SENSA

2021.07.27

アツキタケトモ「幸せですか」──様々な方向から聴き手に「今幸せか」と問いかける

アツキタケトモ「幸せですか」──様々な方向から聴き手に「今幸せか」と問いかける

16歳の時に楽曲制作をスタートさせ、作詞作曲編曲のみならず、全楽器の演奏と録音を自ら行う音楽家アツキタケトモ。約10カ月ぶりの2ndアルバム『幸せですか』は、宅録的な手触りがありつつも雄弁な歌とキャッチーなメロディが真ん中に据えられた内容となっている。インストゥルメンタル3曲を含む全12曲を通して、様々な方向から聴き手に「幸せですか」と問いかけるアルバムだ。
シンフォニックなノイズによる約30秒のインスト「はじめに」をプロローグに、〈結局 他人なんて どこまでいっても理解できない それでも理解しようとすることで 見えることがある〉と、分断が進む現代社会における希望の提言をこめた「カモフラージュ」から実質今作はスタートする。美しいメロディが貫くミディアムバラードだが、生き辛さを表したかのようなノイズが入り混じるところが、時代の空気を如実に自作に反映させる音楽家、アツキタケトモならではだ。
軽やかなダブステップを導入したメロディアスなダンスナンバー「しあわせのうた」では、「今のこの社会においてどう幸せを見つければいいのか」というポジティブなメッセージが歌われ、続く「マイライフ」では、〈生きてる意味とか叶えたい希望は あるにはあるけどいうほどではない ただいつも通り 今日もいれたらいいな ってどこかで祈りながら 生きてく〉という、今の日本に生きる多くの人々に重なるであろう現状認識が歌われる。
「大人になるとはどういうことか」が問いかけられるウォームなR&B/ソウル「おとなげ」、不寛容なマスコミ社会を憂う現代のブルース「悪者」。そして、〈誰もが将来有望 何者にもなれなくても 僕は僕を生きて行こう〉と歌う甘酸っぱいミディアムポップソング「将来有望」。ノイジーなインスト「おわりに」を経て、ラストの表題曲「幸せですか」へバトンは渡される。アツキタケトモのファルセットによる「幸せですか」という高らかな問いかけから始まるこの曲は、不穏なストリングスがコンスタントに刻まれ、様々な音色が加わる中で「幸せですか」というフレーズが何度も何度もリピートされる。聴き手の"今"を暴くような楽曲で締め括られる今作の余韻は、とても切実だ。

文:小松香里




RELEASE INFORMATION

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アツキタケトモ「幸せですか」
2021年7月21日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP.

Track:
1. 「はじめに」
2. カモフラージュ
3. しあわせのうた
4. マイライフ
5. おとなげ
6. 「※」
7. 悪者
8. ヒーローショー
9. Cloudy (Full Length)
10. 将来有望
11. 「おわりに」
12. 幸せですか

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LINK
オフィシャルサイト
@atsukitaketomo


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