SENSA

2021.04.30

Aya Gloomy「TOKYO HAKAI」──破壊されたTOKYOに降り立ったタフガールの物語

Aya Gloomy「TOKYO HAKAI」──破壊されたTOKYOに降り立ったタフガールの物語

足下がグラグラ不安定な時代。私たちはいま未知のウイルスに怯え、不確かな情報に惑わされ、四六時中小さな情報機器を見つめて右往左往している。Aya Gloomyのセカンド・アルバム『TOKYO HAKAI』は、その奇妙な時代の空気をめいっぱい吸い込んでミステリアスな輝きを放つ。

モデル/インフルエンサーとして熱い視線を浴び、完全セルフ・プロデュースのデビュー・アルバム『陸の孤島』でミュージシャンとしての実力も存分に発揮したAya Gloomy。ミニマルなループを軸に、レトロなシンセ音と淡々とした歌声を重ねたストレンジ&ポップなエレクトロ・ミュージックは、国内外から注目を集めている。

前作から引き続きセルフ・プロデュースで制作された3年ぶりのフル・アルバム『TOKYO HAKAI』は、不穏な空気に包まれた「二〇二〇」で幕を上げる。無機質なトラックに乗って聞こえるのは、2020東京五輪の開催決定を告げるニュース音声と、"始まる 東京破壊"というフレーズから始まるポエトリー・リーディング。続く「Work World」は、退廃的社会でタフに生きるための意思を表明する歌。どの曲にも2020年TOKYOの空気が色濃く反映されている。

ただし、Aya Gloomyの目を通して描かれるTOKYOは、現実よりずっとカラフルで刺激に満ちている。大友克洋のコミック『AKIRA』に登場するNEO TOKYO、あるいは映画『ブレードランナー』のメガロポリスのようにカオスなエネルギーを発し、あやしくきらめく。琴のような音色が響く「Kodou」や、ヨナ抜き音階を使った「DenEn」のように、オリエンタルなモチーフ使いも効果的で、懐かしいようで新しく、どこかにあるようでどこにもない都市の情景が浮かび上がる。そこでAya Gloomyは、ときどき混乱しながらも、勇気と決断力をもってサバイブしていく。不思議なイントネーションでファニーな歌をうたいながら。

破壊から始まったAya Gloomyの物語はどこへ向かうのか。2021年、不安定な日々はまだ続く。この先の物語を描き込める余白を残したラストがまた今日的で、ドラマチックな余韻を残す。

文:廿楽玲子




RELEASE INFORMATION

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Aya Gloomy「TOKYO HAKAI」
2021年4月28日(水)
Format: Digital
Label: AYA GLOOMY

Track:
1. 二〇二〇
2. Work World
3. Kodou
4. Saisei(楽)
5. THE FIGHT
6. Start Again
7. DenEn
8. tick tick
9. Micro Creature
10. Turn Off
11. TSUNAMI

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@aya_gloomy
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