SENSA

2019.08.29

3年に1度の芸術の祭典!あいちトリエンナーレに行ってきた

3年に1度の芸術の祭典!あいちトリエンナーレに行ってきた

愛知県名古屋市と豊田市で開催されている「あいちトリエンナーレ2019」。愛知県で3年に一度開催されている芸術祭で、国際展や映像プログラムなどの現代美術と合わせて、ダンスや演劇、音楽などの舞台芸術を楽しむことができます。

今回はSENSA STAFFで「あいちトリエンナーレ2019」の会場となっている《豊田市美術館》《豊田市駅周辺》《名古屋市美術館》《四間道・円頓寺》《愛知芸術文化センター》の5箇所を巡り、サカナクションが8月7,8,10,11日に開催していた『暗闇 -KURAYAMI-』の初日・夜公演に参加してきました。


11:00 豊田市到着


まず名古屋に到着してから地下鉄〜名鉄に乗って豊田市へ。駅の改札を出ると目の前に案内所が。

一番近かった名鉄豊田市駅下の展示からみて行きます。

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こちらの案内所で新聞を模したタブロイド判のガイドマップをもらって出発。




小田原のどか「↓ (1946-1948)」
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小田原のどか「↓ (1923−1951)」
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1946年から1948年の2年間だけ、長崎の原爆投下中心地に設置されていたという矢形の標柱からかたどられたネオンサインのオブジェ。彼女の作品はT02a,T02b,T02cと豊田市の3箇所にあり、戦争・原爆というテーマについても改めて考えさせられるきっかけになる展示でした。

そこから灼熱の豊田市を歩き、豊田市美術館へ。駅からは徒歩20分程度です。


12:00 豊田市美術館


建築家・谷口吉生によって設計された、乳白色を基調とした美しい建築物。豊田市美術館は、20世紀美術とデザインの収蔵、現代美術の意欲的な企画展で全国的に有名な美術館です。

まず、入館するためにチケットを購入。
豊田市美術館は現在「クリムト展」を行なっており、そちらとのセット券も販売しておりました。SENSA STAFFは時間の都合もあったので1DAYパスを購入。こちらは当日に限り、各会場を何回でも観覧できるチケット。一般・1,600円/大学生・1,200円/高校生・600円と観て回れる展示の数を考えるとかなりお手頃な価格設定だと思います。

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「あいちトリエンナーレ2019」の会場内の作品は一部を除き写真・動画撮影、SNSへの投稿がOKとなっております。ぜひご来場の際は皆さんも気に入った作品を写真におさめてみてはいかがでしょうか?

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ここでも印象に残った作品や豊田市美術館の建物の美しさをお伝えします。


アンナ・フライチョヴァー「ミッションからの帰還」
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古代神話や東洋思想、チェコの伝統文化や美術に、SF的想像力を織り交ぜた表現を展開するチェコを拠点に活動する彫刻家。右手にある彫刻からは泡が出続けており、とても不思議な彫刻でした。どういう構造になっているのだろう、この作品の名前は「ミッションからの帰還」とのことですが、どんなミッションから帰ってきて、この生命体はこの姿になったのか。考えると奥が深いです。


スタジオ・ドリフト「Shylight」
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植物の花や葉が光量や温度にあわせて開閉する、就眠運動と呼ばれる動きを詳細に観察・解析して設計された作品。不規則に白い布が開閉を繰り返しながら上下に動いており、ゆっくりと美しい動きに目が離せなくなります。


高嶺格「NIMBY (Not in My Back Yard)」
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高嶺格「反歌:見上げたる 空を悲しも その色に 染まり果てにき 我ならぬまで」
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「NIMBY (Not in My Back Yard)」は望遠鏡の形をしたメディアアート作品。米軍普天間基地移設に伴う沖縄県名護市辺野古沖の埋め立て賛否を問う県民投票を題材とした作品で、覗くとその反対運動の様子を一部観ることができます。
高校の跡地にあるプールの床を立ち上げたインスタレーション作品は、実際に自分の目で見てこその迫力が。場所は少し分かりづらいですが、ぜひ期間中に行くことがあれば目撃して欲しいです。このプールが何を意味しているのか、ボランティアの方が作品の解説をして下さるので、ぜひお話を聞いてみて下さいね。


豊田市美術館は建物全体も美しく、もう少し涼しくなったら外でのんびりしても気持ちよく過ごせそうな場所でした。
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16:00 名古屋市美術館 到着


豊田市から名古屋市に移動して、閉館間近の名古屋市美術館へ。
比較的展示物は他会場に比べて少ないですが、面白い作品がたくさんありました。


碓井 ゆい「ガラスの中で」
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オーガンジーの布に刺繍を施し、儚いように見えて鋭いメッセージを投げかけられている作品。トリエンナーレへの出展の話が来た時に、彼女が考えていた生殖や生命倫理をテーマに作られたものだそう。刺繍の内容は乳児や家族に関連するモチーフが描かれ、光を通して影が落ちている様子も美しかったです。


今津 景「生き残る」
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名画やSNSで公開された写真など、無数のメディアから採取したデータをPhotoshopで引き伸ばし、重ね合わせた下図をもとにキャンバスに油彩で描かれた作品。時代の異なるものや様々な文化が入り乱れており、作品のサイズはもちろん、色鮮やかさやそこにある様々なモチーフに目を奪われました。


16:30 少し休憩


たくさん歩いたので、伏見にある氷卸業を営む「澤田商店」でかき氷を食べながら小休憩。
こちらは氷屋さんということもあり、すっきりした氷がふわふわの食感で知覚過敏の私でも美味しく頂けました。今年の6月に改装オープンをしたようで、店内も比較的広く、かき氷の種類も増えたとのこと。シロップも濃厚で美味しかったので、ぜひトリエンナーレで歩き回って疲れた〜という時は休憩に利用してみて下さいね。

みかん
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ひやしみたらし
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17:00 四間道・円頓寺(なごのアジール)


音楽プログラム:U-zhaan「Chilla: 40 Days Drumming」
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演奏姿は撮影NGでしたが、なごのアジールで北インドの古典音楽家に伝わる厳格な修行「チッラー」を行なっているU-zhaanを観に行きました。「チッラー」は40日間小屋に篭り演奏に没頭するという修行。タブラを叩き続ける彼の姿、渋かっこよかったです。


17:30 愛知芸術文化センター


閉館ギリギリのところで滑り込んであいちトリエンナーレのメイン『愛知芸術文化センター』へ。
時間が足りなく10Fの展示のみでしたが、いくつか印象的だった作品をご紹介します。


アンナ・ヴィット「60分間の笑顔」
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フォーマルなスーツを着た8人の人々がビジネス・スマイルで60分間こちらを見続ける作品。映像の前には椅子が用意されており、彼らとずっと目を合わせながら色々なことを考えることができます。彼らの笑顔は心からの笑顔か、作られたものか。60分笑顔で居続けるって、普通に考えたらかなり大変ですよね...。


ウーゴ・ロンディノーネ「孤独のボキャブラリー」
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アンナ・ヴィットの作品から黒幕を潜った順路の先には、今回のトリエンナーレのガイドマップの表紙にも採用されているウーゴ・ロンディノーネの作品が。まるで生きているかのような、ピエロの彫刻45体。ピエロにはそれぞれ、彼らの行う行為から名前つけられているとのこと。一人の人間の、24時間で繰り返し行っている家の中での孤独な振る舞いを示している彼らの姿。ちょっとリアルすぎて怖いですが(笑)お気に入りのピエロの隣で写真を撮ってみてはいかがでしょうか?


dividual inc.「ラストワーズ/タイプトレース」
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いくつものディスプレイに映し出される様々な文章。これらは全て人生の最後の10分間で残す「遺言」をこちらのサイトで集めたもの。執筆のプロセスを記録し、再生する「TypeTrace」を使い、「デジタルな筆跡」を可視化する。一度打たれた文章が消えたり、書き直されたり。どんな思いでこの文章を綴ったのか、綴り手の気持ちや、その時の状況を文章の動きから考えるのも面白い作品でした。


菅 俊一「その後を、想像する」
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菅 俊一さんの作品は、その作品の「続き」が気になる展示が多数。この紙テープの先はどうなっているのか、木でできた本を閉じたら、電池と電線が繋がって豆電球に明かりがつくのか。そんな風に頭で自然と考えさせられる作品たち。アニメーション作品も展示されているので、お子様連れの方は、一緒に「続き」を考えて想像力を育んでみては?


18:00 コンパルで休憩


以前、名古屋日帰り旅でもご紹介したコンパル。栄駅の中(改札外)にもあるので、少し休憩したいときに立ち寄りやすいです。エビフライサンド、お土産にもぴったりなのでぜひ。
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18:30 サカナクション『暗闇 -KURAYAMI-』を体験する


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8月7,8,10,11日の4日間、愛知県芸術劇場大ホールにて開催されたサカナクションの演目『暗闇 -KURAYAMI-』。会場を完全に暗転した暗闇の中で行われるライブは今までにない音楽体験といって間違いない作品でした。
『音楽は立体である。しかし、視覚はそれを見えないようにする霧だ。』当日配布されたレジュメに書かれていた一文。人間の様々な五感を使って体感するのがライブの性質。中でも、視覚から得る情報は本当に多く、"音源を聴く"という行為とはまた別の付加価値を持っているのがライブです。その視覚を遮断されたライブでは何を体感することができるのでしょうか。
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演奏が始まり、完全に暗転した会場は、自分と前列との距離感・ステージまでの距離・隣に座っている人の姿、本当に全てが見えなくなり、自分がどこにいるのかわからなくなる感覚に包まれます。人の目って微かな光を拾っているから「暗闇に目が慣れる」ということがあるのだと、改めて実感。今回、ドイツのオーディオ・ソリューション・プロバイダーd&b audiotechnikのイマーシブ・サウンド・システム「Soundscape」が導入された音響環境は、精度の高い音像で音の一粒一粒が鮮明に聴こえ、より"音楽は立体"ということを感じる空間に仕上がっており、何処からともなく聴こえてくる様々な音へ全身の神経が研ぎ澄まされるような感覚がありました。

今回はこのあいちトリエンナーレでの4日間のみの公演でしたが、ぜひまた観たいと感じる演目でした。



あいちトリエンナーレの開催は10月14日(月・祝)まで!だんだんと涼しい風が吹き始めたこの季節。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?




あいちトリエンナーレ2019 情の時代 Taming Y/Our Passion


会期:2019年8月1日〜10月14日
会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、豊田市美術館、豊田市駅周辺
開館時間:会場によって異なる
休館日:月(ただし祝祭日を除く)、9月17日(名古屋市美術館のみ)
1DAYパス料金:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 600円
フリーパス料金:一般 3000円 / 大学生 2300円 / 高校生 1100円