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2021.04.02
Saucy Dog、ユニゾン・セカイイチ・テレン・Amelie・KALMAと大阪でリベンジ実現
Saucy Dog主催の対バンイベント『リベンジエピソード』が3月31日に大阪・なんばHatchで開催された。
『リベンジエピソード』は、昨年6月に開催予定だったものの新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった対バンツアー『サバイブエピソード』のリベンジを果たすべく企画されたイベントで、2月6日には東京・日本武道館公演が開催。なんばHatch公演では主催のSaucy Dogに加え、Amelie、UNISON SQUARE GARDEN、KALMA、セカイイチ、LAMP IN TERRENが出演を果たした。なお、本公演は政府や各自治体の新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインに基づき、会場の収容人数の制限、アルコール消毒や検温、分散入場と規制退場などが徹底された上で実施された。
T.REXの「20th Century Boy」のSEにシンクロしたクラップで盛大に迎えられたトップバッターは、フロム北海道のスリーピースバンドKALMAだ。耳をつんざくフィードバックノイズにまみれながらの1曲目「くだらん夢」から、情熱ほとばしる骨太のバンドサウンドで全力疾走。畑山悠月(Vo, G)が「ありがとう! 気持ち良いぐらいに大きいね」と、なんばHatchの大舞台にも物怖じすることなく想いを吐露し、「デイズ」をはじめ青春狂騒曲とでも言うべく楽曲群を堂々と鳴らしていく。MCでは畑山が「俺、めちゃくちゃサウシーっ子だから!」とSaucy Dogとのなれそめと思い入れをまるで部室にいるかのようにアットホームに語りつつ、全6曲をみずみずしく演奏。メンバー全員が2000年生まれの新世代が、『リベンジエピソード』に冒頭から華を添えた。
力強いリズムとパープルの光が溶け込むように始まったAmelieのライブは、バンドのダイナミズムを感じさせるどっしりとしたミドルバラード「リメンバー」で会場をいきなりロックオン。しっかりと歌を、メロディを広大な空間に響かせ、音と光のみでバンドの意志を存分に提示するさすがのライブバンドぶりだ。mick(Vo, G, Piano)が「1年以上ぶりにやっと大阪に来ることができました。サウシー、連れてきてくれてありがとう!」と礼を述べ、楽屋には出演バンドごとにメンバー3人からの手紙がしたためられていたという粋なエピソードも飛び出した。そして、その手紙に「女性ボーカルのカッコよさを見せつけてやってくださいと書いてあったんで」と、後半戦は「月の裏まで」「アイデンティティの証明」「朝は来る」と一気に畳み掛けるアグレッシブなステージを展開。久々の大阪でのライブを楽しみ、楽しませたAmelieだった。
LAMP IN TERRENのライブは、「Water Lily」のメロウなサウンドを背に、松本大(Vo, G, Piano)がステージをラフに動き回りハンドマイクで歌い上げる幕開け。そこで音を鳴らすことが呼吸するかのように無意識で自然だと感じさせるような4人の佇まいは、まさにテレンのライブならでは。「Saucy Dogにひと言、物申したい。僕らは事務所の先輩なんですよ。今日は呼んでくれてありがとうございます(笑)」と松本がユーモアたっぷりに話し、その後は一転、攻めの姿勢でフロアから突き上がる拳を前に完全燃焼。「まだ3バンド目だし、体力が有り余ってるんじゃないですか大阪!」と、「地球儀」の祝祭のビートでさらに熱量を上げたかと思えば、「いつものこと」で描かれたかけがえのない日常にグッと引き込まれる。「幸せになるために音楽はある」という松本の心の底からの言葉とともに捧げた最後の「EYE」まで、後に控えるSaucy Dogにその背中とタフネスを見せつけた、LAMP IN TERRENからの最高のエールだった。
主催イベントのラインアップにはバンドの志が自ずと投影されるものだが、この日のSaucy Dogのそれが顕著に出ていた1組がセカイイチだと言えるだろう。同じ大阪出身、ライブのBGMでも幾度となく彼らの楽曲をかけてきたSaucy Dogからのラブコールに応え、なんばHatchのステージへと現れたセカイイチ。ファンキー&グルーヴィーな「Grave of Music」でフロアを揺らした後は、約5年ぶりの新作『Draw Lines』からの楽曲も多数お披露目し、軽快なギターのカッティングとタイトなビート、ソウルフルな歌声に酔いしれるグッドミュージックで次々と魅せていく。そして岩崎慧(Vo, G)が、「Saucy Dogを見てると、自分たちの若い頃を思い出すと言いますか。我々も今さっきはファンクをやってましたが、元・歌モノバンドです(笑)。これだけ16ビートの曲をやっておきながら、最後はどバラードで締めたいと思います」と告げ、最後に届けたのは名曲「バンドマン」。音楽がもたらす感動と幸福を見る者の胸にずっしりと残して、ステージを後にしたセカイイチだった。
ブルーの照明を浴びながら、1人また1人とステージへと登場したUNISON SQUARE GARDENを大きな拍手が迎える。「Cheap Cheap Endroll」「世界はファンシー」、そして「シュガーソングとビターステップ」と、静寂から瞬時に沸点に到達するようなキレのあるビートと畳み掛けるボーカル、高速フレーズも余裕しゃくしゃくで弾きこなすような光景は、ステージマンとしての格の違いを見せつけるようなすさまじさ。その高い演奏力とクールネスには惚れ惚れするばかりだ。常時、重さとスピードがエクスタシーに変わるようなサウンドの応酬で、壮絶なドラムソロから三位一体となってなだれ込んだ後半戦も、「23:25」を皮切りに「Phantom Joke」の荒ぶるパフォーマンスとジャストなブレイクでシビれさせ、ユニゾンしか勝たんの独壇場。最後のトドメは「桜のあと(all quartets lead to the?)」「アイラブニージュー」で、トリのSaucy Dogを前にハードルを上げに上げ、音で全てを物語った徹底的で圧倒的なUNISON SQUARE GARDENのライブだった。
そして、この日の主役となるSaucy Dogは、「シーグラス」の切なくも甘酸っぱいメロディと歌声で、その出番を待ちわびたオーディエンスを優しく包み込んでいく。続く「BLUE」では秋澤和貴(B)の躍動感のあるベースラインがけん引。せとゆいか(Dr, Cho)は「皆さん、長丁場ですけど疲れてないですか?」と観客をねぎらい、「それぞれ別の日にやろうと思っていたバンドが集まったから見事に全然違う。でも、全バンド、カッコよかったでしょ?」と、1日の化学反応を振り返った。「雀ノ欠伸」では会場の隅々まで手が上がる絶景を生み出し、立て続けに「ゴーストバスター」「バンドワゴンに乗って」とグッドメロディを連発。MCでは、当時高校生だったKALMAとの出会いや、公私ともに親交があるAmelieに女性ボーカルの価値観を180度変えられたこと、心の暗い部分を表現する際に意識しているというLAMP IN TERRENの存在、そして、師と仰ぐセカイイチには普段ライブでかけているSEを作ってもらったという逸話も。さらには、スリーピースの最高峰であるUNISON SQUARE GARDENが出演してくれたことが奇跡と、尊敬してやまない5バンドについて熱く語った。最後は石原慎也(Vo, G)が、「あなたの日常の、生活の、人生の一部であり得るような、あなたの心を少しずつ溶かして、入っていけるような曲を最後に歌って終わろうと思います」と語り「sugar」を披露。楽曲が備えるノスタルジーと会場の壁面に映し出された星屑のような光がドラマを増幅し、息を呑んで見守るオーディエンスのまなざしの先で、精いっぱい己の音を鳴らしたSaucy Dog。大役を終えた3人が改めてそれぞれに感謝を伝え、『リベンジエピソード』大阪公演は終了した。
取材・文:奥"ボウイ"昌史
撮影:日吉"JP"純平、白石達也
01. くだらん夢
02. デイズ
03. さくら
04. これでいいんだ
05. ねぇ ミスター
06. 1分間の君が好き
Amelie
01. リメンバー
02. 手と手
---MC---
03. 月の裏まで
---MC---
04. アイデンティティの証明
05. 朝は来る
LAMP IN TERREN
01. Water Lily
02. Enchanté
03. オーバーフロー
04. 地球儀
05. いつものこと
---MC---
06. EYE
セカイイチ
01. Grave of Music
02. Good Job
---MC---
03. Draw a Line
04. ダンサーズハイ
---MC---
05. バンドマン
UNISON SQUARE GARDEN
01. Cheap Cheap Endroll
02. 世界はファンシー
03. シュガーソングとビターステップ
04. 23:25
05. Phantom Joke
06. 桜のあと (all quartets lead to the?)
07. アイラブニージュー
Saucy Dog
01. シーグラス
02. BLUE
---MC---
03. 雀ノ欠伸
04. ゴーストバスター
05. バンドワゴンに乗って
---MC---
06. sugar
『リベンジエピソード』は、昨年6月に開催予定だったものの新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった対バンツアー『サバイブエピソード』のリベンジを果たすべく企画されたイベントで、2月6日には東京・日本武道館公演が開催。なんばHatch公演では主催のSaucy Dogに加え、Amelie、UNISON SQUARE GARDEN、KALMA、セカイイチ、LAMP IN TERRENが出演を果たした。なお、本公演は政府や各自治体の新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインに基づき、会場の収容人数の制限、アルコール消毒や検温、分散入場と規制退場などが徹底された上で実施された。
Photo by 白石達也
T.REXの「20th Century Boy」のSEにシンクロしたクラップで盛大に迎えられたトップバッターは、フロム北海道のスリーピースバンドKALMAだ。耳をつんざくフィードバックノイズにまみれながらの1曲目「くだらん夢」から、情熱ほとばしる骨太のバンドサウンドで全力疾走。畑山悠月(Vo, G)が「ありがとう! 気持ち良いぐらいに大きいね」と、なんばHatchの大舞台にも物怖じすることなく想いを吐露し、「デイズ」をはじめ青春狂騒曲とでも言うべく楽曲群を堂々と鳴らしていく。MCでは畑山が「俺、めちゃくちゃサウシーっ子だから!」とSaucy Dogとのなれそめと思い入れをまるで部室にいるかのようにアットホームに語りつつ、全6曲をみずみずしく演奏。メンバー全員が2000年生まれの新世代が、『リベンジエピソード』に冒頭から華を添えた。
Photo by 白石達也
Photo by 日吉"JP"純平
力強いリズムとパープルの光が溶け込むように始まったAmelieのライブは、バンドのダイナミズムを感じさせるどっしりとしたミドルバラード「リメンバー」で会場をいきなりロックオン。しっかりと歌を、メロディを広大な空間に響かせ、音と光のみでバンドの意志を存分に提示するさすがのライブバンドぶりだ。mick(Vo, G, Piano)が「1年以上ぶりにやっと大阪に来ることができました。サウシー、連れてきてくれてありがとう!」と礼を述べ、楽屋には出演バンドごとにメンバー3人からの手紙がしたためられていたという粋なエピソードも飛び出した。そして、その手紙に「女性ボーカルのカッコよさを見せつけてやってくださいと書いてあったんで」と、後半戦は「月の裏まで」「アイデンティティの証明」「朝は来る」と一気に畳み掛けるアグレッシブなステージを展開。久々の大阪でのライブを楽しみ、楽しませたAmelieだった。
Photo by 日吉"JP"純平
LAMP IN TERRENのライブは、「Water Lily」のメロウなサウンドを背に、松本大(Vo, G, Piano)がステージをラフに動き回りハンドマイクで歌い上げる幕開け。そこで音を鳴らすことが呼吸するかのように無意識で自然だと感じさせるような4人の佇まいは、まさにテレンのライブならでは。「Saucy Dogにひと言、物申したい。僕らは事務所の先輩なんですよ。今日は呼んでくれてありがとうございます(笑)」と松本がユーモアたっぷりに話し、その後は一転、攻めの姿勢でフロアから突き上がる拳を前に完全燃焼。「まだ3バンド目だし、体力が有り余ってるんじゃないですか大阪!」と、「地球儀」の祝祭のビートでさらに熱量を上げたかと思えば、「いつものこと」で描かれたかけがえのない日常にグッと引き込まれる。「幸せになるために音楽はある」という松本の心の底からの言葉とともに捧げた最後の「EYE」まで、後に控えるSaucy Dogにその背中とタフネスを見せつけた、LAMP IN TERRENからの最高のエールだった。
Photo by 白石達也
Photo by 日吉"JP"純平
主催イベントのラインアップにはバンドの志が自ずと投影されるものだが、この日のSaucy Dogのそれが顕著に出ていた1組がセカイイチだと言えるだろう。同じ大阪出身、ライブのBGMでも幾度となく彼らの楽曲をかけてきたSaucy Dogからのラブコールに応え、なんばHatchのステージへと現れたセカイイチ。ファンキー&グルーヴィーな「Grave of Music」でフロアを揺らした後は、約5年ぶりの新作『Draw Lines』からの楽曲も多数お披露目し、軽快なギターのカッティングとタイトなビート、ソウルフルな歌声に酔いしれるグッドミュージックで次々と魅せていく。そして岩崎慧(Vo, G)が、「Saucy Dogを見てると、自分たちの若い頃を思い出すと言いますか。我々も今さっきはファンクをやってましたが、元・歌モノバンドです(笑)。これだけ16ビートの曲をやっておきながら、最後はどバラードで締めたいと思います」と告げ、最後に届けたのは名曲「バンドマン」。音楽がもたらす感動と幸福を見る者の胸にずっしりと残して、ステージを後にしたセカイイチだった。
Photo by 日吉"JP"純平
ブルーの照明を浴びながら、1人また1人とステージへと登場したUNISON SQUARE GARDENを大きな拍手が迎える。「Cheap Cheap Endroll」「世界はファンシー」、そして「シュガーソングとビターステップ」と、静寂から瞬時に沸点に到達するようなキレのあるビートと畳み掛けるボーカル、高速フレーズも余裕しゃくしゃくで弾きこなすような光景は、ステージマンとしての格の違いを見せつけるようなすさまじさ。その高い演奏力とクールネスには惚れ惚れするばかりだ。常時、重さとスピードがエクスタシーに変わるようなサウンドの応酬で、壮絶なドラムソロから三位一体となってなだれ込んだ後半戦も、「23:25」を皮切りに「Phantom Joke」の荒ぶるパフォーマンスとジャストなブレイクでシビれさせ、ユニゾンしか勝たんの独壇場。最後のトドメは「桜のあと(all quartets lead to the?)」「アイラブニージュー」で、トリのSaucy Dogを前にハードルを上げに上げ、音で全てを物語った徹底的で圧倒的なUNISON SQUARE GARDENのライブだった。
Photo by 白石達也
そして、この日の主役となるSaucy Dogは、「シーグラス」の切なくも甘酸っぱいメロディと歌声で、その出番を待ちわびたオーディエンスを優しく包み込んでいく。続く「BLUE」では秋澤和貴(B)の躍動感のあるベースラインがけん引。せとゆいか(Dr, Cho)は「皆さん、長丁場ですけど疲れてないですか?」と観客をねぎらい、「それぞれ別の日にやろうと思っていたバンドが集まったから見事に全然違う。でも、全バンド、カッコよかったでしょ?」と、1日の化学反応を振り返った。「雀ノ欠伸」では会場の隅々まで手が上がる絶景を生み出し、立て続けに「ゴーストバスター」「バンドワゴンに乗って」とグッドメロディを連発。MCでは、当時高校生だったKALMAとの出会いや、公私ともに親交があるAmelieに女性ボーカルの価値観を180度変えられたこと、心の暗い部分を表現する際に意識しているというLAMP IN TERRENの存在、そして、師と仰ぐセカイイチには普段ライブでかけているSEを作ってもらったという逸話も。さらには、スリーピースの最高峰であるUNISON SQUARE GARDENが出演してくれたことが奇跡と、尊敬してやまない5バンドについて熱く語った。最後は石原慎也(Vo, G)が、「あなたの日常の、生活の、人生の一部であり得るような、あなたの心を少しずつ溶かして、入っていけるような曲を最後に歌って終わろうと思います」と語り「sugar」を披露。楽曲が備えるノスタルジーと会場の壁面に映し出された星屑のような光がドラマを増幅し、息を呑んで見守るオーディエンスのまなざしの先で、精いっぱい己の音を鳴らしたSaucy Dog。大役を終えた3人が改めてそれぞれに感謝を伝え、『リベンジエピソード』大阪公演は終了した。
Photo by 白石達也
Photo by 日吉"JP"純平
取材・文:奥"ボウイ"昌史
撮影:日吉"JP"純平、白石達也
Saucy Dog 対バンイベント「リベンジエピソード」2021年3月31日(水) @なんばHatch SET LIST
KALMA01. くだらん夢
02. デイズ
03. さくら
04. これでいいんだ
05. ねぇ ミスター
06. 1分間の君が好き
Amelie
01. リメンバー
02. 手と手
---MC---
03. 月の裏まで
---MC---
04. アイデンティティの証明
05. 朝は来る
LAMP IN TERREN
01. Water Lily
02. Enchanté
03. オーバーフロー
04. 地球儀
05. いつものこと
---MC---
06. EYE
セカイイチ
01. Grave of Music
02. Good Job
---MC---
03. Draw a Line
04. ダンサーズハイ
---MC---
05. バンドマン
UNISON SQUARE GARDEN
01. Cheap Cheap Endroll
02. 世界はファンシー
03. シュガーソングとビターステップ
04. 23:25
05. Phantom Joke
06. 桜のあと (all quartets lead to the?)
07. アイラブニージュー
Saucy Dog
01. シーグラス
02. BLUE
---MC---
03. 雀ノ欠伸
04. ゴーストバスター
05. バンドワゴンに乗って
---MC---
06. sugar