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2020.07.27
押尾コータローとDEPAPEPEが出演したライブイベント『GREENS presents 緑音感(りょくおんかん)』が、7月18日・大阪城音楽堂にて開催された。
新型コロナウイルス禍により休業を余儀なくされていた在阪のコンサートプロモーター、GREENSのライブ再開イベント第1弾として行われたこの日。多くの名演を生んできた大阪城音楽堂にとっても同様で、緑に囲まれた開放感たっぷりのステージに、久々に音楽が鳴り響いた記念すべき1日となった。
入場時の検温や消毒はもちろんのこと、しっかりとソーシャル・ディスタンスが保たれた座席の配置やマスクの着用の徹底など、政府指導のガイドラインに基づき迎えた関西ライブシーンの新たな第一歩。司会のFM802DJ大抜卓人が、「大阪城音楽堂、再開一発目を祝福するかのようないいお天気になりました!」と語るのも納得の晴天のもと、SEに合わせて巻き起こった手拍子に乗って押尾コータローとDEPAPEPEがついに登場。アコースティック・インストゥルメンタルユニット"DEPAPEKO"としても活動を共にする気心知れた2組が、1曲目の「TECHNOPOLIS」から何層にも折り重なるギターサウンドを奏でていく。
「ようやくお客さんの前でライブができました〜! 5ヵ月ぶりですので、僕たちはお客さんの反応に飢えております(笑)。配信の方ともチャットで盛り上がっていけたらいいなと思いますので今日は存分に、一緒に、ライブを作りたいと思います。どうぞよろしくお願いします~!」(DEPAPEPE・三浦拓也)
目の前のオーディエンスはもとより、配信でライブを鑑賞中の観客への気遣い&カメラ目線も忘れない3人が(笑)、そんな挨拶に続き聴かせたのは星野源の「恋」のカバー。インストゥルメンタルでも楽曲の魅力が瑞々しく伝わるメロディの抽出とアレンジの再構築が絶妙で、躍動感のあるビートでぐんぐん場を引き込んでいく。様々な楽曲のキーに合わせチューニングされたギターを巧みにスイッチする押尾が土台となるリズムと鍵盤的なあしらい、DEPAPEPEの徳岡(慶也)がメロディ、三浦がサウンドの色付けというパート割を解説するなど、セットリストにも記載のない予定外の長尺MCに「僕ら舞い上がってますね(笑)」(押尾)と笑い合う様からは、3人のステージに立てた喜びがこぼれ落ちるかのよう。
そのまま徳岡がE-Bow(=エレクトリック・ボウ)を駆使し、メロウかつのびやかなサスティーンが印象的なフレーズをつまびいたのは、小田和正の大ヒット曲「ラブ・ストーリーは突然に」。一時代を彩ったあのメロディを、スリリングなギターのかけ合いで野音の空に放っていく。
「今日は感染対策もバッチリした上で座席の間隔も空けていただいてるから、ちょっと寂しい感じになるのかなと最初は思ってたんです。でも、全然そんな感じがしなくて、皆さんの熱い拍手とか気迫みたいなものが伝わって、やっててすごく楽しいです!」(三浦)
「僕もDEPAPEPEもライブができなくて落ち込んで、どうしようかなと思ってるときにこのお話をいただいて、本当に『緑音感』に感謝!」(押尾)
「まさかこんなに晴れるとは思ってなかったですよね(笑)」(徳岡)
ジリジリと照り付ける日差しと蝉の声を背に、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」のカバーでは会場から沸き立つ手拍子に後押しされながら3本のアコースティックギターが絶品サウンドを生み出し、その後は押尾単独のステージへ。MCでは、初めて野音の大舞台に立った20年前、当時FM802のDJであったヒロ寺平のひと声により新人イベント『NEW BREEZE』に急遽出演することになった思い出と感謝を語り、「大阪城と言えば! 戦国時代をイメージして作った曲があるんです。今日は心の中でみんなにエールを送りたいです。あともうちょっと頑張りましょう!」と観客に呼びかけた押尾は、低音の効いたファットな音圧が心地いい「Legend ~時の英雄たち~」を響かせながら、オーディエンスを嬉しそうに見渡していく。「僕は今日のライブを忘れません、ありがとうございます!」と、まだライブの途中にも関わらず、思わず気持ちが溢れ出す。いち早くお披露目した新曲「EDEN」では、優しい旋律に会場中が満たされるかのよう。一転、もう1曲の新曲「GOLD RUSH」では、目まぐるしいボディタップやタッピングで攻め立てる勇ましいサウンドに心が奮い立たされる。そして、押尾と入れ替わりでDEPAPEPEが再びステージへ。
自粛期間中に押尾の奏法を練習したという三浦が「押尾さんすごいな!」とその超絶技巧に改めて感心しながら、「今日という日をすごく楽しみにしてきました。ライブを終えた後、僕は心の中でこうつぶやくでしょう」(三浦)と、「いい日だったね。」を披露(笑)。DEPAPEPEのキャリア初期からの1曲が、じんわりと胸に沁みわたる。そして、「しばらくぶりのライブということでDEPAPEPEも初心に返りまして、結成当初からストリートライブでよくやってた曲をやりたいなと思います」(三浦)と始まったのは「FLOW」。こちらもDEPAPEPEを黎明期から支えてきた楽曲で、神戸の路上で膝を突き合わせギターをかき鳴らしていた2人が、デビュー15周年となる今でもこうやって向き合い音を鳴らしているのは何とも感慨深い。繰り出される音と音が絡み合い鼓動を高めていくアッパーな1曲には会場も大いに沸いた。演奏が終わるごとに笑いが起きるまでMCを続ける欲しがりの三浦に(笑)、「ただでさえ押してるんやから!」と急かす徳岡という変わらぬ関係性も微笑ましい。この春リリースされたニューアルバム『Seek』からの「nite nite...zzz」は、ギターの音色と蝉の声が演出する情緒と隙間のあるメロディに聴き入ってしまう。
ここで再び押尾コータローがステージへと現れ、バックヤードで見た同時配信中の映像の臨場感を絶賛しつつ、またもDEPAPEPEのニューアルバム『Seek』から「War Cry」を3人で演奏。「初披露にしてスペシャルバージョン!」(三浦)との言葉通り音の壁に包囲されるような分厚いサウンドは、後半戦の幕開けにピッタリだ。その後は配信中のチャットから「コータローさんのバンドサウンド最高です」「久しぶりに踊りました」等の感想を三浦がピックアップし、「何回も"ありがとう"って言うてるけど、今日ライブできることが嬉しくてしょうがない」と想いを吐露する押尾。続いて、押尾の持ち曲である「Landscape」では、イベントのためのセッションの域を優に超えたこの3人ならではパフォーマンスに、生の音楽を欲したオーディエンスも大満足。音響、照明とのリンクも見事で、ライブが唯一無二の体験であることを改めて感じる。
「本当にいろんな人のおかげで今このステージに立ててます。そんな皆さんに感謝の気持ちを込めて」(三浦)と届けた切なくもあたたかい「For You」、スリリングなビートでけん引した「Together!!!」、「長いこと一緒に弾いてるから自分の曲と勘違いしてアルバムに入れそうになりました(笑)」(押尾)と「ONE」でも息の合ったところを見せ、『緑音感』の第1回目はこの組み合わせしかなかったとすら思わせるような化学反応の連続。オーディエンス、アーティスト、スタッフ...全ての人が今日この場にいる幸福を噛みしめるようなムードが、いつも以上に心のつながりを感じさせる。ラストの「翼 ~you are the HERO~」まで、アコースティックギター3本とは思えない重厚かつ美しい音世界で魅了した、押尾コータローとDEPAPEPEだった。
鳴りやまない拍手に応えたアンコールでは、エレクトロなあのイントロがアコースティックで表現されたPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」のカバーを。ダンサブルなギターサウンドには自ずと身体が揺れる。ついつい立ち上がってしまいそうな高ぶりを拍手に変換して目いっぱい伝えるオーディエンスに、「この笑顔があってライブができる」と押尾。そして、いつの間にか陽の落ちた野音で、3人はそれぞれに言葉を重ねていく。
「いろいろあるけど、今日のライブで吹っ切れたような気がします」(押尾)
「拍手がもらえるって改めてすごいことやなって思いました。今日は本当にありがとうございました!」(徳岡)
「今日は見に来てくれて、そして配信を見てくれて、どうもありがとう~!」(三浦)
最後の「START」のサビではオーディエンスが手を振り、演奏が終わればあたたかい拍手に包まれる。そんな見慣れたはずの光景の愛しさと心強さに胸が熱くなる。まさに関西ライブシーンの再出発であり、忘れられない1日となった『GREENS presents緑音感』だった。
Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by センキャメ
GREENS オフィシャルサイト
新型コロナウイルス禍により休業を余儀なくされていた在阪のコンサートプロモーター、GREENSのライブ再開イベント第1弾として行われたこの日。多くの名演を生んできた大阪城音楽堂にとっても同様で、緑に囲まれた開放感たっぷりのステージに、久々に音楽が鳴り響いた記念すべき1日となった。
入場時の検温や消毒はもちろんのこと、しっかりとソーシャル・ディスタンスが保たれた座席の配置やマスクの着用の徹底など、政府指導のガイドラインに基づき迎えた関西ライブシーンの新たな第一歩。司会のFM802DJ大抜卓人が、「大阪城音楽堂、再開一発目を祝福するかのようないいお天気になりました!」と語るのも納得の晴天のもと、SEに合わせて巻き起こった手拍子に乗って押尾コータローとDEPAPEPEがついに登場。アコースティック・インストゥルメンタルユニット"DEPAPEKO"としても活動を共にする気心知れた2組が、1曲目の「TECHNOPOLIS」から何層にも折り重なるギターサウンドを奏でていく。
「ようやくお客さんの前でライブができました〜! 5ヵ月ぶりですので、僕たちはお客さんの反応に飢えております(笑)。配信の方ともチャットで盛り上がっていけたらいいなと思いますので今日は存分に、一緒に、ライブを作りたいと思います。どうぞよろしくお願いします~!」(DEPAPEPE・三浦拓也)
目の前のオーディエンスはもとより、配信でライブを鑑賞中の観客への気遣い&カメラ目線も忘れない3人が(笑)、そんな挨拶に続き聴かせたのは星野源の「恋」のカバー。インストゥルメンタルでも楽曲の魅力が瑞々しく伝わるメロディの抽出とアレンジの再構築が絶妙で、躍動感のあるビートでぐんぐん場を引き込んでいく。様々な楽曲のキーに合わせチューニングされたギターを巧みにスイッチする押尾が土台となるリズムと鍵盤的なあしらい、DEPAPEPEの徳岡(慶也)がメロディ、三浦がサウンドの色付けというパート割を解説するなど、セットリストにも記載のない予定外の長尺MCに「僕ら舞い上がってますね(笑)」(押尾)と笑い合う様からは、3人のステージに立てた喜びがこぼれ落ちるかのよう。
そのまま徳岡がE-Bow(=エレクトリック・ボウ)を駆使し、メロウかつのびやかなサスティーンが印象的なフレーズをつまびいたのは、小田和正の大ヒット曲「ラブ・ストーリーは突然に」。一時代を彩ったあのメロディを、スリリングなギターのかけ合いで野音の空に放っていく。
「今日は感染対策もバッチリした上で座席の間隔も空けていただいてるから、ちょっと寂しい感じになるのかなと最初は思ってたんです。でも、全然そんな感じがしなくて、皆さんの熱い拍手とか気迫みたいなものが伝わって、やっててすごく楽しいです!」(三浦)
「僕もDEPAPEPEもライブができなくて落ち込んで、どうしようかなと思ってるときにこのお話をいただいて、本当に『緑音感』に感謝!」(押尾)
「まさかこんなに晴れるとは思ってなかったですよね(笑)」(徳岡)
ジリジリと照り付ける日差しと蝉の声を背に、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」のカバーでは会場から沸き立つ手拍子に後押しされながら3本のアコースティックギターが絶品サウンドを生み出し、その後は押尾単独のステージへ。MCでは、初めて野音の大舞台に立った20年前、当時FM802のDJであったヒロ寺平のひと声により新人イベント『NEW BREEZE』に急遽出演することになった思い出と感謝を語り、「大阪城と言えば! 戦国時代をイメージして作った曲があるんです。今日は心の中でみんなにエールを送りたいです。あともうちょっと頑張りましょう!」と観客に呼びかけた押尾は、低音の効いたファットな音圧が心地いい「Legend ~時の英雄たち~」を響かせながら、オーディエンスを嬉しそうに見渡していく。「僕は今日のライブを忘れません、ありがとうございます!」と、まだライブの途中にも関わらず、思わず気持ちが溢れ出す。いち早くお披露目した新曲「EDEN」では、優しい旋律に会場中が満たされるかのよう。一転、もう1曲の新曲「GOLD RUSH」では、目まぐるしいボディタップやタッピングで攻め立てる勇ましいサウンドに心が奮い立たされる。そして、押尾と入れ替わりでDEPAPEPEが再びステージへ。
自粛期間中に押尾の奏法を練習したという三浦が「押尾さんすごいな!」とその超絶技巧に改めて感心しながら、「今日という日をすごく楽しみにしてきました。ライブを終えた後、僕は心の中でこうつぶやくでしょう」(三浦)と、「いい日だったね。」を披露(笑)。DEPAPEPEのキャリア初期からの1曲が、じんわりと胸に沁みわたる。そして、「しばらくぶりのライブということでDEPAPEPEも初心に返りまして、結成当初からストリートライブでよくやってた曲をやりたいなと思います」(三浦)と始まったのは「FLOW」。こちらもDEPAPEPEを黎明期から支えてきた楽曲で、神戸の路上で膝を突き合わせギターをかき鳴らしていた2人が、デビュー15周年となる今でもこうやって向き合い音を鳴らしているのは何とも感慨深い。繰り出される音と音が絡み合い鼓動を高めていくアッパーな1曲には会場も大いに沸いた。演奏が終わるごとに笑いが起きるまでMCを続ける欲しがりの三浦に(笑)、「ただでさえ押してるんやから!」と急かす徳岡という変わらぬ関係性も微笑ましい。この春リリースされたニューアルバム『Seek』からの「nite nite...zzz」は、ギターの音色と蝉の声が演出する情緒と隙間のあるメロディに聴き入ってしまう。
ここで再び押尾コータローがステージへと現れ、バックヤードで見た同時配信中の映像の臨場感を絶賛しつつ、またもDEPAPEPEのニューアルバム『Seek』から「War Cry」を3人で演奏。「初披露にしてスペシャルバージョン!」(三浦)との言葉通り音の壁に包囲されるような分厚いサウンドは、後半戦の幕開けにピッタリだ。その後は配信中のチャットから「コータローさんのバンドサウンド最高です」「久しぶりに踊りました」等の感想を三浦がピックアップし、「何回も"ありがとう"って言うてるけど、今日ライブできることが嬉しくてしょうがない」と想いを吐露する押尾。続いて、押尾の持ち曲である「Landscape」では、イベントのためのセッションの域を優に超えたこの3人ならではパフォーマンスに、生の音楽を欲したオーディエンスも大満足。音響、照明とのリンクも見事で、ライブが唯一無二の体験であることを改めて感じる。
「本当にいろんな人のおかげで今このステージに立ててます。そんな皆さんに感謝の気持ちを込めて」(三浦)と届けた切なくもあたたかい「For You」、スリリングなビートでけん引した「Together!!!」、「長いこと一緒に弾いてるから自分の曲と勘違いしてアルバムに入れそうになりました(笑)」(押尾)と「ONE」でも息の合ったところを見せ、『緑音感』の第1回目はこの組み合わせしかなかったとすら思わせるような化学反応の連続。オーディエンス、アーティスト、スタッフ...全ての人が今日この場にいる幸福を噛みしめるようなムードが、いつも以上に心のつながりを感じさせる。ラストの「翼 ~you are the HERO~」まで、アコースティックギター3本とは思えない重厚かつ美しい音世界で魅了した、押尾コータローとDEPAPEPEだった。
鳴りやまない拍手に応えたアンコールでは、エレクトロなあのイントロがアコースティックで表現されたPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」のカバーを。ダンサブルなギターサウンドには自ずと身体が揺れる。ついつい立ち上がってしまいそうな高ぶりを拍手に変換して目いっぱい伝えるオーディエンスに、「この笑顔があってライブができる」と押尾。そして、いつの間にか陽の落ちた野音で、3人はそれぞれに言葉を重ねていく。
「いろいろあるけど、今日のライブで吹っ切れたような気がします」(押尾)
「拍手がもらえるって改めてすごいことやなって思いました。今日は本当にありがとうございました!」(徳岡)
「今日は見に来てくれて、そして配信を見てくれて、どうもありがとう~!」(三浦)
最後の「START」のサビではオーディエンスが手を振り、演奏が終わればあたたかい拍手に包まれる。そんな見慣れたはずの光景の愛しさと心強さに胸が熱くなる。まさに関西ライブシーンの再出発であり、忘れられない1日となった『GREENS presents緑音感』だった。
Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by センキャメ
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緑音感GREENS オフィシャルサイト