわけですね。
金子:あくまでアーティストが主体になった上で、自分たちに必要な人たちとタッグを組んで、広げていくっていうのは非常に今っぽいし、楽しみですね。
MISATO:さて、PENPALSのメンバーの3人とBlieANのケンジさんでAFOK、こちらがアルバムという形になります。おめでたい。
金子:さっき聴いてもらった曲が「PAVEMENT」というタイトルで、アルバムの一番最後に入ってるんですけど、僕ここ最近この番組でずっとペイヴメントっていう名前を出していて。
MISATO:言ってた(笑)。
金子:若手のバンドたちが90年代のインディーロックな曲をやってて、その参照点がペイヴメントだって話をずっとしてたら、リアルタイム世代の人たちが「PAVEMENT」という曲を出してくれて。
MISATO:既視感!と思っちゃった。
金子:番組聞いてたのかな、みたいな(笑)。ちょっとね、びっくりしたんですけど。やっぱりDTMですごくハイファイな、クオリティの高い音楽が作れる中で、バンドで何をやるかってなったときに、ハイファイじゃなくてむしろローファイなものの良さをやろうという流れはあって。そうなったときにローファイバンドの代表格であるペイヴメントという名前が出てくるのは、ある意味自然かなというのもあり。それを本当にね、リアルタイムの人たちがやってくれました!っていう。
MISATO:歌詞もまさにな歌詞なので、ちょっと耳を澄ませて聴いていただきたいですね。
MISATO:そんな中、どの曲をご紹介しましょう?
金子:もう今週はね、これでしょう、という感じで。VivaOlaをご紹介したいと思います。ついにアルバムがリリースされました。
MISATO:待ってましたよ、VivaOlaくん。
金子:最近本当にすごく好調で、実は今週のFRIENDSHIP.のランキングでも「My Moon feat. ZIN」が1位を獲ってたり、本当にいい感じで波が来ていて、新作すごく良いです。前作との一番の違いで言うと、前作まではセルフプロデュースで全部やってたんですけど、今回は外部からもプロデューサーを招いていて、ずっと一緒にやってるパートナーのnonomiに加えて、KRICKと、あとstarRoが参加して、サウンド的により幅広くなってるっていうのが一番のポイントで。この前、SENSAでVivaOlaとWez Atlas二人の対談取材(近日公開予定)をやってきたんですけど。
MISATO:へ〜良さそう、豪華ですね。
金子:そのときVivaOlaくんが話してくれた中で印象的だったのが、「今はジャンルじゃなくてルーツなんだ」ってことを言ってて。ジャンルはバラバラなのが当たり前、でもだからこそ、「じゃあ、あなたのルーツは何なんですか?」っていう、そこが改めてより大事になってくると思うという話をしていて、VivaOlaくんの場合はR&Bがルーツなんですよね。だからサウンド的にはすごく幅広いんだけど、特に歌の部分で自分はR&Bがルーツなんだっていうところをしっかり打ち出していくことが大事だと思うと言ってて、なるほど!と思って。
MISATO:いいこと言うなぁ。
金子:アルバムを聴くとR&B的な歌の良さは間違いなく伝わる。
MISATO:そうですね。今回アルバムがすごくタイトで30分。で、また1曲目に戻りたくなるようなトラック感っていうのは、これもコンセプトの一つに入ってるんですよね?
金子:そうなんですよね。アルバム自体がストーリー立てになっていて、『Juliet is the moon』というタイトルですけど、これは『ロミオとジュリエット』の台詞から取られていて、『ロミオとジュリエット』の話を現代に置き換えて、マッチングアプリで出会った男女のストーリーになってるっていう。
MISATO:面白いですよね。
金子:だから作品としてもじっくり聴けるし、1曲1曲ももちろん良いし。「Love You Bad feat.YonYon」は、コラボしているYonYonはルーツが同じ韓国ということもあって相性もいいし、YonYonが日本語と韓国語と英語とそれぞれ使い分けて歌っているので、そのあたりも聴きどころかなと思います。
MISATO:YonYonは本当に多才で、SIRUPとやった「Mirror」もこの感じが出てましたけど、VivaOlaくんとやるとルーツが近いっていうところもあって、また違った表現の仕方っていうんですかね。
金子:でもまさにVivaOlaくんに「日本のR&Bで今誰が面白いと思う?」って聞いたら、SIRUPって言ってた。
MISATO:納得。いつか2人も一緒にやって欲しいなー。
金子:そうですよね。ZINに続いてね、SIRUPとかあり得そうですよね。
MISATO:お送りしたのは8月30日週リリースの新譜ダイジェストPart 2でした。厚武さん、SIRUPの話が出ましたけど、SIRUPの周りにいるアーティストがまた一歩前に出てきたなっていう印象があって、Emeraldの新曲にも参加されてますよね。
金子:そうなんですよ。SIRUPのサポートをしているshowmoreの井上さんがホーンのアレンジでこの曲に参加していて。
MISATO:すごく気持ちいい。
金子:EmeraldはFRIENDSHIP.から出すのは2曲目ですけど、前は「ふれたい光」っていう代表曲のリアレンジだったので、今回がオリジナルの新曲としては初めてのリリース。Emeraldの中でも、新しいところに入ったなっていうのをすごく感じさせる曲で、そのひとつの要素が井上さんの参加があり、さらにはゲストギタリストとして木暮晋也さん、ヒックスヴィルであったり、フィッシュマンズとか小沢健二さんと一緒に活動していたりもするベテランの素晴らしいミュージシャンですけど、彼も参加していて。アレンジ的にもトークボックスを使っていたり、間奏ですごくサイケデリックな部分が出てきたり、かなりいろんな要素が詰め込まれていて、はっきりと新しい一歩を踏み出したなあという、非常に良い曲だなと思いました。
MISATO:「ファルセット来た!」みたいな、そういうEmeraldの良さはすごくあるけど、そこにすごく技巧派というか、こだわって作った、妥協がないっていうのが楽譜に詰め込まれてる印象がありましたね。
金子:中野くんのボーカルだけでも素晴らしいから、それを生かすだけでも全然良いんだけど、さらに先へ行くために、そこにトークボックスで違う要素を入れてきたりとか。
MISATO:面白いですね。続いて、チーナが気になりますね。
金子:2019年にリリースをして以来なので、もう1年半ぐらい空いていて、久々のリリースです。メンバーの中にヴァイオリンとコントラバスがいて、要はバンドなんだけど、クラシック的な部分を持っているバンドで。ここ何年かのポップ・ミュージックのキーワードって「ジャズ」だったと思うんですけど、今そこが「クラシック」になってきてるイメージがあって、日本だと米津さんと一緒にやってる坂東祐大さん、現代音楽とかクラシックがバックボーンですけど、彼が『竜とそばかすの姫』のサントラをやってたりとか。そういう作曲家がホップ・ミュージックの世界に出てきて、ポップ・ミュージックとクラシックが何年かおきに近づく印象があるんですけど、今またそのタイミングな気がして。で、チーナというバンドはチーナなりのやり方でそこをずっとやってきた人たちなので、時代とリンクする部分があるような気もするんですよね。
金子:チーナはもともと2007年から活動していて。
MISATO:そうですよね、長いんですもんね。
金子:いろんな変遷を経てきてるんですけど、またここから面白いことになるんじゃないかっていう予感がしてます。
MISATO:楽しみ!では、Part 2から1曲、どの曲を紹介しましょう?
金子:はい、こちらはGuruConnectを紹介します。
MISATO:アルバムかっこいいですね。
金子:かっこいいですよね。この番組でも紹介しているskillkillsのメンバーで、ベーシストでもあるんですけど、ビートメーカーでもある。ちょっと前に日暮愛葉さんのプロデューサーとしてもご紹介したりとか、あとASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotchさんのソロに参加していたり、最近だとTENDOUJIの曲にも参加してたり。チラッと聴いてもらった通り、かなりレフトフィールドなビート・ミュージックで、非常に格好良いです。海外で言うとWARPとかBrainfeederとか、あの辺にも通じるようなカッティングエッジなビートだなぁという印象で、あと個人的にはArcaって海外のビートメイカーも連想したり。
MISATO:Arca?知らないです。
金子:結構エキセントリックな人なんですけど、その人がFrank OceanとかKanye Westとかと組んでより新しいものを生むタイミングってあって、こういうGuruConnectみたいな非常に立体的でリズム的にも複雑なビートを作ってるんだけど、GotchさんとかTENDOUJIとかとも一緒にやったりしてるっていうのは、同じような面白さを感じるというか。
MISATO:通じるんだ、そこが。
金子:なので、こういうソロとかもね、プロデューサーの作品ではあるけど、広く届く可能性もちゃんとある作品なんじゃないかなと思っております。
MISATO:アルバムの一番最後の曲が「CONTINUE」という曲だったと思うんですけど、音色いじってるけど鍵盤がすごく美しくて、この「RING」の感じだけではないっていう、その幅の広さとか、一番最後になぜこういう曲が入るのかっていうのも含めて、アルバムとして聴いてほしいですね。
金子:そうですよね。やっぱりね、どうしても目立つ人を紹介しちゃうんですけど、はじめましての人の中にも面白いアーティストたくさんいるので、せっかくなので、ちょっとピックアップしたいなと。
MISATO:今週のはじめましてはどきどきハッピーれもんず、ROU、さらに昔からリリースはされてますが、FRIENDSHIP.からは初という意味でMaïa Barouh(読み:マイア・バルー)さん、ソーラン節ですね。あとはnorké、こちらの4組の中から一曲お話ししていこうと思うのですが、どの方にされますか?
金子:norkéをピックアップしたいなと思って。
MISATO:norkéは、2020年9月結成とのことで。
金子:結成からちょうど1年という、沖縄を拠点に活動してるバンドで、同じく沖縄にいるdownyのロビンさんがちょっと前に紹介してくれて。キュレーターのLINEグループがあるんですけど、そこに「この人たちかっこいい」って送ってくれて、聴いたらかっこよくて、たぶんそれをきっかけにリリースに繋がったんだと思います。5人組なんですけど、メンバーにサンプラー担当がいたり、VJの担当がいたりとか、そのあたりは非常に今っぽくて、gatoとかにも通じるようなところもあるし、やっぱりバンドなんだけど、ビートミュージックに近いというか、非常にかっこいい音を鳴らしています。それこそdownyに通じる部分もあるにはあるんだけど、downyはやっぱり「バンド」っていう土台がしっかりあって、秋山さんのドラムのかっこよさとかっていうのがしっかりあるんだけど、norkéはよりビートミュージック的な要素が入ってきていて、もちろんちゃんと生ドラムも生かしてるんだけど、どっちがどっちか分からないぐらいの音になってて。音だけ聴いてもすごくかっこいいし、これがライブでどうなるんだろうっていうのもすごく気になる。
MISATO:質感としてはやっぱりデジタルを大切にされてるんだなって。メンバー構成としてもVJさんが入ってらっしゃるとか、なんか納得の音色ではあるなって印象でした。
金子:きっと聴いてきている音楽はバンドよりもむしろビートミュージックだったりして、でもそれを「じゃあ、自分はどう表現するか」ってなったときに、バンドという手段を選んだ人たちなのかなって。
MISATO:選び取ったのか...。
金子:昔だったらたぶん自然に「じゃあ、バンド」ってなってたと思うけど、いろいろ選択肢があった上で、バンドというものを意識的に選んでやってるのか今の世代だと思うから。
MISATO:そうですよね。昔は「曲作ってみよう。じゃあ、とりあえずギター触るか」という時代だったけど、今は「DTM?最初スマホで作る?」とか、そこからスタートしますもんね。
金子:そっちの方が早いですもんね。まだ二十代半ばぐらいみたいだし、結成1年でこのクオリティなので、かなり期待できる人たちだと思います。
MISATO:これは成長が楽しみですね。
金子:カッコいいですよね。
MISATO:今でも十分かっこいいんですけど、これからますます色んなエッセンスを吸収していくんでしょうね。あと土地柄ってわりとバンドの色に出るイメージだったんですけど、norkéは沖縄っぽくないというか。
金子:そこも今っぽいのかも。グローバルが前提というかね。
MISATO:そういう感じがするので、どんどん羽ばたかれていくんだろうなっていうのが見えますね。
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:8月30日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、まずは前半9作品ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。いやいや、厚武さんいいですね、今週も!
金子:豊作ですね。全部で18曲。
MISATO:Ivy to Fraudulent Game、久しぶりですね。
金子:アルバム『再生する』以来のリリースで、最近は自主で動いていたんですけど、今回からmurffin discsに所属が決まりまして。sumika、SUPER BEAVER、マカロニえんぴつなどなど、彼らが所属するmurffinにIvyも加わるんですよ!
MISATO:私はちょっと意外だった。
金子:あ、そうですか。俺はちょっとわかるなと思った。
MISATO:どんなところがしっくり来ましたか?
金子:sumikaもSUPER BEAVERもマカロニえんぴつもそれぞれ色は違うけど、ちゃんと歌モノの、言ってみれば王道のロックをそれぞれのスタイルでやってるイメージで、Ivyも色々な要素を持っているものの、芯にあるのは歌モノのロックかなと思って。実際、今回の新曲もかなりストレートだし。
MISATO:それは確かに。murffinだからこその楽曲づくりってところもあるのかなって思いますけど、おっしゃる通り、もともとの根本的な歌モノのロックってところをより前面に押し出した感じの楽曲って感じがしますね。
金子:そうそう、そんな感じがしました。
MISATO:良いタッグですね。
金子:今「タッグ」って言ってくれたように、murffinの中にある mini muff recordsとタッグを組んで、自分たちのブランドfrom ovumを立ち上げて、一緒にやるという形で。
MISATO:すごく今っぽい!良い!
金子:もともとメジャーで活動していた時期があって、自主で活動して、ちゃんとその自主での経験も活かしながら、レーベルとタッグを組んで一緒に活動していく。なおかつ、デジタルはもちろんFRIENDSHIP.からのリリースということで、本当にすごく今っぽい形ですよね。
MISATO:盤石の布陣。それぞれの良さというか、「餅は餅屋」じゃないけど、そういうところが際立っている形になるわけですね。
金子:あくまでアーティストが主体になった上で、自分たちに必要な人たちとタッグを組んで、広げていくっていうのは非常に今っぽいし、楽しみですね。
MISATO:さて、PENPALSのメンバーの3人とBlieANのケンジさんでAFOK、こちらがアルバムという形になります。おめでたい。
金子:さっき聴いてもらった曲が「PAVEMENT」というタイトルで、アルバムの一番最後に入ってるんですけど、僕ここ最近この番組でずっとペイヴメントっていう名前を出していて。
MISATO:言ってた(笑)。
金子:若手のバンドたちが90年代のインディーロックな曲をやってて、その参照点がペイヴメントだって話をずっとしてたら、リアルタイム世代の人たちが「PAVEMENT」という曲を出してくれて。
MISATO:既視感!と思っちゃった。
金子:番組聞いてたのかな、みたいな(笑)。ちょっとね、びっくりしたんですけど。やっぱりDTMですごくハイファイな、クオリティの高い音楽が作れる中で、バンドで何をやるかってなったときに、ハイファイじゃなくてむしろローファイなものの良さをやろうという流れはあって。そうなったときにローファイバンドの代表格であるペイヴメントという名前が出てくるのは、ある意味自然かなというのもあり。それを本当にね、リアルタイムの人たちがやってくれました!っていう。
MISATO:歌詞もまさにな歌詞なので、ちょっと耳を澄ませて聴いていただきたいですね。
MISATO:そんな中、どの曲をご紹介しましょう?
金子:もう今週はね、これでしょう、という感じで。VivaOlaをご紹介したいと思います。ついにアルバムがリリースされました。
MISATO:待ってましたよ、VivaOlaくん。
金子:最近本当にすごく好調で、実は今週のFRIENDSHIP.のランキングでも「My Moon feat. ZIN」が1位を獲ってたり、本当にいい感じで波が来ていて、新作すごく良いです。前作との一番の違いで言うと、前作まではセルフプロデュースで全部やってたんですけど、今回は外部からもプロデューサーを招いていて、ずっと一緒にやってるパートナーのnonomiに加えて、KRICKと、あとstarRoが参加して、サウンド的により幅広くなってるっていうのが一番のポイントで。この前、SENSAでVivaOlaとWez Atlas二人の対談取材(近日公開予定)をやってきたんですけど。
MISATO:へ〜良さそう、豪華ですね。
金子:そのときVivaOlaくんが話してくれた中で印象的だったのが、「今はジャンルじゃなくてルーツなんだ」ってことを言ってて。ジャンルはバラバラなのが当たり前、でもだからこそ、「じゃあ、あなたのルーツは何なんですか?」っていう、そこが改めてより大事になってくると思うという話をしていて、VivaOlaくんの場合はR&Bがルーツなんですよね。だからサウンド的にはすごく幅広いんだけど、特に歌の部分で自分はR&Bがルーツなんだっていうところをしっかり打ち出していくことが大事だと思うと言ってて、なるほど!と思って。
MISATO:いいこと言うなぁ。
金子:アルバムを聴くとR&B的な歌の良さは間違いなく伝わる。
MISATO:そうですね。今回アルバムがすごくタイトで30分。で、また1曲目に戻りたくなるようなトラック感っていうのは、これもコンセプトの一つに入ってるんですよね?
金子:そうなんですよね。アルバム自体がストーリー立てになっていて、『Juliet is the moon』というタイトルですけど、これは『ロミオとジュリエット』の台詞から取られていて、『ロミオとジュリエット』の話を現代に置き換えて、マッチングアプリで出会った男女のストーリーになってるっていう。
MISATO:面白いですよね。
金子:だから作品としてもじっくり聴けるし、1曲1曲ももちろん良いし。「Love You Bad feat.YonYon」は、コラボしているYonYonはルーツが同じ韓国ということもあって相性もいいし、YonYonが日本語と韓国語と英語とそれぞれ使い分けて歌っているので、そのあたりも聴きどころかなと思います。
MISATO:YonYonは本当に多才で、SIRUPとやった「Mirror」もこの感じが出てましたけど、VivaOlaくんとやるとルーツが近いっていうところもあって、また違った表現の仕方っていうんですかね。
金子:でもまさにVivaOlaくんに「日本のR&Bで今誰が面白いと思う?」って聞いたら、SIRUPって言ってた。
MISATO:納得。いつか2人も一緒にやって欲しいなー。
金子:そうですよね。ZINに続いてね、SIRUPとかあり得そうですよね。
New Release Digest Part 2
MISATO:お送りしたのは8月30日週リリースの新譜ダイジェストPart 2でした。厚武さん、SIRUPの話が出ましたけど、SIRUPの周りにいるアーティストがまた一歩前に出てきたなっていう印象があって、Emeraldの新曲にも参加されてますよね。
金子:そうなんですよ。SIRUPのサポートをしているshowmoreの井上さんがホーンのアレンジでこの曲に参加していて。
MISATO:すごく気持ちいい。
金子:EmeraldはFRIENDSHIP.から出すのは2曲目ですけど、前は「ふれたい光」っていう代表曲のリアレンジだったので、今回がオリジナルの新曲としては初めてのリリース。Emeraldの中でも、新しいところに入ったなっていうのをすごく感じさせる曲で、そのひとつの要素が井上さんの参加があり、さらにはゲストギタリストとして木暮晋也さん、ヒックスヴィルであったり、フィッシュマンズとか小沢健二さんと一緒に活動していたりもするベテランの素晴らしいミュージシャンですけど、彼も参加していて。アレンジ的にもトークボックスを使っていたり、間奏ですごくサイケデリックな部分が出てきたり、かなりいろんな要素が詰め込まれていて、はっきりと新しい一歩を踏み出したなあという、非常に良い曲だなと思いました。
MISATO:「ファルセット来た!」みたいな、そういうEmeraldの良さはすごくあるけど、そこにすごく技巧派というか、こだわって作った、妥協がないっていうのが楽譜に詰め込まれてる印象がありましたね。
金子:中野くんのボーカルだけでも素晴らしいから、それを生かすだけでも全然良いんだけど、さらに先へ行くために、そこにトークボックスで違う要素を入れてきたりとか。
MISATO:面白いですね。続いて、チーナが気になりますね。
金子:2019年にリリースをして以来なので、もう1年半ぐらい空いていて、久々のリリースです。メンバーの中にヴァイオリンとコントラバスがいて、要はバンドなんだけど、クラシック的な部分を持っているバンドで。ここ何年かのポップ・ミュージックのキーワードって「ジャズ」だったと思うんですけど、今そこが「クラシック」になってきてるイメージがあって、日本だと米津さんと一緒にやってる坂東祐大さん、現代音楽とかクラシックがバックボーンですけど、彼が『竜とそばかすの姫』のサントラをやってたりとか。そういう作曲家がホップ・ミュージックの世界に出てきて、ポップ・ミュージックとクラシックが何年かおきに近づく印象があるんですけど、今またそのタイミングな気がして。で、チーナというバンドはチーナなりのやり方でそこをずっとやってきた人たちなので、時代とリンクする部分があるような気もするんですよね。
金子:チーナはもともと2007年から活動していて。
MISATO:そうですよね、長いんですもんね。
金子:いろんな変遷を経てきてるんですけど、またここから面白いことになるんじゃないかっていう予感がしてます。
MISATO:楽しみ!では、Part 2から1曲、どの曲を紹介しましょう?
金子:はい、こちらはGuruConnectを紹介します。
MISATO:アルバムかっこいいですね。
金子:かっこいいですよね。この番組でも紹介しているskillkillsのメンバーで、ベーシストでもあるんですけど、ビートメーカーでもある。ちょっと前に日暮愛葉さんのプロデューサーとしてもご紹介したりとか、あとASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotchさんのソロに参加していたり、最近だとTENDOUJIの曲にも参加してたり。チラッと聴いてもらった通り、かなりレフトフィールドなビート・ミュージックで、非常に格好良いです。海外で言うとWARPとかBrainfeederとか、あの辺にも通じるようなカッティングエッジなビートだなぁという印象で、あと個人的にはArcaって海外のビートメイカーも連想したり。
MISATO:Arca?知らないです。
金子:結構エキセントリックな人なんですけど、その人がFrank OceanとかKanye Westとかと組んでより新しいものを生むタイミングってあって、こういうGuruConnectみたいな非常に立体的でリズム的にも複雑なビートを作ってるんだけど、GotchさんとかTENDOUJIとかとも一緒にやったりしてるっていうのは、同じような面白さを感じるというか。
MISATO:通じるんだ、そこが。
金子:なので、こういうソロとかもね、プロデューサーの作品ではあるけど、広く届く可能性もちゃんとある作品なんじゃないかなと思っております。
MISATO:アルバムの一番最後の曲が「CONTINUE」という曲だったと思うんですけど、音色いじってるけど鍵盤がすごく美しくて、この「RING」の感じだけではないっていう、その幅の広さとか、一番最後になぜこういう曲が入るのかっていうのも含めて、アルバムとして聴いてほしいですね。
FRIENDSHIP.から初リリースの注目アーティストを紹介<今週のはじめまして!>
MISATO:続いてのコーナーは<今週のはじめまして!>。FRIENDSHIP.から今週リリースされる新譜の中から、はじめましての注目アーティストをご紹介しようというお時間になります。なんだかんだで毎週はじめましてさんがいますよね。金子:そうですよね。やっぱりね、どうしても目立つ人を紹介しちゃうんですけど、はじめましての人の中にも面白いアーティストたくさんいるので、せっかくなので、ちょっとピックアップしたいなと。
MISATO:今週のはじめましてはどきどきハッピーれもんず、ROU、さらに昔からリリースはされてますが、FRIENDSHIP.からは初という意味でMaïa Barouh(読み:マイア・バルー)さん、ソーラン節ですね。あとはnorké、こちらの4組の中から一曲お話ししていこうと思うのですが、どの方にされますか?
金子:norkéをピックアップしたいなと思って。
MISATO:norkéは、2020年9月結成とのことで。
金子:結成からちょうど1年という、沖縄を拠点に活動してるバンドで、同じく沖縄にいるdownyのロビンさんがちょっと前に紹介してくれて。キュレーターのLINEグループがあるんですけど、そこに「この人たちかっこいい」って送ってくれて、聴いたらかっこよくて、たぶんそれをきっかけにリリースに繋がったんだと思います。5人組なんですけど、メンバーにサンプラー担当がいたり、VJの担当がいたりとか、そのあたりは非常に今っぽくて、gatoとかにも通じるようなところもあるし、やっぱりバンドなんだけど、ビートミュージックに近いというか、非常にかっこいい音を鳴らしています。それこそdownyに通じる部分もあるにはあるんだけど、downyはやっぱり「バンド」っていう土台がしっかりあって、秋山さんのドラムのかっこよさとかっていうのがしっかりあるんだけど、norkéはよりビートミュージック的な要素が入ってきていて、もちろんちゃんと生ドラムも生かしてるんだけど、どっちがどっちか分からないぐらいの音になってて。音だけ聴いてもすごくかっこいいし、これがライブでどうなるんだろうっていうのもすごく気になる。
MISATO:質感としてはやっぱりデジタルを大切にされてるんだなって。メンバー構成としてもVJさんが入ってらっしゃるとか、なんか納得の音色ではあるなって印象でした。
金子:きっと聴いてきている音楽はバンドよりもむしろビートミュージックだったりして、でもそれを「じゃあ、自分はどう表現するか」ってなったときに、バンドという手段を選んだ人たちなのかなって。
MISATO:選び取ったのか...。
金子:昔だったらたぶん自然に「じゃあ、バンド」ってなってたと思うけど、いろいろ選択肢があった上で、バンドというものを意識的に選んでやってるのか今の世代だと思うから。
MISATO:そうですよね。昔は「曲作ってみよう。じゃあ、とりあえずギター触るか」という時代だったけど、今は「DTM?最初スマホで作る?」とか、そこからスタートしますもんね。
金子:そっちの方が早いですもんね。まだ二十代半ばぐらいみたいだし、結成1年でこのクオリティなので、かなり期待できる人たちだと思います。
MISATO:これは成長が楽しみですね。
金子:カッコいいですよね。
MISATO:今でも十分かっこいいんですけど、これからますます色んなエッセンスを吸収していくんでしょうね。あと土地柄ってわりとバンドの色に出るイメージだったんですけど、norkéは沖縄っぽくないというか。
金子:そこも今っぽいのかも。グローバルが前提というかね。
MISATO:そういう感じがするので、どんどん羽ばたかれていくんだろうなっていうのが見えますね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.