SENSA

2021.07.31

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


MISATO:FRIENDSHIP.からリリースの新譜、全19作品の中からまずは前半10作品ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。WAZGOGG、好きです!踊ります、踊ります。

金子:最近のMCバトルのヒップホップ的なのともまた違う、ダンスミュージック寄りの感じで、相変わらず幅が広い。



MISATO:そうなんですよね。サンプリングとかスクラッチのバランスもかっこいいです。
その他は...私が仲良くなりたい、ラッパーのTokyo Gal

金子:そもそもCaTEyeさんが今回FRIENDSHIP. から初めてのリリースなんですけど、彼女は中国出身の、日本語と中国語と英語と3カ国語を操るラッパーで、あっこゴリラとコラボしていたりとか、既にいろんなところで活躍していて。で、その彼女の曲にTokyo Galが参加していて、Tokyo Galもバイリンガルなんですよね。



MISATO:CaTEyeさんと一緒にゲストに来てほしい。今回プロデューサーのTEAM2MVCHによる共作楽曲という形なんですね。
他のアーティストも素敵で、今週は関西が特に強いなという印象もありました。大槻美奈さんが京都出身で、2ヶ月連続リリース。キツネの嫁入りも京都ですし、POOLSも関西。

金子:POOLSの新曲、めっちゃいい曲ですよね。J-POPな感じの普遍的な分かりやすさがありつつ、インディーロックが好きな人たちに刺さる要素もちゃんとあるし。

MISATO:夏感がすごくある。

金子:まさにPOOLSの季節ですからね。

MISATO:爽やかですよね。あの合唱部分、一緒にジョインしたくなるような。



金子:関西が強いという話で言うと、YAJICO GIRLももともと大阪ですからね。

MISATO:そうだ、YAJICOも大阪でした。

金子:今は東京に拠点を移しましたけどね。2月に『アウトドア』というアルバムを出して以来の、ひさびさの新曲ですけど、これも良いですよね。
彼らももともとJ-POPというか、ギターロックというか、そういうところから出発してるけど、その上でヒップホップとかゴスペルとか、海外の流行を上手く取り入れた形でやってる人たちは決して多くないので、やっぱり良いなと。

MISATO:そこにYAJICOならではのメッセージ性もしっかり詰まっていて、言葉から来る魅力もあります。

金子:『アウトドア』の最後に入ってたのが「Better」という曲で、あの曲は一番最後のラインが〈まだ音は続いてる〉だったんですけど、その次の新曲が「Life Goes On」となると、やっぱり続いてるんだなっていう、そこにもストーリーがあるような気がして。音楽的にも、『アウトドア』でいろいろ試したことのひとつ集大成みたいな形で、「Life Goes On」という曲につながってるような印象も受けました。この次はまたガラッと新しいことをやってくれるんじゃないか、そんな期待もさせてくれます。

MISATO:「Life Goes On」 までは同じ制作モチベーションだったのかもしれないですね。

金子:もしかしたらね。



MISATO:そして、まだ触れてないところでいくと、LITEDÉ DÉ MOUSEのコラボ、第2弾になるわけですね。

金子:今回もかっこよかったなー。前回のコラボはDÉ DÉ MOUSE色が強いというか、ダンス色もあったしシンセも前に出てましたけど、今回は「ダンスミュージックとしてのサウンドデザインとエモへの接近」がテーマだったらしく。実際エモとかマスロック的なバンドサウンドが主軸になってるんだけど、あくまでサウンドデザインの一要素としてシンセとかが入っていて、ギターとレイヤーで重ねていたり、それによって普通のバンドサウンドとは違う聴き心地になってる。バンドサウンドの中に、こっそりDÉ DÉ MOUSEがいる、みたいな。

MISATO:それ、LITEとDÉ DÉ MOUSEじゃないとできないでしょうね。



MISATO:そして、あと1曲まだ触れていないアーティストさんがいます。

金子Emeraldですね。

MISATO:Emeraldって初めて紹介しますよね?

金子:そう、EmeraldはFRIENDSHIP.からリリースするのは初めてです。個人的に、Emeraldとは結構長く付き合いがありまして。彼らは2011年結成で、今年が10周年なんですよね。

MISATO:長いですね。

金子:「もう10年なんだ」って、個人的にはちょっとびっくりしたんですけど、1stアルバムを出したのが2014年で、そこから数えても7年。その頃からネオソウルの色合いがありつつ、1stアルバムはシューゲイザーの色も入ってたりして、すごくオリジナルな作品で。彼らがそのアルバムを出した翌年にceroが『Obscure Ride』を出してるんですけど、あの辺から国内でもネオソウルとかが盛り上がって、さらにそこからシティポップのブームになっていった感じじゃないですか。そう考えると、Emeraldはすごく早かったんですよね。あの頃にネオソウル要素の強い楽曲を、ポップな形で、開かれた形でやっている人は決して多くなかった。そこから作品を重ねるごとにどんどん洗練されていって、今回は「ふれたい光」という、1stアルバムに入った曲のリメイクで、より洗練されたアレンジが今また聴けるという。

MISATO:「ふれたい光」はもともとチャリティー楽曲だったんですか?

金子:原曲はあって、昨年チャリティーでリメイクしたものを発表していて、それを今回デジタルで出すという流れです。この先にはオリジナルの、ブランニューな新曲も予定されているらしいので、それも楽しみですね。

MISATO:リモートで行われたとは思えないくらいのアレンジで、ここまでガラッと変わるのを聴かせてくれるのはすごいですよね。原曲と比べて聴くのも面白いと思います。




New Release Digest Part 2


MISATO:7月26日週リリースの新譜ダイジェスト part 2を送りしました。はじめましてさんがいますよ、Daisy Jaine

金子:彼らは兵庫の出身で、我らがThe fin.とも同郷になるわけなんですけど、実際The fin.にも通じるようなサイケな感じがありますよね。The fin.からポップさを抽出して、よりダンサブルにしたような。

MISATO:そうですね。

金子:彼らはもともとDead Funny Recordsというレーベルから作品を出していて、それが福岡のレーベルなんですよね。ただ、拠点を福岡に置きつつも、ある意味ネットレーベルみたいな感じで、地域関係なく、いろんな面白いバンドをリリースしているレーベルなので、このDead Funny Recordsにも注目してもらいたいなと思います。



MISATO:さらに、miidaのリリースもあります。

金子:最近はずっとThe Departmentとのコラボレーションで紹介してきたけど、単独名義の作品としては2ヶ月半ぶりなんですね。いいですよね。

MISATO:いいですねー。また、チルとアンビエントとのバランス力と。

金子:アレンジやサウンドもいいんですけど、個人的に歌がすごく良くなっているという印象があって。彼女はYouTubeチャンネルの「from Studio KiKi」でいろんなシンガーとコラボレーションしてるじゃないですか?それによってシンガーとしても良くなってるし、音源としてのボーカルのミキシングだったりもおそらくパワーアップしていて、個人的には歌がすごくいいなーって思いました、今回の曲。

MISATO:自分がフロントに立つことでの魅せ方の幅が広がった印象がすごくありますね。

金子:もともとねごとでもコーラスでは歌ってたけど、やっぱりメインボーカルではなかったから、自分の歌というものを模索してたと思うんですけど、ひとつ形になってきたんじゃないかなって感じがしました。



MISATO:客観的に見なくちゃいけない部分と、自分がもっと主観でアピールしないといけないことのバランスというのは、フロントに立つと難しいと思うんですけど、Studio KiKiがあるからこそのバランス力っていうのがありそうですね。ぜひ、YouTubeチャンネルもご覧になってください。さらに、井戸健人さん3ヶ月連続リリースです。

金子:井戸さんは僕はもう単純にファンですね(笑)。

MISATO:あはは。

金子:めっちゃ好きですね。この攻めたアレンジ。でも歌はポップでね。



MISATO:リリックも好きです。完璧ですね(笑)。さらにJoe Cupertino、アルバムがリリースされました。

金子:ついにアルバムですね。

MISATO:ずっと紹介し続けてきましたけど、ようやく形になったわけですね。おめでとうございます。

金子:CaTEyeとかTokyo Galとか、女性のラッパーも紹介しましたけど、男性のラッパー陣もいろいろいますからね、FRIENDSHIP.には。



MISATO:そして、am8のリミックスは第5弾になりました。作品が集まってきていますね。



MISATOカワサキケイさんもニューシングルという形で、3ヶ月ぶりですね。

金子:最近はライブ音源が続いてましたよね。



MISATO:「初期のカワサキさんの感じがする」っていうのも情報としていただいています。あとは阿佐ヶ谷ロマンティクスLA imaginations、このあたりは一緒にご紹介していきたいですね。

金子:阿佐ヶ谷ロマンティクスのメンバーがLA imaginationsにも参加しているという繋がりがあって、今回は阿佐ヶ谷ロマンティクスの曲もわりとアップテンポなので、LA imaginationsの曲とあわせてどちらも聴いてほしいですね。




MISATO:LA imaginationsのこのセッション感もすごく素敵ですね。では、最後に1曲オススメしてください。

金子:今回は、んoonをかけたいなと思います。この番組で紹介するのはたぶん初めてで、ひらがなの「ん」にアルファベット小文字 「oon」と書いて「ふーん」と読みます。

MISATO:最初出会ったときには読めなかったです。今回の楽曲は気になる方と一緒にやってるなと。

金子:もともと音楽性の基盤にあるのはR&Bとかソウルで、今だとフューチャーソウルと言ったらいいのかもしれないけど、でもメンバーにハープ奏者がいたりして、ひとつにカテゴライズできない面白さがあるんですよね。
さらに、今回の曲にはラッパーのvalkneeが参加していて、彼女も韓国語と日本語の2カ国語を操るラッパーで。そういう人たちがどんどん増えてるなぁという印象もあり、さらに言うと彼女はZoomgalsのメンバーで、さっきも話に出たあっこゴリラが参加していたり、なみちえが参加していたり、6人のラッパーのギャルたちが参加しているグループですけど。

MISATO:だいぶ強めですよね。コロナ禍の中でかなり活動してましたけど、ビジュアルだけで、ゴリゴリの強さがかっこいい。でも意外でした、そこと、んoonと繋がるのが。

金子:だから、ますますカテゴライズがしにくくなってるというか、とってもいい意味でそうなっていて、その雑多さというか、エクレクティシズム、折衷感みたいな部分っていうのが、この曲はよりはっきりと表れているんじゃないかと思います。

MISATO:強めのゲストの方がフィーチャリングされる楽曲って、その方の色に引っ張られて、いい意味でその方に寄せるミュージシャンも多いなっていう印象の中、この曲は んoonだなっていう感じがして、でも先ほどおっしゃったみたいに、どこが完成形っていうのはなかなか難しい、カテゴライズできないからこそ気になる存在だなって思います。




〜おまけ〜
今回の収録現場に、「Room "H"」の収録で来ていたユアネスの黒川くんがやってきたので、一緒に記念撮影!黒川くんがMCを務め、作詞家・松本隆特集をおこなった7/28「Room "H"」のオンエアレポート記事もぜひチェックしてみてください!
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RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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